ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

スポンサーサイト


Category: スポンサー広告   Tags: ---
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[レビュー]冴えないガリ勉くんが愛で生まれ変わる! BL初期に飛び出した歴史的傑作 長谷川忍『目かくし鬼』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-ガリ勉  受け-メガネ  攻め-クラスの人気者  特徴-高校生  受け-ネクラ  ●ハ行-長谷川忍  
目かくし鬼 (ショコラノベルス)目かくし鬼 (ショコラノベルス)
(1998/08)
長谷川 忍

商品詳細を見る


『ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るといいよ』が本ブログのタイトルですが、そうは言いながらも、これまで紹介してきた優等生たちは、じつはみんなクラスのヒーローだったり、生徒会長だったりでありました。
 今回は、ブログタイトルの前半部分、「ネクラで眼鏡でキモオタな」に力点を置いた優等生受けをご紹介したいと思います。
 ti-kenとしても、じつはこーゆー優等生のほうが萌えたりするのですが(笑)。

 ご紹介するのは、長谷川忍『目かくし鬼』(ショコラN)。
 ti-kenには、本当に大切な心の1冊です。
 だって、すごく“ガリ勉受け”なんですもの…。

 主人公・幸弘は、友だち皆無、取り柄は本当に勉強だけ、クラスのヒーローどころか日陰者というタイプの優等生。
 必死に成績のために勉強するが、そんな自分を本当は受け入れられないという自己否定の塊のような“優等生”です。

 じつは、本作のストーリーを理解するには、表紙イラストを見るのが一番です。

 なので、蓮川愛さんの描かれた表紙イラストをぜひお見せしたかったのですが、amazonには表紙の登録がないようです。
 しょうがないので、文章で説明します。

 表紙には、ガクランを着て立っている高校生2人が描かれています。
 後ろに立つのが、何でもできるクセに“それなり”に楽しい日常を過ごすことにしか興味がない高校生・交野朱雀(攻)。
 何をやらせても要領がいい、授業は平気でサボる(でも無遅刻無欠席)、あまつさえ校内では合法ドラッグの売人として暗躍する――。
 朱雀は、文中でこう描写されています。

 朱雀が本気になれば学園全体を動かせる。
 はいて捨てるほどある人望と才能をもってすれば、完全無欠の優等生にも難攻不落の問題児にもなれただろうが、なぜか朱雀はどっちつかずの立場に甘んじていた。(
本文6ページより)

 その朱雀の前に立っているのが、主人公・曲直瀬幸弘(受)。
 のど元まできっちりとガクランのホックを締めています。
 眼鏡をかけ、ふだんはクラスでもいるのかいないのかわからない影の薄い存在。
 クラスメイトに「彼の特徴は?」と聞けば、返ってくるのは「ガリ勉くん(笑)」という答えだけ。
 そんな“優等生”が幸弘です。

 後ろに立つ朱雀が、前に立つ幸弘の目かくしを外す――表紙には、タイトル『目かくし鬼』にちなんだそんな瞬間が描かれています。
 優等生と、その暗く閉ざされていた世界を啓く“たったひとり”の人との出会い。
 作品が描くそんなテーマは、この表紙イラストにすべて象徴されているとも言えます。
『目かくし鬼』は、朱雀が幸弘を新しい光の世界へ連れ出す物語なのです。

 ストーリーは、平和な学園である日、1人の生徒が謎の転落死を遂げるところから始まります。
 学園総探偵化現象の中で、朱雀は1人の生徒が屋上から飛び降りようとする現場に出くわしてしまいます。
 それが幸弘との出会いでした。

「みんながあれの犯人はぼくだろうって言うんだ! いちばん得したのはぼくだって」
「ぼくなんか勉強しかとりえがないし、勉強だって一生懸命やらないとできないし、みんなガリ勉だってバカにしてるし」
(本文121ページより)

 そう言いつのる幸弘を抱きとめ、ゆっくり顔を見た朱雀は驚きます。

(へえ、こいつは…)

 太い黒ぶちや厚いレンズが隠していただけで、こうして見るとなかなか整った顔をしている。瞳も髪も真っ黒で艶があり、小麦色の肌はきめこまかい。

(…めっけもんだぞ)(本文122ページより)

