ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]「こんな顔は二人といない」とまで言われちゃうブサイク少年が色街に身を沈め… Hシーンも「感じてくれて嬉しい…」みたいな感じで超いじらしいです(笑) 和泉桂『~桃華異聞~宵闇の契り』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-不細工・ダサい  受け-努力家  受け-いじめられっ子  特徴-歴史もの  特徴-ファンタジー  ●ア行-和泉桂  
宵闇の契り―桃華異聞 (幻冬舎ルチル文庫)宵闇の契り―桃華異聞 (幻冬舎ルチル文庫)
(2008/12/11)
和泉 桂

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 昨年暮れに、平安時代のブサイク貴族が間違えて男の家に嫁入りしちゃって…というキモオタ受けBL『貴公子の求婚』をご紹介してからわずか1ヶ月…。
 またもや和泉桂先生の最新刊をご紹介することになりました。
 今回はルチル文庫から発売された『~桃華異聞~宵闇の契り』です!

 じつはこれ続き物の第2弾ですが、ストーリー上は完全に独立しているので、まったくこれ一冊で読めます。
 舞台が同じ中国風の仮想世界の遊郭という設定ですが、1作目のキャラはちょこっと顔を出すぐらいで、第一作を読んでいなくてもまったく問題ありません。

 ただ今回、自分としてはショックだったのは、06年に発売されていたシリーズ第一作『~桃華異聞~宵待の戯れ』をブログ主が読んでいなかったことです。
 amazonで表紙を見たら、絶対この俺サマが買い逃すはずがない…という感じの表紙でして、しかも今回ご紹介する第2作目がもんのすごく面白かっただけに、絶対第1作目だって面白いはず…と思うと、読みのがしていた自分が許せません…!
 てか、ブログ主のオタク根性からは、こんな自分を許せないのです!(笑)

 えー、はっきり言ってここをお読みいただいているみなさまにはまったくどうでもいいことですが、自分の日記として、シリーズ第1作を買い逃した理由を書いておきますと、ワタシ、じつはずっとこの作家さんのこと好きじゃなかったんです…。
 和泉桂先生のお名前と初めて出会ったのは、少し前の記事にも書きましたが、池袋の乙女ロードに女性向け中古同人誌ショップ『K-BOOKS』ができた95年くらいのことでした。
 銀行から下ろした給料を握りしめ、もちろん女性客しかいなかった『K-BOOKS』の2階・オリジナルJUNE同人誌コーナーにワナワナと震えながら買い物に行ったブログ主は、とにかく中身も見ずにオリJUNE本と見れば手当たり次第に買い物カゴにぶち込み、1回の買い物で5万円くらいは遣ってました。
 別に金持ちなわけではなく、他に金の使い道がなかっただけですが…(悲)。
 で、その“戦利品”の中に、和泉桂先生の同人誌があったんですよ~。

 すいません、いま手元にその本が見つからないので記憶で書きますが、サークル名が『犬とロマンチスト』でしたっけ?
 これは本の題名でしたっけ?
 たしか、井沢たみ先生のコンビを組んでおられた記憶がありますが、違ったかなぁ…。
 で、これがまたですね、95年当時としては、抜群に装丁のセンスがよく、なんというかとても洒落ている本になってまして、ブログ主は楽しみに読んでみたんです。

 そうしたら…。

 うーむ、正直あまり満足しませんでした(笑)。
 今思えば、お話がすごく上品でというか、表紙や装丁のセンス同様に、すごく都会的な小洒落たストーリーで、当然ながらエロも少なくというかほとんどなかった記憶がありますが、ぶっちゃけブログ主の好みからは全然離れていたんですなー!
 三つ子の魂百までも…とはよく言ったもので、その後のブログ主の頭には、和泉桂先生といえば、自分とは趣味のあわないお上品なBL作家という観念が染みついていたのでした…。
 だから、じつは2、3年前まで、作者名に「和泉桂」とあったら、ブログ主は全スルーしてたんです(笑)。
 そのため、06年に出た『桃華異聞』シリーズの第1作も見事買い逃していたというわけなのでした。

