ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]待望の平安貴族もの…! 美貌の皇子はとってもネクラ、「こんな私を愛してくれるのか…」と自分を卑下してばっかりで かわい有美子『夢にも逢いみん』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-真面目・カタブツ  受け-美人の優等生  受け-王子さま・貴族  特徴-歴史もの  ●カ行-かわい有美子  
夢にも逢いみん (リンクスロマンス)夢にも逢いみん (リンクスロマンス)
(2009/03)
かわい 有美子

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 トルコ風邪は恐ろしいずら…。
 鼻水に咳、熱に苦しんでいるブログ主です(笑)。
 とにかく鼻水の量が半端じゃないよ!
 今日は予定の仕事が急遽キャンセルになったこともあり、早めに会社を抜け出してきました。
 週末にかけて超忙しいので、何とか今晩ぐっすり寝て、明日は快方に向かわせないと…。
 でも、放っぽらかしておいたブログも更新したいので、風邪薬ルルエースを服用しつつ、なんとかレビュー記事を書き上げようと思ってます。
 ゴホゲホ。
 しかし咳ってのは、体力を容赦なく奪っていきますねぇ。

 今回ご紹介するBL本は、かわい有美子先生の最新刊『夢にも逢いみん』です!
 先月出た新刊『空色スピカ』も素晴らしい学園ものでしたが、今回は平安朝が舞台の貴族BL。
 じつは平安貴族ものBLが大好きなブログ主は、首を長くしてこの本が出るのを待ってましたよ(笑)。
 本作の主人公(受)は、亡くなった先代の天皇の第2皇子・清暁(きよあき)親王です。

 今もそうですが、目下の者が身分のある人を本名で呼ぶのは失礼に当たるということで、清暁親王もふだんは「桂の宮」(かつらのみや)という別名で呼ばれています。
 本記事でもそれに従って、主人公(受)・清暁親王のことは「桂の宮」という呼び方で統一するといたしましょう。

 桂の宮は、現在、京都郊外のひなびた土地で、2人の姉宮と数少ない女房たちに囲まれて寂しい日々を送っています。
 先代の天皇の第2皇子といえば将来を約束された身分のはずですが、なぜそんなことになっているのでしょう。
 じつは、父ミカドの跡をついで現在、天皇の地位に昇っている東園帝は、桂の宮の異母兄に当たります。
 つまり、2人は兄弟でありながら、母親が違うわけです。
 東園帝は、現在もっとも宮廷で力を持っている右大臣一族の母から生まれ、右大臣一族のバックアップを受け、今の政治を見ています。
 対して、桂の宮の母親は3代前の天皇の皇女だった人で、もっとも先帝の寵愛を受けてはいましたが身体が弱く、桂の宮たちを遺して早くに亡くなってしまったのでした。
 決して、兄である東園帝が桂の宮を疎んじているわけではないのですが、その後ろについている右大臣一族から見たら、現天皇の異母弟である桂の宮は、ある意味、危険な存在です。
 桂の宮が天皇に昇っていてもおかしくない血筋なのですから…。
 そのため、右大臣一族はまだ幼い桂の宮たち姉弟を宮中から追い出し、都の郊外に押し込めていたのでした。

 そんなある日。
 右大臣一族と対立する左大臣の家の嫡男である五位の侍従・藤原尉惟(ふじわら・やすちか)は、母親に頼まれて郊外にある桂の宮の家の様子を見に行くことになります。
 じつは、桂の宮の母親と、尉惟の母親は、姉妹なのです。
 早くに亡くなってしまった姉が遺した子供たちのことが心配で、尉惟の母親はいつも桂の宮たちのことを気に懸けていたのですが、この母親の夢枕に、亡き姉が立ち、桂の宮たちに今晩災いが降りかかる、どうか気をつけてやってほしいと告げたというのです。
 そこで尉惟が桂の宮の屋敷まで出向き、宿直をすることになったのでした。

 現在の宮廷は現天皇の外戚である右大臣一族が牛耳っているのは先ほどご紹介したとおりですが、尉惟の父親である左大臣の一族は、それに対抗する有力な貴族です。
 尉惟自身、そんな名門貴族の嫡男として将来を嘱望されており、その際だった容姿と、知性の高さですでに宮廷では注目される存在になっています。
 で、この尉惟クンが本作の攻めキャラです。
 時ならぬ大嵐が都を襲う中、従者を従えた尉惟は馬を駆って桂の宮の屋敷へ急ぐのですが…。
 そこには、尉惟の運命を大きく変える出会いが待っていたのでした――。
 尉惟が飛び込んだ桂の宮の屋敷には、折から大きな音を立てて雷が落ち、屋敷中が大騒ぎになっていて…。

