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BLなんでも調査隊――「最近のBL界は新人発掘を手抜きしてないか」を調べるべく、03年と09年のBLコミックスで、新人作家さんの割合を数えてみた


Category: BL研究   Tags: ---

 ブタもおだてりゃ木に登る~! なんて名文句がありますが、前回の“BLなんでも調査隊”記事が好評だったので、またやってしまいました…。
 だって、おだてられると弱いんですもの…。
 今回は、ブログ主のこんな疑問を解消すべく調査をしてみました。

「最近のBL業界は、売り上げを確保するためにベテランの単行本ばっかり出してない!? 新人作家の発掘に手を抜いてない!?」

 です(笑)。

 ほら、とくにリ●レとかで目立ちますが、ビッグネームの作家さんの昔のコミックスを、ろくに手も加えずに「新装版」にして再販したり、一部の人気作家さんのコミックスや小説単行本ばっかり出したり、そのぶん新人作家さんのフレッシュな単行本が出る数が減ってるんじゃないのか! という気がしてたまらないんです~。
 いかがでしょーか(笑)。
 そんなことないですかね~?
 誤解しないでいただきたいですが、もちろん人気作家の先生方にどんどん作品を生んでいただくのは大歓迎なんですよ!
 でも、この出版不況の中で、一定の見込める売り上げ確保のためなのか、あまりにそれに頼りすぎじゃないの? ということです。
 もっと新人作家さんを発掘して、ビックリするような作品を生み出してくれよ! という。

 そこで今回は、BL界全体および各出版社毎に、2009年と2003年の「新人作家さんの初単行本の冊数」を調べて、比較してみるという調査をやってみました。
 どうも人気作家さんの過去作品の「新装版」の発売ばかりが目立った2009年と、BLが右肩上がりで成長していた(?)7年前、2003年で、新人作家さんの出現ぶりを数で比較してみようという企画です。

 さあ、ブログ主の不満どおり、今のBL業界は新人作家さんの発掘を止め、既存の人気作家さんの安定した売り上げに頼る構造になってしまっているのでしょうか?


 …なんて煽っておいてアレですが、最初にお断りしておきますと、今回の調査結果はそんなに面白くありません(笑)。
 なぜあまり面白くないかは以下に綴ります調査結果をお読みいただくとして、当ブログ恒例とはいえ、またもや大変な長文記事になりますので、お暇とご興味のおありの方だけ、よろしくお付き合いくださいませ!
 以下、BLマンガ部門からデータをご紹介していきましょう~。 

 あ、今回この調査をおこなうに当たっては、まんが情報サイト『まんが王倶楽部』さまの発売日検索システムを大活用させていただきました!
 これがなかったら、マジに10倍は時間がかかったと思います。
 感謝…。
 それから、本記事での「新人」とは、その年に初単行本を出した作家さんのことを指します。
 BL以外の他分野でコミックスを出したことがある方は、BLでの初めてのコミックスでも「新人」からは除外しました。
 ではまず、調査対象年の時代的イメージを持っていただくために、ブログ主が必死で調べたデータの中から、2003年に「初単行本」が発売されたBLマンガ家さんのお名前を挙げてみたいと思います。

 マンガ部門
 ・ねこ田米蔵 ビブロス
 ・龍川和ト ビブロス
 ・九州男児 ビブロス
 ・沢内サチヨ ビブロス
 ・稲荷家房之介 ビブロス
 ・剣解 ビブロス
 ・角田緑 二見書房
 ・山本子鉄子 幻冬舎
 ・京山あつき 徳間書店
 ・扇ゆずは 海王社
 ・真行寺罪子 海王社
 ・わたなべあじあ 芳文社
 ・奥田七緒 コアマガジン
 ・DUO BRAND. 光彩書房
 ・天堂まひる 光彩書房
 ・牛乳リンダ 松文館
 ・草間さかえ 松文館
 ・本間アキラ 心交社
 ・ななせかめ子 大洋図書
 ・吉原ユウカ オークラ出版
        etc...