 その後、シャイノベルスなどから出た和泉桂先生のBL小説を読み、「え、昔と全然違う!」と衝撃を受け開眼。
 すっかり愛読者になって今に至っているわけなのですが…。
 ええ、だからですね、『K-BOOKS』で最初に買った和泉桂先生の例の同人誌は、じつはすでに処分してしまいました…。
 だから手元にないんです。
 なんだか今になってみると、すごく失敗した気分(笑)。
 これだから本を売るってのはリスキーなんだよな…。
 ちなみに、『犬とロマンチスト』については、同名の本がその後に今は廃刊となった『小説アイシア』か『小説アッシュ』か、90年代後半に創刊されたそのあたりのBL小説雑誌に再録されていた記憶があります。
 その後に単行本でも出たのかしら?
 ご興味ある方は、古本屋さんで探してみてもいいかもしれません。
 でも、昔と今の作品を比べてみると、やっぱり和泉桂先生の作風はえらい変化されてるなぁと思わずにはいられませんよ、もちろん読者にとって歓迎すべき方向に(笑)。

 では、今回の最新刊『~桃華異聞~宵闇の契り』をご紹介いたしましょう!

 まず本作の何がブログ主の心を震わせたか…。

 一言で言えば“ブサイク受け”なのです(笑)。
 えー、またまた話が逸れますが、ブログ主が考えます“世界三大ブサイク受け”というのがあります。

 一つが木原音瀬先生の『Don't Worry Mama』シリーズ。
 これはデブで心もブサイクな製薬会社のサラリーマン係長(受)が、そんな上司を大嫌いな若手社員(攻)と無人島に取り残されてしまうお話です。

 もう一つが、樹生かなめ先生の『ありのままの君が好き』シリーズ。
 気は優しく天使のような心を持っているけれど、外見は「ブタゴリラ」とあだ名される主人公(受)が、バリバリの若手弁護士にめたくそに愛されちゃうお話です。

 そして最後に、本ブログでもご紹介させていただいた田中鈴木先生の『アイツの大本命』シリーズ。
 全然モテない変な顔の高校生の主人公(受)が、転校してきた同級生のイケメンに付きまとわれて…というお話です。

 いえ、なんでこんなこと書いたかというと、この「世界三大ブサイク受け」の作品は、どれも最後の最後まで受けキャラがブサイクなままで…というふうに話をつなげようと思っていたんですが、書きだしてみたら、木原音瀬先生の『Don't Worry Mama』シリーズは、違いましたね(涙)。
 しょんぼり。
 残りの2作品、樹生かなめ先生の小説と田中鈴木先生のマンガは、どこまでいっても受けが超ブサイクなままですが…。

 で、じつは今回の和泉桂先生の作品は、この両者の微妙な中間を行ってるんですな!
 フフフ…。
 それがどういうことかって?
 いや、ネタバレになるんで、今回は明かすつもりないんですけど(笑)。

 でも、少なくともブログ主の感覚でいけば、ブサイク受けBLで一番重要なのは、受けがブサイクなまま攻めキャラに愛されるのか、最後はサナギから蝶に生まれ変わっちゃって、ブサイクを脱して愛されちゃうのか、その分かれ目にあると思うんですよね。
 もちろん、どっちがいいという話ではありませんが――ちゃんとストーリーとして納得できればOK――、でもやっぱりそこは大きな分かれ目だと思うんですよ。
 単純に好みだけでいえば…。
 ブログ主はもちろんブサイクなままで攻めキャラに愛されちゃうほうが断然好みですよ(笑)。

 で!

 今回の『~桃華異聞~宵闇の契り』は、ちょうどその中間なんです。
 おいおい、中間ってなんだよという話ですが、いやまあそうとしか書きようがないんです~。
 ブログ主的には、「あ、こういう終わり方もありかな?」と思いました。

 このブログで何度も書いてますが、BLというのは、少なくとも商業誌では、ラブストーリーでハッピーエンドでという大きな制約がある小説の分野ですから、その中で新しいストーリーを生み出すというのは、すんごく大変なんですよね。
 基本線で、ハッピーエンドのラブストーリーと決まっている以上、そうそう突飛なものも作れませんし。
 そうすると重要なのは、こうした新しい“様式”を作っていくことなんですねー。
 ブサイク受けでいけば、これまでは、ブサイクな主人公が生まれ変わってめでたしめでたしか、ブサイクなままで愛されてよかったよかったか、そのどちらかしかなかったわけですが、今回の和泉桂先生のエンディングの感じは、明確ではありませんが、そこにぼんやりとした第3の類型、中間的な類型を打ち立てたようにも思います。
 まあ、ブサイク受けBL自体が少ないので、難しいところなのですが!(笑)

