2009.01.12 (Mon)
[新刊レビュー]まだ半分しか読み終わってないのにレビュー書いちゃいます! それぐらい胸キュン! 本当の気持ちを隠して、長年好きだった親友に抱かれる真面目黒髪優等生…「こんな俺なんか好きになってもらえるはずが…」と自己否定の嵐! いとう由貴『恋の誘惑、愛の蜜』
![]() | 恋の誘惑、愛の蜜 (CROSS NOVELS) (2009/01) いとう 由貴 商品詳細を見る |
すいません、じつはまだこの本、読み終わっていません!(マジ)
まだ読んだのは半分だけです。
なのに、なぜレビューをここで書きはじめちゃってるのか…。
もちろん答えはひとつ。
間違いなくオススメできる一作と、この段階で確信したからです!
切ないエピソードの連続に、本作を読んでる最中、ブログ主の小さな胸(嘘)は、もうギューギューと締めつけられっぱなし!
しかも、主人公(受)のネクラっぷりといったら…。
この感動が色あせてしまう前に、ギュッと真空パックにしてみなさんにお届けしたい…! というわけで、まだ読み終わってもない本を超強力にオススメするという前代未聞のレビューを書いている次第なのです。
ご紹介するのは、この本!
いとう由貴先生の最新刊『恋の誘惑、愛の蜜』です!
新書一冊分の長いお話が、えんえんこのトラウマをめぐって展開していきます(はず)。
いったいそのトラウマとはなんでしょう。
まずはストーリーをご紹介しつつ、そのあたりに触れていきましょう!
主人公(受)の相澤知也(あいざわ・ともや)には、長年の親友がいます。
高校時代から、お互いが社会人になった今でも親しく連絡をとりあっている桐嶋貴之(きりしま・たかゆき)です。
とりたてて目立つところのない容貌に、暗い印象を与える黒髪、そして外見どおりの真面目で融通のきかない性格――。
知也は、そんな自他共に認める生真面目な優等生でした。
親友の貴之は正反対です。
明るく華やかなオーラを振りまき、女の子を次から次へととっかえひっかえしていても誰からも悪くいわれない得な性格。
ハーフのような甘い顔立ちに栗色の髪は、誰に対しても貴之を魅力的に見せてくれます。
でも、そんな2人は一番の親友同士。
周囲からは、なぜ貴之のような華やかな男が、知也のような地味な優等生を一番の友達にしているのか、不思議がられていました。
それから10年――。
知也は、今では大手出版社の雑誌編集者として働いています。
そして、貴之はこの間にフランスへ留学し、本場の菓子職人のもとで修行を積んで帰国、今では人気パティスリーとして、自分の店を構え、忙しい毎日を送っています。
今でも2人の親友ぶりは変わりません。
何かあると、お互いにすぐ連絡をとる存在です。
さて、ここからが重要な設定なのですが…。
主人公(受)の知也は、高校時代からずっと貴之のことを好きなのです。
でも、同性同士という許されない恋であることはわかっていますから、一度もその思いを口にすることなく、親友の地位を守り続けてきたのでした。
ええ、そうですね、そんなのはBL小説では今までに100万回使われてきた陳腐なパターンですよね。
じゃあ、いったいブログ主がそのどこに惹かれたのかということになるわけですが――。
ところが事件が起きたのです。
知也がパリで修業時代を過ごした時の師匠である菓子職人が、突然の交通事故で急死したとの知らせが舞い込んだのでした。
父親同様に師匠のことを慕っていた貴之は、すぐに渡仏して葬儀に参列して日本に戻りますが、ショックのあまり酒に溺れる夜を過ごします。
もちろん、それに付き合ってやったのは、“親友”である主人公(受)・知也でした。
「…こんなにあっけなく、人って死ぬんだな。おまえも、運が悪ければ明日にでも死んでしまうかもしれないんだ」
「明日になんて死なないよ」
知也は苦笑して答える。
貴之はそれに、まるで小さな子供のように駄々をこねた。
「だけど、運命なんて誰にもわからないだろう? いつ死ぬかなんて、誰にもわからないんだ…。こんなに早く、いなくなってしまうなんて…」
ポツリと呟いた声が、哀しげだった。
知也はなんとかして、貴之を慰めたかった。
大丈夫だと言ってあげたかった。
貴之の手のひらを仰向けにし、それから、自分の手のひらを貴之の手に並べる。
「ほら、貴之のも、僕のもどっちも生命線が長い。明日死ぬなんてことはないよ」
