ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]人の心がわからない貴族のボンボンの酷いセリフを、全部真に受けちゃう真面目っ子が可哀想…! 樋口美沙緒『愚か者の最後の恋人』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 特徴-歴史もの  受け-真面目・カタブツ    ●ハ行-樋口美沙緒  
愚か者の最後の恋人 (白泉社花丸文庫BLACK)愚か者の最後の恋人 (白泉社花丸文庫BLACK)
(2009/01/20)
樋口 美沙緒

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 従来お知らせのとおり、FX(外国為替証拠金取引)というハイリスク投資に手を出し、全財産を失う危機に瀕しているブログ主です(マジ)。
 為替動向が気になって、仕事もブログも手に着きません(笑)。
 いやー、人間すべてを失うのは一瞬ですねぇ。

 とまあ、やってしまったことはしょうがないので、本日もオススメ“優等生受け”BLなどご紹介してまいりましょう。
 …なんて言いながら、1行書くごとに為替相場をチェックするブログ主(笑)。

 本日は、新人作家さんのデビュー作で、あまり期待せずに読んでみたら意外に面白かった1冊をご紹介しようと思います~。
 花丸文庫BLACKから出た、樋口美沙緒先生の新刊『愚か者の最後の恋人』です。

 だいたい本ブログでご紹介するBLは“優等生受け”ばかりですから、レビューする際も受けキャラがいかにブログ主好みかを力説することが多いんですが、本作は攻めキャラが他ではあまり見ないキャラ設定で、大変興味深いです。
 そんなあたりの本作の“味”をみなさんにうまく伝えられればなぁと思ってます。

 舞台は、中世のイタリアを思わせる架空の国・フェーラ国。
 主人公(受)のキユナ・フィーレンは、有力貴族のエオトス家に仕える少年です。
 キユナは5歳の時に、エオトス家の門前に娼婦だった母親から捨てられたところを、エオトス家の当主・ノクシアに拾われました。
 成長して17歳になった今では、敬愛する当主・ノクシアの弟であるフレイの従者として働く毎日です。

 で、このフレイこそが本作の攻めキャラなんですが…。
 これが典型的な“貴族の次男坊”なんですね!

 今のところフレイは特に仕事も持たず、相続した勇んで遊び暮らしている放蕩者。
 だがこのところノクシアは、フレイに結婚してほしい、領主の仕事を手伝ってほしい、と望んでいた。

「残念だが、神は俺に仕事は他者へ任せよ、汝は愛し歌えよ、と言われているのさ。ああ実に惜しいが、そういうわけで(兄の手伝いをするのは)無理だな」

 芝居がかった口調でフレイが目を細めると、凶悪なまでの色香が漂う。
 小柄で骨格の欲しいキユナと違い、フレイは長身のうえに厚みのある引き締まった体躯をしている。
 亜麻色の髪に飴色の瞳、鼻梁は高く通り、男らしく澄んだ声は歌手も顔負けの美声で、誰もが見とれる美男子だ。
 だが性格はいいかげんな道楽男。

 時代劇ドラマ『暴れん坊将軍』の主人公・徳田新之助を思い出していただくといいかもしれません(笑)。
 じつは徳川8代将軍吉宗である徳田新之助(松平健)は、ふだんは身分を隠し、貧乏旗本の三男坊として江戸の街中に暮らしてます。
 あえて市井に暮らすことで、将軍として城の中にいたらわからない数々の事件に出会い、人助けをしていくわけですが、なんで「旗本の三男坊」なんて称してるかといえば、昔から長男以外の旗本の息子なんてのは家も継げず何もやることがないので、ごくつぶしの代表みたいに思われてるわけです。
 「旗本の三男坊」ならば、フラフラしてても誰も文句も言わないし不思議に思わないんですね(笑)。

 でも、本作の攻めキャラ・フレイは、暴れん坊将軍と違って、べつに人助けをするためにふだんフラフラしているわけじゃないんですが、似ているところがひとつだけあります。
 それは、ふとした時に見せる真面目な顔というか、ドキッとするような男らしさというか。

