ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]“マゾヒスト”な優等生という画期的なモチーフを描いた傑作が登場! そんな自分を恥じるツンツン眼鏡サマを年下のワンコ大学生がいじめまくる! 桂生青依『恋の悩みを知る君は』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 特徴-年下攻め  特徴-社会人  受け-眼鏡  受け-真面目・カタブツ  受け-美人の優等生  受け-エリート  ●カ行-桂生青依  
恋の悩みを知る君は (アルルノベルス)恋の悩みを知る君は (アルルノベルス)
(2009/07)
桂生 青依

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 ううう、身体がだるい…。
 1週間のご無沙汰です~。
 今週は、午前3時より前に帰れた日が1日もないハードな仕事日程でしたが、疲れが溜まっているのか、今日は丸一日寝て過ごしたのにどうにも身体の調子が…。
 明日からはまた激務の日々か~。
 でも、1週間働いたら、その後は1週間の夏休みが来るはずなので、もうひと頑張りです。
 今も頭痛がひどく、いやー、年喰ったなぁという感じなんですが、週に最低でも1本はレビューを書きたいので、今日もこの記事をアップしてから寝ようと思います。

 これはかなりの高得点!
 桂生青依先生の最新刊『恋の悩みを知る君は』です。
 事前に出版社のサイトで内容をチェックして、とても出版を楽しみにしていた1冊なんですが、実際に読んでみたら全く期待を裏切られずというか、予想以上に良かったです。

 本作は、特にどんな人にオススメできるかといえば…。
 “優等生受け”が好きで、なおかつSM好きという方にドンピシャな1冊になってます(笑)。


 みなさんも実感されてると思いますが、意外にですね、“優等生受け”BLでSM作品って少ないんですよね。
 むかーし昔の、「BL」というよりも「JUNE」といったころが通りがよかった時代には、JUNEといえばお耽美が大切でしたらから、その流れで受けキャラが緊縛されて涙を流しながらイジメられちゃって…とゆー作品も意外に多かったんですが、あれはなんていうかSMとは本質的には微妙に違うものだったような気がします。
 ここのブログでも、神崎春子先生の歴史的大傑作JUNE小説『四季無情』とか、SM要素が取り入れられた“優等生受け”を何回かご紹介したことはありますが、JUNEよりBLという呼ばれ方が一般的になったこの10年ほどは、“優等生受け”BLでSMも扱ってるという作品は、非常に少なくなっていたのでありました。

 でも、最近はちょっとずつ変化が見えています。
 07年に発売された鹿島田しき先生のBLコミックス『仮面王子と無慈悲な夜を』(当ブログでのレビューはこちら)などは、完全にサディスト×マゾヒストという意味でのSMを扱ってますし、つい先日ご紹介したばかりの上川きち先生の『秘密の花園』シリーズ3部作では、口を押さえられて息を止められることに性的興奮を覚えちゃう生徒会長なんていう受けキャラが登場してます。
 そんな中で登場してきたのが、今日ご紹介する桂生青依先生の『恋の悩みを知る君は』というわけです。
 本作は、眼鏡で清楚で…というストイックな美貌を湛えた受けキャラが、じつは辱められたり縛られたり苦痛を与えられることに大きな性的快感を覚えてしまうマゾヒストで…という設定になってます。
 うーん、こうして書いてみても、やっぱり最近のBL小説で、こーゆーSM的な“優等生受け”は記憶にないなぁ。
 記憶力の減退で、忘れてるだけかな…。
 というわけで、以上のような新しい魅力を備えたBL小説でもあります本作を、たっぷりご紹介させていただこうと思います~。

 本作の主人公(攻)は、都内の大学に通う大学生・清澄大河(きよすみ・たいが)です。
 本文ではこんな風に描写されてます。

 一八〇センチを超える均整の取れた長身と、少し長めの、胡桃色のくせ毛の髪。
 彫りの深い、洋風の明るい風貌に、どことなく大型犬を思わせる人なつこい雰囲気。


 つまりはとても女の子にモテる雰囲気の青年なんですが、明るめの外見に反して、中身はけっこう真面目というか日本男児的な感じもあります。
 といって、人といっしょに飲んだり騒いだりも大好きなので、友達も多いというタイプ。

