2009.01.14 (Wed)
[新刊レビュー]黒髪黒目黒眼鏡の人間嫌いな優等生サラリーマンが太陽のように明るい後輩と出会って… でもそんな単純な話だと思ったら大間違い! 『ディアプラス』09年1〜2月号より、山中ヒコ『新しい武器』
![]() | Dear+ (ディアプラス) 2009年 02月号 [雑誌] (2009/01/14) 不明 商品詳細を見る |
天才だ!!!
『ディアプラス』の先月号(09年1月号)と今月号(09年2月号)に前後編で掲載された、山中ヒコ先生の最新作『新しい武器』――。
もうお読みになりましたか!
読んでない?
こんな糞ブログを読むのはすぐに中止して、開いてる書店に走って、すぐに当該号の『ディアプラス』を入手してください!
なんという美しさ。
すべてが完璧なマンガです。
ストーリーが美しく、セリフが美しく、絵が美しく、様式感に富み、実験性もあります。
そして胸をえぐりつけるこの感動。
しかも、あくまでBLマンガであることを忘れていません。
あまりに完璧に整いすぎた美は、すぐに忘れ去られてしまうものですが、本作はどこか破調した部分も内蔵していて、読み終わった読者の胸に何か淀んだものを残していきます。
そんなところさえ含めて、完璧なマンガだとブログ主は思いました。
こんなすごいマンガというか創造物を生み出せたのならば、山中ヒコ先生はここでもう死んでしまわれても何の悔いもないのではないのか、などとブログ主は不謹慎なことを思ってしまいます(笑)。
こんなマンガを自分の雑誌に載せることができた幸運と栄誉への感謝が足りないと思います(笑)。
恐ろしいですね、才能というのは本当に恐ろしいですね。
私、こんなマンガ家さんが将来もし権力者の手先になって「若者は銃を持って戦場に行こう!」とか愛国心を鼓舞するテーマのマンガを描かれたら、あっという間に洗脳されて外国でもどこでも侵略戦争に行ってしまいそうです(笑)。
抵抗できないです、こんなすごいマンガ表現には。
億万言を費やしても、実際に読んでいただかないと本作『新しい武器』の素晴らしさを理解していただくことはできないと思いますが、せめて“読んでみよう”と思う方が少しでも増えるように、頑張って本作をレビューしてみようと思います。
正直なところ、先月号に掲載された前編を読んだ時点では、ブログ主はよくできた“優等生受け”マンガだなぁというくらいにしか思っていませんでした。
もちろん、この「よくできた」というのは凡百のレベルとはケタの違う話でしてその時点ですでにすごいマンガだなぁとは思っていたのですが、本日発売の『ディアプラス』今月号に掲載されていた後編を読んで、マンガ表現としての凄みに圧倒されてしまった次第です。
前編の冒頭、つまりはストーリーの最初の部分はすごく印象的です。
主人公(受)・神田泉(かんだ・いずみ)の私生活が、まるでNHKのドキュメンタリー番組というか、あの『プロジェクトX』の一場面みたいな調子で、ナレーションされるところから、ストーリーが始まるのです。
(神田泉の生活は規則正しい)
(朝7時半に起きて8時に家を出る)
(9時15分前 会社に着く)
(仕事はSE)
(締め切りが近づくと若手は泊まり込む者も多いが)
(神田は必ず家に帰る)
まずこれがすごく斬新な印象を読者に与えてくれると思います。
こんな淡々とした語りのようなナレーションをバックに、主人公・神田泉の日常生活が描かれているので、読者は本当にテレビカメラが追う「神田泉」という人間の私生活を覗き込んでいるような気になってしまうんですよ。
「神田泉」という人間の日常生活に密着取材したドキュメンタリー番組を見ているような…。
