ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[レビュー]「私の身体なんか自由にすればいい…」清廉な神官さまが、思いもよらぬ快感に溺れて泣いちゃう! いとう由貴『太陽と月の欠片』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-美人の優等生  受け-高潔な優等生  受け-神官  特徴-ファンタジー  ●ア行-いとう由貴  
太陽と月の欠片 (ショコラノベルス)太陽と月の欠片 (ショコラノベルス)
(2010/05/10)
いとう 由貴

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 同じ作家さんの本を連続で紹介するのは初めてです!
 狙ったわけではなく、いとう由貴先生の新刊が次から次へと発表されるうえに、たまたまどちらも素晴らしかっただけなんですが…。
 いとう由貴先生のショコラノベルス最新刊『太陽と月の欠片』をご紹介させていただきます!

 前記事『凍える月影』のレビューにも書きましたが、ブログ主はいとう由貴先生は決して「大好き!」という作家さんではなかったのです。
 それが最近、波長が合ってきたな~と(勝手に)思っていたところ、身体で相手の男を誑かし、自分の言うなりにさせようと画策するも、思いもよらぬ快感の深さに懊悩してしまう優等生キャラがこれでもか! 喘ぎまくってる傑作『凍える月影』を読んで、ド萌えしまくり。
 でも、やっぱり頭の中では「ちょっと苦手な作家さん」という思いが抜けず、今日ご紹介する『太陽と月の欠片』は2週間ほど前にはもう手元にあったにもかかわらず放置してました。
 今日この作品を読むかどうかも相当迷ったんですよね…。
 パラパラめくり読みしても、エロ少なそうでガツンと訴えてくるものがなかったし…。

 ――ごめん!!!!
 俺が間違えてた!!!!

 いやー、しぶしぶ冒頭のページを開けて読んでみたら、ブログ主の好みにずっぽしな一作でした。
 もう最高(笑)。
 受けキャラが優等生すぎます。
 「こんなの…駄目だ」とか言いながら、ぐずぐずにされてっちゃうという意味で(笑)。
 ジャンルとしては、中世ヨーロッパ風の時代設定を持つ異世界ファンタジーです。
 大帝国エマリスで、暗君の皇帝ヴィザール八世の圧政に耐えかねた民衆が革命軍を組織し、蜂起するところからお話は始まります。
 武力による革命は見事成功します。
 皇帝一族は次々と処刑され、貴族や商人、富農らも「反革命」の名の下に粛清された結果、新たな革命政府が樹立され、希望に満ちた日々が始まるかと思われたのですが…。
 ――というわけで、中世ヨーロッパ風のファンタジーでありつつ、フランス革命を思わせる現代的なストーリー展開にもなっていて、なかなか不思議な味わいです。

 革命後の混乱の中で、清廉で高潔な神官であるセフィルは、捕らわれたままの幼き皇子と皇女を革命政府の手から救出すべく、地下に潜っての“反革命”活動に身を投じます。
 じつはこの大帝国エマリスは、アルガルト神との契約によりこれまで繁栄してきた国だったのでした。
 皇帝の代替わりのたびに、皇子もしくは皇女をアルガルト神に“花嫁”として差し出すことで、帝国は繁栄を与えられてきたのです。
 革命による皇帝一族の血の断絶は、アルガルト神に供せられる“花嫁”がいなくなることを意味します。
 しかし、革命の熱狂に酔う民衆と革命政府の面々は、そんな古(いにしえ)からの秘儀を軽んじ、まともに信じようとはしませんでした。
 革命の名の下、旧体制の象徴として神殿も打倒され、神官たちも次々と殺されていくなか、主人公(受)の神官セフィルだけは、皇子皇女を救出し、アルガルト神との古き契約を守ろうと努力します。