 で、この大河はですね、よく出入りしている渋谷のバーのマスター(美人)に頼まれて、ちょっとした“裏バイト”をやっているんですよ。
 “さびしい女性のお話し相手になります”という、まあデートクラブまがいのエスコートボーイですね。
 選りすぐりの男の子が用意されているこのデートクラブは、値段が高めということもあって、客筋も自然とハイレベルになっているんですが、大河はここで週に1、2回の“バイト”をしているのでした。
 ただ、それは世話になっているマスターに頼まれたからしかたなくやっているだけで、先ほども書いたとおり意外に中身は真面目な大河は、少なくとも自分にステディな彼女がいる間は、こっちの“裏バイト”では本当の“お話し相手”しか務めません。
 頼まれても、決して夜のお相手は務めないんです。

 昼は大学生活を楽しみ、夜は友達と遊んだり、こんな“裏バイト”をしたり…。
 大河は、そんな学生生活を送っていたのでした。

 ところが…。

 大河は、大学に行くために乗るバスで、一人の“美人”に一目惚れしてしまうのです。

 都内の私大に通っている大河が、「その人」を見つけたのは、本当に偶然だった。

 およそ一ヶ月間、いつも通学に使っている地下鉄が事故で止まり、それならたまには、とバス通学を試みて、その車内で出会ったのだ。

 深く考えずに空いていた席に座った大河だが、ふと隣を見た瞬間、あっという間に「うわ…」と目を奪われたのだ。

 ほどよく混んだバスの中にもかかわらず、一人静かに本を読む「彼」の、その綺麗な横顔に。

 あの瞬間のことを、大河は今でも覚えているほどだ。

 胸がぎゅっと苦しくなって、他のものが見えなくなって…。

 文字どおり一目で恋に落ちたと――大河は思っている。
 それまでは、同性を恋愛の対象になんて考えたこともなかったのに、彼だけは特別に思えたのだ。

 陳腐だが、彼だけが煌めいて見えるほどに。

 それほど印象的で、そしてグッとくる姿だった。

 あの人見たさに、朝イチの授業がないときですら、バスに乗っている毎日だ。
 いつもいつも隣に座っては変に思われるだろうかと心配したが、朝の路線バスではいつのまにか乗客同士で「定位置」が決まるらしく、「彼」は大して気にしていないようだった。

 嫌な顔をするわけでもなく、迷惑そうに避けるでもなく――むしろここ数日は少しずつ優しくされているかもしれない、といっていいだろう。

 彼は、大河が座ろうとすると、僅かながら身体をずらし、腰を下ろしやすいようにスペースをつくってくれるようになったのだ。

「綺麗なうえに、優しいんだよなー…」

 最初に惹かれたのは、確かに顔だ。
 いや、今でもそうかもしれない。
 だって声すら聞いていないから。

 でも、顔だけが好きなんじゃない。

 話したこともないくせに?

 そう言われるのも仕方がないが、あの雰囲気に心を奪われた。

 相手は男なのに、と自分でも不思議だが、彼のことを思い出すと、苦しいような甘酸っぱい感覚が胸を満たしてどきどきしてしまう。

 それに、いつも澄ましているわりに、どこか扇情的で――そんな風にも感じるのだ。
 今まで付き合ってきた女の子たち以上の、蠱惑的な魅力を感じることがある。

 同じ男で、しかも年上できっとばりばり働いていて――とわかっているのに、そんな「彼」に甘やかされたいというよりも、むしろ、抱きしめて可愛がりまくりたい気持ちが、いつしかむくむくと育っている。

 はふー。
 長文を引用させていただきましたが、上のくだりには、本作の“優等生受け”たる所以が余すところなく表現されていますね!
 朝の通勤バスのなか美しい横顔で読書に没頭する眼鏡の君――。
 そんな清冽な年上の同性に、とってもモテモテくんなイケメン大学生が、「抱きしめて可愛がりまくりたい気持ち」を抱いてしまうという。
 筋金入りの優等生スキーのみなさんなら、ここまで読んだだけで、つい本書に食指が動いてしまうのではないでしょーか(笑)。

