ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]ついに完結! 読者の胸を極限まで絞りきる驚異のメロドラマ!(でもハッピーエンド) 明治カナ子『三村家の息子』シリーズ


Category: レビュー コミックス   Tags: 受け-真面目・カタブツ  受け-成績優秀  特徴-高校生  特徴-大学生  ●マ行-明治カナ子  
三村家の息子 (ミリオンコミックス Hertzシリーズ)三村家の息子 (ミリオンコミックス Hertzシリーズ)
(2005/08/19)
明治 カナ子

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 自分でも気取ってるなと思うのですが、ブログ主は素晴らしいマンガを読み終わった後、本を閉じながら、つい呟いてしまいます。

「これがマンガなのだ!」

 と(笑)。

 最後のページを読み終わった瞬間に去来する物狂おしいまでの感情の嵐。
 「ああ、読み終わってしまったのだ」「もう二度とこの世界に戻ることはできないのだ」という喪失感。
 これほどまでに俺さまの胸を揺すぶるお前はなんなのだ、そうだ、これこそマンガなのだ――、まあそういう気持ちでつい呟いてしまうわけですな!

 といっても、ご存じの方もいると思いますが、この台詞は、作家の北杜夫さんが書かれた戦後文学を代表する小説『楡家の人びと』を、三島由紀夫が激賞した際に吐いた名文句「これが小説なのだ」をパクったものです(笑)。
 あまりに名文句すぎて、つい口ずさんでしまうのです。
 三島先生、すいません(笑)。

 長年、ブログ主はこの巨大な感動を少女マンガからしか得ることができず、中学時代から少年マンガ、あえて一例を挙げればドラゴンボールなんか目もくれずに『花とゆめ』や『LaLa』、『少女コミック』に『りぼん』などを読み続けてきたわけですが(恥)、それがこの10年ほど、BLマンガにずっぽりハマっていたのは、みなさまご承知のとおりです。
 今回、その中でも超弩級に胸を揺さぶられるマンガが完結しました。
 たぶん他のブログさんなどでも激賞の嵐であろう明治カナ子先生の傑作『三村家の息子』シリーズです…!

 最後のページを読み終えた瞬間にブログ主を襲った言葉では言い表せない感情の嵐は、ひさびさに出会った気がします。
 若かりし日のブログ主を同じ高揚に叩きこんでくれた名作少女マンガたち、『月の子』や『風と木の詩』、『ここはグリーンウッド』、『前略ミルクハウス』、『アルペンローゼ』etc...――それに匹敵するほどの胸の揺さぶりにブログ主は襲われてしまいました。
 お願いだから読んで!
 これ読まなかったら、この世に生まれてきた意味がないよ!

 本作は、なんと6年越しでの完結です。
 コミックスは、ミリオンコミックスから『三村家の息子』『出来の悪い子』『生まれ星』の3冊が出ており、これで完結です。
 最後は、隔月刊誌の『HertZ』で大団円を迎えた本作ですが、じつは連載開始(?)はまったく別の雑誌でした。
 最初、読み切りの形でシリーズ第一作の『つがう音』が、03年発行の今はなきBLアンソロジー『Boysブレンド』vol.3に掲載され、第2作めに当たる『三村家の息子1』は、『Boysブレンド』が発展的に移行した新雑誌『Kanaan』の創刊号へ(懐かしい…)。
 その後は、BLアンソロジー『EDGE』に場所を移したりして、結局、シリーズ第5作の『出来の悪い子1』以後は『HertZ』に落ち着き、今に至ったわけです。

 ブログ主は、『Kanaan』に掲載されたところまでは、リアルタイムで追っかけてましたが、恥を忍んで己の不明を告白すれば、当時はまったく面白くないというか、駄作ぐらいに思ってました…!
 だって、ストーリーはなかなか進まないし、主人公2人はなんかトゲトゲしてて全然ラブくないし、そこに片方の兄貴が絡んできて三角関係になったりして、それが気にくわなかったし――(注・ブログ主は三角関係ものが大嫌いです)。
 よくある作者が独りよがりでお話しを進めてるだけのぐじゅぐじゅしたオナニー作品だと思ってたんですな!
 なんたる不明!
 俺には何も見えていなかった…!
 今はそう後悔するしかないブログ主です(笑)。

 完結した今となれば、そのすべては明治カナ子先生の緻密な計算にもとづいた慎重なストーリーテリングの賜物だったとわかるわけですが、そう考えると、いまだお話しが序盤を脱したぐらいのところで先が見えず、ブログ主と同じような浅はかな考えの読者ばかりできっとそんなに受けもよくなかったであろう当時のこの作品を、他誌からの移行で途中からの掲載という形になるにもかかわらず快く連載を認めた『HertZ』編集部には、「あっぱれ!」と言うしかありません。
 ありがとう、『HertZ』!!