 じつは、フレイは、当主である兄とは母親が違い、どう転んでも家を継ぐ権利はもらえないんですね。
 だから彼は目標の持てない人生しか送れないわけです。
 そんな自分に嫌気が差し、今日は○○公爵夫人と…、明日は都で一番の美青年××卿と…なんていう享楽生活を送っていますが、もともとは頭も良いし、能力も度胸もあるわけです。
 それを、自分を偽悪的に見せるためにか、ふだんは遊び歩いて悪い評判を振りまいているような男なわけですよ。
 でも、ふとした折に、仮面の下に隠している真剣な顔がのぞくことがあるわけです。

 さてストーリーの冒頭は、遊び回ってばかりのフレイに、主人公(受)・キユナが愛想をつかし、腹を立てるところから始まります。
 だいたいBLでこういう設定だと、口ではガミガミ言いながら、本当は好きな気持ちの裏返しで…みたいなお話が多いと思いますが、本作では、主人公(受)のキユナは心の底からフレイのことを「ダメな主人」と思い、さっさとフレイのもとを去って、自分を拾ってくれた尊敬する当主・ノクシアのもとに戻って彼のために尽くしたいと思ってます。
 いや、そう思いこんでるというべきか。
 キユナは、フレイのことが気になってしかたないけれど、少なくとも自分の認識としては、「こんなぐうたらな主人…」と思い、嫌いになろう嫌いになろうと思ってます。
 ま、つまりはすんごく意識してるけど、本人はそれを否定したいお年頃ということなんですね!
 だからキユナは、ぐうたらしてやることといったら愛人の美女や青年たちに付け届けをしたり、はたまたキユナをからかうことぐらいしかやらないフレイに、平気でガミガミ小言を言っちゃったりします。
 そんなキユナに、フレイがどんな反応をするかというと…。

「ああ、うるさい子供だな、そうまで言うなら暇を…」

 出すぞ、と言いかけたフレイは言葉を切り、すねたようにリュートを放り出した。

「…暇を出す、と言いたいんでしょ…フレイ様だって、俺が気に入らないくせに」

「ああそうだ。お前はかわいげのかけらもない。せめてもう少し素直なら、そばに置く楽しみもあるが…。だがお前はあわれな家なし子だ。しかも東方人の無礼な子供なんぞ、放り出したら行く当てももなくてかわいそうだからな」

「無礼なのはあなたです…、すぐそうやって俺のこと、東方人だって…」

「だがお前みたいな細い骨格の、毛も薄く鼻の低い男は東方人だろう。鴉みたいな黒眼黒髪も、黄色い肌もな。お前の母親は、東方から来た商売女だったんだろ」

 悔しさで、キユナは握った拳がわなわなと震えるのを感じた。
 薄い唇をきゅっと噛む。

(フレイ様はどうしてすぐ、俺の髪や眼のことを言うんだよ…)

「お前はどうせ17年も生きてきて、誰も好いたことなどないだろう」

「恋なんて…しなくても、生きていけます」

 子供っぽいと分かりながら、キユナは小さな頭をぷいっと背ける。

「やれやれ、だからお前は東方人だと言うのさ。…いつからこんなにかわいげがなくなったんだ? 子供のころはもう少し素直だったのにな」

 さて、今引用させていただいた部分を読んで、どう思われましたでしょーか!
 フレイは結構酷いことをキユナに言ってると思いませんか?(笑)
 そうなんです、じつはですね、先ほどフレイのことを本当は男らしいし能力もあるのに、それをわざと隠して貴族の次男坊を気取ってる、なんて書きましたが、もちろんそういう面もあるんですが、本作の攻めキャラ・フレイの最大の特徴は、そうはいっても所詮は貴族のボンボンで、基本的にはワガママだし、人の気持ちもわからないし、まるで駄々っ子のように年下の従者であるキユナに甘えたりするしという、何とも言えない攻めキャラらしからぬ「へたれっぷり」にあるんです。