 こんな無私かつ頑張り屋ちゃんな神官セフィルが、本作の主人公ですよ。
 神官は神に身を捧げた者ですから、もちろんセフィルは汚れを知らぬ清童として成長し、革命が起きる前には神殿でそれなりの地位に就いてもいました(まだ若手ですが)。
 セフィルはとても慈悲深く、辛抱強く、そして神官としても修業を積み、何事もなければゆくゆくは大神官となって神殿の長になっていたでしょう。
 それが革命という未曾有の事態に直面し、今では数少ない生き残りの神官たちとともに、アルガルト神との契約を守るべく皇子皇女を救出しようと“反革命”運動に身を投じているというわけですが、ブログ主的にはセフィルの言動の端々にインテリのちょっと駄目なところが出てて、思わず可愛い可愛いしたくなっちゃいます(笑)。

 例えばストーリーの冒頭で皇帝と皇妃が民衆の目の前で処刑される場面。
 死の恐怖に、これまで民衆をアリのごとく踏みつけてきた嫌われ者の皇妃が失禁し、命乞いするのを見て、民衆は罵声を浴びせ、快哉を叫びます。
 ブログ主なんかからすれば、まあ当然だろうという光景ですが、高潔な神官セフィル様は、心中呟きますよ。

 そして、皇后の首が落とされた。

 歓喜の声が響き渡った。

 セフィルはそれに、耳を塞ぐ。
 なにが革命万歳だ。
 なにも知らないくせに。

 群衆たちの誰一人、自分たちがどれほどの愚挙を成そうとしているのか気づいていない。
 どれほど恐ろしいことをしようとしているのかもわかっていない。

 ここにいる何人も知らない。
 帝室の血が、どれほど貴重なものであるのかを。

 わかりますか!
 ここに出ている微妙に民衆を見下したセフィルの“優等生視線”が!(笑)
 論語にいう、民は「由らしむべし、知らしむべからず」とまったく同じ思想!(キャッキャッ)
 民衆なんか、どうしてこうするのか教えてやる必要はない、従わせれば十分なのだというぐらいの意ですが、セフィルの言葉の端々に出てくるこの感覚が、優等生スキーの目には心地よい…(笑)。
 実際は、セフィルはとても優しくて慈悲深く、それでいて凛としている一級品の神官なんですが、ほら、そこで抜け出せないエリート意識ってやつですか、こんな神官さまが受けキャラって…じゅるり…。

 そしてある日、隠れ家で救出作戦の打ち合わせをしているセフィルと仲間のもとに、革命政府の「反革命取締官」の一隊が乗り込んできます。
 神官は、呪文と手印を組み合わせることで、炎を起こしたり、水を呼んだりといった特殊能力を使えます。
 セフィルも術を駆使して難を逃れますが、ただ一人、地下の逃亡用の隠し通路まで果敢に追いかけてきた革命政府の若きメンバーがいました。
 それが本作の攻めキャラであるアヴィシュです。
 アヴィシュは弁護士として弱き者の力になって活動してきましたが、革命の勃発を知り、指導者・ジュレゲン議長の大義を実現しようと革命軍に身を投じ、今では革命政府で「反革命取締官」として働いています。
 黒髪に鋭い瞳を持った若者ですよ。

 だが、アヴィシュはこうして反革命の人々を摘発する活動に従事しながら、心の中で大きな迷いを感じはじめていたのでした。
 それは、革命政府樹立後に起きた粛清の嵐についてです。
 皇帝政府を打倒したジュレゲン議長は、自分が権力を握ると次々と旧政府の人間を殺し、挙げ句の果てにはともに革命を遂行した革命政府の仲間たちをも“反革命”の名の下に排除しはじめたのでした。
 最初は革命を支持した民衆も、今では口を開けばいつ自分が殺されるかわからないと、内心では革命政府に批判的な人間が増えていますが、みな口をつぐむような状態になっています。
 アヴィシュは、革命の正当性を信じつつ、大きな迷いの中に投げ込まれていたのでした。

 逃げるセフィルを負って入り込んだ地下通路の中で、アヴィシュは美しい神官と一対一で対峙します。

 その顔に、アヴィシュはしばし目を見張った。
 侵入したときにはそれほどはっきりと見ていなかったが、青年がおどろくほど整った顔立ちをしていることに気づく。
 すっと通った鼻筋、切れ長の涼しげな眼差し、それでいて唇はどこか肉感的で、つい口づけを誘われそうになる。