こんなのは山中ヒコ先生からすれば、ちょっとしたストーリーテリングの小さな遊びなのでしょうが、ブログ主はすでにこの冒頭部分を読んだだけで、「むむ、これはなんか新しいぞ!」と身構えてしまいました。
(帰りに近所のコンビニで夕食と翌日の朝食を買う)
(月曜日は8イレブン)
(火曜日はジェーソン)
(水曜日はファミリーパート)
(木曜は折り返して8イレブン)
(そのローテーションの繰り返し)
(土曜日はビールを少し飲み)
(日曜は少しだけおそく起きる)
(これが)
(神田泉の生活の全て)
そして、こんなナレーションをバックに、主人公・神田泉が同僚たちへの挨拶もそこそこに、きっちり定時で会社を出るシーンが描かれ、そこに同僚たちのこんなセリフが入ってきます。
「…人間嫌い」
「飲み会一切こねーぞ、あの人」
「えー、ありなんすか、ソレ」
「まあ仕事はできるしな」
「もう誰もさそわねーしなぁ」
人間嫌いで規則正しい生活を送るシステムエンジニア。
そんな神田泉のルックスは、地味なスーツに長めの黒髪、それにハーフフレームの黒眼鏡を掛けた、いかにも真面目そうな、融通の利かなさそうなそんな感じ。
こうなるとがぜん読者も興味を持ちますよね。
この主人公はどんなヤツなんだと。
そこに、さらに先ほどのナレーションが重なってきます。
(神田の携帯には)
(名前のないアドレスが一件入っている)
(もう二度とかけることのない番号だが)
(悲しいことがあると神田はその番号を眺める)
(そのために消さないである)
そして、先ほどの同僚たちの口さがない悪口が聞こえたのでしょう。
少しうつろな顔でその携帯電話の番号を眺める神田泉の姿が描かれます。
あれ、人間嫌いなだけの真面目くんじゃなかったの――?
神田の弱そうな面を見せられて、さらに読者はこの主人公がいったいどんな人間なのか、ググッと惹きつけられてしまうわけです。
ここまでマンガはとても静かに進みます。
描かれたのといえば、神田泉の静かな日常生活と、同僚の悪口を聞いて、悲しそうな顔で携帯を見つめる神田の姿だけですから…。
ところが、ここからいきなりマンガが騒がしくなります。
もう一人の主人公(攻)・染谷公介(そめや・こうすけ)が登場するからです。
物静かな神田とは正反対、明るくてそそっかしくて太陽に輝く後輩・染谷の登場で、マンガは一気に騒がしくなります。
「うわあああ!!! す…っ、すみません! や…火傷してないっすか…!? とりあえずスーツを…」
登場早々、染谷は紙コップのコーヒーを、職場で敬遠されている先輩・神田のスーツにぶっかけてしまう失態を演じます。
焦って神田に近づき、スーツを脱がせようとする染谷。
でも、神田はこんな時でも人嫌いです。
染谷の手をバシッとたたき落とすと、冷たく言い放ちます。
「やめてください。大丈夫です」
そそっかしい染谷は、IT企業であるこの会社に、何を間違ってか入社してしまった、まったくパソコンすら使えない新入社員でした。
すでに他の部署で使い物にならないと判断されて、神田のいる部署に回されてきた落ちこぼれ社員です。
染谷の面倒を見るようにいわれた神田は、仕事だからと引き受けますが、まったくSEの仕事ができないどころか、パソコンの基礎知識すらない染谷に呆れ、上司に「無理です」と言いにいきますが…。
「あ、やっぱり使えない? なんかなー、でもなぁ、彼すでに部署替え一回してるんだって。…まあ次はねぇ、ないかな〜。ここで使い物にならないとなると…」
「…クビですか」
「そうなるかねぇ。悪いヤツじゃなさそーだけどなァ」
そんな会話を神田と上司が交わしている間も、まるで忠実なワンコのように自分のほうから神田のほうを見つめている染谷。