 ほら、BLの攻めキャラというと、表面上はだらしなくてもじつは格好良くて…というのが定番でしょ?
 フレイもそんな感じのキャラではあるんですが、普通のBLの攻めキャラならば、“表面上はだらしなくて”が20%、“じつは格好良くて”が80%というのがキャラクターとしてのありようだと思います。
 でも、フレイは違うんです。
 本当にへたれというか、BLの攻めキャラらしくないというか、表面上のダメッぷりがとにかく激しくて、“じつはカッコイイ”という部分がほんのちょびっとしかないんです(笑)。
 だって、普通の攻めキャラは、主人公(受)に向かって、「お前はかわいげがない」とか、いやそのくらいは言うかもしれませんが、母親に捨てられた少年に向かって「お前はあわれな家なし子だ」「お前の母親は、東方から来た商売女」とか「黄色い肌」とか言わないでしょー!
 しかもこれ、実際に本書を買って読んでいただくとわかりますが、前後の文脈ではかなりマジというかキツイ感じで、フレイはキユナのことを揶揄してるんです。
 おいおい、お前はいったい本当にBL小説の攻めキャラなの? という感じのダメっぷりです(笑)。

 これすべて、原因はフレイが「貴族のボンボン」というところに集約されてます。
 苦労知らずで人の気持ちわからなくて、しかも「じつは頭がいい」し「度胸もある」から、口から出るキユナへの揶揄の言葉はすごく辛辣なものになるんですね。

 でもですよ…。
 これもBLの定番ではありますが、口では辛辣なことを言ってからかったりしてるけど、フレイはキユナのことを本当は好きなんじゃねーの? 的なオーラも、本作は序盤からプンプン漂ってくるんですよ。
 つまり…。
 このフレイの辛辣な物言いは、「好きな子をいじめちゃう」というよくあるアレで、キユナの気を引きたくてこんなことしてるだけじゃないのかという(笑)。
 フレイ、もういい年なのに…。
 本当にへたれというか、ダメな攻めキャラだなぁとブログ主は深く感じ入りました(笑)。
 本作は以後、なんとなくキユナのことを好きっぽいのに、へたれキャラなので素直にそんなことは口にも態度にも出せなくてキユナのことをいじめちゃ貴族さま・フレイと、それを本気で受け取っちゃって、やっぱり「フレイ様なんか大キライだ」と思いこんでしまうキユナの間で、さまざまな事件が起こりつつ、お話が進んでいくことになります。

 で!

 ここでストーリー全編を支配する大事件(?)が起きるのです。
 フレイの悪戯で、なんとキユナがエオトス家伝来の秘薬“惚れ薬”を飲んでしまい、目の前にいたフレイのことを「大好き」になってしまうのです。
 自分が飲まされた液体が“惚れ薬”だと知らされたキユナは驚愕します。

(な――なんだって?)

 一瞬にして、キユナは手から杯を取り落とした。飲んだ。飲んでしまった。
 血の気がすうっと下がる。
 フレイが訝しげに眉を寄せる。
 キユナはそわそわと立ち上がった。

「おい、どうしたんだ…」

 心配そうなフレイの顔が目に入った瞬間、キユナの頬がかあっと火照った。
 心臓はばくばくと音を立て、整ってはいるが軽薄にしか思えなかったフレイの容姿にときめいていた。
 厚みのあるその胸に飛び込んで、頬をすり寄せたい衝動が湧き上がる。

 好き。

 はっきりそう思った。
 キユナはいたたまれなくなり、火照った顔を両手で覆った。

 好き、好き、好き、フレイ様が好き。

 頭の中に思いが満ちて、キユナはぎゅっと大きな目をつむった。
 長い睫毛が震える。

 大嫌いなフレイのことを、それでも主人だからということで、心の中でもちゃんと「フレイ様」なんて呼んでいることからもわかるとおり、キユナはとても真面目でしっかり者の少年なんですね。
 みんなから慕われている当主・エクシアを尊敬し、自分もエクシアのようになりたいと思ってます。
 でも、東方人の娼婦だった母親に捨てられたせいで、これまで愛だの恋だのなんてことは一切信じず、ウブというか奥手というか、「僕は一人で生きるんだ!」という気概を持って生きてきたんですね。
 そんな優等生なキユナが…。
 “惚れ薬”を飲んだことで、大嫌いなはずのフレイのことを身体が震えるほど好きになってしまうわけです。