気休めにもならない慰めを、知也は必死で貴之に言う。
貴之は目を大きく見開き、二人の手のひらを見つめていた。
じっと見つめ、呟く。
「…本当だ、長い。明日も生きてるよな」
「ああ、生きてるよ。生きて、ずっとずっと貴之と一緒にいる。ずっとだ」
「ずっと…本当に?」
貴之が泣きそうな顔をして、知也の肩を掴んでくる。
知也はその手を軽く叩いた。
こんなに弱った貴之を見ていられなかった。
「本当だ。決まってるだろう? 今までだってずっとそうだったんだから。僕たちはずっと…」
友達だ、と知也は続けようとした。
だが、それは言葉にならなかった。
貴之が知也に抱きついてきたからだ。
縋るように抱きつき、切なげに抱きしめてくる。
知也は息が止まるかと思った。
「貴…之…?」
「ああ…温かい。知也、生きてるな。生きてる…」
呟き、貴之が顔を上げ、知也を見つめてきた。
じっと知也の目を見つめ、そして――。
「俺は寒い。寒いよ、知也…寒い…」
子供のような、哀しげな呟きだった。
その時、自分になにが起こったのか、知也はわからなかった。
気がついたら、知也は貴之を抱きしめ返していた。
寒いと言ったその身体を温めるように強く、やさしく。
「寒くなんかない。寒くなどあるものか…貴之」
「知…也…。ん…っ」
頼りなげな目をしている貴之があんまり可哀想で、知也は貴之の唇に、自分のそれを押し当てていた。
どうしてあの時、キスをしてしまったのだろう。
貴之があんまり傷ついた顔をしているから、寂しい顔をしているから、知也はただなんとかして慰めたかっただけなのだ。
触れるだけ。
ただそれだけのキスだった。
だが、そのキスが、二人の何かの堰を切った。
えーと、今の部分、なんだか知也が貴之を襲ったような感じになってますが(笑)、あくまで知也が受キャラですから念のため。
貴之は、ショックと酔いで弱くなっちゃってるだけです。
でも、友達思いでやさしい知也の性格がよくわかる部分ですね。
なぜ、正反対といわれる2人がこうして友人関係を保ってきたかもよくわかります。
でもこの晩。
こうして2人は、長年の親友だったはずが、一線を越えて身体を繋げてしまうのです。
酒に酔っての一晩だけのこと――。
そう思った知也は、長年好きだった男からの誘惑に耐えきれず、その夜、初めての身体を貴之に捧げてしまうのでした。
え、そんな設定も、これまでのBLで100万回読んだ?
まあ、そう焦らずに(笑)。
こうして親友・貴之とセックスをしてしまった知也ですが、翌朝、思ってもなかった事態が待っていたのでした。
気がついた時には、朝になっていた。
裸のまま、知也と貴之はまだ身体を絡ませあっていて、目覚めた知也は赤面した。
だが、貴之はまったく顔色を変えなかった。
「おはよう、知也」
見たこともないほど機嫌のいい貴之が、目覚めた知也にキスをしてくる。
唇に落とされたキスはすぐに深くなり、押し当てられた貴之の雄が反応しているのを感じさせられる。
「た、貴之…」
目覚めてもまだ身体を求めてくるようなことをしてくる貴之に、知也は慌てた。
あれは、昨夜一晩限りのことだ。
濡れて凍えたヒナが身体を温め合うように、知也は貴之の悲しみを一晩温めただけのことだった。
動揺している知也の身体を、貴之がべっどに押しつけてくる。
「昨夜はごめん。ついおまえに甘えちゃって…。知也、初めてだったのにきつくなかったか? 今度はやさしくするから」
そう言いながら、知也の身体をまさぐってくる。
貴之がなにを言っているのか、知也にはわからなかった。
「ちょっ…貴之、なにするんだっ。あれは、一晩限りのことだろう!」
「それは…」
知也が抵抗すると、貴之が後ろめたそうに知也を見つめる。
照れたような笑みが、口元に浮かぶのが見えた。
「なんていうか…雰囲気でああいうことになってしまったけど、案外よかったっていうか」
(中略)
しかし、貴之が大切そうに知也を抱きしめてきて、知也は返す言葉を失ってしまう。
「知也、彼女の話とかも聞かないし、男と付き合ったことがあるなんてことも聞いたことないし、それに、昨日の反応とか…。男も女も俺が初めてなんだろ?」
「それは…」
軽く否定してやりたいのに、経験豊富な貴之に否定できない。
抱いてみたら、知也の経験の有無くらい、貴之にはわかっていそうだ。
答えられない知也に、貴之が嬉しそうに笑う。