 おおー、ねこ田米蔵先生とか、沢内サチヨ先生、九州男児先生とか、今をときめく作家さんたちがこの2003年にデビュー(正確には初単行本発売)されていたんですね!
 上記に挙げた以外も多くの作家さんがこの年に単行本デビューされていたんですが、残念ながら一冊だけコミックスを出して消えてしまった方も多く、そーゆー方のお名前は省略させていただきました。
 一応書いておくと、ビブロスというのはリブレの前身の出版社で『ビーボーイ』の版元だった会社です。

 では、具体的なイメージが湧いたところで(?)、出版社別に2003年の「単行本の何%が新人作家さんなのか率」=「新人登場率」を見てみましょう~。 


出版社名(レーベル名)年間発行数新人作家新人登場率

オークラ出版
  (AQUA)

27冊7冊25.9%

桜桃書房
  (GUST)

5冊1冊20.0%
海王社
  (GUST)
25冊3冊12.0%
笠倉出版社
  (ComicXX)
5冊1冊20.0%
角川書店
  (CIEL)
5冊0冊0.0%
幻冬舎
  (ルチル・リンクス)
25冊4冊16.0%
コアマガジン
  (drap)
15冊1冊6.7%
光彩書房
  (少年天使・純一)
15冊4冊26.7%
三和出版
  (アンソロジー)
10冊1冊10.0%
松文館
  (アンソロジー)
32冊11冊34.4%
心交社
  (ショコラ)
7冊2冊28.6%
大洋図書
  (HertZ・CRAFT)
9冊3冊33.3%
竹書房
  (麗人)
10冊0冊0.0%

徳間書店
  (キャラ)

2冊2冊100.0%
ハイランド
  (ラキア)
3冊1冊33.3%
白泉社
  (小説花丸)
1冊0冊0.0%
ビブロス
  (ビーボーイ)
66冊6冊9.1%
二見書房
  (シャレード)
3冊1冊33.3%
フロンティア・ワークス
  (ダリア)
3冊0冊0.0%
芳文社
  (花音)
37冊2冊5.4%
マガジン・マガジン
  (コミックJUNE)
16冊0冊0.0%
ムービック
  (GENKI)
6冊0冊0.0%
マンガ部門全体327冊50冊15.3%


 2003年のBL業界の勢力図はどうだったかというと、基本的には今とあまり変わりません。
 「ビーボーイ」を発行していたビブロス(現・リブレ)、「GUSH」を発行していた海王社、「花音」の芳文社が業界トップ3として君臨していて、その様子は上の表からも、コミックスの発行数の多さからわかると思います。
 ただ、この年は、前年末に「GUSH」を発行していた桜桃書房が経営危機に陥り、「GUSH」の版元が海王社に変わっていくというゴタゴタのあった年でした。
 それもあってか、微妙に「GUSH」レーベルからのコミックスの発行数が例年よりは少なくなっています。
 ともあれ、現在と同じく「ビーボーイ」「GUSH」「花音」の3レーベルが業界トップ3だったというわけです。

 ところが!

 表をよくごらんいただくとわかりますが、この業界トップ3、み~んな「新人登場率」が低いんですな!
 ビブロス(ビーボーイ)が、6/66冊で9.1%。
 海王社(GUSH)が、3/25冊で12.0%。
 芳文社(花音)に至っては、2/37冊でたったの5.4%!

 表の一番下に算出してある「BLマンガ業界全体での『新人登場率』」は15.3%ですから、業界トップの大手レーベルほど新人発掘に熱心でなかったといっていいと思います。

 これはなぜかといえば、当時の業界トップ3の地位はかなり安泰で、人気作家をがっちりと抱え込んでいたため、あえて新人作家を発掘してコミックスを出すという冒険に打って出る必要がなかったからではないでしょーか。
 とくに「ビーボーイ」「GUST」はBLの草分け的なレーベルでして、90年代後半のBL初期に抱え込んだ人気作家さんたちが、このころまさに円熟の時を迎えていました。
 「花音」もかなり早い段階からあるBLレーベルですが、レディースコミック畑の作家さんを呼んできたり、独自の路線で安定していて、2003年当時にはあえて新人作家さんの発掘に熱をあげなくてもよい状況でありましたし、また今の「花音」レーベルは華やかで大変活気のあるイメージがありますが、このころは非常に作家さんのラインナップは保守的でして、ぶっちゃけBL誌としては面白くありませんでした――「花音」はこの翌年ぐらいから急激に誌面が変化していき、現在の路線に落ち着きます。
 そんなあたりの理由で、これら業界トップ3は2003年当時、新人発掘に熱心ではなかったのだろうかとブログ主は推測するわけですが、残念ながらブログ主は業界内部の事情などはまったく知りませんので、これはあくまで読者としての推測です。

