ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]キモい“乙女男子受け”な一作! これって『オトメン(乙男)』のマネ? いやいや、そうでもないんです! 高月まつり『ロマンティックは裏切らない』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-乙女男子  受け-女装  受け-キモオタ  特徴-高校生  ●カ行-高月まつり  ●サ行-砂原糖子  
ロマンティックは裏切らない (プリズム文庫)ロマンティックは裏切らない (プリズム文庫)
(2008/07/23)
高月まつり

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 1週間のご無沙汰でした~。
 土曜から休みだったんですが、小学校以来すでに20年来の付き合いになる友達2人とハイキング(?)に行ってまして、ブログ放っぽってました…。
 8月のお盆前に富士山を登りに行くんですよ、同じメンバーで。
 去年も登ったんですが、8合目で友達が高山病になっちゃって名誉ある撤退(?)をしたんです。
 今年こそは…ということで、予行演習に東京都下の渓谷をひたすら歩いてきたんですが…。
 つ、疲れた…!

 といいつつ、じつはこの1、2週間ほど、新刊のBL本にはあまり本ブログで取り上げるような“優等生受け”だったり“キモオタ受け”だったりなものがなく、書くネタに困ってはいたんですけれどね!
 数少ない中から、高月まつり先生の最新刊『ロマンティックは裏切らない』をご紹介しようと思います~。

 本作は、とくに“優等生受け”ではありません。
 では、本ブログの裏テーマ(?)である“キモオタ受け”かといえば、それも微妙に違います。
 いや、やっぱり“キモオタ受け”になるのかなぁ。
 受けキャラが一般的には“キモイ”と言われる特殊キャラであることは間違いありません。
 でも、外見はカッコイイ男子高校生なので、絵的にはそうキモくないんですよ。
 なので、じつはこのレビューも当ブログで書くべきか迷ったんですが、「こんな○○○な俺なんて、好きになってもらえるはずがないんだ…!」という鬱屈した精神の受けキャラを何よりも愛する当ブログの基本精神から眺めれば(笑)、やはり本作は“キモオタ受け”の一種と断ぜざるをえません。
 この小説の素晴らしい魅力をまだ読んでない人たちに知ってもらいたい…! ということで、晴れて内容をご紹介させていただこうと思います~(笑)。


 主人公(受)・麻田理(あさだ・わたる)は私立高校に通う高校3年生です。
 この理が、ブログ主もひさびさに出会ったキモさ(?)満点の主人公なわけですよ。
 何がキモいのかといえば…。
 身長180センチに均整のとれた肉体を誇る理は喧嘩も強く、男らしくコワモテな外面は、同級生たちからも畏怖の的になっているという設定です。
 でも…。
 そんなルックスを裏切って、じつは彼は可愛いものが大好きな乙女チック少年なのです。
 それも、男とか女とか、そーゆーことを別にしても重度過ぎるだろう…というレベルで!

 …こう書くと、今なら読者の多くは花とゆめ掲載の大ヒット漫画『オトメン(乙男)』を思い出されるかもしれませんね!
 でも、先ほどの文章で「ひさびさに出会った」と書きましたとおり、ブログ主は本作を読み始めて、すぐに別のことを思い出していました。
 02年にアイスノベルズから発行された砂原糖子先生のBL小説『ミスター・ロマンチストの恋』ですよ!

 『オトメン(乙男)』に先立つこと約4年、じつは同作こそが、今でいう「乙男」な受けキャラをいち早く世に問うていた作品なのです。

 ちょっと寄り道になりますが、『ミスター・ロマンチストの恋』の恋を簡単にご紹介いたしましょう。

 『ミスター・ロマンチストの恋』の主人公である受けキャラ・千野純直(ちの・すみなお)は、テニス部のエースで生徒会長も務める学校一のモテ男。
 やっぱり身長は180センチ近くあり、切れ長の瞳に引き結ばれた唇がニヒルで、女子生徒の憧れの的になっているカリスマ男子高校生です。
 でも…!
 やっぱりというか、いやいや、こちらこそが本家なのですが(笑)、千野は内心とっても乙女な性格。
 少女マンガ大好きな夢見る男子高校生です。
 雑誌の星占いを見ては、「ラッキーアイテムだから…」と言って、可愛い猫のキーホルダーを鞄にぶら下げてみたり、好きになった一学年下の後輩(もちろん男子)には自分で作ったということは秘密にしてお弁当を作っていってあげたりと、まさに乙男。
 ブログ主は、今回の高月まつり先生の新刊『ロマンティックは裏切らない』を読んだ瞬間、こちらの小説を思い出していたのでした。