 そして、新しいストーリーを生み出しにくいのがBL小説だという視点からいけば、本作はもう一つ、新しい類型を生み出しています。
 本作は、最初にもちょこっと書きましたとおり、中国風の遊郭が舞台のBL小説でして、主人公(受)がその遊郭で男娼として成長していく描写がストーリーの大きな部分を占めています。

 で。

 これまでもこうした遊郭BL、色街BLというのは、鈴木あみ先生の諸作品をはじめとして日本BL史上それなりに存在したわけですが、本作が打ち立てた新しい“遊郭BL”の類型というのはこれです。
 主人公(受)の男妓というか男娼というか、ぶっちゃけ言えば身体を売って生活している主人公が、商売のために他の男に身体を売るシーンがかなりしっかり描かれてるという(笑)。

 これはブログ主の見るところ、日本BL史上あまりなかった新しい“様式”だと思います!
 ブログ主は、こういうですね、今までとちょこっと違ったBLストーリーの変化を「味」と呼んでいますが、“運命の相手”以外に商売で身体を売るシーンがかなりしっかり描かれているというのは、これまでブログ主があまり読んだことのない新しい「味」だと思います(笑)。
 何度も書きますが、もう根本から新しいBLストーリーなんてのは、BL小説というものの構造上、そう滅多には生まれないわけで、じゃあBL作家さんたちはどうされているのかといえば、こういう新しい「味」を付けていくことで、日々新しさを生み出されていると思うわけです。
 その点、和泉桂先生の本作は、なかなか新しい「味」に満ちていると思うわけで、というか、和泉桂先生が書かれたとくに最近の諸作品を俯瞰すると、必ずそうした新しい「味」が盛り込まれているのに気づきますよね。

 前作『貴公子の求婚』でもレビューの中で指摘しておきましたが、これまで数々“優等生受け”BLというものはあれど、平安貴族ものの“優等生受け”それもキモオタ受け&ブサイク受けはほぼ存在しませんでした。
 単純な“優等生受け”ならば、秋月こお先生のキャラ文庫の作品があったのですが…。
 和泉桂先生が初めて描かれたわけで、やはりこれも新しい「味」なわけです。
 この進んだ感覚があるゆえに、現代随一の人気作家になられているんでしょうねぇ…。

 えー、相変わらず前置きが長くてスイマセン…。
 では、いよいよ最新作『宵闇の契り』のストーリーをご紹介するといたしましょう。

 最初に書いたとおり、本作の主人公(受)は、とてもブサイクだという設定です。
 まず冒頭数ページにして、こんな描写で寒村出身の少年である主人公・莉英(りえい)が紹介されます。

 莉英には身に沁みてわかっている。
 自分はひどく醜いのだということくらい。

 莉英の顔を見た者が皆、驚愕あるいは恐怖する一番の理由は、幼いころかかった原因不明の奇病で爛れた皮膚にある。
 腕や脚はそうでもないのだが、顔――特に額や鼻から上に、我慢できずに何度も掻きむしった痕が、大きな痣のようにべっとりと残っている。
 誰もが羨む色の白さも、莉英にとっては痣を目立たせ、痛々しさを増す原因でしかない。
 病痕は赤黒く残り、どんなに洗っても薄くならなかった。
 そのうえ、なぜか瞼(まぶた)のあたりがいつも腫れ上がったように膨らみ、視界は常に不自由だ。

 躰も同年代の子供たちよりは小さく、痩せぎすでみっともない。

 こんな外見の人間が二人といるはずがないと誰もが口を揃える、そこまでの異相だった。

 自分みたいに醜い子供を、血の繋がった親といえども可愛がるわけがない。
 おまけに、ここ数年来のひどい飢饉で、誰もが食うや食わずというご時世なのだ。
 外見も見苦しく病気がちの子供なんて欲しくなかったと、誰もが思うことだろう。
 両親からも早く死んで欲しいと望まれていたことを、莉英はひしひしと感じ取っていた。