 ただ、こうして2003年の新人作家さんの発掘状況を調べてみると、業界の盟主、不動のトップである「ビーボーイ」はやっぱり凄ぇなぁと思いますな!
 先ほど指摘したとおり、決して「新人登場率」は高くないくせに、この年に「ビーボーイ」が発掘してきた新人作家さんのラインナップの凄いこと…。
 もう一回挙げるとこんな作家さんたちです。

 ねこ田米蔵、龍川和ト、九州男児、沢内サチヨ、稲荷家房之介、剣解――。

 いやー、今のBL界の錚々たる人たちじゃないですかー。
 というか、「ビーボーイ」から2003年に初コミックスを出した新人作家さんは、この6人で全部なんです。
 つまり、1人も「ハズレ」がないということです(笑)。
 うむー。
 これがBL業界の盟主にして帝王、リブレ(旧ビブロス)様の底力なのでありましょう~。
 やっぱりすごいとしか言いようがないですね。

 でも、繰り返しになりますが、ビブロス(ビーボーイ)、海王社(GUSH)、芳文社(花音)の業界トップ3は、この2003年を見るかぎりは決して新人発掘に熱心だったとはいえないこともご理解いただけたと思います。

 それでは、業界トップ3がサボっていた当時の新人発掘は、いったいどこがやってくれていたのでしょう?

 上の表をごらんいただくとわかるとおり、オークラ出版(AQUA)や、ショタ系アンソロジー(厨子王とか)を輩出していた松文館、『少年天使』『純一』などのハード系BL雑誌を出していた光彩書房が、熱心な新人発掘をおこない、その結果、数字的にも高い「新人搭乗率」を誇って(?)いたのでした。
 オークラ出版が新人登場率25.9%、 松文館34.4%、光彩書房26.7%…。
 どーですか、トップ3の一ケタそこそこの新人登場率との違い(笑)。
 表をごらんいただくとわかるとおり、2003年の1年間に初コミックスが出た新人作家さんの数は50人でしたが、じつはこの3社で22人を占めているんですね。
 1年間で生まれた新人作家さんの半分弱を、オークラ出版、松文館、光彩書房の3社で生み出していた計算になります。

 正直にいうと、この3社から単行本デビューした22人のマンガ家さんのうち、結構な数の作家さんがその後姿を消してしまったんですが、この3社から単行本デビューして、今でも第一線で活躍されているマンガ家さんの中には、草間さかえ、DUO BRAND.、牛乳リンダ、天堂まひる、吉原ユウカといった方々の名前があります。
 なんとなく個性的なラインナップですよね(笑)。
  BL出版社の商売としては、決して打率が高くなかったわけですが、でもこの3社は熱心な新人作家さんの発掘をおこうなうことにより、確実に新たな風をBL界に吹き込んでいてくれたわけです。

 先ほどご紹介したとおり、「ビーボーイ」の新人発掘能力の高さは驚異的で、「新人発掘」を商売的に見た場合には他社を圧倒して成功しています。
 でも、「ビーボーイ」が送り込んでくる新人作家さんは、どこまでいっても正統派というか「ああ、ビーボーイだよねぇ」という感じが抜けないところがあるのにくらべ、オークラ出版や松文館、光彩書房がいきなりコミックスを出してくる新人作家さんたちは、表紙を見るだけで「うわ、なんかおどろおどろしい!」とビックリしちゃうような作家さんだったり、「…これでBLなの?」と読み終わって絶句しちゃう作家さんだったり、「うわっ、エロっ!!!!」と声を出して驚いちゃう激しい描写の作家さんだったり、どこか尖っているところがあったとブログ主は思います。
 つまり、その時々の主流のBLから外れた、異色の作家さんをどこからか掘り出してはデビューさせるという重要な“装置”になっているわけです。
 ブログ主は昔からこの3社、とくに松文館と光彩書房がBL界に対しておこなってきた“貢献”に対する世間の評価が低すぎるのではないかと思っていましたが、今回このデータを調べてみて、少なくとも新人発掘という分野では確実に素晴らしい数字を残してきたことがわかり、「ほら、やっぱり!」と今とても思っています(笑)。
 ぶっちゃけ、「ビーボーイ」や「GUSH」「花音」に比べると、オークラ出版の「AQUA」や松文館の出すショタ系BLアンソロジー、光彩書房が出してきた「純一」「モーリス」などのハードエロ系BL雑誌のことを、一段低く見てきたところがみなさんの心の中にもありませんか?
 でもブログ主は声を大にして言いたいです。
 これらの雑誌&レーベルがBL界に残してきた足跡はとても偉大なものだったと。
 つねにBL界に刺激を与え続けてくれる存在だったのです、これらのレーベルは。