 髪の色はぼんやりとした中ではよくわからないが、少なくともアヴィシュのような黒髪でないことは確かだ。
 もっと淡い、もしかしたら、金糸の髪を青年はしているのかもしれない。
 そんな淡い色合いだった。

 だが、相手は神官だとアヴィシュは気を引き締める。
 革命にとって、神官も敵であった。

(略)

「おまえを連行する。おとなしくしていろよ」

 アヴィシュは青年に言った。
 青年はアヴィシュを憎々しげに睨んでいる。

「逮捕して、どうせ殺すのだろう。革命などと気取っていても、結局おまえたちのやっていることは、ヴィザール八世と変わらない。ただの人殺し集団だ」

「皇帝と? 馬鹿を言うな!」

 青年の罵りに、アヴィシュは思わず怒鳴った。
 ヴィザール八世と自分たちは違う。
 皇帝は私利私欲のために民衆を殺戮したが、自分たちはこの国を良くしようとして行動しているのだ。
 断じて同じではない。
 少なくとも、思想の上では――。

 だが、アヴィシュは青年=セフィルから心の中の迷いをずばりと言い当てられて狼狽します。

「…おまえの中に迷いが見える。迷っているのだろう?」

 青年が囁いた。
 アヴィシュはドキリとする。
 相手は神官だ。
 ちょうど今考えていたことが、彼には見えてしまったのか。
 そんなことが可能なのか。

「黙れ!」

 アヴィシュは怒鳴った。
 内心の迷いなど、この青年に見透かされたくなどなかった。
 革命の敵になど、知られたくない。

 しかし、青年は続ける。

「迷っているくせに、まだ人を殺す気か? この革命が間違っていると、本当はわかっているのだろう?」

「黙れっ! 勝手な憶測を口にするな! 間違ってなどいない。俺たちの志は間違ってなどいない。俺たちは正しいことをした。間違ってなど…」

 どっちも真っ直ぐな2人の初対面がこれです(笑)。
 相変わらずセフィルがちょい上から目線なのが気持ちいい…。
 対して、革命の大義を未だに信じているアヴィシュは、必死で自分の気持ちを奮い立たせてますね。

 この時、セフィルは仲間の助けもあり無事アヴィシュの手から逃げ出します。
 しかし、セフィルは迷いを裡に秘めたアヴィシュという若者を知り、あることを思いついたのでした。
 皇子皇女の救出に、アヴィシュを仲間に引き入れられないかと。
 今や革命軍に正義などない、本当に国を救うのならば、自分に協力することこそ正しいことだ――そうアヴィシュを説得すべく、セフィルは乞食のふりをして深夜、アヴィシュの自宅を危険を顧みずに訪れます。
 だがそこで待っていたのは、激高したアヴィシュからの思いもよらぬ申し出だったのでした。

「…そんなに、皇子、皇女を助けたいか」

「もちろんだ…」

 アヴィシュがなにを言おうとしているのかわからない。
 彼が浮かべている笑みは、いったいなんなのだ。

「どんなことをしても?」

 重ねて、アヴィシュに訊ねられる。

「…ああ」

 (略)

 アヴィシュがクッと笑う。
 それは、どこか皮肉げな笑いだった。

「俺は理想のために革命を志した。すべてを賭けて、皇帝を倒した。…皇帝の子供たちを助けるのは、その理想への裏切りだ。この裏切りに、おまえは代償になにを払う?」

 (略)