 さあそれでは、とてもうまく説明できる自信がないのですが、明治カナ子先生畢生の名作『三村家の息子』シリーズをご紹介させていただきましょう!

 でもすいません。
 とてもブログ主の受けた感動をこんな記事でご紹介できるはずもないので、ストーリーの本当に触りだけをご紹介します。
 …だって無理だもん!
 本作については、とにかく読んでほしいというほかない…!

 本作の主な登場人物は3人だけです。
 主人公(受)は、連載開始当初は高校3年生だった優等生の三村弓(みむら・きゅう)です。
 山深い田舎町に育った弓には、出来の良かった(過去形)兄がいました。
 今では家出同然に実家を飛び出し、行方がわからなくなっている兄・三村角(みむら・すみ)です。
 三村家は土地でも有力な家の一つで、地場の建設会社を営んでいます。
 幼いころから優秀で、会社を継ぐと期待されていた兄の角でしたが、高校時代、白昼の路上でいきなり中年の男に襲いかかり滅多打ちにするという謎の事件を起こしてからは、すっかり別人のようになり、同性と遊び歩くようになっていました。
 そして高校を卒業すると、三村家を飛び出してしまい、今ではたまに連絡をよこすぐらいで、両親も弟の弓も、角がどこで何をしているか知りません。

 代わりに「家をついでくれる」と期待をかけられるようになったのが、弟の弓です。
 大学受験を目前に控えていた弓は、幼いころからの夢をかなえたいと、天文学科を志望しますが、厳しい祖父は何とかして自分の会社を継がせようとします。
 板挟みに悩む弓は、自分がそんな苦しみを押しつけられる原因になった兄・角のことが大嫌いです。
 いや、角がおかしくなる前から、弓は兄のことを嫌っていました。
 優秀だった兄とつねに比較され、しかも自分が優秀なことを隠そうとしなかった兄・角に、弓は長年嫌な思いをさせられてきたからです。
 自分に「跡継ぎ」を押しつけて、自分は都会で自由奔放に遊び回っている(らしい)兄のことを、弓はどうしても嫌いとしか思えないのでした。

 重苦しい弓の毎日ですが、弓には心を和ませてくれる唯一無二の存在がいます。
 幼馴染みの赤石敏夫(あかし・としお←攻めキャラ)です。
 ぬぼーっとした性格で、いつも弓のことを大事にしてきてくれた敏夫と弓は無二の親友でもあります。
 じつは、幼いころは優秀な兄と比較されてへこんでいた弓が、今では成績優秀で大学もどこでも受かると言われるくらいに成長したのは、敏夫のおかげでした。
 弓は敏夫のことを「敏」(とし)と呼びます。
 小学校、そして中学校と、放課後いっしょに勉強をしていた2人でしたが、敏のわからないところを弓が教えてあげると、敏はニッコリ笑って言ってくれるのでした。

「うん、わかりやすい」

 それが嬉しくてますます勉強した弓は、その成果を敏に披露しては「助かった。サンキュ」と感謝されるのが何よりも嬉しく、いつしか勉強もトップクラスになっていたのでした。

 このままずっと続くと思っていた2人の友情。
 ところがそこに忘れかけていた兄・角が複雑に絡んできて――。

 というところが、本作の基本設定です。
 敏×弓カップルがお話しのメインなんですが、そこに兄の角が絡んでゴタゴタしたりして、お話しはゆっくりゆっくりと進んでいきます。
 そこで描かれる三者三様の悩み、苦しみ、そして喜び。
 もちろんストーリーの中心点はBLから一歩もずれることなく複雑な人間ドラマを描ききった明治カナ子先生の圧倒的な筆力に、読者は圧倒されてしまうわけですな!

