ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]前作『キケンな遊戯』とともに復刊! 堅物な凄腕サラリーマンが一回りも年下の青年にメロメロになる超名作! 遠野春日『キケンな誘惑』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-真面目・カタブツ  特徴-社会人  特徴-年下攻め  ●タ行-遠野春日  
キケンな誘惑 (ダリア文庫)キケンな誘惑 (ダリア文庫)
(2009/01/13)
遠野 春日

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 はあぁ~~。
 毎度毎度の復刊本ですよ。
 昔の名作を装丁だけ変えて再発売することで、BL本出版社がラクして金を儲けようとしているとしか思えず、昨今のBL本復刊ブームには批判的なブログ主ですが、今月はダリア文庫から、遠野春日先生の『キケンな遊戯』『キケンな誘惑』の2冊が復刊されて同時発売されます。

 ………。

 じつはこの2冊は、歴史に残る“優等生受け”の超傑作なんですよ。
 もともとは、今はなきBLレーベル・リーフノベルスから出版されていたもので、リーフ出版の倒産で入手困難になっていた作品です。
 それが今回、ダリア文庫から復刊されたというわけです。

 何が腹が立つって、どうせ復刊するなら、昔のままで復刊してくれればいいじゃないですか。
 そしたら、ブログ主だって完全スルーできるのに…。
 なのに、今回は『キケンな遊戯』『キケンな誘惑』どちらにも、遠野春日先生の書き下ろし後日談がついてくるというのですよ…!

 ちくしょー!!!!

 そ、そんなものにこの俺様が釣られると思って……。
 うぐぐぐ。
 何度もいうけどなっ、ちょっとオマケつければ、オタクが何にでも金出すと思うなよっ!

 …というわけで、当然ながら2冊とも買わされてしまいました(笑)。
 ダリア文庫、商売が汚すぎるよ!!!!!!

 でも、この2冊については、“優等生受け”の超名作が最近BLをお好きになったような腐女子腐男子のみなさまにも簡単に手に入る機会を生み出してくれるということで、まあ歓迎できる面もあります。
 というわけでダリア文庫、今回だけは見逃してやるぜ!
 ゲハハハハ!!!!

 さて同時発売されたこの2冊ですが、『キケンな遊戯』については、本ブログで約1年ほど前に“珠玉の一冊”としてすでにご紹介したことがあります。
 ですので、内容については、当時の本ブログの記事をお読みくださいませ。

 今日は、併せて発売された姉妹編『キケンな誘惑』をご紹介しようと思います。

 何度も書きますが、この2冊は“優等生受け”BLの歴史に残る超傑作です。
 ブログ主は、あまりに好きすぎてこの2冊を合わせると、たぶんすでに145億3千897万3012回は読み返してます(笑)。
 えー、ブログ主が現在30代半ばでして、ということは生まれてからだいたい50億秒の時間を生きてきたことになるから、計算すると生まれてこのかた1秒間に約3回は読み返してる計算!
 うーむ、妥当な数字だなぁ(笑)。
 それぐらい好きです、この2冊。
 すでにレビューを書かせていただいたことのある『キケンな遊戯』は、高校生の2人が主人公の甘酸っぱい初恋小説でしたが、今回ご紹介する『キケンな誘惑』は、前作の主人公の父親が主人公になっている続編的な一作でして、本作単独で読んでももちろん楽しめますが、発売順に『キケンな遊戯』を読んでからこちらを読むと、さらに楽しめます。

 何度も書いてますが、ブログ主はオッサン受けは大嫌いです。
 とにかく学園もの命! なので(笑)。
 なので、先日発売された鈴木ツタ先生の最新刊もヒゲの生えたオッサンが受けだったので、正直あまりハマれませんでした…。
 BL本を読み始めてすでに20年くらい経ちますが、その長い(?)歴史の中で、「面白い!」と思ったというか、胸がきゅんとしちゃって何度も読み返したオッサン受けの本は数えるほど――たぶん4、5冊――でして、その筆頭が本作です。