「…宮様? ご無事でございますか?」

 抱き上げると、着物に埋まるほどに華奢な身体は、驚くほどに軽かった。
 暗い鈍色の喪服から覗くほっそりとした首筋は、子供ながらに臈長けて透けるように白い。

「…侍従?」

 薄暗い部屋の中、尉惟の腕の中で少年はゆっくりと青ざめた顔を上げた。
 幼いながら、禍々しいまでに整った顔が露わになり、尉惟は思わず息を呑んだ。
 それこそ、鬼神に魅入られそうなまでの美貌だった。
 壊れそうなほどに大きな瞳に見つめられ、一瞬、尉惟の背筋を、ぞくりと興奮とも慄きともつかぬものが走る。
 少年のその面差しは、亡くなった麗景殿の中宮に瓜二つ、あるいはそれをはるかに凌駕するほどの美しさだった。

「…はい、尉惟にございます。ご無事でございますか?」

 大嵐と雷の音が鳴り響き、屋敷が大混乱に陥るなか、わずか9歳の桂の宮は涙もこぼさず、必死で怖いのをこらえ、でも我慢できなくなったのか、尉惟の訪れを知ると全身で飛びついてきたのでした。
 そして尉惟は、その桂の宮のあまりの美しさに一目で心を奪われてしまったのです。
 嵐が治まった明け方、ようやく浅い眠りについた尉惟は、翌朝目を覚ますとひとりごちます。

 尉惟は小さな顔をそっと見下ろす。
 これほどまでに人に強く心を捕らわれたのは、初めてだった。
 昨夜、飛びついてきた華奢な身体を腕の中に抱き留め、この顔を見たときに覚えた慄きと興奮は、こうして一夜経ってみた今、明るい朝の光の下で見てみてもいっこうに色褪せることがない。
 かえって、つり込まれるように見入ってしまう。

 この宮は、どれほど美しく育つのだろう…。
 そう考えると、いてもたってもいられないような思いになる。
 この宮が自分の与り知らぬところで育つなど、場合によっては食べるものにも事欠くようになるなど、考えたくもなかった。
 袖の内で大事に風から守り、いずれ宮が自分の脚で立ち、歩んでゆけるようになるまで、それまでは側近く仕えたい。
 誰の手からも守りたいと、まだ十五の見ながらに切実に願う。

 父左大臣を説き伏せ、必ずや家の繁栄につなげるので、宮様をお迎えしたいと頭を下げるのは、尉惟の仕事だった。
 母も必ず、口添えしてくれるだろうという強い確信もある。

 尉惟は唇を笑みの形に作った。

「宮様…、尉惟の屋敷においで下さいませ」

 少年は怯えたように尉惟の顔を眺め、そして雷に打たれた東の対を眺め、前駆の者が馬を走らせてやってくる鮮やかな網代車の列を眺めた。

「まだ五位の侍従に過ぎぬ身ではございますが、生涯かけて宮様にお仕えいたします」

 着物から覗く子供の冷えた足をそっと手のひらに包み、尉惟は重ねて口説いた。
 東園帝の側近く使える侍従の身であるにもかかわらず、この時、すでに尉惟の心は目の前のまだ幼い、世間から忘れ去られようとしている子供へと傾いていた。

「尉惟が生涯かけて、宮様をお幸せにいたします。どうか…、どうか、許す…と仰せになって下さい」

 幼いながらも思慮深そうな深い色の瞳が、困惑したように瞬く。

「尉惟…」

 少年は薄く形のいい唇を噛んだ。
 かじかんだ小さな足の指が、ぬくもりを求めて手の中でそっと捩れる様すら愛おしい。

「…尉惟の屋敷にゆけば…、私は…ずっと尉惟と一緒にいられる?」

 今の部分をお読みいただくとわかるとおり、本作の尉惟×桂の宮というカップリングは、6歳差の年上攻め、しかも攻めキャラがかなり保護者っぽい感じの設定になってます。
 じつはブログ主はこーゆータイプのお話しがダメでしてねぇ…。
 まさに『源氏物語』における光源氏×紫の上がその代表例ですが、こーゆーカップリングのお話しって、幼いころから攻めキャラの庇護を受けて育った受けキャラは何の疑問もなく攻めキャラの愛を受け入れちゃうわけで、全っ然面白くないわけですよ、ブログ主的には。
 やっぱり、受けキャラは「こんな僕なんか誰も愛してくれるはずがない…」ってな感じで、ぐちぐちぐちぐち悩んでくれないと萌えないわけです(笑)。