まったく何もできないくせに、染谷はやる気だけは人一倍で、神田にも力強く宣言するのです。
「俺、パソコンも入社して初めて買ったんです。…でもオレがんばりますから!!!」
その顔は希望に満ちあふれ、眩しすぎるくらい。
教育係になった神田を全身で信頼して、まるで「ワンワン!」と尻尾をふっているかのようです(笑)。
神田は絶望に襲われながらも、なんだか染谷を見捨てることができず、その日から手取り足取り染谷に教育を始めるのですが…。
ここから、人間嫌いというか優等生な神田らしさ満点の指導が始まります(笑)。
まずはスパルタ。
後輩のことなんか人間と思っていないような厳しさで、神田は染谷を指導していきます。
「『てにをは』がなってない!」
「ハイッ!」
「これじゃ書類にならない!」
「ハイッ!」
「君はただでさえ技術がないんだ。こういうところで役に立たなくてどうするんですか!」
「は、はい!」
そして帰り際には、厚さ20センチはあろうかという参考書と書類の束をドンと染谷の前に積み上げます。
「これ明日までに頭にいれてきて」
「……」
「それでは僕はこれで」
どう見ても読むのに朝までかかりそうな本の山を見て、絶望に襲われる染谷ですが、染谷も死ぬ気でヤルと誓った身分ですから、会社に泊まり込んでえんえん本の山と格闘します。
(これを明日まで…)
そう心の中で呟きながらページをめくる染谷は、渡された参考書にたくさんの付箋が貼ってあるのに気づきます。
そこを開くと、神田の直筆でチェックが入っていました。
「ここから109ページまで重要です。」
気づくと、他の本にもすべてそんな注意書きが書かれていたのでした。
それを見て、神田の優しさに気づく染谷は、気合いを入れ直して、参考書の山に読みふけるのでした――。
こうして、ところどころに人間らしさが顔を出すけれど、基本的には人嫌いで友達もいず、周囲を寄せ付けないような真面目くんである神田泉の姿が描かれていきます。
翌朝にもこんなシーンが登場します。
「おはようございます。全部目を通しましたか?」
「…ばっちりっす! 先輩のメモのおかげっす! ありがとうございました!」
「…仕事ですから。気にしないでください」
このセリフを、黒髪黒目黒眼鏡の真面目くんが言うんですよ。
なんというツンツンぶりかと(笑)。
ところが!!!
ここから事態は急転していくのです(笑)。
…と書くとおおげさですが、だんだん仕事を覚えてきた染谷と神田は普通に会話を交わすことも多くなり、カチコチに凝り固まった神田泉の日常生活が、染谷の存在で崩されていってしまうのです。
「二人だと残業も楽しいっすね!」
「…そこ、ポインタの貼り方、間違ってますよ」
「えっ、マジすか、どこすか!」
「フローチャートを開いてください。ここが…」
「…先輩すげーなー。…先輩がいてくれてオレすげぇ心強いですよ」
にっこり笑ってそう言ってくる染谷の顔は、持ち前の性格もあって、弾けるような明るさを持っています。
普段は人が煎れたコーヒーなど絶対飲まない神田が、その笑顔に押されて、つい染谷の煎れたコーヒーを飲んでしまうほど。
そこに、こんな例のナレーションが被さってきます。
(染谷は神田になついた)
(染谷が来てから)
(神田泉のコンビニのローテーションはくずれてしまった)
そしてこんな場面が描かれるんです。
自分の残業に神田を付き合わせてしまい、しかもわからないことだらけで神田に頼り切りの自分を恥じて、染谷が謝ります。
「先輩すみません、調子のってましたよねオレ。自分で調べろって話すよね」
そう言われた神田は、数瞬の後、頬を染めてこんなセリフを口にするのです…!