 主人公(受)の祐徳昶(ゆうとく・あきら)は、37歳の若さで大手ビール会社の営業部長を務めるヤリ手のサラリーマンです。
 30代で一部上場企業の部長ってのは、異例というか普通ならありえない出世ですよね。
 こう書くと、上昇志向バリバリで、権力欲が強くて、パワフルというか重戦車のような仕事人間な主人公を想像してしまいますが、昶はそういうキャラではありません。
 もちろん仕事はバリバリこなすほうですが、端整な容姿で、部下からも慕われ、性格は穏やかだし、嫌みなところは微塵もないタイプ。
 どちらかというと童顔で、あまり37歳には見えないかもしれません。
 で、そんな仕事上のイメージや、外見上のイメージを裏切るように、昶には高校生の息子がいました。
 そう、昶はじつはバツイチなのです。
 すでに妻とは離婚し、高校生の息子(これが前作『キケンな遊戯』の主人公である祐徳要)と2人暮らしをしています。
 息子は、学校では生徒会役員を務めるしっかり者で、まったく手がかかりません。
 昶としては、少しは父親らしいことをしてやりたいと思っているのですが、息子は付けいる隙をまったく見せてくれず(笑)、親子仲は決して悪くないものの、昶はそんな自立しすぎた息子のことをちょっと寂しく思ってます。
 早くに離婚して、仕事仕事で家にいられなかった自分のせいで、こんなに息子が大人びてしまったんじゃないかという後悔もこめて。

 というわけで、仕事には一生懸命だけど、さりとてイヤなヤツではなく、それどころか人情深くてみんなから好かれる優等生キャラな主人公・昶の性格をご理解いただけましたでしょーか。
 息子のことをいろいろ思い悩んでいるあたり、あまり感情を表に出さず、ぐちぐちと自分の中で処理してしまおうとする、優等生特有の暗さがあるのがおわかりいただけると思います(笑)。

 そんな昶に、突然声をかけてきた青年がいたのでした。

「独身って本当ですか?」

 声をかけてきたのは、昶の会社に出入りしているOA機器会社の社員、天草史朗(あまくさ・しろう)でした。
 コピー機のメンテナンスのために訪れていたのです。
 史朗がどんな青年か、文中から引用してみましょう。

 まだ若いんだろうな、というのが、昶の最初に抱いた印象だった。
 たぶん3年目か4年目くらいの社員だろう。
 大卒で入社したとして25かそこいらになる。
 今年36の昶とは一回り近く歳の離れた若い男だと思われた。
 硬そうな髪が無頓着に刈り込まれていて、きりっとした濃い眉と、意志の強そうな口元、その割に涼やかな瞳をした、なかなか男前の青年だった。

 そんな史朗にいきなり「独身ですか?」などという無遠慮な質問をされ、昶はこんな答えを口にします。

「OA機器のリース先を決めるのは総務部長だから、わたしと顔見知りになってもあまり有益ではないと思うけどね」

 OA機器のセールスマンでもある史朗が、自分とコネを作ろうと思って接近してきたと昶は思ったんですね。
 むふふ。
 かつては全社でトップの成績を上げたこともある伝説の営業マンである昶なのに(だからこの歳で部長)、意外に世慣れてないというか、人情の機微に疎いというか、自分に対して若い男が色恋ぶくみで声をかけてくるなんて想像もできないという感じなのが可愛いですね~(笑)。
 自分が若い男の性欲の対象になるということが、当たり前ですが想像すらできないのでしょう。
 「え、なんで俺が…?」というこの受けキャラのぼんやりさ、これは“優等生受け”BLにおいて、非常に重要な要素でもあります。
 このあたりがどう描かれるかで、胸キュン度が格段に違ってくるんですよ。

 昶に、自分が声を掛けた意図を誤解されたと気づいた史朗は、さらに言葉を返します。

「そういうつもりでお聞きしたわけじゃないんですけど…」

 青年は少し困ったように言いよどみ、ネクタイの先をくいっと引っ張った。

「祐徳部長が独身なら、もててもてて大変なんじゃないかなぁと思ったものですから」

「もてないよ」

 昶はそっけなく言った。

「なにしろわたしはコブつきだからね」

 もちろんこの昶の“自己評価”は真実ではありません。
 社内でも、多くの女子社員から昶は秋波を送られる存在です。
 そりゃ、仕事ができて出世が早くて性格がよくてと揃っていたら、女性からモテないわけがありません(笑)。
 でも、いちいち相手にしていると面倒なので、昶はつねにそう言ってきたのでした。

