ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[レビュー]クラスの人気者×美人(副)委員長! クライマックスでの恥ずかしい台詞に震える… 遠野春日『恋する僕たちの距離』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-美人の優等生  受け-ガリ勉  受け-生徒会長・委員長  特徴-高校生  攻め-クラスの人気者  ●タ行-遠野春日  
恋する僕たちの距離 (ゲンキノベルズ)恋する僕たちの距離 (ゲンキノベルズ)
(2000/12)
遠野 春日

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 もうこの本は何回読み返したことか…。
 もうほとんど暗記してます!(嘘)
 でもそう言いたくなるくらい好きな作品です。

 最近、めっきり学園ものを書いていただけなくなってしまった遠野春日先生の(商業誌では)どちらかといえば初期の作品です。
 この本が出た00年には、リーフ出版からも『キケンな遊戯』という優等生受けの超傑作を出されています。

 遠野先生は、BL作家の中でも書きたいものが決まっているほうのタイプだと思うのですがどうでしょうか。
 色気、才能、情熱といった、男ならば手に入れたいと思うものに溢れた攻め×内面に秘めたものを見せず周囲からは冷たいといわれる美人の受け。
 とくに“冷たい美人”というのは、作品に必ず登場するように思います。
『恋する僕たちの距離』(ゲンキN)は、その意味で遠野作品の王道を行く小説です。

 主人公・片岡基紀は、「優等生タイプで、つんとした感じ」とクラスメイトから評される高校2年生。
 遠野先生の描写を引用してみましょう。

 基紀は綺麗な男だ。
 身長はそれほど高くはないが、ほっそりとしているので実際よりも高めに見える。
 そして立ち居振る舞いが男にしてはなんとなく優美で、そこはかとなく品があった。
 そにかく顔立ちが整っていて、すっと高い鼻梁から口元までのラインは、女子たちが密かに騒ぐにも無理ないと思えるほどだった。
 少し淡い色をしたさらさらの髪を長めにしているのも、彼の繊細な美貌にはなかなか似合う。

 色が白いからか、基紀にはあまり活動的なイメージは持てなかった。
 実際、体育の授業ではほとんど目立たず、逆に机に向かってする勉強はクラスでも飛び抜けている。
 だから尚二は彼のことを、どちらかと言えばガリ勉タイプだと見なしていた。
 アウトドアが好きな自分とは正反対の男に違いないと思う。

 ううむうむ。本ブログに集うみなさんが好きな言葉が散りばめられているではありませんか。
 ガリ勉、優等生、体育の授業ではほとんど目立たない――小学校時代には間違いなくイジメられるタイプです(笑)。
 でも、中学も後半になると急激に人気が出てくる、みたいな。
 ひと言でいえば“美人な優等生”ですね。

 さて、先ほどの引用の中に出てきた「尚二」というのが、もうひとりの主人公(攻)です。
 フルネームは、安野尚二。
 こちらはクラスの人気者で誰とでも仲良くなれるタイプの男。
 といって軽薄な感じではなく、これも遠野作品には多い、男として重量感のあるタイプです。
 本文ではこんな描写がされています。

 尚二自身はもともと誰とでもフランクに付き合える、クラス内でも何くれとなく目立つようなタイプの男だった。
 頼りにされやすいし、リーダーシップを取ることを任されがちだ。


 こんな正反対の2人が、クラスの委員長、副委員長に就任したことからストーリーは始まります。
 尚二が委員長、基紀が副委員長に投票で選ばれたのです。
 すぐに尚二はこんな愚痴を周囲にこぼします。

「なんで副委員長が片岡なんだ」
「不服とかそういうわけじゃない。あんまり得意なタイプじゃないってだけだ。今までだってそんなに親しくしたことはないし、個人的に話をしたこともない。いくら俺が人見知りしない性格だからって、得手不得手はあるんだよ」

 さあ来た、来ましたよ!
 優等生のことをなぜか嫌うクラスの人気者!
 これ一つでご飯を何杯でも食べられるほどにオイシイ設定です。
 しかも!
 直後の文章で、基紀が心密かに尚二を想っていることが明かされ、読者は一気に小説に引き込まれてしまうのです。

 基紀は春のクラス替えで初めて尚二を目にした瞬間から、なんだか胸がざわざわした。
 背が高く均整の取れた体型は基紀の好みだったし、なによりも彼の綺麗に澄んだ鋭い瞳に心臓を鷲掴みにされたのだ。