 で、こーゆー設定の場合、BL小説としては、(1)見た目通りに優しくてふんわりした雰囲気のお兄さんが受けキャラでストーリーが進む場合と、(2)見た目に反して意外に男らしい美人さんであることが判明して、攻めキャラが「うわーん、でも好き!」みたいなワンコ攻めになって話が進むのと、大体2パターンに分かれていくことが多いと思うわけですが(笑)、さて本作は冒頭で書きましたとおり、そのどちらでもない第3の道に進んでいくわけです。

 場面が変わって、夜のシティホテルの一室――。

 大河は、呆然としていました。
 ベッドの上で力なく横たわる一人の美しい男を見つめながら…。
 この日、大河はいつもの“裏バイト”で、あるホテルの一室を訪れるようにマスターから言われたのでした。
 ところが、ホテルの部屋のドアを開けた途端、抱きついてきたのはいるはずの女性ではなく、男性でした。
 何か変だと思い、腕の中の顔をよく見たら…。
 それは、大河がずっと憧れていた“バスの君”だったのでした。
 大河がよく状況を把握できないなかで、“バスの君”は我慢できないかのように大河にむしゃぶりついてきたのです。
 男は、大河の耳元に口を寄せると、小さな声でこう呟いたのでした。

「嬲(なぶ)って――」

 憧れていた美人にそんなことを言われ、我慢できる大河ではありません。
 そのまま、“バスの君”に命じられるままに、彼の身体を抱き、めちゃくちゃに欲望をぶつけてしまったのでした。
 そして今、目の前のベッドの上に、“バスの君”がぐったりして横たわっているというわけです。

 ここで今の状態を整理しておきますと…。

 早い話がですね、“バスの君”はデリバリーのボーイを頼んでいたんですね。
 ところがそこに、部屋を間違えて大河が来てしまったと。
 大河は、相手の顔を見た瞬間、それが憧れの“バスの君”だと気づき、言われるがまま夢中になってその身体を抱いてしまったわけですが、“バスの君”は、大河が部屋を間違えて来たということに気づかないまま抱かれてしまったわけです。
 ところが…。
 セックスを終えると、“バスの君”も、相手が毎朝のバスで出会う若い学生だということに気づいてしまったんですね。
 で、ガーン!(笑)
 「嬲って――」なんて言って、普通じゃないセックスを頼んだ相手が、毎朝顔を合わせていた大学生だったわけですから、そりゃ驚きます。
 考えてもみましょう。
 なぜ、“バスの君”がわざわざホテルを取ってデリバリーのボーイなんか頼んでいたのか。
 そりゃ、自分の素性を秘密にして、そーゆーセックスを楽しみたいからですよね。
 自分の身分がバレたら困るわけです。
 なのに、終わってみれば、相手は顔見知りの学生だったわけで、それに気づいた瞬間、“バスの君”は明らかな狼狽の色を見せるのでした。

(マゾ…なんだよな…)

 ああいうことを、あんな声で言うということはおそらくそうなのだろう。
 しかも、男を相手に。

 大河の耳の奥で、先刻聞いた艶めかしい声が何度もリピートされる。

 こんなに綺麗な人が、あんな風に欲望をむき出しにした声を出すとは思っていなかった。

 大河は、手持ちぶさたにしつつも、つい彼の様子が気になり、ちらちらと目を向ける。

 だって、初めて二人きりなのだ。

 こんな機会は今後ないだろう。

 彼の様子を見ていると、確信のようにそう思った。

 彼はきっと、この秘密を守るために、大河と二度と顔を合わせないようにするだろう。

(略)

 大河は気持ちを決め、改めて男を見下ろした。

「……」

 綺麗な髪を見つめたまま、えい、と口を開く。

「あの…っ」

 上擦りかけた声に、自分でも顔を覆いたくなる。

 しかし、目が合えばもう引けない。
 ごくりと息を呑むと、そのまま声を継いだ。

「あの…名前、訊いていいですか。俺は、大河っていいます。清澄大河です」

 なるべく柔らかく――と胸中で繰り返し唱えながら尋ねた。

 だが、返事はない。

 名前を教えてくれるどころが、「へえ」とも「そう」とも何の反応もなく、大河は「う~」と眉を寄せた。

 まだ警戒しているのだろうか?