「でも、それでもかまわないから部長と付き合いたいと思っている人がいるとしたら、どうしますか?」

 意外にも青年は食い下がってきた。
 昶は訝しそうに彼を見上げた。
 顔を売り込むための単なる営業トークじゃなかったのか、と少し面倒くさい気分だった。

「誰かにわたしのことを聞いてくれとでも頼まれた?」

 青年はもう一度、今度は前より力を入れてネクタイを引っ張った。

「はぁ、まぁ、すみません」

 以上が2人のファーストコンタクトシーンです。
 種明かしをしてしまえば、この時点で攻めキャラ・史朗は、一回り以上年上で、しかも取引先の部長である昶に、真剣な思いを抱いてます。
 対して、昶のほうは、変わった若いヤツだなぁというくらいの感想で、まさか自分が目の前の青年から熱い思いをもたれているとは想像すらしてません。
 このあたりの無自覚ぶりが、うふふふ、ブログ主なんかはまず萌えますなぁ!

 次に2人は、昼食時に偶然定食屋で一緒になります。
 しょうがなく昶は相席して一緒に食事をすることになりますが、食事を終えて店を出ようとする昶に、史朗が声を掛けるのです。

「部長、コーヒーでもいかがですか」

「きみとか?」

「俺とです」

 昶は顔を顰めて、どうしようかなと考えたが、史朗に無遠慮に腕を取られて、仕方なくすぐ目の前にあったテラスタイプのコーヒーショップに入ってしまった。

「きみは意外と強引だね」

「部長がせっかく先日よりも打ち解けてくださっているようだから、もう少しお話しさせてほしいんです」

「打ち解けているなんて、どうしてわかる」

「ご自分のこと『俺』っておっしゃったでしょう。この前はたしか『わたし』だった」

「…変な根拠だ」

 史朗はにっこりと笑った。

「ええ、つまり、理由なんてどうでもいいんです」

「俺と話してもなんの得にもならないぞ」

「そんなの、わからないですよ」

「それにあまり時間もない」

「大丈夫。時間までには部長をちゃんと会社にお送りします」

 昶は史朗の言い方に変な気分になった。
 まるで大切にしている恋人への言葉のようだった。

 いやー、昶がいやいや史朗に付き合ってる感じが出てて、胸がきゅんきゅんしますね、このあたり(笑)。
 じつはですね、この昶の“ワケのわからない年下青年へのツンツンぶり”が、本作では最初のほうでずーっと描かれてるんですが、このこと自体が後のクライマックスへの大きな伏線になってます。
 むふふふ。
 遠野春日先生の小説の達者さというか、素晴らしい構成感に脱帽しちゃうところですが…。

 その種明かしを後でするとして、ストーリーを追っていきましょう。

 コーヒーを飲みながら、昶は史朗から昔話を聞かされます。
 昶が20代でバリバリの営業マンとして地方の酒屋を回っていたころ、当時高校生だった史朗は昶を見かけたことがあるというのです。
 史朗の実家は、じつは地方の大きな酒屋だったのでした。
 昶がそこに営業で何度も訪れたことがあったというわけです。
 当時、史朗の実家は別の会社のビールを扱っていましたが、昶は店に日参し、ついに自分の会社のビールを扱ってもらえるようにしたのでした。

「うちの親父は息子の俺が言うのもなんですけど相当頭の固い男でしょう。部長のこと、本当にすごい営業マンだなぁと思いましたよ。俺は高校時代から部長のような営業マンになりたいと思っていました」

 昶を目の前にして、そんな告白をする史朗。
 でも、史朗のその言葉には、単なる仕事上の憧れだけでないものが含まれているわけです。
 史朗は、こうして取引先とはいえ、憧れていた昶と親しくできる機会が持てて、夢のようだと告げます。