 ブログ主はつくづく思います。
 これぞまさに「文化は周縁から起こる」ということではないかと。
 中央で爛熟した文化はあとは腐敗するのみなのです。
 繁栄した文化が広がっていき、さらなる発展を遂げた“文化の周縁地帯”からこそ、新たな文化は起こるんですよね。
 2003年当時のBL界は、まさにそんな状態だったと思います。
 業界トップ3は先行者としての地位にあぐらをかいて“先行者利益”を享受し、裏道から飛び出した新興の3社が次々と異色の新人を送り出す――。
  それまでにないテイストの新人作家さんを、BL界の「へき地」(すいません)から次々送り出してきてくれたのが、他でもない上記3社だったわけですな!
 もう一度、上の表を見てください。
 業界トップ3だけでなく、『麗人』の竹書房や『コミックJUNE』のマガジン・マガジン(現ジュネット)も、新人作家さんを1人も世に送り出していなかったわけです。
 嗚呼!
 オークラ出版、松文館、光彩書房たちのなんと偉大なことよ…!(褒めすぎ?・笑)

 というわけで、以上ここまで2003年の出版社別新人登場率をご覧いただきました。

 で、ここでいきなり話の腰が折れるんですが(笑)、実際に数字を出してみると、ブログ主が思いこんでいたほど、新人作家さんがバシバシとデビューした年でもないんだなと思いました(汗)。
 もっと新人作家さんのコミックスの割合が高いものと思ってました。

 いや、それでも今現在のBL界、2009年は2003年当時以上に新人作家さんのデビュー割合は低いはずだ!!
 だって、実際に本屋に行けば、有名作家さんの過去作品の“新装版”ばっかりじゃん!

 ――というわけで、今度は昨年2009年のBLマンガ界での新人作家さんのコミックスがどのくらいの割合で発売されていたか、データを調べてみましょう!


出版社名(レーベル名)年間発行数新人作家新人登場率
茜新社
  (OPERA)
7冊1冊14.3%
飛鳥新社
  (Hug)
5冊1冊20.0%
ウェッジホールディングス        (スラッシュ)3冊3冊100.0%
エンターブレイン
  (B's-LOVEY )
6冊0冊0.0%
宙出版
  (メロメロ)
2冊1冊50.0%
オークラ出版
  (AQUA)
46冊11冊23.9%
海王社
  (GUSH)
37冊2冊5.4%
笠倉出版社
  (ComicXX)
10冊2冊20.0%
角川書店
  (CIEL)
23冊1冊4.3%
幻冬舎
  (ルチル・リンクス)
49冊11冊22.4%
コアマガジン
  (drap)
31冊2冊6.5%
小池書院
  (コミックスのみ)
1冊0冊0.0%
光彩書房
  (女装の王子様)
3冊1冊33.3%
廣済堂出版
  (Hug)
4冊0冊0.0%
光文社
  (ピュアリ)
9冊1冊11.1%
松文館
  (アンソロジー)
14冊3冊21.4%
心交社
  (ショコラ)
13冊2冊15.4%
新書館
  (ディアプラス)
29冊3冊10.3%
ジュネット
  (コミックJUNE)
27冊4冊14.8%
祥伝社
  (Duo)
3冊1冊33.3%
蒼竜社
  (Hollyノベルス)
4冊0冊0.0%
大洋図書
  (Hertz・CRAFT)
25冊6冊24.0%
竹書房
  (麗人)
22冊0冊0.0%
東京漫画社
  (BGM・カタログ)
13冊3冊23.1%
徳間書店
  (キャラ)
29冊2冊6.9%
日本文芸社
  (花恋)
29冊3冊10.3%
双葉社
  (コミックスのみ)
1冊0冊0.0%
二見書房
  (シャレード)
1冊0冊0.0%
ふゅーじょんぷろだくと
  (Baby)
5冊3冊60.0%
フロンティアワークス
  (ダリア)
16冊1冊6.3%
芳文社
  (花音・チタチタ)
63冊4冊6.3%
リブレ出版
  (ビーボーイ)
95冊12冊12.6%
マンガ部門全体625冊84冊13.4%