 不思議な興味を持った朱雀は、「生まれ変われるクスリをお前にやる」と言って、幸弘を家へと連れて帰るのです。
 こんな親切はなんだか自分らしくないと思いながら。

 そして、言われるがままにクスリを飲んだ幸弘は、全身に広がる高揚感に「すごいや!」と感激してしまいます。
 世間知らずの無邪気なガリ勉くん――幸弘のそんなエピソードが続くこのあたりは、“優等生受け”のキラーコンテンツ満載です。
 読んでいて思わずニヤニヤしてしまうことでしょう。

 なんだか興味を持ってしまったガリ勉くんの面倒をつい見てしまう――朱雀はそんな気持ちに素直に従い、幸弘を“救う”べく動き出します。
 もっと生まれ変われと、幸弘を街へ連れ出し、服から眼鏡から髪型からすべてを変えさせてしまうのです。

 その結果、幸弘の抱えていた「怪物みたいなコンプレックス」の一角を崩すことに成功する朱雀。
 このあたり、心を近づけあわせていくふたりを描く長谷川先生の筆は冴えに冴えています。
 優等生の呪縛を解かれ、朱雀の前にあまりにピュアな心をむきだしにしようとする幸弘に、読者は萌える心を抑えられません。

 場面は進みます。
 なんで朱雀が自分にこんな親切にしてくれるのか戸惑う幸広。
 やがて彼は決心してこんな問いを口にします。

「…かっ、交野くんはっ」「ぼっ、ぼくのこと…すっ、すっ…」

 言い切れない幸広を朱雀は優しく抱き寄せます。

「俺はおまえが好きだよ」

 初めてのキスにくらくらになる幸広。
 そして、ここからのシーンは、お互いに“たったひとり”を見つけた2人が、初めて気持ちを交わす瞬間で、とても胸に迫ります。

「交野くんは、ぼくをどうしたいの?」

 朱雀はふいにこの「ぼく」を探していたのだと気づいた。
 欠けていたところに、ぴったりとはまるかけらを見つけた。
 地球のように綺麗なまるになって、どこまでも転がっていけるだろう。
 目の前がぱっと明るくなった感じ、劇的に自分が変わったのが分かる。

「ぼくはきみのいちばんになりたい」

 答えを出すのは幸広の方が早いし、言うことはちゃんと目を見て言う。

「いちばんにしてくれないなら、これ以上ぼくにかまわないで」

 先回りが得意な朱雀も出し抜かれるくらい油断もすきもありはしない。

「これが答えだ。目を閉じて口を開けて、じっとしてろ」

 一瞬きょとんとして黙った幸弘が、おずおずと目を閉じて口を開けた。
 すかさず唇を重ねた朱雀が答えの代わりにしたのは、たっぷりとした長さと深さのある恋人のキスだった。(本文171ページより)

 そして、セックスの何たるかもわかっていないくせに、「この先はもうしないの?」とばかりに朱雀に密着してくる幸弘に、朱雀の我慢も限界に。
 幸弘の様子がとても楽しくて、読んでいると気持ちが明るくなるシーンです。

「おいユキ、おまえもいちおう男ならコレが分かるだろう」

「なに…、朱雀?」

「なにってナニがだ、おっ勃たない男なんて男じゃないぞ」

 気がつけばソファの上でくんずほぐれつの揉み合いになっている。好きあっているふたりがくっつき合って何も起きないはずがない。

「どうしたいんだおまえは、この先もしたいのか俺と」

「あっ、ぼく…」

「俺はしたいよ、でもおまえがしたくないならしない」

 朱雀に幸弘を離す気はもうとうなかったから、幸弘が嫌なら自分で朱雀から離れるしかない。

「しっ…、しっ、して…」

「して? いいのか悪いのか」

「…いっ、いい…してっ」

 ところが幸弘はほんの少しも離れるどころか、いっそう力を込めてひしとしがみついてきた。

「したいぼくも、朱雀ともっと」(本文173-174ページより)

 そして最後まで行き着く朱雀と幸弘。
 今あらためて見てみると、30ページ以上にわたり、初エッチのようすが描かれているんですね。
 でも、まったく飽きさせないのがさすがです。