 キュッと唇を引き結び、セフィルはアヴィシュを見上げた。
 決意を込めて、口を開く。

「おまえはなにを求める」

 アヴィシュの口元には、ほの暗い微笑が浮かぶ。
 まるで、自分自身を嘲るような微笑だった。

 やがて、口を開く。

「神官というのは、神々に操を捧げているらしいな」

「それは…」

 その操が、どうだというのだ。
 セフィルはアヴィシュを問うように、見つめた。

「それを、俺に差し出してもらおうか」

 いやー、アヴィシュもわかってるんですよ。
 すでに革命の大義は地に落ちていると。
 セフィルの言うことが正しいと。
 でも、まっすぐな若者だからこそ、その事実を素直に受け入れられないんですね。
 それをズバズバと指摘してくるのは、いかにもお綺麗な、世の汚れを知らぬ顔のインテリ神官さま。
 そりゃ腹も立つよっていう(笑)。
 どうにかしてこのセフィルという清廉な存在を汚してやりたい――そうせねば己の気が済まない、そういう風にアヴィシュが思っちゃってもこりゃしょうがないんですな! ←なんという自分勝手
 こうして、アヴィシュはセフィルの身体を凌辱することを条件にして、皇子皇女救出に力を貸すことを承諾したのでした。
 優等生スキーとしては、この場面、セフィルがどういう顔でこれに応えたか気になりますが…。

 ――神々よ、お許しください。

 セフィルはひとつ息を吸い込み、目を閉じた。
 裏切りの代償がこの身の純潔だというのならば、帝国のためにこの身を捧げるだけだ。
 たかがセフィルの操ではないか。
 なにほどのことではない。

 覚悟を決め、セフィルは真っ直ぐにアヴィシュを見上げた。

「――いいだろう。わたしを好きにするがいい。その代わり、おまえはユーミル皇子、ナンシェ皇女をお助けしなくてはならない。いいな」

「そうだ、それでいい…」

 また己自身を嘲るように、アヴィシュの唇が歪む。
 間違っているとわかっていても、己でもどうしようもない怒りが、アヴィシュを支配しているようだった。

 だが、それでもかまわない。
 アヴィシュを見方に引き入れることができるのならば。

 セフィルは自分から、アヴィシュの腕に手を伸ばした。

 はい!
 上の部分で重要な一文がありましたね!!!!

 なにほどのことではない。

 これです!(笑)
 これは“優等生受け”BLでは重要な概念でしてねぇ…。
 僕の身体なんてどうでもいい、セックスなんて大したことじゃない…。
 優等生受けというのはですね、こんなふうに自分という価値に否定的な観念を抱いている頭でっかちくんが、思いもよらぬ肉の交わりに懊悩し喘いじゃうというところに真の価値があるのですよ、ぐへへへへ。
 インテリで気高い神官セフィルも、まさにそんなタイプ。
 崇高な目的のために、自分の身体などいくらでも差し出す――。
 でも、アヴィシュに抱かれたセフィルは、涙を流しながら許しを乞うことになったのでした。
 やばい!
 この展開は美味しすぎるぅぅうう!!!

 この場面ですね、いとう由貴先生の筆によるセフィルの優等生っぷりの描写が神がかってるんです。
 たとえばまだまだジャブ程度ですが、こんなシーン。

 ふと、セフィルがアヴィシュの眼差しに気づいた。
 なにを見ているのだといった眼差しで、アヴィシュを見つめ返す。
 しかし、アヴィシュが検分するようにゆっくりと、セフィルの唇、胸、下肢に視線を滑らせていくと、セフィルの身体がビクリと揺れた。

「な…にを…見ている」

「なに、どう鳴かせてやろうかと思ってな。自分でそこを、可愛がってやったことはあるか?」

 そこ、と言いながら、アヴィシュは眼差しで性器を示した。
 とたんに、セフィルの顔が紅潮する。

「…なっ、馬鹿な! そんなこと、許されるわけがないだろう!」

「本当に?」

 思わず、アヴィシュは問い返す。
 十代の半ばにもなれば、我慢しようと思っても、勝手にそこが実りはじめるだろう。
 特に、夜明などは、しようのないことになることも多い。

 その時、この神官はなにもしなかったのか?