 ブログ主の記憶では、この6年間、サラリーマンものでは同じように可愛いものが大好きな乙女チック主人公というのは何作か例があったように思いますが、少なくとも単行本になったものとしては、学園ものではひさびさの“乙女チック主人公”だと思います。
 しかも、読んでいただければわかりますが、砂原糖子先生の『ミスター・ロマンチストの恋』にくらべて、本作ははるかにディープな内容になってます(笑)。
 ブログ主としては、そこにこの6年間のBL本の進化(?)を見るとともに、大変感慨深いものがあるわけです。

 では、『ロマンティックは裏切らない』のストーリー紹介に話を戻しましょう。
 先ほども紹介したとおり、主人公・理は怖そうな外見にもかかわらず、可愛いものが大好きです。
 どれくらい好きかというと…。
 小説の冒頭、お気に入りのおいしいケーキ屋さん(笑)で隣に座った女子高生たちの会話に耳を傾ける理の“心の声”が綴られています。

 あのポーチ可愛いっ!
 ハートが付いたヘアピン可愛いっ!
 なんで女子って、こんなに可愛いものを持ってんだよっ!
 どう頑張っても使えない俺に、見せびらかすつもりなのか?
 俺だって、もっとこう……姉さんの持ってるマンガの主人公みたいに華奢でキラキラした顔をしてれば、きっと可愛いポーチや鏡を持っても変だと思われないのに。
 そしたら、もっとオシャレして髪だって茶髪にするのに。
 ピアスだってするぞ。
 華奢でキラキラ綺麗だったら、ピンク色の服を着ても似合うはず。
 レースが付いた制服があれば、きっと最高に似合うっ!

 さらに、こんなことも言ってます。

 本当は、もっと女子と仲良くなりたいのになあ。
 携帯メールでケーキの旨い店を教え合ったり、ファンシーで可愛いグッズを売ってる店の話をしたり、感動した少女マンガの話を熱く語ったりしたい。
 キラキラ輝くデコ携帯なんて最高だ。
 ピンクと紫のスワロフスキーで埋め尽くされた可愛いハート。
 ハードデコのデコ携帯。
 くどいけど憧れる……っ。

 どーですか(笑)。
 6年前の『ミスター・ロマンチスト』での千野クンはもっと控えめな乙男でありました。
 恥ずかしがりでとっても内気。
 やることと言ったら、雑誌の占いを気にしたり、バレンタインデーに大好きな後輩のためにチョコを作ってあげたり、一緒に行った初詣で、「カップルが渡ると必ず破局する」と言われている橋を通らないように、真っ赤な顔で(でも身長は180センチ)後輩の腕を引っ張ったりするくらい。
 それと比べれば、本作の主人公(受)・理の積極的(?)な乙男ぶりはとても目を惹きます(笑)。

 ブログ主は、両者の違いは「BLにおけるリアリティ」とは何か、その概念がこの6年間で大きく変化してきたことの表れだと思うわけですが、なかなか興味深い現象ですよね。
 今の読者には、理のようなスワロフスキーに心をトキめかしちゃうオトメン男子というのは、いても全く不自然じゃないということなんでしょうねー。
 でも、6年前には、乙女チック男子はそんな性格を表に出さず、心の中で控えめに控えめに押さえつけているほうが、BL本の読者にはリアリティがあったわけですな!
 BLというのは、現実世界の男の子たちの実際のありようとは関係があるようであまり関係がない、あくまでも一種のファンタジーだとブログ主は思っていますが、そんなBLの世界の中でどういう“男子像”が描かれていくのかは、その時代時代の“理想の男の子像”が大変敏感に反映されているとも思っています。
 だからこそ、BLは純文学などではなく、作家と読者が相互作用を及ぼし合いながら作りあげる双方向的な生産物だと思うわけですが、この6年間での“オトメン”像の変化にも、そんなBLというもののあり方が非常に色濃く出ていて興味深いと思うわけです(笑)。

 とはいえ、本作の主人公・理クンだって、何から何まで自分の“乙女チック”な性格を表に出しているわけではありません。
 いや、実態はその正反対。
 じつは理は、“夢の国に住んでいる”という設定の可愛い(?)ウサギの女の子、『ムッヒーちゃん』なるキャラクターが大好きなんです。
 ミッフィーじゃありませんよ、『ムッヒー』ですからね、念のため(笑)。
 ラブリーでスイート、そんな女の子の憧れを形にしたような夢の国『ムッヒー★ワールド』に、たくさんのお友だちと楽しく暮らしているムッヒーちゃんのことを、理は他の何よりも愛しているのでありました。
 もちろん、部屋は数え切れないムッヒーグッズで一杯です。
 というか、理の部屋は、唯一、彼が心からくつろげる秘密の場所。
 可愛い花柄の壁紙に、スズランの形のペンダントライト、窓にはピンクのギンガムチェックのカーテンがかかり、ベッドにはおそろいの柄のクッションが並べてあります。
 洋服ダンスだって、小さなタイルがアクセントに埋め込まれた可愛いマホガニー。

 でも、もちろん自分のそんな趣味を、学校で人に言うことはできません。
 幼馴染みで親友の裕弥(ゆうや)だけは全てを知っていますが、理の日常生活は、可愛いものが大好きな本当の自分を裏切るように、ごく平凡な男子高校生の毎日を送るしかなかったのでした。

 ところが…!