 ごめんなさい。
 自分の存在が、両親を悲しませてしまうことがとても苦しい。

 せめて自分の顔が隠れるように肩先まで髪を伸ばし、前髪も長くしていたが、脂気がなくぱさぱさとした髪の煤けたような茶色は、よけいにみっともなかった。

 えー、ひどい言われようです(苦笑)。
 あわせて、イラストご担当の佐々成美先生が、商業上最大限許される範囲でブサイクに描かれたと思われる莉英の顔が挿絵で入ってますが、やはりそうあからさまには描けないのでしょう、見ようによっては可愛く見えるようなぐらいのブサイクぶりで、ブログ主としてはちょっと残念。
 もっともっとブサイクに描いてくれるといいのにと思うんですが(笑)。

 さて、親にも疎まれていた莉英は、兄の青林とともに、物語の舞台となる遊郭・桃華郷に売られていくとこだったのでした。
 人買いが欲しがったのは、もちろん眉目秀麗な兄・青林だけでしたが、青林は弟・莉英も一緒でなければ行かないと強く言い張ったのです。
 こうして2人は人買いに連れられて、男娼となるために桃華郷に足を踏み入れることになります。

 桃華郷は、まあ江戸時代の日本の吉原みたいなところと思ってください。
 この街は、人々が欲望を発散するために作られた街で、青林たちのように農村から買われてきた色子(いろこ)たちは借金を返すまで、この街から抜け出すことはできません。
 もちろん、ひどい面相の莉英は、色子にすらなることができませんでした。
 青林のみが色子として部屋を宛がわれ、莉英は下働きの下男として辛い日々を送ります。
 同僚の下男や、色子たちからも「こんな顔のヤツと一緒に働きたくない!」と蔑まれ、頼りは、優しい兄・青林だけだったのですが…。

 ある日、莉英は使い走りを頼まれた道中、タチの悪い男たちに絡まれます。
 急場を救ってくれたのが、近くの娼館の番頭を務め、腕っ節が強く、弱い者を助けてくれる気っ風の良さでもしられた大我(たいが)だったのでした。
 莉英に難癖を付けてきた男たちをたった一人で追い返した大我の格好良さに、莉英は思わず見とれてしまいます。

「ご、ごめん…なさい…」

 踏まれた掌が、ずきずきと痛い。
 骨が折れていないようなのが、不幸中の幸いだった。

「いいってことよ。おまえ、銀叡楼の莉英だったな」

 知っているんですか、と聞こうと思って、莉英は口をつぐんだ。

 この街を歩き回っているなら、知らないわけがない。
 こんなに醜い自分のことを。

 どうせ、この桃華郷に似合わぬほどに見苦しい下働きがやってきた――そんな悪意のある噂を聞いたのだろう。

 それは事実だから、何を言われたって仕方がないのだけれども。

「働き者の下働きが入ったって聞いたんだよ」

「え…?」

 驚く莉英に彼が手を伸ばしたので、ぶたれるのだろうと思わず首をすくめる。

「いい子だな」

 ――撫でられた…。

 全身に甘い痺れが走る。

 躊躇うことなく、大我が莉英に触れたせいで。

 その手は莉英を殴るためのものではなく、優しく慰撫するためのものだったのだ。

 信じられなかった。

 腫れぼったい目、ところどころ剥けている皮膚、消えない病痕。
 恐ろしい病気がうつるのではないかと皆が恐れ、青林以外は莉英に触れようとはしないのに。

 嬉しい…嬉しくて、たまらない。

 こんなふうに触ってもらえたら、この人のために何でもできてしまいそうなくらいに。

 これが主人公カップルの運命の出会いシーンです。
 はい、ここもブサイク受けBLとしては重要な点なのですが、ブサイクな主人公へ攻めキャラがどういうスタンスでいるかというのが、いま引用させていただいたところから、ちょっとだけ読み取っていただけたかと思います。
 パターンとしては、いろいろあるわけですよ。
 攻めキャラが、万人に優しいタイプで、醜い受けキャラにも他の人と同様に優しくしてあげただけ、とか。
 本作ではその反対。
 主人公(攻)・大我は、莉英の心の美しさに惹かれ、だんだんと2人は心の距離を縮めていくのです。
 みんなに優しいから、というわけではなく、莉英だから…という理由で、大我は莉英にいろいろ言葉をかけたり慰めたりしていきます。
 あ、といっても、これがなかなか恋心になっていかないところがミソなんですけどね。
 でも、2人はすぐに無二の存在として、ともに生きていくことを誓うんです。
 うーむ、なんという理想のブサイク受けでありましょう(笑)。

 ところが!