 もうぶっちゃけ言ってしまいましょう!
 ブログ主が本作のどこにキュン死にさせられそうになったかといえば、あの世界中を席巻する連続ドラマ『おしん』もかくやというぐらい、主人公の優等生・弓が苦しみ、悶え、痛めつけられちゃうところであります!
 …って、いまの10~20代は『おしん』知らないのかしらん…。
 そんなことは措いておいて、敏と弓、2人の気持ちが通じあうまでのすれ違い、傷つけあい、ぶつかり合いは凄まじいものでして、ブログ主は何度ホントに涙を流してしまったか知れません。

 なぜそんなにもメインカップルの2人がすれ違い、苦しみあわなければいけないのか!

 ストーリーの前半でのその最大の理由は、まず第一に主人公・弓の性格にあります。
 じつはこれ、当時のブログ主が「このマンガ、なんか嫌い」と思ってしまった原因の一つでもあるのですが、主人公の弓が、勉強はできるのですが、田舎のお坊ちゃんらしく性格が甘ちゃんで、というか思いっきり子供っぽい優等生という感じの少年なんですな!
 例えば、敏と弓が田舎道を下校しながら、日常会話を交わす場面。
 話題が、失踪中の兄・角のことに及んだときのことです。
 一人の人間が家を飛び出し姿を消すとはよほどのことがあったろうことは想像に難くないわけですが、“コドモ”な優等生の弓は、そんなことには考えが及ばず、軽蔑しきった口調で兄のことを語ります。

「うちの兄貴さあ、子供の頃さ、すんげースキンシップを嫌ってて」

「マジ?」

「兄貴の手を握ってしこたま殴られたよ、俺」

「子供の頃っていつよ?」

「まだ小学生くらい…。兄貴は中学生だったかな」

「他人に触られるのが死ぬほど嫌いだって言ってた」

「…今は違うだろ? もう大人になってるだろうし」

「さあ? それ以来触らないように気をつけてたから分からない。猫には平気で触ってたけどね」

「……」


 ここで弓はフフンという顔をして言います。

「俺は違うよ。ちゃんと赤ん坊だってあやすしね」

 駄目な兄と自分は違う、結局そういう話に持って行くんですね、弓は。
 こーゆーところが子供っぽいわけですが、まあ、唯我独尊な優等生の典型ですよ(笑)。
 で、それとは直接の関係はないのですが、じつはこんな何気ない敏と弓の会話ですら、物語が完結した今となっては、のちのちに重要な意味を持つ伏線だったことがわかります。
 おそるべし明治カナ子先生!
 てか、このあたりでは掲載誌の確保すらおぼつかなかったはずなのに、よくぞこれだけ巨大な物語の構築をされたものです。
 すごいなぁ。

 さて、弓が子供っぽかったとして、何が問題なのでしょう?

 ストーリーの冒頭ですぐに明かされることですが、この主人公の敏×弓カップル、最初の設定としては、完全に敏→弓の片思いなんです。
 敏は長年、弓のことを密かに好きだったのでした。
 だからこそ、弓と勉強したらにっこり笑って「サンキュ」なんて褒めてあげたし、それ以外の場面でもつねに弓のことを思いやり助けてきてあげたのです。

 でもですよ。

 長年付き合ってきた幼馴染みだからこそ、敏には哀しい事実がわかってもいました。
 そんな自分の弓への思いが、決して叶うはずがないことを。
 “子供っぽい優等生”である弓はとても潔癖です。
 とても同性と付き合うようなことを許容しないだろうし、また理解もできないだろうと。
 だから敏はこの思いを胸に秘めたまま、弓に告げるつもりはまったくなかったのです。

 でも、そんな敏に対して、何も知らない弓は、無防備にじゃれついてくるわけですよ。
 コタツで足が触れあったり、気軽に抱きついてきたり、敏のベッドで安心しきったように眠っちゃったり…。
 もうですね、弓が子供すぎててんでお話しになりません。
 でも、弓のことが大好きな敏は、絶対にその気持ちを表に出さないようにと、すごく頑張ってます。
 そんな敏の努力を、何も知らないゆえの残酷さでぐらつかせる弓。
 そのたびに、敏は大変な努力で邪念を払い、弓を汚さないように頑張ります。
 物語の前半、敏は大変な苦しみを負い、読者はあまりに脳天気な弓の姿に怒りすら覚えます(笑
)。
 そんな2人のすれ違いに、まず読者はやきもきさせられるんですな!