 こうなると、それまで恋なんか信じずに奥手な少年時代を送ってきただけに、キユナはフレイに対する反応がいちいち可愛いんです(笑)。
 しかも…。
 先ほど、フレイにからかわれたことからもわかるように、キユナは東方人の母親から受け継いだ、この国では珍しい黒髪黒眼の外見を、とてもコンプレックスに思ってます。
 すごく自己嫌悪が強いんですよ。

「な、なにをするんです! フレイ様…っ」

 キユナはあっという間に横抱きに抱えられていた。
 フレイは新しいおもちゃを見つけた子供のような笑みを浮かべている。

(う、嘘だろ…こんなに、簡単に扱われるなんて)

 小柄なキユナは軽々と運ばれ、隣室の寝台へ下ろされた。
 ゆっくりと覆いかぶさってきたフレイに身体を組み敷かれると身動きできず、そのことにキユナは言葉を失った。

(俺だって少しは鍛えてるのに…フレイ様とこんなに身体が違うなんて、知らなかった)

 キユナの骨格はもともと華奢で、従者として多少は鍛えていてもフレイにはまるで敵わない。
 だが抵抗できないのは体格のせいだけではなかった。
 フレイの肉厚の唇がキユナの薄い唇にそっと重ねられたとき、怒りよりも甘い陶酔感が背に走った。

(俺、なにしてるんだろ…殴って逃げるべきなのに。フレイ様は俺で遊んでるだけなのに…。でも…気持ちいい。抵抗できない…)

 相反する気持ちで、キユナは嵐のようにかき乱された。
 合わさった唇の隙間から、フレイの熱い舌が侵入してくる。
 歯裏を刺激され、そのまま舌腹をしごかれる。
 唇の表皮を甘く噛まれると、身体の芯がきゅっとすぼまるように感じた。

「ん…う」

 くちゅんっと音がたつ。
 唾液がじわりと口の端にあふれる。

「や、やめてください。キ、キスなんて、俺は、したことないんです、なのに…」

「俺とが初めて…? そうか…」

 フレイがなぜか嬉しそうに眼を細め、キユナの手を握りしめた。
 そうしてまた口づけてくる。
 下唇をねっとりと舐められてキユナは細い身体を震わせ、息を浅くした。

「…あっ!?」

 フレイの指が、衣服の上からキユナの胸の飾りをつまんだ。
 細腰にちりちりと走る快感に、キユナは戸惑い首を振った。

「ど、どこを触って…っ」

「大丈夫だよ、ここも、ちゃんと感じるようになる」

 フレイの手が、素早くキユナの上着をはだける。
 直に乳首をつままれ、くにくにと柔らかく刺激されるとじれったい快感が身体の芯に集まってくる。
 性器が一気に立ち上がるのを感じ、キユナは真っ赤になって「だめ、だめ」と喘いだ。

「どうしてだめなんだ?」

「お、俺のことなんかてんっ、す、好きでもないくせに…っ」

 自分で言っておきながら、その言葉にキユナはじわっと切なくなった。

(馬鹿みたいだ――)

 好きじゃなかったのは、自分もだ。
 今は、薬を飲んでおかしくなっているだけだ。
 だがフレイがキユナの耳元で笑った。
 馬鹿にするわけではない優しい笑みだ。
 甘い声で、好きだよと囁かれてキユナは唇を震わせた。

「可愛いキユナ。俺はお前が好きだよ。子供のころから。俺はお前を犯したいわけじゃない。ただ優しくしてやりたい…。恋人にするように、甘く溶かしてやりたいんだ。…どうか俺に任せてくれ。だめだなんてイジワルを言わないでくれ」

(俺は騙されないぞ…フレイ様は、嘘をついてるんだ)

 はい、なかなかキユナはネクラな自己否定っ子で本ブログ的にはイイ感じです(笑)。
 「俺のことなんか、好きでもないくせに」なんてセリフが超効いてます!

 さて、この場面だけ読むと、フレイも決めるときは決めるという感じの、なかなかしっかりしたBLの攻めキャラっぽい感じでしょー?