「……僕も楽しいですから」
ずきゅーん♪←ブログ主のハートが撃ち抜かれた音(笑)
この場面、あの真面目くん・神田泉が、首まで顔を赤くして、そっぽを向きながら染谷にこんな言葉を言ってるんです。
可愛い…(笑)。
そして重要なのは、神田自身がそんな自分の変化に気づいていて、ざわめく心を感じていること。
ここから急激に、無表情だった神田泉は、その素顔を読者にというか、後輩である染谷の前で見せ始めるんです。
ちょっと話がそれて申し訳ありませんが、最初に書いたとおり、本作では冒頭部分で『プロジェクトX』風のナレーションが登場してくることもあって、読者はなんだかテレビカメラを通じて、「神田泉」という真面目くんの日常生活を見せられているような感覚を覚えます。
テレビカメラを通じて物事を見るということは、つまりは“本当にヤバイ”ところは絶対に映ってないということですよね。
それはすべて編集段階でカットされて、本人や制作者がOKと認めた映像だけが放送されるわけですから。
それがここにきて、急に神田の可愛い素顔が登場すると、本作ではなんだか急にテレビカメラを通じての映像ではなく、すぐ隣にいる友達としての神田や染谷の素顔を読者は生で見せられているような気になるんですね!
間に挟まっていた薄い膜が取れたような感じというか…。
思わずこう、グッと身を乗り出してマンガにのめり込まされていく感じがします。
マンガの表現方法として新しいし、効果的だなぁと思いました。
閑話休題。
そして、ついに染谷は人間嫌いの神田とサシで飲みに行くことになるんですね!
といっても、べつにこの段階では、染谷は神田のことをそういう意味で好きなわけでもなく、単純に大好きな先輩として感謝の意味で誘っただけなのですが…。
意外に酒に弱く、フラフラになった神田を送って、神田のマンションの一室まで来た染谷は、もう電車もない時間だから…と、神田に向かってお願いしてみます。
「先輩んち、泊まっちゃダメですか?」
ところが、酔った神田の答えはにべもないものでした。
「ダメです」(ふらふら)
「えー! だってもう電車が!」
「タクシーで帰りなさい」
「金ないです!」
「貸してあげます」
「えー!」
「…いやなんです。職場の人間を家に泊めたりするの。頼むから帰ってください」
そう言われると何だか意地になって、勝手に上がり込み、床に寝ころんであっという間に寝たふりをする染谷。
ところが、そこに聞こえてきたのは、思ってもみなかった神田の告白でした。
「…僕は…」
「前の職場で…」
「上司と恋愛沙汰で問題を起こして転職しました」
「…上司は男です」
「僕は…ゲイです」
「僕は…人の気持ちがよくわからないんです」
「上司は…既婚者で…でも強引な人で…」
ここでセリフにかぶるように、その「上司」に襲われ、レイプされる神田の姿が描かれます。
「だけど僕は…」
「誰かからそんな風に求められたことがなかったから」
「嬉しかったんです…」
なんという…。
これまで誰にも愛されなかった孤独な優等生だったんですね、神田…。
ようやくここで染谷が口を挟みます。
「ヘビーすね…」
「そうなんです」
「まあでも悪いことというのはたいがい長くは続かないですね」
「奥さんにバレて三人で話し合いをすることになりまして」
そして、神田はその「上司」に責任をすべて押しつけられて転職せざるをえなくなった顛末を明かすのでした。
そのまま黙り込み、寝てしまった染谷と神田でしたが――。
真夜中、神田は自分にのしかかる重さで目が覚めます。
染谷が自分を押さえつけるようにしてのしかかっていたのでした。
「ん…。そめ…やくん?」
「…先輩。何でゲイだって言ったんですか…? それってオレを男として見てるってことですか?」
――というところで、これが前編のラストシーンでした!
超ドキドキする終わり方ではありますが、人嫌いで周囲を寄せ付けない真面目くん・神田泉が少しずつ後輩の心を開いていくようすと、正反対に明るくて誰からも愛される人気者の後輩・染谷が神田の隠された素顔に触れ、だんだんと引かれていくようすを描いた佳品という感じ。
すごく上品な、でも心温まるタイプのラブストーリーとして、このまま来月へ続くのかなとブログ主は思っていたのですが…。
ところがどっこい!