 ところが。

 そうこうするうちに、密かに兄・角が地元へ帰ってくるところから、お話しは動き出します。
 なんと、主人公・弓の知らないところで、敏と角が出会ってしまうのです。

 ――いや、出会っただけではありません。
 “男好き”の名をほしいままにする角の魔の手に落ちるかのように、出会ったその日に敏は角とセックスしてしまうのでした。

 いったいなぜ?

 じつは、互いに反発し合う兄弟である角と弓は、誰もが「そっくり」と言うほどに外見が似ています。
 いろいろな苦しみを背負い、世間の荒波に揉まれてるぶん、兄・角のほうが大人っぽい感じではありますが。
 自分の弓への思いが絶対に叶うはずがないとわかっている敏は、同じ声とよく似た外見で自分を誘う角の魅力に抗しきれなかったのでした。
 誘われるまま、報われない弓への思いを昇華させるかのように、敏は角と身体を重ねてしまったのです。
 と、ご説明するのが遅れましたが、かつては真面目で優秀だった兄・角は、今では地元でも有名な“男好き”として悪名が通っています。
 それにしても、いったい角の人生には何があったんでしょうね。
 物語の後半、すべてが明かされていくわけですが…。
 とまれ、弓の知らないところで出会った敏と角は身体をつなげ、いわゆる“セクフレ”の関係になってしまうのです。

 でも、敏は根は真面目な男です。
 そりゃそうですよね。
 弓を傷つけないようにと必死で頑張り、長年、子供っぽい幼馴染みの面倒を見続けてきた男なんですから。
 だからこそ、角とセックスして以来、敏の弓への態度は不自然なものになってしまったのでした。
 弓への思いを胸に秘めたまま、角とセックスしてたことで、敏は思いっきり罪悪感に襲われていたのです。
 その日から、敏は弓の目を見てしゃべれなくなってしまいます。
 そして弓は弓で、敏の態度がおかしくなったことに気づき不審がるのです。

 さあ、ここから大きく物語が動き出します。

 それまでは、自分のことばかり話すような子供っぽい優等生だった弓の心も、大きく変わっていくのです。
 きっかけは、あることから弓が親友・敏と大嫌いな兄・角との“関係”に気付いてしまったことでした。
 弓は、“自分のもの”と思っていた敏が、よりにもよって兄と身体をつなげていることを知り、大きな衝撃を受けます。
 そして潔癖な優等生の倫理観そのままに、敏のことを問い詰めるのです。

「駄目だよ、あいつだけは」

 問い詰められた敏は、開き直ったように答えます。

「しょーがないだろ、好きなんだから。…俺、ゲイなんだよ」

 そう言われて、一瞬なんのことを言われたのかわからない弓。
 「自分は同性愛者なんだ」とカミングアウトされたことにハッと気付き、弓は衝撃を受けつつも「角だけは駄目だ」と敏に迫ります。

「たとえホモでも兄貴はふさわしくない。敏にはもっと他の――」

「じゃあ誰ならいいんだよ!」

「…でも兄貴だけは駄目だ。あいつなんて好きになっても敏が不幸になる」

「弓が思ってるよりずっといい人だぜ、スミさん」

「騙されてんだよ。敏が素直なのをいいことに。あいつだけは、あいつだけは…」


 本当に好きなのは目の前にいる弓なのに、絶対にそれを口にできない敏は、悪ぶるように弓が嫌う兄・角のことを誉め称えます。
 それに衝撃を受ける弓。
 親友と思っていた幼馴染みが“自分のもの”でなくなってしまう…。
 その瞬間、初めて弓は自分にとって敏がいかに大事な存在だったかを気付かされるわけです。
 敏を失いそうになって初めて…。
 ――弓の胸に、敏への恋心が生まれた瞬間でした。
 これ以後、敏→弓でしかなかった2人の関係は、お互いがお互いのことを口には出せないけど好きという関係に変わっていくわけです。