「俺は本当に運がいいです」

 史朗はじっと昶の顔を覗き込んできた。

「あともう少し強運に恵まれたら、望むことはないんだけれど」

 史朗の目つきはとても真剣で、昶がどきりとするほど熱がこもっていた。

 昶は急に、不安な気持ちに襲われた。
 これまでこんな目で見られたことはないと思う。
 史朗が言わんとしていることも今ひとつ掴めなかったし、このまま向き合っていればますます居心地が悪くなりそうだった。

「もう、戻る」

 昶が言い出すと、史朗も意外にすんなりと立ち上がった。

「今度、一緒に夕飯でも食いに行きませんか?」

 言葉通りに昶を会社のフロアが入ったビルの前まで送り届けてから、別れ際に史朗が誘ってきた。

 昶は今度は迷わずに拒絶した。

「…うちでいつも息子が待ってるんだ。仕事以外の外食は極力しないようにしている」

「そうですか」

 史朗は心から残念そうに呟いた。
 ここでも強引にこられていたら昶も何も感じなかったろうが、この史朗の反応には少しだけそっけなくしすぎた気分になってしまった。
 純粋に自分に憧れているのかもしれない彼の心を傷つけた気分にもなる。

「万一、万一だが、時間が作れるようだったら電話しよう」

 昶はなぜこんなことを口走ってしまったのか、言ったあとから自分で驚いた。
 だが、史朗の顔がぱあっと晴れやかになったのを見てしまうと、もう前言を撤回するようなまねはできなかった。

「俺はいつでもいいんです。土曜でも日曜でも、昼でも夜でもかまいませんから」

 昶はたじろぎながらもわかったと返事をした。

(中略)

 もっとこいつのことを知ってみてもいいかもしれない。

 昶がこんなふうに思った瞬間から、二人の関係はもはや修正できない深みにはまっていたのだが、もちろんのこと昶にわかろうはずもなかった。

 年下の青年から迫られているのに気づかず、でもその得体のしれない勢いというか迫力だけはしっかりと感じて、思わず居心地が悪くなってしまうオジサン一歩手前のサラリーマン。
 熱い視線を向けられて、つい顔をそらしてしまうところなんか可愛すぎます。
 何度も書きますが、この“自分が他人から恋愛&性の対象になってることを気づかずというか認められず、その得体のしれない迫力に、思わずツンケンした態度をとっちゃう受けキャラ優等生”というのが、本作の前半の最大の萌えポイントになってます(笑)。
 気づかないんですよ、昶は。
 一回りも年下の青年・史朗に、自分が強く思われていることに。
 仕事はできるし、何事にもそつがないのに、こと自分のこと、それも色恋沙汰に関してだけはなぜか鈍感――。
 これは“優等生受け”BLの神髄なのですよ~。
 さらに一歩進んで、若い男から自分に対してギラギラした性欲が向けられていることを知り、そんな事態は想像すらしたことがないから、そこで初めて乙女のように真っ赤になっちゃう…なんてのも、超萌えますよね。
 本作はこの後、そんな素晴らしい展開をたどっていきますよ…(笑)。

 3度目に2人が会ったのは、飲み会の席でした。
 昶の部下である矢島という若い営業マンが、じつは史朗の高校時代の後輩だったことがわかり、しかも矢島がいま密かに想っている女性が、偶然にも史朗の会社で働いているということがわかって、それならば矢島の縁を取り持つためにも昶、史朗、矢島、女性の4人で一度食事をしてやろうということになったのです。

 無事、居酒屋での食事を終えた4人ですが、途中、ある腹の立つ出来事があり、昶は大人としてにこやかな顔をしつつ、早々に席を立ち一人で帰ろうとします。
 ところが、店を出た昶のあとを、史朗がわざわざ追いかけてきたのでした。

「何か怒ってるんですか?」

「べつに」

 昶は冷たい声音のままでそう言うと、地下鉄の入り口の階段を下りようとした。
 だが史朗に強い力で腕を捕まえられてしまう。
 昶は不意を衝かれて驚いてしまい、もう少しで史朗の胸に倒れ込みそうになった。