 まず指摘しないといけないのは、年間のBLコミックス総発行冊数が、2003年は327冊だったのに、2009年は625冊に激増していることですね!(どちらもコミック文庫などの復刻レーベルは除いてあります)
 ほぼ2倍になってますよ。
 よく新聞報道で、昨今の出版不況で1冊当たりの部数が伸びなくなった出版各社は、その代わりに出版点数を増やすことで全体の売り上げの低下をカバーしようとしているという記事を読んだ記憶がありますが、BL界も例外ではなかったようです。
 しかしこんなに出版点数増えてたんですね、BLマンガ界(笑)。

 では、本当にブログ主が感じていたとおり、その中に占める新人作家さんの割合は、2003年よりも減っているのでしょーか!
 今のBL業界は新人さん発掘の手を抜いているのでしょうか!

 ………注目の結果は、上の表の一番下の段の数字をごらんいただければわかります。
 2009年のBLマンガ界全体の新人登場率は、13.4%だったのです(ちーけん調べ)。
 とすると…。
 えーと、2003年は15.3%だったから…。

 ほ、ほとんど変わってない…!!??

 1.9%減にはなっていますが、こりゃほとんど誤差の範囲内というぐらいの数字ですよね。
 つまり…。
 がくっ。
 ブログ主が「絶対そうだ!」と思いこんでいた、“最近のBL業界は新人発掘に力を入れず、ベテランばかり重用して利益確保に走ってる”という構図は、数字上は単なるブログ主の思いこみということになってしまったのでした。
 絶対そうだと思ってたのに…!
 がくっ、がくっ、がくぅぅうううっ! ←ブログ主が落ち込む音
 割合としては、新人作家さんの登場してくる割合(パーセンテージ)は、2003年も2009年も変わっていないということなんですな!

 だがしかし!

 それでもしつこくブログ主は「やっぱり今のBL界は新人発掘の面で昔より手を抜いている!」と主張してみようと思います(笑)。
 いや、少なくとも読者がそう感じる状況になっていると強く申し上げたい!
 それはいったいなぜでしょう?

 えーと、たしかにBL界全体の新人登場率は、パーセンテージで見ると15.3%(2003年)→13.4%(2009年)というわずかな変化しか現れなかったわけで、数字的には今も昔も全体に占める新人BLマンガ家さんの割合は変わってないということなんですよね。
 でも、ブログ主はそこには多少の数字のマジックがあると思います。

 まず重要なのは、先ほど指摘しましたとおり、2003年と2009年を比べると、BLコミックスの総発行点数が、327冊→625冊と大きく増えたことです。
 つまり、本屋の店頭に並ぶBLコミックスの数は、2003年と2009年を比べると、年間298冊も増えたということなんですな。
 対して、新人作家さんの初コミックスの出版点数は、2003年には50冊でしたが、2009年は84冊。
 つまり34冊しか増えてないんですな!

 別の言い方をすると、2003年には年間327冊のBLコミックスのうち、50冊が新人さんの初コミックスだったということで、50÷327=15.3%が新人登場率という計算になりますよね。
 対して、2009年は、625冊のBLコミックスが発行され、そのうち84冊が新人作家さんのコミックスでした。
 つまり、新人登場率は、84÷625=13.4%という計算になります。

 15.4%と13.4%――数字で見ればほぼ同じ新人登場率なんですが、その中身、言い換えると実際の発行点数は上のように大きく違うわけです。
 BL読者の皮膚感覚からすれば、2003年と2009年を比べると、本屋に並ぶBL本の数はめちゃくちゃ増えたけど、新人さんのコミックスってあんまり増えてないなぁというふうに見えるわけですよ。 
 そしてここにこそ、ブログ主が「最近のBL界は新人作家さんの発掘が手ぬるい!」と思いこんでた理由があると思うわけです。

 すいません、わかりにくい話で…(汗)。
 
 ブログ主としては、以上のような今のBL界の出版状況こそが、自分の「新人作家餓え餓え感」の正体ではないかと思います。
 数字でいえば、パーセンテージでいえば、たしかに全体のBLコミックスの中に占める新人作家さんの割合は変わっていないんだけど、読者の皮膚感覚としては、BL本の全体の数が増えたわりには新人さんの本って増えてないなぁと思ってしまうという。
 これがブログ主のいう数字のマジックの正体でありますー(笑)。
 