 え、なんでお互いに「好きだ」って言えないか?
 そりゃ、敏からしたら、弓のことを変わらず「こいつは同性愛なんて受け入れられるはずがない」と思ったままですし、だからこそ角の身体に代償を求めてしまってるわけですよ。
 で、弓からしたら、以上の会話から、敏は角のことを好きで、もうすでに恋人として付き合ってると思いこんでしまったわけです。
 そこに今さら幼馴染みでしかない自分が「敏のことを好き」と言っても受け入れられるはずがない、そう思ってるわけですね。
 こうして、本当はお互いがお互いのことを好きなのに、なぜかそれが噛み合わない…! という強烈なすれ違いラブへと、2人の関係は発展(?)していきます!
 これがもうホントに強烈。
 お互いに、相手が自分のことを好きなはずがないと思いこんで、それがために相手を傷つけるようなこともしてしまうんです、若い2人は。
 
 じつはこのあたりが、ストーリーでいうと第一巻『三村家の息子』の終わりあたりになります。
 これでようやく敏×弓の関係が動き出すという、ストーリー上の大きなターニングポイントになってるわけですが、本作はここから後、つまりは第2巻『出来の悪い子』から先、もう読んでいるこちらの胸が潰れるんじゃないか…! というほどに、読者の胸が引き絞られるようになります。
 先ほどからご説明しているように、本当は相手を大事に思い、好きあっている敏と弓の2人が、なかなか相手の気持ちに気付くことができず、逆にお互いを傷つけあってしまうのですよ…!

 いやほんと、このマンガを読んでいるときに、胸の上にグレープフルーツを置いておいたら、あんまりに胸がぎゅーぎゅーさせられちゃって、いつのまにかグレープフルーツがグレープジュースに搾られちゃってるんじゃないかというくらいの胸キュン度です(笑)。
 ものすごいんです、そのパワーが。

 本当はそのあたりの涙も涸れる胸キュンエピソードを全部書いちゃいたいんですが(笑)、それではネタバレしすぎてみなさんがコミックスを読もうという気をなくしてしまうと思いますので、自重します。
 でも、2巻以後、全編を通じて弓は、角と敏の関係を誤解したままで、大好きな幼馴染みを自分の手から失ってしまうかもしれないという恐怖に怯える日々を過ごすのです。

(敏が…敏が兄貴のことを好きだなんて言う)
(性格が悪くて凶暴で人をいつも見下した目で見るあの兄貴を)
(おかしいんじゃないか? あんな人間を好きになるなんてありえない)
(どうすればいい? 10年以上も一緒にいて)
(敏のことは何でもわかってるつもりだったのに)
(10年という時間が)
(ほんの少ししか会ったことのない兄貴に負けるなんて)

 あああ、こんな気持ちはブログ主にも経験がありますよ!
 少年時代、自分が一番の親友だと思っていた男の子が、ある日突然転校してきた少年とあっという間に仲良くなり、自分だけが疎外されているような気持ちになった幼い日々が…。
 明治カナ子先生の描くこうしたエピソードは、必ずや読者の心に眠るそんな思い出を呼び覚ます力があるように思います。
 生々しいんです。
 ぐふぅ…(吐血)。

 そして、すっかり敏は角のことを好きなんだと思いこんだ弓は、自分は敏に捨てられたと思いこみ、食事も受け付けなくなって徹底的にやせ細っていきます。
 しかも、あああああ、もう過度のネタバレになっちゃうから書くのを自重しますが、その痩せきった身体を見た敏にあることから痩せすぎを笑われ、弓はぽろぽろと涙を流しながら、もうそんな身体の自分は生きる価値がないと思いこむところまで追いつめられたりします。
 うっ、こうやってあらすじを描いてるだけでも、あのコマが、あのコマが俺の眼前に甦って俺の心臓を苦しめるぅぅぅううう。
 助けてくれー!!!