「朝の目覚めで、よんどころない仕儀になったことくらいあるだろう?」

 問いかけると、セフィルが真っ赤になって唇を喘がせる。
 なんということを訊くのだと、その顔は言っていた。
 だが、赤くなるということは、覚えがあるという印だ。
 身体の変化に気づかなければ、性器のことで赤くなる必要などない。

 アヴィシュは低く笑った。

「なんだ、やはりあるのだな。よかった。なんの反応もせぬ身体を抱いても、楽しくないからな」

「わ…わたしがどんな反応をしようと、おまえには関係ないだろう! おまえはこの身体で勝手に楽しめばいい。だが、わたしは関係ない!」

 なんということでしょう!(ビフォーアフター風に)←意味不明
 優等生スキーとしてツッコミどころが多すぎます!(もちろんいい意味で)
 肉体と精神をまったく別のものと思いこんで疑わないセフィルのおぼこさが第一。
 朝勃ちの話題で真っ赤になっちゃうところが第二。
 そして、そんなセフィルの優等生っぽさにいつの間にか萌え萌えしてるアヴィシュという男の意外な優等生スキーっぷりが第三(笑)。

 そして、こんなセフィルがあっという間にこんなことになっちゃいます。
 本当にキーボードがよだれでぬるぬるでもう一文字も打てない…!!

「ん…んぅ…ふ」

 絡めると、セフィルの手がアヴィシュの肩を掴む。
 まるで、やめてほしいとでもいうような仕草だったが、ここでやめるわけがない。
 絡ませた舌を、アヴィシュはやさしく吸った。

「ん…んっ」

 ビクビクと、セフィルの身体が震える。
 鼻から洩れてくる声に、甘さが混じりはじめていた。
 感じているのだ。
 アヴィシュの口づけに、セフィルは感じている。

 たっぷりと唇を吸い上げてから、アヴィシュはそっと口づけを解いた。
 チュッと小さな音を立てて唇が離れる。

 見下ろすと、セフィルは頬を紅潮させて、息を喘がせていた。
 見つめていると、そのうち瞼を開いたが、瞳がトロリとしていることがわかる。

 アヴィシュは喉の奥でくっくと笑った。
 存外、この神官は快楽に弱そうだ。

「俺との口づけはよかったか?」

 楽しげに、アヴィシュはわざと問いかけてやった。
 と、セフィルがハッとしたように目を見開いて、アヴィシュを睨み上げてくる。

「ばっ…馬鹿なことを言うな! 誰が、こんなものっ」

 怒鳴り返して、悔しそうに、口づけで濡れた唇を下膊(かはく)で拭う。
 けれど胸では、口づけの心地よさに反応したのか、胸の先がツンと尖りはじめていた。

 ぜはー。
 ぜはー。
 ぜはー。
 こ、呼吸が…苦しい、萌えすぎて苦しい…!
 おぼこい優等生が堕ちていく場面を描いたものとして、歴代でもトップ10に入るくらい秀逸でしょう!
 細部の表現がいい!
 喘ぎ声の表現の取捨選択、「チュッと小さな音を立てて」なんていう微妙な表現。
 すべてがセフィルの無知ぶり、肉体の快楽なんて心で押さえられると思いこんでいた優等生っぷりを浮き上がらせる文言になってます。
 ま、最後のですね、口づけの心地よさで乳首が尖るという部分は、うーん、男の乳首でそんなことになるかいなという気はしますが(笑)、BLとはファンタジーなり、これは頭でっかちな優等生・セフィルが肉体を精神によって押さえつけることに失敗したことを表現するエピソードとして必然性があるのです。
 だから全然OK。
 逆にBLとしては、なければならない表現ですね(笑)。

 さて。

 ここからですね、セフィルがアヴィシュによってどんな思いを味わわされるかは、ぜひご自分の目でどーぞ。
 結構長いです、ここからのエッチ場面(笑)。
 前作『凍える月影』をお読みになった方はご存じかと思いますが、継母に嫌われ一族を滅ぼされた主人公の僧・月永は、何も知らずに領主になっている異母兄・中江義康にそうと知らせず近づき、自らの身体に夢中にさせてしまいます。
 そこで、月永は快哉を叫ぶのです。
 継母よ、お前の息子は実の兄弟で交わる畜生に堕ちたぞ! と。
 これにより、主人公・月永は、継母へのひとつの復讐を果たす、というストーリーなのですが、本作でも、アヴィシュに身体の奥まで暴かれ、自分から下肢をいやらしく揺らしてアヴィシュに挿入をねだってしまうほどに惑乱させられた神官・セフィルに、こんな場面が出てきます。