「すごい…嬉しかった。知也、真面目なのに…男相手なんてとんでもないと思っているだろうに、俺のために…初めて…くれるだなんて」
「別に…そんなことは考えてない。ただ、おまえがあんまりつらそうだったから…」
それ以上の意味なんてない。本心を押し隠して、知也は貴之から顔を背ける。
経験の有無がばれてしまうのはまだしも、貴之に対するこの思いだけは知られるわけにはいかなかった。
貴之は、知也のそんな感情を知ってか知らずか、愛しげに知也の頬を撫でてくる。
「やり捨てなんてできないよ。知也、すごく可愛い」
いま引用させていただいた、いとう由貴先生の文章の中に、「真面目なのに…」とか「男も女も俺が初めてなんだろ?」とか、本ブログ的にすんごく引かれるキーワードがいくつも出てきましたが(笑)、ここでは先を急ぎます。
なぜ、知也がこれほど頑なな態度を取るか、みなさんもここまで読んで不思議に思ったんじゃないでしょうか。
いくら、隠しとおすと決心していた親友への思いとはいえ、貴之は「知也、すごく可愛い」とまで言ってるわけで、絶対にここで告白すればうまくいきそうなものじゃないですか。
えー、長い伏線でお待たせしました(笑)。
知也にそれをさせないのが、最初に言いました“トラウマ”の存在なんですよ。
高校時代、女の子を取っ替え引っ替えして遊びまくっていた貴之は、早ければ2日で女の子を振るような生活を送っていました。
その理由は「電話が長い」「メールがしつこい」「すぐに腕を組みたがる」――。
どんな子と付き合っても、すぐに「ダメなところ」を見つけて、別れてしまうのです。
そのたびに、貴之は知也のところに来ては、こう愚痴るのでした。
「…なあ、なんで女って、一回寝ると急に図々しくなるのかな」
独占欲丸出しで、貴之のことを束縛しようとする彼女たちに、ほとほと我慢ができないというのでした。
それをずーっと聞かされ続けた知也には、貴之の好みは、しつこくなくクールな付き合いができる大人のオンナだと嫌というほどわかっていたのでした。
だから、こうして間違いから身体を繋げてしまった翌朝、これまで貴之を困らせていた女たちのように、馴れ馴れしい態度を取ることは、知也には絶対できなかったのです。
これからも貴之の親友として、一番近い位置にいるためには…。
そして、この身体だけの関係でも、少しでも長く貴之に続けてもらうためには…。
そして!
本作では、以下、すっかり知也の身体を気に入ってしまい(もちろんその優しい性格と心も)、何度も呼び出しては知也を抱きすくめ、快感に喘がしてしまう貴之と、長年好きだった男に抱かれることはもちろん嬉しいのだけれど、少しでも馴れ馴れしいところを見せたら、すぐに貴之に嫌われてこの関係も終わってしまうと思いこんで、無理してクールな態度をとり続ける知也との、すれ違いの恋模様がずーっと描かれていくわけです。
これがねぇ…。
とんでもなく胸をきゅんきゅんさせてくれるのですよ!
まず、無理やり冷たい態度を貴之に見せようとする知也が、演技丸出しで可愛いのなんの(笑)。
抱かれてるときは、知也は貴之に意識を失わされるほど快感に溺れさせられ、泣かせられてます。
「…全部、入った。わかるか、知也?」
「あ…あぁ…っ」
繋がった下肢をゆるく揺さぶると、知也から思わずといった高い声が上がる。
すぐに唇を両手で塞ぎ、知也が怒ったように貴之を睨んでくる。
睨む眼差しも可愛くて、貴之はゆったりと腰を回しながら、囁いた。
「声、聞かせてよ。知也の中…俺もすごく気持ちいい…ん」
「…馬鹿…あっ…ぁ、んっ」
抜き差しはせず、ただ腰を揺らすだけで知也の中を味わっていると、潤んだ媚肉が痙攣するように震え、貴之の男根に絡みついてくる。
もっと激しく蹂躙してほしいとでもいうような、みだりがましい襞のうごめきだった。
そのくせ、動いてほしいと知也は言えないようだった。
な・の・に♪
絶頂を極めさせられたあと、知也はこんな態度を取るのです。
「早く、抜け! あっ、もう11時近いじゃないか。帰るぞ。ほら、どけ!」
さっきまでの情欲の名残はどこにもない。
しかも、知也は帰るという。
「泊まっていけばいいじゃないか。そしたら、もう一回できる」
未練がましく貴之が呻くのにも、知也はそっけない返事しか返さない。
「そういうだらしがないのは嫌いなんだ。シャワーを浴びるから、早く抜けよ」
うふふふ。
どうです、この知也の無理やりなツンツンぶり(笑)。
そのくせ、そのくせですよ!