 好事魔多しとはいいますが、こうして桃華郷での莉英の暮らしに明るさが見えてきたと思った矢先、何と兄の青林が突然死んでしまうのです。
 借金を返そうと無理に客を取り続けたことが祟ったのでした。
 娼館の女将は、青林がいなくなったなら莉英の面倒を見るのなんかまっぴらとばかりに、莉英を店からたたき出します。
 でも、莉英にはもはや帰る故郷もないのです。
 途方に暮れた莉英は、真っ暗闇で顔も見せずに本当に身体だけを売る最下層の娼館ならば自分でも働かせてもらえるのでは…と、ついに自分も身体を売る決心を固め、店を回るのですが…。

「俺のこと、買ってもらえませんか?」

「ん? 色子希望か? …どれ、こっちに来な」

 腕を引かれた莉英は、あらためて明かりの下に連れて行かれた。

「ひっ」

 男は一度息を呑み、同時に莉英の腕をぱっと放す。

「病人は店にゃ置けないよ」

「どうしてですか? 俺、病気じゃないです。これは…」

「面倒はご免だよ。難癖つけてくる客はいるんでね」

 なんと最下層の娼館でもまったく相手にされない莉英。
 そして途方に暮れて夜の桃華郷を歩いていた莉英は、その様子を見ていた見も知らぬ男に暗闇に連れ込まれ、

「おまえみたいに薄汚い餓鬼は、初物の価値もねえよ。もらってやがるんだから、もっとよろこびな」

 なんて酷いことを言われながら、乱暴されてしまうのでした。

 ううう、なんという莉英の痛めつけられぶりでしょう。
 てか、ここまで大我と出会った以外に、莉英にひとつもいいことないんですが…(涙)。

 ところが、またしても莉英を救ってくれたのは、大我でした。

 まったく経験のない莉英の後孔は男を飲み込むことができず、殴られた莉英を道端に放置して、男はどこかへ消えていたのでした。
 それを大我が見つけ、自宅に連れ帰ってくれたのです。
 ここで「自分も男妓として身体を売り、兄・青林が死んだこの街で生きていきたい」という莉英の決意を聞いた大我は、最初はそんなことは止めろと翻意を促しますが、その決意の固さに打たれ、ついにその手助けをすることを誓うんです。

「――わかった。おまえがそこまで考えて出した結論なら、もう止めないよ。じきに成人もするし、立派な大人だもんな」

 大我は頷くと、改めて胡座をかいた。

「話がある」

 これまでに一度も聞いたことのないような大我の真剣な声が、莉英の鼓膜を擽る。

「な、何?」

 そう改まられると無性に怖くなり、莉英は表情を曇らせた。

「俺と組まないか」

「え…?」

 意味が理解できずに、莉英は眉をひそめる。

「俺がおまえを、桃華郷一の男妓にしてやる」

「お、俺を?」

 莉英はきょとんとした。

 男妓になるのはともかくとして、それも桃華郷一、だって?

 そんなこと、できるわけがない。
 大我は頭がおかしくなったのだろうか。

「無理だよ。何、言ってるんですか」

 莉英は自棄にやって笑い出した。

「俺になら、できる。おまえをこの郷一の売れっ子にしてやる」

「でも俺、こんな顔で…」

 自分なんて、きっと買ってもらえない。
 魅力なんて欠けらもない莉英は、最初の段階で弾かれてしまうに決まっていた。

「痣みたいになってるところは、薬で治せるかもしれない。おまえは膚が白いから、白粉を塗っても編じゃないしな。そもそも、窯子(=最下層の娼館)にいるあいだは、顔は問題じゃない」