 でもこの件は「他言無用」で話がついたのだし、そこまでツンとしなくてもいいんじゃないだろうか。

 勿論大河だって、言いふらしたりなんか絶対にしない。

「あの――」

(略)

 瞬間、彼の顔が強ばるのがわかる。
 逃げようとしたのか、彼はじりっと身じろぎしたが、大河はそれ以上は許さなかった。

「待っ…!」

 腰を上げようとしたその手を掴む。

 刹那、眼鏡の奥の鳶色の瞳に怯えが走ったが、大河は手を離さなかった。

 いま手を離せば、もう終わってしまう。

「名前を――」

「…離してくれ」

 そして繰り返し尋ねれば、ふいと顔を逸らした彼の唇から、たまりかねように震えた声が零れる。

 瞬間、大河は自らの体温がグッと上がったかのような錯覚を覚えた。

 耳に届いたのは、細い声だ。
 震えた、突き放そうとするかのような、そんな口調の。

 だがそれでも、聞きたくてたまらなかった「彼」の声だと思えば、胸が高鳴るのが抑えられなかった。

「俺…俺のこと、知ってますよね。俺ずっと、あなたと話がしたかったんです。名前を聞いて、名前を呼んで…それで…」

「離せ、もう、僕は帰っ――」

「嫌です」

 振り払おうと、彼は強く腰を引く。
 しかし、大河は手を離さなかった。
 そして空いた手で、つれなく逸らされたままの美貌に――頬に触れる。

「――!」

 大きく、彼の身体が跳ねた。

「嫌っ――」

 怯えるように顔を歪めると、彼は逃れようともがく。
 しかし大河は、それに構わず、滑らかな頬をするりと撫でた。

 手のひらに吸い付くような肌感に、身体の中がざわめく気がした。

「きみ…っ!」

 すると、とうとう耐えられなくなったのか、眼鏡越しのきつい瞳が大河を捉えた。

 ううう、すいません、またも長文を引用させていただいて…。
 でも、受けキャラの「彼」の優等生っぽさがよく現れた部分だと思うんです…。
 デリバリーボーイを呼んで「嬲って――」なんて頼んでしまった自分を恥じるかのように、大河からの優しい問いかけを拒絶する年上の美人さんのかたくなさ、そして自分の身分がバレることへの怯えがとってもよく出てますよね。
 そして最後の、「きみ…っ!」という呼び方。
 いやー、二人称が「きみ」というところがとっても優等生っぽくて萌えますね(笑)。
 このですね、社会的身分がある優等生クンが、でも誰かに慰めてほしくて、自分の素性を隠してデリバリーのボーイを呼んじゃうというモチーフは、最近だと伊郷ルウ先生の名作があります(レビューはこちら)。
 伊郷先生の小説は、気鋭の大学教授がボーイを呼んでみたら自分のゼミの学生だったという設定になってまして、「バラされたくなかったら――」なんて感じで、自分の学生に優等生な教授サマが虐められまくっちゃうというストーリーです。
 ご興味のある方は、ぜひ読み比べを…(笑)。

 さて、この後ですね、ようやくのことで、大河は「彼」の名前を聞き出します。
 “バスの君”は、青山一希(あおやま・いつき)という名前だったのでした。
 そして、思いあまった大河は、思いの丈を青山にぶつけてしまうのです。

「気になって…凄く、好き…なんです。だからその…これからも会ってもらえませんか」

「きみ――」

 言い終えるやいなや、咎めるような声が届く。
 気づけば、青山はきつい瞳で見つめ返していた。

「ふざけてないで、さっさとこの手を離してくれ」

「ふざけてません!」

 即座に、大河は言い返した。
 同性に好意を告げるなど初めてなのだ。
 こんなこと、ふざけてしたりなんかしない。

 はい、今の辺りも、相変わらずかたくなな青山の様子が大変好ましいわけですが、この“じつは淫らな優等生クン”という設定で何が重要かといえば、優等生本人がそれを恥じて恥じて恥じまくって他人に隠したいと思ってるというところですよね。
 奔放な性の魔人(笑)みたいな優等生は、そこに煩悶や苦悩がまったくないだけに、ブログ主にとっては全然面白くありません。
 本作がいいところは、その“自分の欲望を恥ずかしがる優等生”の姿が、とってもリアルに描かれているところです。
 しかも、単に淫らなだけではなくて、“マゾヒスト”という。
 次の部分で、そんな青山の魅力的な一面が描かれます。