 さて、以上のように全体状況の考察をおこなったところで、2009年の表を少し詳しく見ていきましょう~。

 2009年の表を分析してまず言うべきなのは、今までちょっとけなしてきて申し訳なかったんですが(笑)、業界の王者・リブレの新人発掘における頑張りっぷりでありましょう。
 2003年当時には、9%台と一ケタだった新人登場率が12.6%に上昇し、ほぼ業界の平均に達したのみならず、新人さんの初コミックスの点数でいうと12冊と業界トップです。
 実際ですね、リブレは人気作家さんの過去作品の「新装版」を出しすぎで、2009年1年間で40冊近い「新装版コミックス」を出していまして、おいおい、そんなにしてまで売り上げが欲しいのか! と思わず何か投げつけたくなってくるんですが(笑)、そのぶんちゃんと新人作家さんにも世に出る機会を用意していたということなんですな!
 まあ、業界トップのコミックス発行点数(1年間で95冊発行)からすると、もっともっと頑張ってほしくはありますが…。

 対して、2003年当時と同じく、新人作家さんの発掘という意味では精彩を欠いているのが、『GUSH』の海王社と『花音』の芳文社です。
 それぞれ、新人さんの初コミックス数は、2冊と4冊。
 業界トップ3がこの数字はいかんでしょう~。
 『花音』なんか、雑誌上では姉妹誌含めてよく新人作家さんを生み出してると思うんですが(ex.内田つち先生とか)、コミックスとなるとなぜか新人作家さんには冷たいんですね。
 雑誌の誌面では元気いっぱいのレーベルだけに、この数字は不思議です。
 誌面が保守的、つまりいつ見ても載ってるマンガ家さんが同じ…という印象でいけば、はるかに『ビーボーイ』のほうが保守的だと思うんですが、実際はリブレのほうが新人さんを世に送り出すことについては頑張っているということが今回わかりました。

 さて、リブレ以外で2009年に新人発掘でよい数字を残しているのが、オークラ出版(AQUA)と幻冬舎(ルチル・リンクス)です。
 それぞれ、11/46冊=23.9%と、11/49冊=22.4%という高い新人登場率を誇っています。
 こうしてみると、オークラ出版(AQUA)は本当にエライですよね。
 2003年から変わらず新人を世に送り出し続けているという。
 そして、2003年時にも16.0%と決して低くない新人登場率だった幻冬舎(ルチル・リンクス)は、この2009年にはさらに数字を伸ばしてきました。
 出版するコミックスの4冊に1冊が新人さんというのは、なかなかの貢献ぶりです。
 つーか、リンクスレーベルが世に送り出した斑目ヒロ先生(「かわいい悪魔」シリーズ他)とか、幻冬舎はどっから見つけてきたんでしょう。
 天才ですよね、天才!(優等生受け的な意味でも、それ以外の一般BL的な意味でも)

 で、これに対して、『キャラ』の徳間書店、『ダリア』のフロンティアワークス、『麗人』の竹書房なんかは、2003年から変わらず低い新人登場率のままです。
 ぶっちゃけ、ブログ主の率直な感想を書かせていただければ、この3つのレーベルは、それぞれごとの色はちゃんとありますが、誌面は極めて保守的ですよね。
 いつ見ても同じ。
 対して、新人登場率が高いことが今回判明した、『AQUA』のオークラ出版や、『ルチル』『リンクス』の幻冬舎の雑誌は、いい意味でも悪い意味でも猥雑でごちゃごちゃして活気はあります。
 ブログ主の感想としては、やっぱり新人登場率が高いレーベルの雑誌のほうが元気があるなー、保守的じゃないなーという気がします。

 さて、ブログ主としては、こーゆー『キャラ』や『ダリア』『麗人』のような“新人を発掘しない雑誌作り”がBL業界において可能なのは、BL業界の特殊性に原因があるのかしらと思っていますが、ブログ主は業界の内部事情とかまったく知らないので、以下は外部から見た一読者による単なる推測です。

 かつての少年マンガ全盛時代に、その先頭に立っていた「週刊少年ジャンプ」がマンガ家との間で“専属契約”を結び、自誌にしか描かせないという拘束をくわえて他誌への作家の流出を防いでいたことはよく知られていますが、こーゆー“専属契約”とかって、BL界では存在しないんですよね?
 そのおかげなのか、BL界では有名作家さんであればあるほど、ひとつの雑紙に縛られず、いろんな雑誌に呼ばれて誌面を飾ることが多いと思います。
 今をときめく(?)中村明日美子先生なんか、いっっっろんなBL雑誌で描かれてますよね!
 