 なので、このあたりまでストーリーを読み進めたブログ主は、「あうー、今回はハズレかなぁ~」などと失礼な感想を持っていたのですが…。
 本作は嬉しい誤算でした…!
 この後、美しい少年に成長した桂の宮は、一心に尉惟のことを慕い、恋心を抱きつつ、決して尉惟が自分のことを愛してくれるなんて思い上がったりしないんですね!
 つまり、すげーネクラなんです、この桂の宮という受けキャラは(笑)。
 桂の宮は、右大臣一族に疎まれ、苦労ばかりだった子供時代を過ごしてきたために、すごく人の心に敏感になっていて、頭もいい少年なんですね。
 それゆえに、時の権力者に疎まれている自分のような存在は、尉惟という名門貴族の御曹司に本当は迷惑なだけではないのかという、至極当然の考えを桂の宮はずっと抱き続けてるわけです。
 自分のように何の力もなく尉惟の足手まといになるだけの無力な皇子は、一日も早く尉惟のもとを離れるべきではないのかと、毎日自問自答して過ごしてるわけですね、この桂の宮という受けキャラは。
 でも、そんな自分のことを大事にしてくれる年上の庇護者・尉惟のことを、桂の宮は全身全霊かけて愛してもいるわけです(もちろん口には出しませんが)。
 ここからの本作は、そんな桂の宮のネクラっぷり全開のストーリー展開になってまして、ふだんはこーゆー保護者ものは絶対に受け付けないブログ主も、大変楽しく読み進めてしまったのでありました。

 例えば、こんな場面。
 物語はだいぶ進んで、すでに最初の出会いから5年が過ぎたシーンです。
 本で言うと、ちょうど半分ぐらいのところ。
 右大臣一族の横槍でのびのびにされていた桂の宮の元服が、尉惟をはじめとする左大臣一族の尽力でようやく執りおこなわれ、先帝の皇子という身分にふさわしい官職を得て宮廷に出仕を始めた桂の宮は、その美貌ぶりがあっという間に宮廷でも話題となり、以前とは打って変わってその周囲には人が集まり始めます。
 ある日、桂の宮が寝所から出てこず、御帳台に籠もりきりとの知らせを受けた尉惟は、心配して桂の宮の屋敷に駆けつけます。

「宮様、お加減が悪いと伺いましたが…」

 さして辛そうなわけでもないというのに、いつものように尉惟の前に嬉しそうな顔を見せようともしない桂の宮の態度に不審を覚え、尉惟は声を掛けた。
 薄暗い帳の中で、少年は尉惟の気配から逃げるように上掛けの衾の中へと潜り込む。

「お体の具合がお悪いのなら、お側の者たちも心配いたしますので、せめて薬湯なりとも召し上がってください」

 桂の宮がこんな振る舞いを見せるのは初めてだったが、小さい頃から長くその気質を知るせいで、いいとも悪いとも何とも煮え切らない桂の宮の態度に、尉惟はこれはおそらく具合が悪いのではなく、何かで拗ねているか、気が塞いでいるかなのだろうと見当をつけ、その枕元に腰を下ろした。

「どうしてこのように日が高くなるまで、出仕もされずに衾の中にお籠もりなのです。何も言わず、顔も見せずにお籠もりですと、側付きの者たちも心配いたしましょう」

 尉惟は少々乱暴に、少年が引き被ったままの衾を引いた。

「宮様!」

 さあ、もう一度確認しておきますが、この段階での桂の宮は、尉惟の一族の助けを借りて元服を終え、宮廷デビューを果たしたところ。
 で、そのずば抜けた美しさが評判となり、美貌の親王としてちゃくちゃくと味方を増やしつつあるというところです。
 そんな美貌の皇子が、ここでびっくりするようなことを言い出すのですよ。