 でも、尚二に決してよく思われていないことは、基紀も自覚しています。
 外見は美しく冷たい優等生の熱く濡れる心の中が、そして完璧と評される優等生が抱えるガラスのように脆い心の形が、こんな胸キュン(死語)な文章で描写されます。
 堪能してください。

 基紀は誰にも秘密の恋をしている。
 ただでさえ尚二は基紀に良い印象を持っていないようだから、本人に勘づかれたりしたら、きっと立ち直れないくらいに打ちひしがれてしまうだろう。
 基紀はそれほど強くない。
 好きな相手から気持ち悪がられたり、軽蔑の眼差しで見られたりすることには耐えられそうもなかった。
 普段は精一杯彼に無関心なふりをして、たまに用事があって話し掛けられても内心の嬉しさとは裏腹にそっけなくしてしまい、どうにか自分の本心が漏れないように努力してきている。
 せめて普通に仲良くできたらいいなと思わないでもなかったが、結局は恐くて素直になれない。

 あまりの切ない気持ちに、初めてこの本を読んだ時には、ti-kenは思わず「ほーほけきょ!」と叫んで部屋中を駆け回ってしまいました。
 まったく意味不明の行動ですが、いま思えば、自らウグイスの鳴き真似をすることで、早く春よ来い、基紀の心に春が来い! という思いだったのでありましょうか。
 違うか…。
 でも胸がかきむしられるようになってしまったのは本当です。

 閑話休題。さて、アホな読者はこうやって胸のモヤモヤを発散すればいいのですが、秘密の恋に苦しむ主人公・基紀はこんな気持ちを抱えてどうしたらいいのでしょうか。
 じつは、基紀が持っている唯一の“逃げ道”がインターネットでした。

 趣味の自然散策や山歩きのサイトを探して、いろんなサイトをランダムに見ているさなかに行き当たったあるホームページ。
「ヤスジ」と名乗るサイトの運営者と、基紀は同じ趣味ということでネット上で親しくなり、今ではメールをやりとりする仲になっていたのです。
 基紀は、ヤスジにだけは悩みを打ち明けて相談しています。

「同じクラスに好きな人がいるけれど、彼の気持ちはどう転んでも自分に向けられる可能性がないので、考えるたびに落ち込みます」

 親身に相談に乗ってくれるヤスジに感謝している基紀でしたが、じつはひとつ問題がありました。
 それは、最初にこうして好きな相手のことを「彼」と書いてしまったことと、基紀が「トモ」というハンドルネームを名乗っていたことで、ヤスジが基紀のことを女の子だと勘違いしてしまったこと。
 今さら「男です」とも言えなくなってしまった基紀は、あえて誤解を解かずにヤスジに恋の悩みを相談しつづけてきたのでした。

 初めてこの本を読んだ時、ここまで読んで、ti-kenは「まさか、基紀と尚二とヤスジの三角関係になるんじゃないだろうな! 許さ~ん!」と激怒してしまいました。
 三角関係ものって大嫌いなのです。
 だって、優等生というのは、「僕にはほかにできることがないから…」と言ってつい勉強を頑張ってしまうように、恋の道においてもわき目をふらず一つの道を進んでいく生き物だからです。
 三角関係OKな優等生などというのは、その存在自体が背理です。
 反法則です。
 反物質です。
 即刻消えてなくなってもらわないといけないのです。
 でも読み進めていくと、三角関係なんかならなかったかわりに、もっと面白い設定が待っていました。

 うすうす勘づいていた方もおられるかもしれませんが、じつは「ヤスジ」というのは、尚二のネット上での名前なのです。
 尚二がそうして名前を変えて開設していた山歩きの趣味のホームページを基紀が訪れ、メール友達にまでなっていたわけなのでした。
 お互いそうと知らずに。

 恋の相談をしてくるトモ=基紀のことを女の子だと誤解しているヤスジ=尚二。
 ところが、ともにクラス委員に選ばれた日を境に、2人は接近することが増えます。
 そしてその嬉しさを基紀は詳細にヤスジに報告してくるのです。
 ところがメールを読むにつけ、尚二はトモの恋の相手というのは自分のことではないかと思うようになっていきます。
 そんなうまい話があるはずがない――そう思いつつも、ある日、昼間の学校で自分のやった行動が寸分の違いなくトモのメールに書かれているのを見て、尚二はトモが好きなのは自分だと確信するのです。 
 自分のことを密かに好きな女の子が同じ学校、それも同じクラスにいると――。