「なにを、するんだ」

「せっかく会えたんですから。もう少し、一緒にいてください。お願いします」

「迷惑だ!」

 昶は苛立ちのあまり、ほとんど叫ぶように言い捨てていた。

「そんなに一人が寂しいのなら、きみならいくらでもそばにいてくれる女性が見つかるだろう。なにも俺みたいなオヤジを相手にしなくてもいい」

「だから、昶さん、俺は真剣になっているんじゃないですか」

「どういう意味なんだ、それは」

 昶は相手に名前を呼ばれたことも気づかなかった。
 正確には気づく暇もなく、ものすごい早業で唇にキスされていまい、たちまち頭が真っ白になってしまったのだ。

「なにを、したんだ、今…」

 昶が驚きのあまり切れ切れに言葉を綴りながら、よろけるようにして後ずさると、史朗はようやく腕を放してくれ、同じように困惑しきった顔つきのまま、

「すみませんでした、俺…あの…」

 と謝った。

 昶はこの場をどうすればいいのか、まるっきりわからないでいた。

 先に気持ちを落ち着けたのは史朗だった。

「好きなんです」

 史朗は低い声で、昶に向けて信じられないことを告げてくる。

 昶はもう一度目をみはり、探るような眼差しを史朗に向けた。

 史朗の態度はとても真摯で、冗談を言っているようでも、からかっているようでもなかった。

「高校生の頃からずっと、月に焦がれるみたいに、あなたのことが好きだったんです」

 昶は史朗の意外なほどロマンチックな告白を聞かされて、一言の声を発するゆとりもなく呆然と立ちつくしていた。

 うふふ。
 ようやく堅物優等生の昶さんが、自分が年下の青年・史朗に迫られていたことに気づきましたね(笑)。
 呆然としてて可愛いのなんのって(笑)。
 結局、その場を走って逃げ出してしまった昶ですが、家に帰って悶々と悩みます。
 男である自分が、年下の若い男、それも将来のありそうな、申し分のない男から告白されたことがとても信じられなくて。

 そんな昶に、一通のメールが届きます。
 タイトルは「水曜日は、すいませんでした」。
 もちろん差出人は史朗でした。

 昶は開くか開かずにおくか、激しく迷った。
 開くのが怖い気がする。
 単純に非礼をわびているだけの内容ならば問題はないが、万一、あの衝動的なくちづけの言い訳が書いてあるのなら、昶はこのまま捨てていまいたいと思う。
 あんなことは、なかったことにしておいてほしかった。
 思い出したくない。
 思い出すと心臓がどきどきする。
 穏やかでいられなくなるから嫌なのだ。

 開かない、捨てる、と頭では決めたはずなのに、昶の指がそれをいとも簡単に覆してしまった。

 気がついた時には、史朗の打ったメールの文面が開かれてしまっている。

 開いた以上は昶も無視することができなかった。

 史朗のよこしたメールは完結だったが、どことなく強引で、本人の気質がよく表れている。
 憎めないのだ。
 昶はその一言に尽きると思った。
 まっすぐに昶を見つめてくるあの瞳の真剣さが脳裏から消えない。
 あんな目で見られたことなど、これまでに一度もない。
 怖いのと同時に、昶は確実に取り込まれてもいた。

 そして、史朗からのメールには、こう書いてあったのでした。

<もう一度会ってください>

 そして、その晩、例のコーヒーショップで何時までも待っていると書いてあったのでした。
 行くまい、行くまいと思いつつ、夕方、定時が来るとともに、コーヒーショップに足を向けてしまう昶。
 そこで待つ史朗は、いったいどんなことを告げてくるのか――。

 というところで、あとはご自分でダリア文庫を買って、2人の恋の展開を超お楽しみくださいませ(笑)。

 えー、まあぶっちゃけ申しますと、ここまでで堅物優等生・昶さんのツンツンタイムは終了です。
 コーヒーショップで史朗と落ち合い、ゆっくり話をした昶は、ここからデレタイムに突入していきます(笑)。
 少しずつ2人は距離を縮め、ついに昶は史朗の胸の中に飛び込んでいくわけです。

 で、ここからの遠野春日先生の描写はもう圧巻の一言です。
 昶が警戒心を解いて、年下の男に身を任せていく心境の変化が、可愛らしいエピソードとともに、これでもか! と綴られていきます。