 どうすれば思いが伝わるのか――。
 焦燥を感じながら、懸命に大河は続ける。

「本気です、俺。本気で言ってます。と、年下だけど色々頑張りますし、その…なんならSMもちゃんと勉強したりとか…!」

「――!」

「俺、経験ないんですけど、青山さんがそういうの好きなら、頑張って勉強しますから!」

 勢い込んで言うと、青山は言い返そうとしていたらしい表情のまま、みるみる赤くなる。

 はっと気づいたように顔を逸らしても、熱は引かないのだろう。
 白いうなじまでがさっと朱に染まり、大層な色っぽさだ。

(う、うわ…)

 劣情が、下半身を煽る。
 大河は、見たいのに目のやり場に困り、もったいないと歯がみしつつも、どぎまぎと目を逸らした。

 いやー、ブログ主はこの場面がとても好きです(笑)。

「俺、経験ないんですけど、青山さんがそういうの好きなら、頑張って勉強しますから!」

 青山が一番指摘されたくない「SM趣味」のことを、若さのあまり、大河がズバリと告げちゃうという。
 そして真っ赤になる優等生と、自分が失言したことにも気づかず欲情しちゃう若いケダモノ(笑)。

 ずいぶん長くなってしまいましたが、本作の2人はこんな出会いをして、お話しが進んでいくんですね。
 今ご紹介したところまでで、まだ全体の1割ちょっとです。
 なんとかこの日のことをなかったことにして平穏な日常に戻りたい青山と、このチャンスを絶対に逃さない! とばかりにアタックしまくる大河。
 その様子がこのあとずっと描かれていきます。

 で。

 これほどまでに、青山が隠したがる自分の素性とはいったい何なんでしょうかね?
 ここで書いちゃうと面白くないというか、じつはこの後、ある偶然から、とっても真面目に“お仕事中”の青山の職場を大河が訪れ、ついに青山の素性がバレてしまう場面があるんですが、これがまた印象的な場面でして、ここはやっぱり実際に本書を買ってごらんいただいたほうがよいと思います。
 すんごくお堅いお仕事ですよ(笑)。
 こうしてですね、大河はだんだんと青山の日常生活に入り込んでいき、自分の「好き」をなかなか信用してくれない青山の気持ちをゆっくりと溶かしていくんですね。
 ツンツン優等生の青山が、優しい大河の心に触れて、だんだんと心を許していくようすは、これまた“優等生受け”として大変よく書けてまして、お読みいただければきっとご満足いただけるでありましょう。

 でも…。

 すいません、じつはこのレビュー、ここまでは長い前置きなのです…!!!
 そう、ここからが本番(笑)。
 何が本番ってですね、ついに2人が気持ちを通じあわせた後にこそ、他のBL小説では読めない本作独自のワールドが広がっているからなんですな!!!

 最初に書きましたとおり、“優等生受け”でしかもSMが主題になったBLは非常に少ないわけですが、なんとですね、本作の受けキャラ優等生・青山サンは、年下の大学生に心を許してひとたび恋人となった後は、信頼できる恋人の前で惜しげもなく自分の“マゾヒスト”としての欲望を見せていっちゃうんです…!
 これが新しい!!!
 マゾヒストな欲望を淫らに爆発させちゃう優等生――これは記憶にありませんですよ。
 うーむ、世界新記録です(笑)。
 そして何度も書くとおり、ここが重要なんですが、もちろん大好きな恋人の前でも、青山は自分の“異常性欲”を恥ずかしがりまくって、でも年下の恋人である大河にそんな欲望を満たしてほしくて、その2つに引き裂かれそうになりながら、淫らに悶えちゃうんですね。
 2人がくっついた後のエッチ場面での青山の淫らな可愛さは異常です(笑)。
 恋人になったあとも、その真面目な性格ゆえか、