今日読んだ後編が、これはもう鮮烈だったのです。
大ざっぱにいえば、前編のすべてのページが後編のための伏線だったと言ってもいいくらい。
後編の冒頭も、前編と同じく、『プロジェクトX』風のナレーションがついて、じつは開始されるのです。
――今度は、神田泉ではなく、前編では明るさ一辺倒だった後輩キャラ・染谷を主人公にして。
そして、ここで前編と同じく淡々とした口調で、染谷の人生が、それも前編を読んだときには想像すらできなかったヘビーな人生が明かされるのです。
前編と同じ形式で後編も始めるというこの様式感は素晴らしく印象的ですし、また冒険的でもありますが、これも山中ヒコ先生の遊び心なのでしょうか。
ベートーベンの交響曲『運命』の冒頭には、ジャジャジャジャーンというあの有名な主題が登場しますが、西洋の交響曲においては、曲はソナタ形式という一つの音楽的な文法に則って、進んでいきます。
別の言い方をすると、ジャジャジャジャーンという主題を、リズムを変えたり、長調を短調にしたり、主題を飾る和音を変えたりして、いろいろに変化させながら曲を進めていくわけなのですが、えらいペダンチックな言い方で申し訳ないのですが(笑)、ブログ主は本作を読んだときに、前編と後編が同じ形式で始まるという、その様式的な美しさや、その中で描かれている2人の男の人生の対比などを見て、ふと頭の中で「まるでソナタ形式のようなマンガ…」という意味不明な感想を持ちました。
音楽に興味ない人にはまったく意味不明な感想でスイマセン(笑)。
でも、この冒頭部分、前編と後編が同じ形式であっても、この後編冒頭部分で盛られている内容があまりにヘビーなので、読者の心はそんな様式美を超えて、あっというまにマンガに惹きつけられてしまいます。
その内容をここで詳しく書いてしまうと、これから本作を読むみなさんの興が削がれること夥しいので、基本的にネタバレ上等の本ブログですが、今回は自重いたします…。
でも、あまりに悲しくて読むのが辛いくらいの染谷の過去がここで描かれるのです。
そして絵が!
この場面、またですね、山中ヒコ先生が描く染谷の子供時代の絵があまりに悲しく、読んでいると胸が張り裂けそうになりますよ…。
前編の最後、染谷が神田にのしかかるシーンを読んで、「むふふ、後半は真面目っ子の眼鏡くんが後輩にラブラブに愛されちゃうお話になるんだろうなぁ〜」とか、まるでどこぞの優等生スキーのような軽い気持ちで後編を読み始めると、もうガツンとやられるどころでは済みません。
いや、間違ってはないんですけど(笑)。
実際、後編の冒頭、あの晩、「オレのこと男として見てるってことですか?」なんて神田に迫った染谷が、そのまま本当に神田を抱いてしまったことが明かされ、あの黒髪眼鏡で超真面目っ子な神田が、超エロくなって染谷に抱かれてしまったベッドシーンも詳細に描かれてます。
…ええ、ブログ主的には大大大大大満足ですよ(笑)。
事実、ページ数といい内容といい、とっても充実してます。
そして何よりこのエロ場面が優れているのは――それは山中ヒコ先生のマンガ家としての力量の高さを示していることでもありますが――、優等生チックな神田が初々しくも染谷にフェラチオしたり、でも前の「上司」に慣らされたのか、いやらしく染谷に挿入をねだったり、そして思いっきり喘ぎ声を挙げて感じちゃったりという、単純にエロとして激しく、いやらしいことは言うまでもないのに、エロが描かれることを通じて、他のことも同時に描かれているということです。
この場面でいうと、ここまで読者に明かされてこなかった、神田が後輩・染谷のことを本心ではどう思っていたのかということとか、べつにゲイでもないし、これまでは普通に女の子が好きだった染谷が、なぜいきなり神田のことを抱いてしまったのかという理由や、はたまた恥ずかしい痴態を染谷にさらしてしまうことを極度に羞じる神田という優等生クンの潔癖さや、そしてこれが一番大事なことですが、じつは神田がどれだけ染谷に抱きしめられることを喜んでいるのかということや、とにかくそんな2人の間の感情のもろもろのことが、すべてこのエロ場面を通じて読者の心に深く染みこむようになっているんです。
もうマンガとしてのレベルが、他の作家さんとは違いすぎると、正直ブログ主は感じました…。
すごい!