知也はつねに貴之にこんな自分は飽きられて、この関係すら失ってしまうのではないかという恐れを抱き続けるんです。
雑誌で食べ物取材ばかりしてる知也は、こんな物思いに耽ります。
――そろそろジムにでも通う習慣をつけたほうがいいかもしれないな。
数年後も貴之と今の関係が続いているとは思えないが、スタイルは悪いよりいいほうがいい。
仕事に任せて太り始めたら、貴之にそっぽを向かれるかもしれない。
――貴之、美人が好きだもんな…。
付き合っている男、はさすがに見たことがないが、女性ならばわりと会ったことがある。
いずれも、歴然たる美女からかわいい系の美人まで、とにかく貴之と並んで遜色ない容貌の持ち主ばかりだった。
その点だけでも、知也は分が悪い。
地味な容貌の上、これといっておしゃれなわけでもない。
今日だって、セーターにジーンズで、それにハーフコートを羽織っているさまはお世辞にもカッコイイとか、ステキだとか言えるものではない。
この上太りでもしたら、きっと貴之に呆れられる。
さらに、こんな場面も。
――僕は、魅力的じゃない…。
知也は唇を噛みしめる。
魅力的じゃない上に、自分はこんなにも意地っ張りだ。
本当は、貴之が迎えに来てくれたことが嬉しいくせに、不機嫌な顔をして突っかかってしまう。
けれど、甘えていいなんて、知也は貴之の恋愛遍歴から学ばなかった。
甘えて、馴れ馴れしくすれば、貴之はあっという間に気持ちを覚ましてしまうに違いない。
なんというネクラっ子でしょう〜(笑)。
つねに頭の中は自己否定。
こんな自分を貴之が好きになってくれるわけがないと思いこんでます。
それが、ツンツンした態度にあらわれるという。
でも、本心では貴之に優しく抱きしめてもらいたいというこの二律背反。
おわかりでしょうか。
本作では、とにかく最初から最後まで(まだ半分しか読んでないけど)、この知也のネクラっぷりがストーリーを支配してまして、貴之から「好きだ」とか「愛してる」とか言われても、知也は「こんな自分が愛されるはずがない」と勝手に否定して、冷たい態度をとり続けるのです。
うひゃー、たまらんばい!!!!(笑)
ブログ主が、まだ半分しか読んでないのにレビューを書き始めた気持ちをわかっていただけますでしょうか。
というか、さっさとこの記事書き終わって、残り半分読みたいんですが!(笑)
いま半分まで読んだと先ほど書きましたが、なんだかここから、冷たい態度をとり続ける知也の態度にシビレを切らした貴之が、重大な告白をしそうな感じになってます!
あうーん、早く読ませてー(笑)。
しかも、このあとのページをぱらぱらめくると、すんごくエロい挿絵がたくさん出てくるんですが!
なんかハメ撮りっぽいことまでしてるよ、知也!
こんな自分なんか好きになってもらえない…なんて思いこんでる真面目な優等生が、それでも好きな男相手に必死で尽くしちゃう本作のストーリー、ブログ主好みのぐちぐちした心理描写の連続で、もんのすごくハマってしまいました。
とにかく知也がけなげで可愛い…。
貴之相手に、嫌われないようにって思いこんで冷たい態度をとったあとに、一人で泣いちゃったりするんです。
本当はしょっちゅう電話だってしたいし、メールだって打ちたい。
抱き合ったあとはしばらく、貴之にくっついていたい。
というより、毎日だって貴之の顔を見たい。
そのすべてを、知也はこらえていた。
心のままにふるまえば、破局はすぐに来てしまう。
わかっているから、馴れ馴れしくはしない。
今までどおり、そっけなく貴之をあしらい、セックスをするような関係になっても甘えたりはしない。
冷えた冬の空気に鼻を啜りながら、知也は足早に駅に向かった。
せ、せつないずら!!!
うおーん、しかもブログ主が読んだところまでで、すでになんだかお邪魔虫まで出てきているんですが、本当にこの2人は最後幸せにさせてもらえるんでしょうか!!!!
まだ読み終わってないので、「さあ、みなさんもご自分の目で…!」という本ブログお得意のセリフを言えないんですが(笑)、さあみなさんもご一緒にこの結末を確かめてみようではありませんか!!
いやー、この本も当初は買う予定がなかったんですが、なんだか妙に心が騒いだので、書店の店頭で表紙買いしたものです。
俺の勘、エライ!
しかもエロが充実してるんだ、これがまた…。
何度も読み返せる充実の“優等生受け”に出会えた予感がします。
これで最後まで読んでみたらつまんなかったらいったいどうしましょう(笑)。
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