 でも…。

 全然違います(笑)。

 翌朝、キユナは目を覚ますと惚れ薬の効果は続いているものの、主人であるフレイと身体を交えてしまったことを激しく後悔します。
 ほら、優等生クンなんで、そのへん融通がきかないんですよ(笑)。
 なので、フレイから離れよう離れようとするんですね。
 対して、フレイはそんなキユナが我慢できません。
 「なんで俺の言うこと聞かないんだ。俺が幸せにしてやるって言ってるのに」ってな、貴族のボンボンらしい自己中心的な感情で、キユナを自分の側に置いておこうとするんですよ。

 ところが…。
 キユナは、遊び人のフレイが自分に本気になることなんか絶対にありえないと思っていますから、そんな状態に我慢できず、ついにフレイのもとを去ろうと決心するんです。
 フレイの友人・チェーザの世話になろうと、エオトス家を出て、チェーザのもとに駆け込むのです。
 慌ててキユナの後を追うフレイですが…。
 ここで、フレイはまた言わんでもいいことをキユナに言ってしまうんです(苦笑)。

「チェーザにはよくしてもらってるのか? まさか、夜の相手もしてやってるんじゃないだろうな。俺で味をしめて」

 とか(笑)。
 なんで言いますかね、こーゆー酷いセリフを。
 この場面、少しご紹介しましょう。

 怒りよりも悲しさが募り、キユナはぷいっとそっぽを向いた。

「そんなことを言うためにいらしたんですか? …帰ってください」

 目を合わせると気持ちがこぼれそうで、キユナはそっぽを向いたまま立ち上がった。
 不意にフレイが、キユナの手首を掴む。

「来てやったんだから、相手くらいしろ」

(どうしてこう勝手なんだ…っ)

 腹は立ったが言い争う気力はなく、キユナはフレイの手を振り払ってしぶしぶ席に座り直した。
 だがやはり、顔は背けていた。
 フレイの顔を見たら、気持ちが弱ってしまう。

(…まだフレイ様が好きなんて、俺は、本当に馬鹿だ…)

 やがて黙っていたフレイが、お前、と声をかけてきた。

「一体いつまでむくれてるつもりだ。そろそろ戻って来たらどうだ…?」

 なんだそれはと、キユナは思う。
 まるでキユナが悪くて、聞き分けがないような口ぶりだ。

(フレイ様は、俺の気持ちなんてなにもわかっていないんだな…)

 えー、どうでしょうか。
 これほどダメな攻めキャラってのも、なかなかいません(笑)。
 読んでいただければわかるとおり、フレイは本当に貴族のボンボンらしく、キユナの気持ちなんかわかろうともしないし、自分勝手なことばかり言ってます。
 キユナなら最後は俺に従ってくれる、ワガママを許してくれると思ってるんですね。
 もちろん本心では、キユナに自分のところに帰ってきてほしいんですが、へたれ野郎なんでそんな気持ちは絶対に口にできないんです。
 だから、こうして「夜の相手もしてやってるのか」とか「お前が悪い」みたいなことばかり言って、全然キユナに優しい言葉をかけてやったりしないんですね。
 繰り返しますが、ボンボンなんで、こういうコミュニケーションしかできないんです(笑)。

 ほら、普通のBLでも、よくこーゆー場面自体はあるじゃないですか。
 攻めキャラが、受けキャラのことをわざと悪く言っちゃうような場面って。
 でも、それって大抵の場合は、「受けキャラは俺と一緒にいると将来をダメにしてしまう…。ここは俺が身を引くべきなんだ!」みたいなすごい葛藤を乗り越えて、受けキャラと無理やりにでも別れるために、わざと酷いことを口にする…みたいなのが多いですよね。

 もちろんフレイは違います(笑)。

 何度も書きますが、こいつ本当にへたれなんです。
 キユナのことを好きなくせに、その気持ちに自分でもなかなか気づかず、でもキユナのことは側に置いておきたいから、“好きな子を虐めちゃう”というアレで、キユナと顔を合わせるとひどい事ばかり口にして、キユナの気を引こうとするという。
 で、ボンボンだから平気でグサッとくることを言うんですなぁ。