「…放して」

 身体を固くし、喘ぐような悲鳴とともに桂の宮は手足をばたつかせる。
 その単衣だけの身体をぐっと腕の中に抱き込むと、見た目よりもずっとしなやかな感触が、思いもせぬ強さで跳ねた。
 考えていた以上のその肉感は、凶暴な衝動を誘い、思わず尉惟は腕の力をゆるめてしまう。

 あ、もうひとつ言い添えておくと、あらためて言う必要もないかもしれませんが、尉惟の桂の宮への気持ちは、最初に出会った時以来、そのままです。
 この美しい皇子にクラクラの若手貴族のエースは、美貌の親王に手を出さないようにと頑張って毎日自制の生活を送っているわけです(笑)。

「…宮様?」

「…見ないで!」

 力のゆるんだ尉惟の腕の中で、桂の宮は顔を見られることを恐れるように、単衣の袖で顔を隠した。
 薄い絹ごしに捉えたその身体は、なぜかしっとりと熱を持っている。
 このような褥の薄暗がりで、いつまでも熱っぽい華奢な身体を抱いていることに、不穏な衝動を覚えたばかりの尉惟は動じ、桂の宮には決して告げられぬやましさから、それ以上を強いることが出来なくなる。

「私は浅ましいから…、浅ましいものを身の内に飼っているから…」

 桂の宮は尉惟の視線に怯えるように、剥ぎ取られた衾を引きよせ、その身を隠そうとした。

「いったい…、…いったい、何を仰せなのです」

 小さい頃から苦労したせいで、聞き分けがよくて、素直で、しかも美しく育った桂の宮が、いきなり「私は浅ましいから…、浅ましいものを身の内に飼っているから…」ですってよ、奥さん(笑)。
 まあ、だいたいみなさんも「浅ましいもの」が何なのかお気づきかとは思いますが、ここはかわい有美子先生の美しい文章をさらに追っていきましょう。

 白い単衣に包まれたほっそりとした身体の中に湿った熱を凝らせた少年は、長い間黙り込み、ようやく消え入りそうな声で答えた。

「…夢の中で…」

「夢でどうなさいました?」

 尉惟は声を和らげた。

「…私が…尉惟に…」

「わたくしが…?」

 尋ねると、紫の指貫の上に抱いた身体が固くこわばる。

「許しておくれ、尉惟…。私があまりにも卑しい人間だから…」

 桂の宮は声を詰まらせ、袖に顔を伏した。
 単衣の襟元から覗く首筋はまだあまりに細く未成熟な感があるのに、黒々としたしなやかな髪を束ねた髻(もとどり)は、うなじのあたりの髪が幾筋かほつれ落ちて、そこだけ異様に艶めいている。
 この恐ろしいほどの色香は何だと、尉惟は目を逸らした。

「わたくしが夢の中で、宮様に手ひどい真似をいたしましたか?」

 華奢な肩を抱くと、少年は何度も首を横に振った。

「私が尉惟を辱(はずかし)めた」

 桂の宮がぽつりと洩らす。

「こんなにもよくしてくれる尉惟を、獣のように貶(おとし)めた…。許しておくれね…」

「夢で宮様にお会いして、どうしてわたくしが宮様に貶められたと思うでしょう。宮様にお仕えすることこそが、尉惟の幸せ。わたくしに少しぐらい辛くあたられたからといって、何も嘆かれることはございませんよ」

 尉惟はとうとうすすり泣き出した桂宮を後ろから抱き、その細やかな神経をいたずらに昂ぶらせないように、そっと慰める。

「違う…、違う…」

 桂の宮は何度もかぶりを振る。

「交わったんだ…、何度も何度も…」

 宮は子供のようにしゃくり上げた。

「男と女のように…、私が…いやらしく尉惟を誘って…」

 手元の衾をたぐり寄せ、桂の宮は男の熱から逃れるように突っ伏した。

「宮様…」

 驚くべき少年の告白に、尉惟は一瞬たじろく。

 やばい、顔がにやける(笑)。
 ま、手っ取り早くいえば、第二次性徴の訪れに戸惑う14歳の男の子とその保護者という図式なんですが、清らかに育てられてきた桂の宮が、そんな自分の身体の中の熱を持て余したあげく、夢の中で大好きな尉惟と交わってしまい、それを強烈に恥じているのがこの場面です。
 まずここで何より萌えるのが、性的なことを何も知らないはずの桂の宮が、成長したことで身体の中に生まれてしまった“欲望”を他の誰でもなく尉惟との情事という夢を見ることで発散したこと、そして何よりも、重ねていいますが「何にも知らない」はずの桂の宮が、誰に教わったわけでもないのに、尉惟を女のように誘い、女のように抱かれることを想像してしまい、それを恥じるというところです…!