 でも、第2巻は、もうずーっとこんな感じです。
 もうこれでもかというくらい、弓と敏の2人が傷つけあい、苦しみあいます。
 東京で一人暮らしを始め、だだっ広いマンションでぽつんと過ごす弓。
 本当は敏も一緒のはずだったのに…。
 もちろん敏も一緒に上京してきているのですが、敏は敏で何とか弓への思いを忘れようと、極力弓と会う時間を減らしたりしてるのですな!
 それをまた「敏に嫌われた…」と誤解して涙を流す弓。
 うぎゃー!
 こう書いてても、2人のすれ違いが可哀想すぎて泣ける!
 もうこれがコミックス丸ごと1冊分続くんですよ…。
 こ、殺されるわ!

 いったいどうやったら大団円を迎えるのか想像もつかないこの2人。
 さあ、最終の第3巻でいったいどんなエンディングを迎えることになるのか――。

 …って、これがアナタ、もう第3巻では、それまでに数々散りばめられた伏線が次々と解決していき、怒濤のラストに向かって雪崩れ込みます。
 その爽快感!
 兄・角の過去にいったい何があったのかとか、弓に家をつげと強要する厳しい祖父の意外な素顔など、1巻、2巻でちりばめられていたエピソードが、「ああ、これはそういうことだったのか!」とすべて解決していくんですな~。
 その中で、ブログ主に一番印象的だったのは、大団円直前である第3巻201ページの場面です!
 ネタバレになるので詳しくは書きませんが、あそこで登場する敏とある人物とのやりとりを見ると、作者・明治カナ子先生が本作で書きたかったテーマのひとつは「これ」だったのか~と、深く心が揺さぶられます。
 敏に気付かれずそこに立ちつくす、ある人物の顔。
 というか、敏がその人物の存在に気付かなかったことこそが、このシーンの意味の眼目なわけですが、なんと深く心に刻みつけられるシーンでしょう。
 立ちつくす彼は何を思っているのか。
 そして、なぜ敏はこの人物の存在に気付かなかったのか。
 ブログ主は、本作の描かれた意味のすべてが、ある意味、あのシーンに凝縮されているように思います。
 本シリーズを読了された方に、感想をお聞きしたいところです。
 ああ、これこそがマンガなんですな!

 ……このレビュー記事、なかなかうまく書けなくて、明治カナ子先生の6年越しの完結には及びませんが、3日越しでようやくここまでたどりつきました(笑)。
 何度も書いては消し、書いては消し…。
 先にアップした『バラと野蛮』などのレビューよりも、こっちのほうが先に書き始めてたんですけど(笑)。
 とにかく、本3部作は買っていただいて億に一つも間違いはありません。
 絶対のオススメ自信作!
 明治カナ子先生のマンガを初めて読んだのは、今はなきSM専門のBLアンソロジー『絶対隷奴』シリーズでしたが、不覚にも当時はこんなにすごい作家さんだとは思っていませんでした。
 あそこでも長いシリーズ物を書かれていて、キャラは魅力的だし、叙情的だしで、好きな作家さんではあったんですけどね!
 次作はどういうものを書かれるんでしょう。
 また『HertZ』で掲載するのかなぁ。
 てか、そりゃ編集部側が放しませんよね、こんなすごい作品を描く作家さんを。
 ああ、次にどんなマンガが読めるかと思うと、めちゃくちゃドキドキしてきますな!

出来の悪い子―三村家の息子シリーズ (ミリオンコミックス 16 Hertz Series 21)出来の悪い子―三村家の息子シリーズ (ミリオンコミックス 16 Hertz Series 21)
(2007/04/26)
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(2008/09/10)
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Comments

 
私もこの作品は久々に「ずっととっておきたい」と思いました。
作者の気持ちもいろいろ変わったのか、完結巻が一番良かった・・。
あ、途中も好きなシーンはいっぱいありますが。
直接BL的シーンじゃないところが美しく
それがかえってBLとしての作品を盛り上げているように思います。
 
 
私もレビュあげたですー。
そこに自分の想いは全て書いたのですが・・・・・・

>敏に気付かれずそこに立ちつくす、ある人物の顔。
ものすごく印象的だったのはその人物に対して「弓と声が似てたなあ」としか敏夫が思えなかったこと、なんですよね。
すごいな、彼の欠片もないじゃないか、と。
で、弓の方も美容院を探している時に、同じような人物とすれ違ってますよね~。
あれもすごく気になりました。
すごく意味があると思いますよ。