「きみが…大河がしたいようにしてくれるのが一番嬉しい」

 なんて、恋人のことを「きみ」呼ばわりしちゃう堅さを見せつつ、恥ずかしいことを言わされたりすると、陶然として昼間の優等生ぶりを打ち消すかのように淫らな顔で悶えまくります。

「ん…っん、ん――」

「感じやすいよね。こないだもそう思ったけど」

「ッふ…あ、あ――」

「根っからいやらしいっていうか…」

「ゃ…っあ、ああ…っ――」

「そういうとこも、可愛くて好きなんだけどさ」

 吹き込まれる言葉に、一希はいやいやを繰り返す。
 だが、身体はもっと強い刺激を求め始めている。
 布越しの愛撫に焦れ、ねだるようにして身をすり寄せると、低い笑い声が届いた後、

「駄目だよ」

 と、からかうような声がした。

(略)

「ね…? 俺の…――口でできる?」

 そして続けて聞こえた声に、かーっと全身が熱くなった。
 想像すると、じわりと生唾が湧く。

 うーむ、「いやいやを繰り返す」優等生って、とってもエロいんですが(笑)。
 え?
 でもまだこのくらいじゃ、普通のBLと同じだろうって?
 焦ってはいけません(笑)。
 続けて、こんな場面が…。
 口で奉仕をする青山が、急に口から大河のペニスを取り上げられてしまうというシーンです。

 思わず不満げに見上げれば、たしなめるように軽く頬を叩かれる。
 その刺激に、知らず熱い息を零し、一希は慌てて唇を噛んだ。

 くすりと、笑い声が届く。

「そんな物欲しそうな顔しないの。それに、途中であんな顔見せないでよ。見たいけど…あんなやらしー顔、いきなり見せられたらイっちゃいそうになるだろ?」

「や…」

「やらしー顔。目がうるうるしてて、嬉しそーに気持ちよさそーに俺のしゃぶって涎垂らして…」

「大河…」

 あからさまな言いように、一希は真っ赤になった。

 だが、大河は愉快そうに微笑むばかりだ。
 微笑んだまま、一希の唇に指を這わせてくる。

「俺の、しゃぶるの好き?」

「ん…」

「美味しい?」

「ん…」

 触れるか触れないかの柔らかさで唇をなぞられ、息が上がる。
 まるで焦らされているようで、一希は堪らずシーツを握りしめた。

 ねだる顔で見つめあげると、大河は一層江美を深めて見下ろしてきた。

「じゃあさ、このまま…出していい? 口の中か、顔に」

「…ん、ん…」

「一希さんの綺麗な顔、汚してやりたい。俺ので、いっぱい…」

 言うと、大河は、今まで触れていた指の代わりに、性器を唇に押し当ててくる。

 一希は背筋を這い上がる快感に震えながら、濡れた瞳で恋人を見上げた。

 そして、

「…汚して…」

 と夢見るように呟けば、薄く開いた唇に熱がねじこまれる。

 夢中でしゃぶりつくと、一希は以前にも増して淫らに舌を絡めた。

 うっわ、エロ!!!!!!!!!!!(笑)
 毎朝のバスで読書に没頭してる眼鏡の君が、「汚して…」ですってよ、奥さん!!!!
 しかもですね、この場面、ちゃんと一希が眼鏡をしたままでご奉仕していることが、直前で描かれてまして、優等生スキーにはとっても美味しい場面になってます(笑)。
 し・か・も…。
 この後、ページをめくっていくと、顔射されて眼鏡までべとべとに掛けられちゃう瞬間の青山がちゃんと描写されているのです。
 いやー、ここまでちゃんと顔射の場面を描くBLってのも、少ないですよ。
 優等生がお顔に…。
 いやー、この字面だけで萌えてくるものを感じるのはブログ主だけではないでしょうが、顔に白濁を浴びせられてうっとりしちゃってる眼鏡優等生の姿をこの目で見たい! という方は、どーぞすぐに本屋に走ることをオススメいたします(笑)。
 でも、こーゆータイプの“優等生受け”は新しいでしょう?
 女王さま受けとも違う、自分が徹底的に辱められることに興奮しちゃう優等生受け。