 相変わらず変態的趣味で申し訳ありませんが(笑)、ブログ主はこの「性的にウブな優等生が、誰に教わったわけでもないのに、好きな相手といやらしいことをしちゃう夢や妄想を抱いてしまい、でも知識としてはそーゆーことはいけないことだということを知っているので、そんな自分を猛烈に恥じちゃう」というパターンが大好きなのですよ…!!!!
 萌えませんか? 優等生が自分の身体に訪れた性欲を御しきれずに、悶えてしまうさまは(笑)。
 そして、頭でっかちの優等生らしく、本の上の知識としては、そんないやらしいことを考えるのは許されないと思いこんでしまってるんで、自分が恥ずかしくて、でもいやらしい想像をすることは止められなくて心が引き裂かれそうになっちゃうという。
 うおー、今こんな風にまとめていても萌えてくるゼ…!(笑)

 で、さらに重要なことなのですが、仮にも桂の宮だって男の子なんだから、まあ第二次性徴が訪れていやらしい夢とか見るようになっちゃってもいいわけじゃないですか。
 でも、本来ならば、男の子なんだから、その相手は女の子じゃなきゃいけないわけですよ。

 な・の・に♪

 誰に言われたわけでもないのに、桂の宮は尉惟に自分が女の子のようになって抱かれてしまう自分を想像しているわけです。
 この無意識のエロス(笑)。
 宮廷では、100年の一人の美しい皇子と囃したてられ、宮仕えの女房からも熱い視線を送られるようにまで成長した桂宮が、じつは家ではそんな妄想を抱いているというこの落差。
 これですよ、これ。
 やっぱり“優等生受け”ってのは、こうじゃなきゃイカンと思うわけですよ(笑)。
 で、この場面、さらにこんな風に展開していきます。
 桂の宮の切ない告白を聞かされた尉惟は、桂の宮が身体の中に溜め込んだ熱を発散させてあげるべく、その美しい身体を抱き、手を使って桂の宮の欲望を慰めてあげます。
 ええ、ここでは美しくも興奮するエッチ場面がかなり長いページ数にわたって描かれてますが、そこはどうぞご自分で本書を購入のうえ、お楽しみください(笑)。
 でも、身体をつなげることは躊躇してしまうんです。
 なにせ相手は皇子様ですから。
 そんな自制心を振り絞る尉惟に、桂の宮はそっと身体を寄せると、こう言いつのります。

「何をされてもいいから…、私は…尉惟と身体をつなげたい…」

「宮様…」

 瞳の奥を濡れた目でじっと覗き込まれ、尉惟は大きく肩で喘いだ。
 こうまで言われ、どうして臣としての一線を守らなければならないのか、なぜその一線を守ろうとしているのか、もうよくわからなくなっていた。

「私の中にはいやらしい獣がいるから…」

 桂の宮は濡れた瞳を尉惟の上に据え、赤く濡れた唇を蠢かした。

「尉惟に触れてほしくて、のたうちまわる醜い欲望があるから…」

 幼い、弱々しいとばかり思っていた少年の中に、後宮に侍る美女らもかなわぬだろう妖艶な色を見て、尉惟は驚きに息を呑む。

「毎晩、尉惟に焦がれ焦がれて、身の内の熱い焔が私を焼き焦がす…」

 どれだけの間、その華奢な身体の内に凝った熱を押し込めてきたのか、少年は尉惟の腕の内で身を揉むようにした。
 そしてすぐにはっとしたような顔で、桂の宮は尉惟に押しつけていた身体を離し、しどけなく開きかけていた単衣の前をかき合わせる。

「…驚いただろう?」

 膝でにじり退き、後ずさりながら、桂の宮は薄い唇を歪める。

「御帳台の内に引きこもって、日がな一日、このようにはしたないことばかりを思って這いずりまわっているのだから…」

 桂の宮は再びかたわらの衾を引きよせ、その身を隠すようにして呟いた。

(略)