 普段は寡黙というほどではないが、大我は饒舌というわけでもない。
 そんな彼にしては、珍しく多弁だった。

「でも、その…男の人とのやり方、とか…」

「全部、俺が仕込んでやる」

「大我さんが?」

 俄には信じられないことばかりを言われて、莉英は目を瞠った。

 えー、最初にですね、主人公(受)が、他の男に身体を売るシーンがちゃんと描かれてるって書きましたが、ほら、ね、主人公(攻)が、「最下層の娼館」に受けキャラを売るために「俺が教えてやる」とまで言ってますよ(笑)。
 いやもちろん、それは莉英が「桃華郷一の男妓」になるためのワンステップであり、それを助けてやりたいという一念からの申し出なんですが、なかなか普通のBLではない展開です(笑)。

 そして、数日後。
 大我の家で、莉英を相手にした“特別レッスン”がいよいよ始まったのでした。
 ブサイクで人に好かれたことにない莉英は、この日初めて他人に抱かれ、絶頂を極めてしまいます。

「こうやって、そうっと中に指を入れるんだ」

 ぬぷ、と指の先端が入り込むのがわかった。

「う、ん…」

 気持ち悪い。嫌だ、無理だ。

 押し寄せる異物感に惑乱し、莉英の額に汗が滲む。
 それでも、自分でするよりは大我の指のほうがまだ楽だった。
 奇妙な違和感は変わらないし、怖くてどきどきするけれど、なぜだか安心できる。
 このあいだの男の仕打ちも、思い出さずに済んだ。

「こうやって探っていくと、おまえにとっていいところがある。自分じゃわからなくても、触られていてわかることもある。そこを見つけるんだ」

 優しく耳打ちされ、莉英は大我の声を追うことに自然と集中した。

「いい、ところ…?」

「触るとわかるよ。上手く表現できないんだが、そこを刺激されると頭が真っ白になる」

 告げながら、彼が緩やかに指を回してくる。

 自分の躰のことは、自分が一番よく知っている。
 そんな妙なところあるわけが、ない。

 大我に尻を突き出したままその中を弄られるという構図に、恥ずかしさから全身が火照った。
 全身が湿り気を帯びて衣が膚にまとわりつくし、腿を伝い落ちる汗が気持ち悪い。