 そして、ストーリーが進むにつれ、青山のマゾっぷりがエッチ場面の中で強調されてくるんです。

 「SMってよくわからない」とか言いつつ、恋人である青山を満足させるためにいろいろ頑張っちゃう大河が、ついに覚醒したのか(?)、青山のことを「一希」と呼び捨てにしつつ、きつい口調で「舐めろ」みたいに命令しちゃう場面とか出てきます。
 完全に支配者×服従者みたいな関係。
 もちろん、言われた青山はマゾヒストですから、ふだんはワンコ攻めみたいな優しい大河が見せるそんな顔にうっとりして、思いっきり甘えちゃったりするんですね(笑)。
 さらに、縛られた青山が、自由を奪われたまま全身を愛されちゃって、快感のあまり、惑乱しながら泣いちゃう場面なんてのも出てきます。
 ここも…萌える!(笑)
 快感のあまり、勝手に射精してしまった青山を見て、大河はこんな意地悪なことを言ったりもしてます。

「子供のおもらしよりもーっと恥ずかしいよね」

「あ…――」

「気持ちよくて我慢できませんでした、って証拠だしさ」

「んっ、んんっ――」

 はっきりと射精を促す手つきで強く扱かれ、悲鳴のような声が零れた。

(略)

 ほどなく、腰が爛れたような熱を孕んだかと思うと、覚えのある感覚が体奥から迫り上がる。

「イけよ。もう限界だろ」

「っあ、ん、んんっ――」

「イくときのやらしい顔…見せてみろよ」

「んっ…! んっ、ん、っ…ッあ…!」

 絞るようにぎゅっと握り込まれた瞬間、背中が大きくしなる。

 同時に、堪えていた欲望が、とうとうどろりとした体液となって弾けたのがわかった。

「つぅ…っ――ん…っ――」

 絶頂を迎え、びくびくと痙攣する四肢。
 次第にゆるゆると力が抜けても、息はまだ長く、整わないままだ。

 羞恥と気だるさに身じろぎすると、大河がわざとのように息のかかる距離から見つめてきた。

「イっちゃったね。えっちだなあ、一希さんは。ヤダヤダって言ってても、結局はスキなんだよね」

「そんな、こと…」

 途端、自らの体液の香りが鼻先を掠め、その生々しさに一希は顔が上げられなくなった。

「そういう顔、いいよね」

「え?」

「困ってるみたいな、焦ってるみたいなそういう顔。普段澄ましているせいかな…。そういう顔見せられると、特別って感じがする」

 はぁああああ…エロす…(笑)。
 ま、どんなエッチをしても結局、

「一希さん、可愛いよ。愛してる」

「たいが…好きっ、好き!」

 とか言いながら、何度エッチしてもベタ甘な中で、2人は抱き合っちゃうんですけどね(笑)。

 そして最後までですね、ベッドではどんなに淫らな顔を見せても、受けキャラ・青山はその清冽な雰囲気を失わないんですね~。
 そのうえで、愛される喜びを知った優等生クンは、以前は見せていなかった可愛いところを大河の前で全開にしちゃったりするんで、もう読んでるこちらは完全にノックダウンですよ。

 …いま、ここまで書いたところを最初から読み直してみましたが、いやー、まったくとりとめのないレビューになってますね(苦笑)。
 でも、いかにこの作品がBLとして新しいか、そして自分のマゾヒストな部分を恥じつつ、大河に抱かれちゃう受けキャラ・青山が可愛いかは、なんとかかんとかはお伝えできたのではないかと思います…!!!
 あ、最後になっちゃいましたが、青山は大河より10歳くらい年上という設定だそうです。
 だから、28歳くらいって感じなんですかねぇ。
 そんな年頃のお高く止まった美青年サマが、勢いだけの大学生にもみくちゃにされちゃうというこのお話し、いやもうホントにオススメですよ。
 うう、この2人の話、もっと読みたい…。
 末筆ですが、街子マドカ先生の挿絵が、お話の性格にピッタリとはまってます。
 青山の可愛い優等生っぷりは異常です(笑)。
 こちらもぜひご実見のほどを…。 