「尉惟、頼むからもう帰っておくれ…、これ以上、私が恥ずかしいところを見せないうちに…」

「浅ましさ、卑しさは尉惟も同じこと。これまで何度も、夢の中で宮様と交わり、その尊いお体を穢しました。それならわたくしのけしからぬ想いが夜空を駆け、夢の内で宮様を悩ませたのでございましょう」

 桂の宮が顔を隠そうとする夜着の袖をつかんだ尉惟は、自分を惑わせるばかりの華奢で高貴なkらだを押さえ込んだ。

「…私を…?」

 白い単衣の絹の袖に首を埋めるようにしながら、桂の宮は呟く。

「こんな私を愛おしいと思ってくれるのか…」

 ついつい長く引用させていただいてしまいましたが、ブログ主としては、最後のセリフをご紹介したくこの場面を選ばせていただきました。
 美貌の皇子・桂の宮が「こんな私を…」と告白する場面です(笑)。
 この「こんな私」という言葉には、いくつもの意味がかかっているわけですよ。
 右大臣に疎まれていて尉惟に迷惑をかけるばかりの傍流の皇子である「こんな私」。
 そして、宮廷に出仕もせずに御帳台(ベッド)に引きこもり、尉惟に女のように抱かれる自分を想像している浅ましくもいやらしい「こんな私」。
 いずれにせよ、桂の宮は自分を強く卑下し、「こんな私」が尉惟のような素晴らしい男に愛されるわけがないと悲しみにくれているわけです。
 でも、気持ちは一途に尉惟を恋したい、その手に必死ですがってしまうという。
 本当にブログ主はこーゆー受けキャラに萌えるんです(笑)。

 もちろん、尉惟はこんな可愛い桂の宮の告白に自制心も吹っ飛んでしまい、

「ここを…どうして差し上げましょうね?」

 とか言いながら、このあと数ページにわたって桂の宮を全身全霊かけて可愛がっちゃいます(笑)。
 またこの敬語攻めがいやがうえにも桂の宮の高貴な身分を読者に思い知らせてくれて、“優等生受け”の雰囲気を高めてくれるわけなんですが。

 で!

 ここまででも、相当にネクラ気質な桂の宮の性格はご理解いただけたかと思いますが、こうしてようやくお互いの気持ちを確かめ合ったあとも、桂の宮の自分を卑下するネクラな性格は治らないどころか、ますます悪化していくんです(笑)。
 いやー、たまらんですばい(笑)。

 尉惟の後ろ盾を得て、ちゃくちゃくと宮廷内で政治的な力もつけていく桂の宮は、いよいよ次のミカドの座を狙うところまで成長していきますが、ここに至って、桂の宮はこんな想いにとらわれるんですよ。
 最愛の恋人であるはずの尉惟は、自分のことを本当は愛してなどいず、父親である左大臣の一族を繁栄させるために、桂の宮のことを愛で縛り都合よく利用しているだけではないのかと。
 作中、こんな独り言を心の中で呟くんです。

(あまりに尉惟に溺れ、抱かれるたびに人前ではとても口に出来ないほどの好色ぶりを見せるから、飽きられ、重く思われたのかもしれないと思う)
(左衛門督らの弁を聞いていても、多情で好色な女には、いくら美人であってもすぐに嫌気が差すらしい)
(東宮位も帝位もいらない)
(妻も子供もいらない)
(ただ、あの男の気持ちだけが欲しいと言ったら、あの男はどんな顔を見せるだろうか)
(そんな煩わしいことを言う愛人など、いらぬと吐き捨てられるかもしれない)
(もはや、一顧だにされないかもしれない)

 うわー、ネクラ(笑)。
 書くまでもありませんが、尉惟はいつも変わらず桂の宮のことを大事に考え、慈しんでいるんです。
 なのに、十分愛されてるはずの桂の宮は、勝手に悪いことばっかり想像して、「自分がエッチが好きだから飽きられたのか」とか、しょーもないことを考えてはずーんと落ち込んでるわけです。
 たしかに自分で言うだけあって、桂の宮はとっても尉惟に抱かれると可愛くなっちゃうわけですが(笑)、それを聞きかじりの知識というか、友人から聞いた噂話をもとにして、「美人でも嫌気が差すらしい」とか勝手に思いこんでるところがウブな優等生らしくて、ブログ主はこのあたりのどーしょもなくネクラな桂の宮の心の動きが大好きです。