「…はあ…っ…あ…」

 もう、尻を弄るのはやめてほしい。怖くて、痛くて、全然よくない。
 いいところがあるなんて、嘘に決まっている。

「汗びっしょりだな。きついか」

「ううん…平気…」

「そうか。にしても、狭いな」

「狭い、って…ぁあっ!」

 くっとそこを押されて、思わず莉英は悲鳴を上げる。
 頭が真っ白になり、下腹のあたりがじわっと痺れた。

 気がつくと、莉英の性器は完全に立ち上がってしまっている。

 大我の言うとおりだった。

 ちゃんと、あった。
 自分の中に、刺激されただけでおかしくなるようなところが。

「ここ、いいだろう?」

 確かめるような大我の声は、あくまで冷静だった。

「う、うん…」

 くっくっと太い指で押されるだけで、躰の芯から何かが溢れそうになる。
 この感覚をなんて言えばいいのかわからないけど、確かに…すごく、いい。

「ここが、おまえの感じるところだ」

「感じる…」

「そうだ。入れられたときに、ここを刺激してもらえるように、自分で角度を変えるんだ。そうすれば、おまえも感じて躰が反応する。で、入れたほうも気持ちよくなるわけだ」

 どういう関係性なのか咄嗟には理解できなかったが、大我の言わんとするところはわかるような気がする。

「押すぞ」

「あうっ!」

 同時に下腹部で熱いものが弾け、莉英は自分が達したのを知った。

「ほら、襞が動いてる。きゅうっと締めつけて…いい子だ、莉英。おまえは具合がよさそうだ」

「ほ、本当?」

 そして、そのまま莉英は初めてを大我に捧げます。

「ん、んっ…んああっ」

 大我が動くと、腹の奥だけでなく、頭の中までぐちゃぐちゃになるようで、莉英は喘ぐほかなかった。

 よかった。自分の躰で誰かを少しでも悦ばせることができるなんて、思ってもみなかった。
 それを教えてくれたのが、初めての人が、大我でよかった。

「最初だから達かせてやるけど、普段はそこまでしなくていいんだからな?」

「え…?」

「何度も達ってたら、躰がもたないだろ。だから、自分でここを押さえて加減しろ」

 言葉と同時に無骨な指が、莉英の花茎に絡みついてくる。

「あうっ!?」

 根元を軽く押されて、めまいがするような痛みに襲われた。
 何かをせき止められるような中途半端な感覚に恐慌を来し、莉英は「やだ」としきりに悲鳴を上げる。

「きついだろ? ここを押さえると、たいていのやつは達けなくなる」

「わ、わかっ…た…からっ…」

「もう無理か? 仕方ないやつだな」

 抽挿する大我に扱くように上下に擦られて、莉英は別の意味で声をあげた。

「やだ、嫌だ…恥ずかしい…っ」

「うん、それも可愛いよ、莉英」

 そんなふうに囁かれると、躰の奥がまたぞくぞくと痺れる。
 気持ちよくてたまらなくて、大我に触れられたところが全部熔けてしまうみたいだ。

「大我…大我…っ、どうしよ…うごかな…っ」

「大丈夫、怖くない…いい子だ。いい子だ、莉英」

 うひー!(笑)
 本当にいつもご紹介してて思いますが、和泉桂先生の濡れ場場面は珠玉の文章の連続ですね!
 …なんで昔は全然違ったんだろ。←しつこい
 この場面、自分の醜さをコンプレックスに感じてる莉英に「可愛いよ」とか囁いて、超萌えますな!
 しかもこの場面には、佐々成美先生の超素晴らしいイラストがついてます。
 めちゃくちゃブサイクじゃないけれど、商業上ぎりぎり許されるブサイクさんに描かれた莉英が、大我に責められて泣きながら喘いでるシーンです。
 いやこれが…。
 えろす!(笑)

 こうして、大我の手引きで所属する娼館も決まった莉英は、男妓としての第一歩をついに踏み出します。
 自分に自信がない莉英は、必死でお客さんに尽くすんですよ。
 それがよいといって、莉英はだんだんと人気男妓に成長していくのです。
 で、このあたりの描写で、莉英が“他の男”に身体を売る場面が詳細に描かれたりするわけです。
 
 ところが…。

 自分に自信がついてきた莉英は、新しい薬があると聞けば手に入れてくれたりする、大我のこまめなサポートもあり、1年後には見違えるように美しい少年に成長していったのでした。
 栄養がよくなると、腫れぼったかった瞼も普通になり、何よりも痣がだんだんと消え、美しい白い膚ばかりが目立つ顔になってきたのです。
 最下層の娼館を脱し、だんだんと高級店へと引き抜かれていく莉英――。

 じつはですね、本書はすんごく分厚いです。
 文庫本のくせに(?)、350ページもあります。
 なんでこれだけ長いかというと…。

 ここからお話が二転三転していくのですよ!

 なんと、あれほど心が綺麗だと大我に言われた莉英は、美しくなり、人気が出るにつれ、周囲への優しさをなくし、大我との間にもすきま風が吹き始めるのです。
 いったいどんな心境の変化なのでしょうか。
 それでも、黙々と「お前を桃華郷一の男妓にしてやる」という約束を忘れず、大我は莉英の面倒を見るのですが…。
 さあ、“相棒”として将来を誓い合ったこの2人の恋の行方はいったいどうなってしまうの? というところで、残りはご自分で本を買ってどうぞご覧くださいませ(笑)。

 はい、ブサイク受けBLにはずなのに、途中ですっかり綺麗になってしまう莉英さんですが、最初に書きましたとおり、エンディングではまたそのブサイク受けの面が強調されることになってるわけですよ。
 いったいここからどうやってそういうストーリーの流れになるんでしょうね。
 それから、最後の10ページくらいは、ブログ主はマジに涙を流してしまいましたよ。
 あまりに切なく、胸にグッときてしまって。
 大我の心情も、莉英の思いも、すべてが読者の胸に悲しく響いてきます。

 さあ、ブサイクBL界初の“第3類型”エンディングとは、いったいどのようなものなのでしょう。
 ぜひご自分の目でお確かめくださいませ!

 それにしてもイイ物読んだぜ…。

 さーてと、明日は帰りに池袋の腐向け書店を回って、シリーズ第一弾『宵待の戯れ』を何とかして手に入れないと!

 ちなみにこのシリーズ、以下続刊だそうで、ブログ主はその日が今からとても楽しみです。
 莉英と大我のその後もちょこっとは出てくると思うし!
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