 アヴィシュの呻きが聞こえる。
 全身を強く抱きしめられ、セフィルは二度、三度、突き上げられ、揺さぶられた。
 身体の中に、男の精が…。

「ぁ…ぁ…ぁ…」

 絶望の、そして、悦楽の喘ぎが、セフィルの唇からこぼれ落ちる。
 最奥に染みいるような、アヴィシュの胤(たね)。
 身体の内側からアヴィシュに支配される感覚。

 ――ああ、自分はこの男のものになったのだ…。

 男の胤を味わうように、セフィルの肉襞がひくひくと蠢いていた。
 達したばかりの花芯からは、アヴィシュの築情に反応したのか、トロトロとしどけなく蜜が滴り落ちていた。

 …穢されたのだ。

 思考がしだいに落ち着くと共に、セフィルはそのことを実感させられた。
 アヴィシュに抱かれて、セフィルも感じた。
 感じて、悦んで、アヴィシュの胤で最奥を穢された。

 ――あぁ…神々よ…。

 セフィルの眦(まなじり)から、涙が一滴こぼれ落ちる。

 自分は穢された。汚されてしまった。
 もう、神々の花嫁とはいえない。

 前作『凍える月影』では、攻めキャラである異母兄が近親相姦のタブーを破ってしまったことで汚されたというのが一つのストーリー上の重要な点になっていたわけですが、本作では神官・セフィルが肉の交わりを知り、溺れてしまったことで汚されたというのが、いま見ていただいたとおり、受けキャラの心情描写として重要なものになっています。
 ただ、『凍える月影』でも、主人公(受)・月永は異母兄である中江義康を穢すために、自らも近親相姦という“畜生道”に身を投じ、己の身も穢しての復讐を果たしたわけでして、つまるところ、いとう由貴先生の作品においては、受けキャラが一身に“穢れ”を浴び、そこからいかに自己再生を果たしていくかというところに、ストーリーの大きな核があるような気がします(ちなみに、昨年暮れに出た花丸文庫『愛よ、灰にかえれ』でも、純真な農民の少年が皇帝の目に留まり寵姫となって…というストーリーでしたが、主人公が皇帝に騙され、捨てられる過程で同様のモチーフが描かれてました)。
 前作『凍える月影』では、この主人公の自己再生は、実の兄との恋を主人公(受)自身が罪を罪と知ったうえで受け入れ、あわせて攻めキャラである実の兄からも絶対的に肯定されることで果たされ、主人公(受)・月永は穢れを昇華し、兄とともに生きていく決意を固めていきます。
 では本作ではというと、これがまたここからですね、“優等生受け”的に大変読ませる展開になるんです。

 これ以上詳しく書くと、読むときの楽しみに差し障りがありますので詳しくは書きませんが、2人は意地のぶつかり合いの延長戦上にあったような最初の交わりを終えると、本来のまっすぐな気持ち、やさしい気持ちを取り戻したかのように、アヴィシュはセフィルを気遣い、セフィルはアヴィシュを赦すことで、気持ちを通わせていきます。
 ここで2人が自然と近づいていく様子の描写はまさに圧巻!!!
 いよいよ皇子皇女救出作戦の細部を詰めるため、2人は何度も会合を重ねるわけですよ。
 そこでふとした瞬間に、2人はお互いが息が掛かり合うほどに身を近づけ合っていることに気づき、ハッとします。
 えっ? 陳腐だと思いますか? BLとしてあまりに陳腐だと!?

 バカモーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(怒号)

 そんなことを、そんな知った風なことを言うヤツは、今すぐアルガルト神に土下座して謝れ!!!!
 文章を引用したら、みんなが読む楽しみなくなっちゃうから死ぬ気で我慢するけど、この場面、エロがまったくないのに読者の胸が高鳴ること、その鼓動のドックンドックンで関東大震災の引き金を引きそうなくらいのパワーです!
 自分を穢した男でしかないはずの革命家・アヴィシュと目が合い、見つめ合い、どうしてもその瞳から目をそらせなくなってしまうセフィル。
 こんな思いをこれまでの神官としての人生で味わったことのないセフィルは、本能の告げるままに瞳を閉じて、アヴィシュからの口づけを受け入れます。
 なぜこんな振る舞いに及んでしまうのか、セフィルだけでなくアヴィシュにすらわからないまま、2人はすがるように抱き合い、お互いの肩に頭を埋め合うのです。
 なぜ…なぜ…。
 頭の中を渦巻くのはその言葉だけ。
 でも、2人はお互いを解放することができません。
 書いておきますよ、本文の97ページからです!!!!
 初めて恋を知ったセフィル、そしてアヴィシュの初々しい惑い、ときめきが、いとう由貴先生の美しい文章で数ページにわたり続いてます。
 ブログ主には、最初のエッチ場面よりある意味エロかったです(笑)。
 戸惑うおぼこ娘・セフィルが可愛すぎて。

 そして、城たみ(じょう・たみ)先生のイラストがいいのですよ。
 ブログ主は昔からこーゆーテイストの絵が大好きでして、うーん、例えれば宮越和草先生系とでもいうのか…。
 城たみ先生のイラストの小説があると、それだけで買っちゃうくらい好きなんですが、また長髪の神官とかがよく合うんです、先生の絵には。
 この場面でも、指を絡ませて口づけしあう2人のイラストが描かれてますが、溜め息が出ちゃう…。

 さて、2人が命をかけてはじめた皇子皇女救出作戦はうまくいくのでしょうか。
 ジュレゲン議長はなかなか手強い敵ですからね。
 そして、次々と起こる予想外の事態…。
 ハッキリ言っちゃうとですね、本作はエロ場面とっても少ないんです。
 不満といえば極めて不満なんですが(笑)、でもですね、いよいよ行動を起こした2人が離ればなれになり、そして再会する場面なんか、まったくエロがないのに、ブログ主は大満足してしまいました。
 2人の愛は本物…! って涙が出ちゃって…。 ←お前は中学生か
 そしてまた、ラブと関係ないストーリーのほうで、つまりは革命政府どうなる、ジュレゲン議長どうなる、帝国の運命はどうなる、皇子皇女はどうなるという部分で、これもなかなか心情的にはひっくり返るくらい驚きました。
 いやこれはブログ主だけの感慨だと思いますが、民衆による革命をテーマにした小説でこんな終わり方あるのか! という新鮮な驚きで(笑)。
 ちなみに、ハッピーエンド後のお祝いエッチ場面(?)でも、セフィルは、

「ああ…神々よりお前を愛してしまった」

 とか優等生チックなことを言いつつ、思いっきりアヴィシュに抱きしめられてますよ。
 うまうま(笑)。

 さて、ここからは読み終わった人向けの感想ですので、未読の方はここでさようならです。
 マジに。
 最後にもう一回言っておきますが、エロが少ないのが玉に瑕だけど、間違いなく優等生スキーなら買いですよ、この作品!

 ・
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 ・

 あのー。
 ブログ主としては、アルガルト神の花嫁に最後なっちゃったユーミル皇子のその後が読みたくてしょうがないんですが、同意見の方はいらっしゃらないでしょうか(笑)。
 あまり登場場面なかったですが、まだ幼いのに苦境に耐えて、「大丈夫です。まだ歩けます」とか言っちゃうあんな真面目な優等生っ子にして皇子とか、それが花嫁になって一生捧げるとか、設定として美味しすぎるんですが…。
 ユーミル皇子、絶対に優等生キャラだよなー。
 気高くて自己犠牲バリバリタイプの。
 そんな彼がアルガルト神の花嫁になった生活を読みたいです読みたいです読みたいです安西先生バスケがしたいです!
 ううう…。
 ショコラノベルス編集部、なんとかそっちのほうで続編お願いします…ぐふっ…(吐血)。

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