 こうしてまた一つ、“マゾヒストを自覚する優等生”というこれまでのBLにないモチーフが本格的に描かれたわけですが、本格的なSM好きな方には残念だと思いますが(?)、本作では派手な器具や調教のようなモチーフはほとんど出てきません。
 ま、そういうのはこれまでも他の作品でたくさん描かれてきたからいいかなとは思いますが、本格的なSM小説を期待されている方は、本作はその意味では期待はずれだと思います。
 あくまでですね、“マゾヒスト”である自分を恥じる優等生が描かれているのが本作でありまして、その意味ではSM小説というよりは、“優等生受け”BLのSM風味というぐらいの感じです。
 ただ今後、本作のような“マゾヒスト”である自分を恥じる優等生を、本作のようにあまり本格的なSMに入る前にラブラブにしてしまうというストーリーではなくて、もっと本格的なSM世界の中に落とし込んで描くという作家さんがいつかは出てくるのでありましょう。
 BLというものは、そうやって少しずつ新たなモチーフが登場してくることで成長してきた世界ですから…。
 いつ、どんな作家さんが、どんなすごい小説の中で、そんなマゾヒスト優等生の姿を書いてくれるんでしょうねぇ。
 そんな日が来ることを楽しみにしつつ、相変わらず無駄に長いレビューを終わらせていただこうと思います…。

 ***追記***
 すいません、10分ほど前に記事をアップしたところなんですが、読み返して、ちょっとわかりにくいなと思ったので、追記の形で補足をさせていただきます。
 これまでも、マゾヒストな優等生クンというのはBLの世界でいなかったわけではなく、もちろんたくさんいたわけですが、ブログ主が本作の新しいところとして指摘したいのは、本作が、受けキャラ優等生の”マゾヒスト”な部分を、優等生の受けキャラ自身にはっきりと「マゾヒスト」という言葉を使って自覚させ、またストーリーの中で登場させているところです。

 BLというのは、ある意味ですね、いかに直接的な言葉を使わないでエロいことを描写するかが勝負みたいな面があることは、みなさんもよーくご存じのとおりだと思いますが、そんな中でですね、はっきりと受けキャラに「マゾヒスト」というラベリングをして、それをもとにストーリーを進めているのは、これまでのBLにない新しいところだとブログ主は思うわけです。
 主な読者が女性ということのためか、あまり直接的な表現が好まれないのがBLというものだと思いますが、最近のBLでは少しずつ様相が違ってきているのは、みなさんも感じていらっしゃるのではないかと思います。

 たとえば、田中鈴木先生の大ヒットBL『アイツの大本命』は、ブサイク受けという新境地をボーイズラブの世界に開いた屈指の名作ですが、この作品以前もブサイクな受けキャラがBLの世界にいなかったわけではありません。
 『アイツの大本命』の新しいところは、これまでなら「読者が逃げる」といって直接的に登場させたり表現しなかった”ブサイク受け”な受けキャラを、ドンと中心に据えて「ブサイクが受けです!」とはっきりラベリングしたところにあると、ブログ主は思っています。
 本作(『恋の悩みを知る君は』)の新しさもまさにそこにありまして、はっきりと「SM」「マゾヒスト」という言葉を使って受けキャラの性格設定をおこない、それを前面に押し出してストーリーを展開させているところが、これまでのBLにない境地だというわけです。
 そう考えてくると、この1、2年のBLというのは、これまでははっきりと表現してこなかったものを、女性読者の目の前にドンと出してみるという時代に入っているんだなぁと、ブログ主はつねづね思っています。
 ブサイク受けとか、SMとか…。
 ぶっちゃけ、股間にそそりたつ的なアレも、だんだんと直接的な言葉で表現されるようになってきましたよね(笑)。
 ボーイズラブが出来はじめの最初の頃、90年代の半ばまでは、「ペニス」という言葉自体、ボーイズラブ小説やマンガの中で見ることはありませんでしたから、「ペニス」どころか「ち○こ」なんて呼び方も普通に出てくる今のBL状況は、ブログ主からしたら隔世の感があります。
 ブログ主としては、このような“赤裸々BL”が流行っている状況は、ある意味で、BLが男性向けエロの世界に近づいてきていることの外見的な現れなのかしら…と興味深く眺めているところですが、さてどうでしょう。

 以上、蛇足ですが、本作の“BLとして新しいところ”という論点につき、補足させていただきました~(ペコリ)。

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