 そして、そして…。

 先ほど、堅物優等生・昶さんの史朗に対するツンツンぶりが、本作の大きな伏線になっていると書きましたが…。
 じつは、2人の気持ちが成就したあと、ラブいシーンの中で、昶は超可愛くなってしまうのです。

「あっ…ああ…」

 唾を絡ませて濡れた指が、昶の尻の奥に入り、ぐっと強い力で身体の中にまで潜り込んでくる。
 昶は思わず喘いで、史朗の頑丈な背中に両腕を回してすがった。

「昶さん」

 史朗の指が、遠慮なく狭い器官で蠢く。

「あぁあ」

 昶にはこの異様な感触を、手放しで気持ちがいいと喜ぶまでには、まだ身体が慣れていなかった。
 なにしろ37年生きてきて、つい一年半前に初めて男に抱かれて果てることを知ったばかりなのだ。
 それまではセックスは女生徒するものだと漠然と決めつけていたところがあったし、その常識的な好意さえも昶にはほとんど興味がなかった。

(中略)

 史朗は中に入れた指を動かすのと同時に、昶の勃起を口に含んでなめ回した。
 舌を茎に絡ませたり、痛いほど吸い上げたり、先端の小さな割れ目に尖らせた舌先を射し込んでみたりされ、年の割に性体験の少ない昶は史朗の性技に翻弄されるばかりになる。

「あーっ、史朗、だめだ」

 昶は内と外から二重に射精を促され、全身に薄い汗をかきながら悶え続けた。

「だめになる、もう…だめなんだっ」

 むふふふふふふ。
 ブログ主は、この場面の昶のこのセリフが大のお気に入りです。
 まず、「年の割に性体験が少ない」といういかにも優等生チックなところに強く惹かれますが、そんな昶が思わず口にする「だめになるっ」というセリフのなんともいやらしいこと(笑)。
 この場面にピッタリの一言でしょう。
 若い男に囚われての、この「だめになるっ」というセリフにはいくつもの意味がかかっていると思いますが、でも昶はわかっていてもこの年下の男にだめにされてしまいたいわけですよね。
 なんといういやらしい一言かと(笑)。

 で、昶はさらに史朗に翻弄されていきます。

「あああ、いやだ、史朗、手を…」

「昶さん、かわいい」

 史朗の唇が、喘ぐ昶の唇をぴったりと塞いで、濃密なキスをしてきた。

「んんん…んっ」

 昶の紅潮した頬にも史朗は唇をずらす。

「かわいい。欲しい。もう挿れます」

 待て、と止める間もなく、史朗は昶の内部をこね回していた指を抜き取ると、両足を大きく割って抱え込み、自分の熱くてがちがちに硬くなっているもので突き上げた。

「あっ、あっ、あ!」

 昶は史朗の指を逃れたばかりだった自分のものを弾けさせていた。
 挿入の衝撃とほとんど同時だったので、昶の感じた快楽は凄まじかった。
 脳の一部が焼き切れたのではないかと思うほど強烈な快感である。
 昶は絶えられなくて頭を乱暴に振りながら泣きじゃくった。

 あの!
 ツンツン優等生だった昶さんが泣きじゃくってますよ!
 やばい、超ハァハァします(笑)。

「昶さん、昶さん」

 史朗が腰を打ち付けて自らの快感を追いかけつつ、昶の頭を腕に包み込むようにしてあやしてくれる。
 自分もひどく気持ちがいいようで、腰の動きがゆるまる気配はない。
 昶はいったばかりの過敏になった身体を休む間もなく奥から刺激されて、全身で喘いだ。
 唇から声を出している程度ではとても収まりきれない感覚に翻弄されていた。

「後ろで気持ちよくなるの、怖いですか」

「…怖い…っ」

 昶は史朗に聞かれて、喘ぐ合間に素直に答えた。

 いやー、ここも超萌えます。
 萌え萌えして死にそうです(笑)。
 この「…怖い…っ」という一言。
 プライドも外聞もかなぐりすてて史朗にしがみつく昶が、完全に彼に心を開いているようすが、この一言で見事に活写されてますよね!
 