「ご感想は?」

「なんか…、すごすぎる」

 ふたりがひとつになって初めてしたのは、笑い合って、抱き合って、ちょっぴり照れくさくて、ごろごろとなつくたわいもない遊びだった。

「ぼくってすごい?」

「すごいすごい」

「とってもしあわせ」

 いや案ずるより産むがやすいとはよく言ったもの。もし幸弘が女で、この一発が当たって妊娠したら、責任とって結婚だなと朱雀も真剣に考えてしまう。

「夢みたい、朱雀がぼくの中にいる」

 まっぴらごめんと思っていたシチュエーションに、ものの見事にはまってしまってもう抜け出せない。幸弘の何にそこまで惹きつけられるのか、朱雀自身にもかいもく見当がつかないまま、いまや絶対絶命と思われる恋に落ちた。

「雲の上の人だったのに、きみ…」(本文191ページより)

 とてもti-kenの筆では紹介しきれませんが、自己否定の塊で、勉強することだけが存在証明だった幸弘が、朱雀と出会うことで変わり、そして幸せに包まれていく様子を、少しでも読み取っていただけたでしょうか。
 優等生である自分を受け入れられなかった幸弘が、サナギから孵化する蝶のように変化し、ゆっくりと翼を拡げていく様子を。

 ここに紹介させていただいた文章は、ほんの一部です。
 長谷川先生の書かれる、襞の多い絹のような美しさをもった2人の心理描写は、ぜひ本を実際に読まれて確かめていただきたいと思います。
 読んでみると、読者自身の心も解放されるような気持ちになるはずです。

 じつは『目かくし鬼』には、朱雀×幸弘のほかにも、数組のカップルが登場します。
 驚異的なことに、わずか1冊の単行本の中で、そのすべてが描かれきっています。
 おざなりなカップルなど1組もいません。彼らがいかに“たったひとり”と出会えたか、その幸せを抱きとめたかが心ゆくまで描かれています。
 それぞれのカップルは複雑に絡み合い、もちろん冒頭の謎の死の真相探しを織り交ぜながら、ストーリーを進展させていきます。

 物語のラスト、優等生であることを否定していた自分から朱雀の力で脱却し、しっかりと自分の足で歩きはじめる幸弘は、他のカップルたちと関わりを持つ中で、ある重要な役割を果たします。
 その姿は凛々しくすらあります。
“真の優等生”へと成長したのだと言うこともできるでしょう。

 物語の後半は、他のカップルも含めて、朱雀と幸弘のエッチも山盛りです。

「かわいいぜちくしょう、最高だぜ」

「もうっ、なに言っ…あ…いっ…」

 そうして得た強さと、もともとの頭のよさを生かした機知で、最後、朱雀とのエッチの中で、幸弘はある仰天することを口にします。
 睦み合いの真っ最中に飛び出す爆弾発言。もちろんネタバレになりますので、これ以上は書きませんが、読者もドッキリさせられる、とても微笑ましいシーンです。
 最後にその瞬間の朱雀のようすだけ本文から引用させていただきましょう。

 一瞬うっと息が詰まり、ぱちんと目が点になり、あんぐりと口が丸くあいて、気のせいか花筒に充填してある肉弾も縮こまる。(本文243ページより)

 こうして朱雀を驚かせる幸弘の姿に、自殺すると泣き叫んでいた最初の弱さはもうありません。
 でも、もし朱雀と出会わないまま、幸弘が自分を否定しつづけていたら、どのような恐ろしいことになったのでしょうか。
 いまだにそんな“たったひとり”と出会っていない人間が『目かくし鬼』を読むと、我が身を省みて、ちょっとした絶望を感じてしまうのもまた事実です。
 まことに幸せと不幸せは紙一重と思わざるをえませんね。

関連記事


Comments

Leave a Comment



08 2017
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

07

09


 
FC2カウンタ
 
プロフィール

ちーけん

Author:ちーけん
FC2ブログへようこそ!

 
最新つぶやき5件

Twitter < > Reload

 
最近のコメント
データ取得中...
 
 
 
 
Lc.ツリーカテゴリー
 
Lc.ツリータグリスト
 


Archive   RSS   Login

債務整理太陽光発電
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。