 とまあ、このまま2人の痴話喧嘩みたいなお話しがえんえん続くのかというところなのですが…。

 じつは物語の後半は、もちろんこうした2人の気持ちのすれ違いというか、ネクラな桂の宮が勝手に落ち込んで恋の糸がもつれ合ったりしつつ、東宮位を狙うところまで力をつけてきた桂の宮を葬り去ろうとする右大臣一族が陰謀を張り巡らしたりして、物語はとっても緊張の度を高めていきます。
 桂の宮も大ピンチに陥るんです。

 でもそこで…。

 ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、ブログ主はちょっと泣いてしまいました(マジ)。
 こう書くと、あんまりラブが関係ない平安宮廷ファンタジーみたいなストーリーを想像されるかもしれませんが、じつはこのサイドストーリーの進行は、2人のラブとも密接に結びつけられてまして、読者は最後まで飽きさせられません。
 本ブログ的にいえば、ネクラで自己を卑下するばかりだった桂の宮の性格にも、物語の最終盤である出来事が起こり、大きく変化していきます。
 つまり、ネクラ優等生な桂の宮は、しっかりと成長して、尉惟に愛される資格を備えた美貌の親王へと脱皮を遂げていくんですよ。
 それを成し遂げさせるのが、まさに尉惟の愛の力になってまして、“優等生受け”視点から見ても、ちゃんと物語はしっかりとしたオチを付けられているわけです。
 美貌なのにネクラ、愛されてるのにネクラ、本作はそんな桂の宮という優等生な受けキャラが、何があってもそんな桂の宮のことを愛し抜いてくれる尉惟という攻めキャラの気持ちを心から受け入れられるようになるまでの愛の軌跡を描いた一作といえましょう。
 あじみね朔生先生が描く桂の宮がこれまた美しく、こんな美しい皇子が「浅ましい獣を身の内に…」と、読者の胸も思わず高鳴ります(笑)。
 ぜひ読んでみていただきたいな~!
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Comments

おもしろかった! 
ちーけんさんのレビューを読んで
あまりに面白そうなので
超久々に新刊ノベルを購入しました!
(ドケチな上に読むのが遅いので中古メインなの)

す・・・・・・・・・っごく良かったです。


もともとかわい有美子とたけうちりうとはエロがなくても読みたい!と思うくらい
スキスキな作家さんなのですが、


この作品はいままで読んだどの作品より
超絶エロスで絢爛みやびのてんこ盛り!
お・値段以上の価値でした。満足。^^





以前、草間さかえさんが
「年でも役職でも受けが上の方が望ましい・・」とおっしゃってて
私も!私も!と心で同意しまくりだったのですが、

何もかも攻めが上だったりすると、
特に攻めが力とか権力とかを持ってると
それってパワハラ?みたいな。
たとえ同意の上であっても受けに断る権利が無いようなレイプっぽい関係はすごくイヤなんですよ。><
(ちーけんさんも源氏と紫の上みたいな関係は萌えない、というのは
そーゆー要素かな?と思いました)
(源氏×紫はあまりに無垢に育てられた紫ちゃんが初夜のあとで「お兄様があんなことをするなんて!」とツン化するあたりが結構萌えるんだけどね^^)



誘い受けバンザイ!!^^
リミッター解除、バンザイ!!!^^







そうそう、これを読む少し前に
かわいさんの旧作「上海~うたかたの恋」も読んだんですよ。

まーさーに直球メロドラマ。

英国貴族の若旦那さま×中国人孤児(→美貌の執事に成長)。

こちらはエロ表現も控えめだけど
旦那さまに身も心も捧げつくすイキオイの執事の本気さにメラメラしました。
身分は受けが下だけど幼い頃から旦那さまに焦がれぬいた気持ちにほだされた攻め。
そして時代が二人を引き裂く・・><

執事の見返りを求めない愛にうちふるえました。



「夢にも逢いみん」にも共通する
命すら惜しくないほどの愛にしびれっぱなしです。

かわいさんはサイコーだあ!!


ちーけんさん、レビュってくれてありがとお!!^^
 

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