で、普通のマンガなら、もうここで終わっちゃっても十分面白かったと言われそうなのですが…。
本作は、ここからさらに一段も二段もお話が広がります。
先ほどのエロシーン、じつは読むととても興奮させてくれる素晴らしいデキなのではありますが(笑)、読んでいるとなんだかとても悲しい気分にもなるのです。
それがなぜだか、この時点では読者にはよくわからないのですが…。
でも、必死で染谷に抱かれる神田を見ると、読者の心には、前編で見せられたあの場面が甦ってきます。
悲しそうな顔で、「辛いことがあると見る」という、携帯電話に収められた番号を見つめる神田の顔が…。
そして、染谷に抱かれた翌朝、神田は目を覚ますと自分を抱いた後輩が、ベッドから、いや部屋から姿を消していることに気づきます。
「……染谷くん…?」
ぽつんと一人残された部屋で、そう呟く神田。
その姿は、もうなんともいえない寂寥感を帯び…。
じつは、初めて男を、しかも職場の先輩を抱いてしまった神田は、混乱のうちに部屋を飛び出し、そのまま神田に黙って、一週間の出張に地方へ行ってしまったのでした。
何の連絡もなく、染谷が目の前から消えてしまい、ショックを受ける神田…。
さあ、お互いに心に暗いものを抱えあっているかのような2人の恋は、ここからいったいどうなってしまうのか――。
というところで、ええ、絶対に損しませんから、黙って『ディアプラス』の先月号と今月号を本屋で買ってきておくんなまし。
ネタバレになると思って、まったく書きませんでしたが、染谷の過去に何があったのか、そしてポツンと残されてしまった神田が取った衝撃の行動とは…などなど、見所満載です。
本作の後編のラストシーンを読むと、愛とは何なのか、という至極単純な、でも大きなテーマが胸にずーんと響いてくるような気がしますですよ。
それはそんなに綺麗なものじゃないけれど、やっぱり美しいものなんだという。
で、どうしても言わずにおれないので、こんな場末のブログでお願いしておきますが…。
ぞ・く・へ・ん・か・い・て!!!!!!!
続編を描いてくださいましぃぃいいいいいい!!!!!!!!
いや、もちろんあのラストでちゃんと完結してるのは百も承知してるんです。
でも、もっと読みたい!
あの後も読みたい!
つーか、神田泉がデレになるところも、もっともっと見てみたい!
優等生がいやらしいことするところ、もっと見たい!!!!!!←これが一番言いたい(笑)
というわけで、山中ヒコ先生のお名前を表紙に大きく入れてない、センスのないディアプラス編集部のみなさん、何とかよろしくお願いいたします!!!!(超失礼)
…やばい、今日が終わるまで残り1分!
一日一更新ぎりぎり間に合うか!!!
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「丸角屋の嫁とり」から山中ヒコに激ハマリしてしまい、関連の記事を探して探して
やっとこちらにたどりつきました。^^
「新しい武器」(後編)も素晴らしすぎて
もう!もう!!!・・なこの気持ち。
アタシの感じたそのまま(以上?)を言語化してくださってありがとう!です。
特に、表紙の名前が小さい!て所にものすごく同意!^^
DEAR+の看板作家に育てればいいのに!
さっき2CHに行ったら「同人界の嫌われ者」とかって書き込まれてて
軽く凹んだところで。(もし本人が見てたら軽く・どころじゃないですが。)
まー、にちゃんなんか阿諛追従?無責任な発言がほとんどなんで
気にするこたあないと思うし
マンガ家は作品が良ければ他はどーでも。
そして、山中ヒコはすごいマンガ家だ、と。
すごい作品を読ませてくれてありがとう、と。
その再確認をさせてくれてありがとうごじゃいました。
他にも興味深い記事が沢山あるみたいなんで
またおじゃまします。では。^^