 たまたまそこで告白してきた女子生徒のことをトモだと勘違いした尚二は、控えめなトモのメールに好意を持っていたこともあり、有頂天になって付き合い始めてしまいます。
 それを見た基紀は衝撃を受けますが、一度もつれた糸はなかなかほどけず…。

 さあここまでが物語の序盤部分。
 この後は、ぜひご自分の目で2人の恋の行く末を確かめてみてください――というのも味気ないので、本書で最高に美しいシーンを一カ所だけご紹介しておきます。
 ネタバレが嫌な方はこのへんでさようならです。

「いいよ。もう。基紀」

 尚二は宥めるように基紀の顔を上げさせると、正常位で抱きしめて、抱え上げさせた腰の奧の、すっかり解れて濡れそぼっている蕾に、自分のものを押し込んだ。

「あああ、あっ、あ」

 基紀の唇から押さえることができないような嬌声が漏れた。決して苦痛だけではないようで、基紀の頬は紅潮して火照っている。

「慣れるの早かったな。俺はすごく嬉しいけど、無理してないか?」

 してない、と基紀は夢中で首を振る。

 かわいかった。適当に淫らなところが尚二の男を刺激してたまらない。基紀の洩らす喘ぎ声は色めいていて、男を抱いているのだという特殊な感じはほとんどない。

(中略)基紀を先にいかせてやって、それから尚二も基紀の腹の上に飛沫を飛ばして達する。

(中略)今度は体をくっつけてしっかりと抱き合い、深くて濃密なキスを貪りあった。

「僕があんまり…その、こういうことが好きだから、呆れる?」

「俺はあんたが今そういうことを俺に訊く方に呆れるよ」(本文199~200ページより)

 どどどどどうですか!
 この最後の2つのセリフ!
 遠野先生のHシーンの筆力の高さは、BL界でも随一だと思いますが(とくに美人の受けが乱れるところを書かせたら…)、優等生が乱れた自分を恥じてポロリと洩らすこのセリフ。ものすごい威力です。
 これがあることで、そこまでのHシーンが単なるエロに終わらず、愛を深めた2人の重要な心理描写になっているという意味で、完全にストーリーの一部へと高められています。
 しかもそれを受けての最後の尚二のセリフ。
 小説におけるユーモアとはいかに表現されるべきか、そのお手本のような一文ではありませんか。
 なんという筆力でしょう。
 ああ、生きててよかった!
 こんな素晴らしい優等生受けBLを読めるんですから!
 エロ&胸キュン。じつに現代のBL本の醍醐味はそこにあると思うのであります。

 ここまでこの駄文を読まれて、『恋する僕たちの距離』を読んだ気になっている人がもしいるとすれば、その人は相当のアホです。
 女子生徒と付き合い始めた尚二と、それに失望し自暴自棄になる基紀。
 その2人があるきっかけで一緒の行動をとることになります。
 そしてそこで基紀は許されないことを尚二にしてしまうのです。
 その瞬間の2人の火の出るような気持ちのやりとりの描写!
 ここでは文章を紹介しませんが、私は大げさでなく、このシーンはこれまでに読んできた1万冊以上のBL本の中でも間違いなくトップワンを争う名シーンだと思っています。
 あのページを読んで、泣く人もいるでしょう。怒る人もいるでしょう。
 辛くて読むのをやめてしまう人もいるかもしれません。
 ですが、あんなに読者の胸を揺さぶる場面は他に遭ったことがありません。
 何も言わず、本書を入手して、会社や学校を休んででも今すぐに読みふけるべきだと断言しておきます。

 最初に書いたとおり、最近は学園ものをまったく書いてくださらない遠野先生。
03年にラキアNから出た『LOVE』が最後ではないでしょうか(ちなみにこの作品も年下攻め優等生受けの名作)。
 別の本のあとがきに「じつはあまり書かないんですよね、学生ものって」「高校生ものの難しさは、とにかく主人公たちの世界が限定されるということです。行動範囲も社会人にくらべたらはるかに狭い。制約も多いです」と書かれていますが、そこをなんとかそろそろ久しぶりに学園ものを書いてみたいただきたいものです。
 もちろん優等生受けで。
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