 で、本作のキモは、そんなフレイのしょーもない態度や言動を、真面目っ子・キユナがぜーんぶ真に受けて、ことごとく落ち込んでいってしまうところにあるんですね!
 本作の“優等生受け”としての特徴はここにあります。

 今の場面もそうです。
 まあ、客観的に見れば、「帰ってきてくれ」と言えなくて悪ぶった言い方をしてるだけのフレイですが、そんな偽悪的なセリフをキユナは全部真に受けて、悲しい気持ちになってましたよね。

 本作のストーリーの4分の3くらいはずーっとこの調子で、思いやりのないヘタレ野郎・フレイの態度に、キユナが傷ついて…という繰り返しでストーリーが進みます。
 だから結構キユナが可哀想でほろりときちゃいます。
 新人作家さんとはいえ、樋口美沙緒先生の筆はなかなか達者で、すごく読者の胸を締めつけてくれるんですね。
 キユナがけなげに描かれているところ、そんな優等生っ子に向かって、わがままボンボン・フレイがひどい事を口走ったり、態度で見せたりするので、キユナがあまりに可哀想で…。
 
 でもその結果、読者の胸には、当然ながらキユナ可哀想! フレイ死ね! というマグマが溜まっていくわけですが…(笑)。

 本作のよいところは、エンディング近くで、キユナが傷つけられ傷つけられ傷つけられたすべての感情をフレイにぶちまけ、そこでついにへたれ野郎・フレイが自分の未熟さを悟って、“変身”してしまうところにあります。
 え、どんな“変身”かって?
 いやー、それはここでは書きません(笑)。
 でも、定番通りに急に格好良くなるとか、安易な展開じゃありませんです。
 ここでもやっぱり、「あー、こいつは本当に貴族のボンボンなんだなぁ」という変身ぶりを遂げ、何のかんの言っても最後はキユナを幸せにしてくれそうなところまで成長していってくれるわけですよ。

 ちなみに、今回のレビューでは全然触れませんでしたが(すいません)、本作はフレイとキユナのラブストーリーの背後に、中世イタリア国家らしい陰謀と謀略が渦巻いてまして、それが物語の通奏低音となって2人の恋にも影響を及ぼしてきます。
 そちらでは、まさに暴れん坊将軍的な感じでフレイが活躍したりする場面もあるんですが(本来はできる男という設定なので・笑)、なぜかキユナに対してだけは、フレイは本当にどーしょもない態度しか取れないへたれ野郎なんですよ。
 いちいち真に受けちゃうキユナが可哀想だろ! と、本を読みながらブログ主は何度叫ぼうとしたことか(笑)。
 こんな黒髪黒眼の東方人のことをフレイ様が好きになるはずがない…なんて思いこんでる真面目っ子に、なんでそんな酷いことを言うんだよ、という。

 こうしてみると、本当はお互いのことを好きで好きでたまらない2人が、方や真面目すぎて、方や貴族のボンボンすぎて、なかなかうまくいかない話という結論になりますが、おおむね間違ってはいません(笑)。
 その過程で、真面目っ子の真面目すぎるがゆえの胸キュン場面と、最後に貴族のボンボンが真っ当になってキユナが幸せになるまでを楽しむのが本書の醍醐味といえましょう。

 正直、新人作家さんということもあり全然期待しないで読みましたが、もちろんストーリーに回りくどいところがあったり、いろいろ詰め込まれた作者独自の設定が細かすぎてちょっと自己満足かなぁというところがあったり、不満な点はいくつかありますが、BLとして一番重要な、読者の胸をきゅーんと締めつけてくれることに関しては、ブログ主は自信を持って本書をお薦めします(笑)。
 これはなかなかのものですよ。
 あとは…。
 2人のラブいエッチ場面がもっと見たかったなぁというのが、ブログ主の不満です。
 高階佑先生が描くキユナのイラストも、とてもけなげで可愛いので、ぜひご一読をオススメします!

 おおお、いま為替相場見たら、ポンドが、ポンドがえらい上昇してる…!
 俺は、俺は助けられるのか!
 神よ…。
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