 あれほどツンツンとした態度で年下の男に接していた昶のこの変貌…。
 この後、昶はもっと素直な気持ちを、史朗の胸に寄り添いながら吐露しちゃったりしてるのですが、それはもうみなさんに直接本を読んで確かめていただくといたしましょう~(笑)。

 自分が若い男の性欲の対象になっていることを恥ずかしくて最初は受け入れられなかった優等生・昶さんが、可愛くなっちゃうとこんなことまで言っちゃうの…? という素晴らしいセリフです。
 げはははははは!
 萌えて死にそうじゃ!!!!

 さて、本作がリーフノベルスからの復刊であり、遠野春日先生の書き下ろし後日談がついていることは最初に書きましたとおりですが、ブログ主と同じくリーフノベルス時代にすでに本作を読んだことがある人にとっては、その書き下ろし分に果たしてこの復刊を買うだけの価値があるのか、というのが気になるところでしょう。
 まあ、価値観は人それぞれですから何とも言いがたいところはありますが、約10ページ強の短編で、史朗×昶のカップルと、『キケンな遊戯』の主人公である昶の息子とその恋人の4人が、温泉旅行に行くお話しです。
 中身は…。
 史朗×昶の温泉でのエッチなお話しがほとんどになってまして、エロ大好きな方でしたら、買う価値は十分あるかと思います(笑)。
 ブログ主のように、本作を発売以来2兆4千億回は読み返してきた、史朗×昶のその後が気になって気になって仕方ないタイプの人間でしたら、まず間違いなく2人のその後のラブラブぶりが読めるということで“買い”です。

 それから、ここに書くのでいいのかなという気がしますが、同時発売された息子カップルのお話『キケンな遊戯』にも、遠野春日先生の書き下ろし短編が入ってます。
 こちらも、どんな内容か気になる方がいると思うので、簡単に書いておきますと、ぶっちゃけこちらにはエロはありません(笑)。
 ページ数はやはり10ページ強ぐらいの長さで、昶の息子・要が大学に進学してしまい、いまだ高校生のままの恋人・雅之が内心焦りを覚えつつ、要の大学の文化祭に遊びに行くというお話しになってます。
 でも、エロはありませんが、超ラブいです(笑)。
 ブログ主のように、本作と『キケンな遊戯』の発売以来、3京7309兆2065億万回は本を読み返してきた、要と雅之のその後が気になって仕方がないというタイプの人間でしたら、2人の“その後”が読めるので間違いなく“買い”です。
 しかも、原作ではツンツンしどおしだった優等生・要が、大学生になって成長したのか、雅之相手にすごく可愛いところを見せたりしてて、超きゅんきゅんします(笑)。

 それから、最後になりますが、本作『キケンな誘惑』のフィルアップに収められている短編『真行寺彰の恋』――。
 もうこの内容を詳しく書く時間がありませんが、これはとんでもない“優等生受け”BLストーリーでして、このブログによくおいでいただくような優等生スキーのみなさまでしたら、何も言わずにこの余白に収められた短編を読むためだけに本書を買っても、絶対に後悔しないと思います。
 タイトルになってる「真行寺彰」は、息子カップルのお話『キケンな遊戯』の登場人物で、主人公(受)・要のことを好きだけど報われないイケメン生徒会長さまです(もちろん攻めキャラ)。
 その真行寺彰が、要のことをあきらめたあとに出会った恋のお話しを描いたものが本作『真行寺彰の恋』でして、ここで登場してくる受けキャラ・菊池紀晶(きくち・のりあき)が、とってもひねくれ者の優等生キャラなのです。
 勉強できて陰謀好きだけど、じつは真行寺のことを大好きで可愛いキャラみたいな(笑)。
 超萌えます。
 死ねます。
 絶対読んでほしぃー!

 何だかとりとめがなくて申し訳ありませんが、結論としては、『キケンな遊戯』『キケンな誘惑』の2冊は、女房を質に入れても読んだほうがいい“優等生受け”の超名作だということです。
 金ひかる先生の挿絵も最高です!
 エッチ場面で、史朗にしがみつく昶の可愛いこと…(本文35ページ)。
 ぜひ見てほしい…!

キケンな遊戯 (DARIA BUNKO)キケンな遊戯 (DARIA BUNKO)
(2009/01/13)
遠野 春日

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