出来れば角の物語も早く描いてほしいですよねえ。
このままじゃ兄ちゃん不憫すぎますよ。
結構まともな神経を持ち合わせてたんだ・・・と3冊目にして知りましたよ。
いや、まともだからこそ、耐えられなかったんでしょうね。
あの森での出来事は。

なんか久々にじーんとしました!
絵はアレなんですけど!(いつも言ってますが・・・ハハハ)
大好きだ、明治先生( `・ω・´)ノ
 
 
>ひなたさん
いやー、このシリーズ、完結巻がなかったら、ただの嫌がらせです(笑)。
それだけに完結巻を読み終わったときの幸福感は言葉で言い尽くせないものがありますが!
BL的シーンじゃないところで美しいシーンが多いとのこと、そのとおりですねぇ…。
でも、それを無理なくBLストーリーとしての盛り上がりにつなげてしまうところが、すごい作者さんだなぁと思いました。

>乱菊さん
アニキのレビューを読んで、へこみました。
ここの糞記事より全然簡潔な文章で、作品の良さが伝えられていて…。
ぐすん。

>ものすごく印象的だったのはその人物に対して
>「弓と声が似てたなあ」としか敏夫が思えなかっ
>たこと、なんですよね。

まさにそのとおりです(><)
弓と敏が兄・角という存在を乗り越えて少年期を脱した瞬間だと私は思いました~。
角という影を追い、追われ続けた少年時代を終え、自分で自分の道を切り開いていかなければならない新たな時代に入ったという。
美容室のシーン、じつは僕はあんまり気にしていませんでした。
というか、あれは本当に単純に人間違いのシーンだと思ってました(笑)。
あれって角なんですかね!?

で、読み終わると、アニキの言うとおり、角というキャラクターへの深い愛着が胸に湧き起こりますねぇ。
絶対続編があると私もにらんでます。

…が!

アニキはレビューでも書いてましたが…。
明治カナ子先生の絵って、「アレ」ですかー!!??
私、大好きなんです、あの絵(笑)。
かなり絵も素晴らしいと思ってただけに、アニキの評は意外でした…って、世間的にはそういう評価なんでしょーか(笑)。
 
 
おっす!アニキです!
明治さんですが・・・なんつか味のある絵だとは思うんですが、基本的に私の好みではない絵だった・・・というコトです。
でもそんなの今となっては関係ないのですがー(笑)
ストーリーテラーとしての才が上回れば、絵はその次ですから(≧△≦*)
私は絵が全く描けないので、ああいう一見雑に見えるものの実はデッサン力とかが凄くあるんだ!みたいな事は全く分かんないのですが、実際どうなんでしょうねえ。
まあ人で例えるなら、決してイケメンではないんだけども話してみたらスゴイ面白かった!みたいな?

美容院のシーンは大宮と会う前後か~と勝手に思ってましたが、違うかもしれませんね!
なんか直感で「あ、角だ」なんて思ってたもんで(;´∀`)

それにしても3冊分、それぞれ超熱くレビュってしまいましたね、このシリーズ。
読みながらすごい居たたまれない気分に何度もさせられたんですけど、だからこそふたりが上手くいってよかったなーと。
ホントに最終巻がなかったら、あの最後の激甘がなければ、ただの嫌がらせですよネ。

ちなみにあの書評サイトは1200字以上は受け付けてくれないので、自ずと簡潔にしなければならないのですよ(笑)
これが結構厳しいんですよ~。
削るの大変!
 
 
アニキ~、ちわっすー。

…って、いったい何の挨拶だかよくわからなくなってきました(笑)。

『Hertz』の最新号(vol.28)で、明治カナ子先生の新連載が始まりましたよ~。
アニキのブログで「購入予定」に『Hertz』が入ってなかったので、一応お知らせしておきます。
…って、ワタシ、新連載を読み始めた瞬間に、『三村家の息子』シリーズ以上に味わいが深くなったその絵の描き方を見て、アニキの顔が浮かんでしまいましたよ…って、アニキの顔知りませんが(笑)。
前回に増して、絵が独特の感じになられてます。
もし機会があれば、ぜひ見てみてくださいましー。

それにしても、アニキのブログにアップされてるロールケーキ、うまそうだなぁ。
 

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