 でも、BL雑誌以外の出版界では、例えばファッション誌『JJ』のモデルが『CanCam』に登場するとか絶対ありえないわけで、いろんなマンガ家さんが自由にいろんな雑誌に登場するBL界というのは、出版界でもなかなか珍しいジャンルなんだろうなぁと、ブログ主は想像しています。
 というか、BL雑誌って、どこもとにかく人気作家さんの名前が表紙に出てればいいやという安易さを感じることがたまにあるんですよね(笑)。
 男性週刊誌の『週刊文春』『週刊新潮』『週刊ポスト』『週刊現代』が、お互いにライバル誌との差別化を図ることで売り上げを伸ばそうとしているのに比べて、BL各誌は、他誌と同じラインナップになってもいいから、とにかく人気作家を呼んでくればいいや! ぐらいの考えで雑誌を作ってるんじゃないかと。 
 それが他誌でデビューした作家さんだろうと何だろうと関係なし。
 たぶん今、中村明日美子先生が自分の雑誌で描いてくれるということになったら、どこの雑誌も何のためらいもなく歓迎すると思うんですよね(笑)。
 「いえ、ありがたいお話ですが、ウチの雑誌のカラーにはあわないので…」とか言って、執筆を断っちゃうBL雑誌なんか、すいませんが想像もできません。
 結果、どのBL雑誌もなんだか同じような中身になってしまってるわけですよ。

 結局今のBL界では、自分のところで労力をかけて新人作家さんを育てあげなくても、他誌からすでに人気のある作家さんを引っ張ってくれば、それなりに売れる雑誌が作れちゃうんですよね。
 だから、「キャラ」や「ダリア」「麗人」のような、新人登場率が極めて低いBLレーベルも出てきてしまうわけです。
 
 対して、今回の調査で高い新人登場率を叩き出していることがわかったリブレやオークラ出版、幻冬舎などのBLレーベルは、従来のBL雑誌の作り方――人気のある人を他誌から引っ張ってくればいいや――を脱し、自力で新人作家を育てることで他誌との差別化を地道に図る“普通の雑誌作り”に踏み出しているのかしらんとブログ主は思います。
 どうなんでしょうね、業界最大手のリブレが、「ビーボーイ」に描いているマンガ家さんたちに、「今後は専属契約を結んでくれないと『ビーボーイ』には描かせませんよ」とか言い出す時代が来ているんでしょうか(笑)。
 もしそんなことになったら大変な反響を呼びそうですが(笑)、でも必ずやBL雑誌の独自色というものが生まれてくるでしょうから、個人的にはちょっと見てみたくもあります。 

 さて、ちょっと話がそれてしまいましたが、話を本題に戻すと、2003年にオークラ出版、松文館、光彩書房の3社が担っていた、「BL業界に新人さんをどんどん送り込む」という役割は、上で書いたように、2009年のBL界では、業界の盟主であるリブレが自ら進んでその役割を果たしつつ、オークラ出版と幻冬舎がその後に続くという構造になっています。
 それ以外の大手・中堅各社は、徳間書店、竹書房、フロンティアワークス、芳文社、海王社などがそろいもそろって低い新人登場率に甘んじてますが、2003年に“新人発掘”では大活躍してくれていた松文館と光彩書房は、この2009年には、表を見ていただければわかるとおり、BL業界においてはあまり元気がありません。
 つまり、ブログ主が先ほど「文化は周縁から生まれる」と書いた、重要な2社がBL界からいなくなりつつあるわけで、これでは今後のBL界は停滞してしまうのではないかと心配にもなってしまいます。
 2社が発掘しつづけてくれたような刺激的な新人は、もう出てこなくなっちゃうの!? と。

 でも、心配ご無用(笑)。

 みなさんもご存じのとおり、その代わりとして、BL界の中でのし上がってきている新興BLレーベルがあるからです。
 ニューウェーブ系BL(吉本たいまつさん命名)と称される作品群を引っさげて、『BGM』や『カタログ』シリーズ、『cab』や『Baby』、『HertZ』『CRAFT』などのアンソロジーを発行し、同人界から次々と力のある新人作家を引き入れている東京漫画社やふゅーじょんぷろだくと、大洋図書がそれです。
 今のBL界で、「文化は周縁より起こる」をやり遂げてくれているのが、この3社。
 それぞれ、2009年の新人登場率は、3/13冊=23.1%、3/5冊=60%、6/25冊=24%の高さで、カシオ、雲田はるこ、門井はがち、金井桂、ミナヅキアキラ、高田ゆうきなどの魅力的かつ次代を担う作家さんたちを世に送り出してくれたのでした。

 でも、こうして2003年と2009年の「BL界の周縁部」を見比べると、ブログ主はそこにこの7年で変化してしまったBL界の状況を見出さざるをえません。

 松文館と光彩書房という、男性成人向けエロマンガに圧倒的な力を持つ出版社が、初期のBL界では一種のタブーとも見られていたハードなエロ描写を駆使する新人BL作家さんを引っさげてBL界に乗り出してきていたのが2003年までの「BL界の周縁部」でした。
 ところが、2009年に「BL界の周縁部」に登場してきた上記のレーベル、『HertZ』や『CRAFT』、『cab』や『Baby』は、それとはまったく違う存在です。
 “ニューウェーブ系BL”と呼ばれるその名前にすでに表わされていますが、今の主流のBLに対して未来を一歩先取りするような、文学性のあるストーリーや斬新な心理描写などに特徴のある新たな作品群を引っさげて登場してきたんですね、『HertZ』や『Baby』は。
 ハードなエロ描写を売り物に、いわばBL界の暗闇から登場して来たような味のあった松文館や光彩書房といった出版社とは、まったく反対側の明るい場所からやって来たBLレーベルなわけですよ、このニューウェーブ系と称される新興レーベルたちは(笑)。
 似たような「BL界の周縁部」から湧き起こって、その時代の主流のBLに刺激を与える存在になったという点は同じでも、2003年の「BL界の周縁部」と2009年の「BL界の周縁部」はまったく違う場所にあったというわけなのでした。

 2003年頃までに松文館や光彩書房がBL界に導入した“ハードなエロ描写”というのは、この7年の間にすっかり主流のBLの中に取り込まれて、そこはもう「BL界の周縁部」などではなくなってしまっています。
 代わりに“ニューウェーブ系BL”と呼ばれる新たな作品群が、そこに登場してきているのが今のBL界であると。
 でも、すでに“ニューウェーブ系BL”は、今のBL界の主流に取り込まれつつもあるわけで、ぶっちゃけ、すでに「BL界の周縁部」などではなく「BL界の主流」に近いものになってきているともブログ主は思うんですよね。
 ということは、BL界の辺境の地に、次なる“異民族”が生まれる時期が近づいてきているということなんですな!(笑)
 ハードなエロ描写→ニューウェーブ系BLと続いてきたこの「BL界の周縁部」に、次はどんな予想もつかないものが生まれるかと思うと、ブログ主はドキドキわくわくしますですよ。

 というわけで、相変わらず長くなってしまって申し訳ありませんでした。
 本当はまだBL小説についても同じ調査をしてまして、すでにデータもできてるんですが、さすがに記事が長くなったので、今回はとりあえずBLマンガ編だけにしておこうと思います。 

 本記事の主眼は最初に書いたとおり、BL界で発行されるコミックスの中に、新人作家さんがどのくらいの割合で含まれているのか、それは2003年と2009年では変化しているのかを調べることでありましたが、いざ調べてみたら、当初の目論見に反して、全然数字は変わっていませんでした(笑)。
 でも、そんなに毎回、こっちの望む結果が出るはずもありませんからね。
 いろいろと出てきた数字が面白かったので、さまざまに脱線して現在のBL界について考察などしてしまいましたが、あとは実用的にですね、これからBLマンガ家デビューを考えられてる方がいたりしたら、どこの出版社に持ち込むと一番デビューしやすいかを見分ける資料としてもご活用いただけるかと思います(笑)。

 なんとか近々、残るBL小説部門の数字についても発表できればなーと思ってますので、ご興味のある方がもしいたらお待ちいただけると嬉しいです。

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