 そんな理の目の前に、ある日、1人の転校生が現れたことから事態は急展開していきます。
 それが、理の“理想の王子様像”を現実にしたようなルックスを持つイケメン、広永修生(ひろなが・しゅう)だったのでした。

 すらりと背が高く、色素の薄い髪は少し長めで緩やかにウエーブしていた。思わず指で輪郭をなぞりたくなる完璧な横顔が正面を向くと、女子たちは感嘆のため息をつく。
 切れ長の二重の瞳に、すらりとした鼻、形のいい唇はキスが上手そうに見える。
 長身で肩幅はそれなりにあるのに厳つい体型に見えないのは、細面だからだろう。
 彼はスポットライトも当たっていないのに、キラキラと光り輝いて見えた。
 照れくさそうに右手で髪を掻き上げる仕草はうっとりするほど優雅だ。

 ……なんなんだ? なんなんだこいつは。
 
どうして、俺のほしいと思っているモノを、何もかも持ってるんだ?
 おいっ! 絶対にピンクの制服が似合うぞ、お前っ!
 レースのいっぱい付いたブラウスだって似合うぞっ!
 できれば薔薇の花束なんか抱えてくれっ!
 俺がお前だったらよかったのにっ! 俺の理想の王子さま発見っ!

 一発で修生にメロメロになってしまった理は、この日から修生にお友だちになってもらいたくて、なんとかお近づきになろうと頑張ってしまいます。
 親友・裕弥の協力を得て、一緒にお昼ご飯を食べることに成功する理。
 天にも昇る心地で、学食でいっしょに昼飯を食べる理でしたが、可愛い盛りつけの料理の写真を写メに撮る理を見て、驚くことに、修生はこんな行動に出てくるのでした。

「やっぱり可愛いな。怖いとか乱暴とか聞いてたけど、全然違う」

 修生はそう呟くと、ためらいなく理の頭を撫でた。

 え? えーっ! ちょっと待ってっ! いきなりそれか? おいっ! そんな風にスキンシップをしてもいいわけ? いやその、俺は嬉しいが、ちょっと大胆じゃないか?

 理は心の中で雄弁に語りながら、身体を強ばらせる。

「短いから、もっとこう…硬いと思っていたけど、柔らかくて触り心地がいいな。鳥のヒナみたいだ。大人しくていい子だな」

 なんと、いきなり“王子様”の修生に気に入られてます、理クン(笑)。
 じつはこれには理由があるのですが、それは本書を読んでのお楽しみ。
 とりあえず、この後も2人はどんどん急接近していきます。
 その途中、理はつねに修生のことを、王子さまを見るようにキラキラした乙女な眼で見ています(笑)。
 修生の前では緊張してうまく喋れなかったり、態度は乙女そのもの(笑)。
 そして、そんな理と、なぜかそんな理を可愛がる修生は、ついにある日、友達の“一線”を越えてしまうことになるんですな…!
 ほんのちょっとだけ、その場面をご紹介いたしましょう!

「修生…も…俺…っ」

「そんなに感じてるの? 俺、たいしたことしてないのに」

 そう言いながらも、修生の指はタオル越しに理の敏感な部分を強く擦った。
 途端に理は、びくんと身体を震わせて信じられないほど可愛い声を上げる。

「い、今の…違う」

「なんでそういうこと…言う? 凄く可愛い声だった。もっと聞きたい」

「だめ。もう…だめだって…っ。や、やだ…やだ…っ」

 自分でコントロールできる自慰と違う快感に翻弄され、理は目尻に涙を浮かべて首を左右に振った。

(中略)

「いきなりでごめんね。あんまり理が可愛いから、俺我慢できなくなっちゃった」


 あうー!
 さあ、本ブログが本作をご紹介した理由がこの場面だけでもわかるというものでしょう!
 普段は身体も大きくて同級生に怖がられている、BL的にいえば「攻めキャラ」にしか見えない主人公(受)・理クンが、“王子様”にイヤらしいことをされて、可愛い声(←これ重要)、可愛い声を上げちゃうという、もう悶えるしかない名場面!
 すいません、最高なんですけど(笑)。
 そんな自分を理が恥ずかしがっちゃってるのが、本ブログ的にはオイシすぎて、こうして今キーボードを打ってるブログ主の手は、口から垂れてしまったヨダレで濡れ濡れです!

 で、攻めキャラ・修生が臆面もなくそんな理のことを「可愛い」と言ってるのも高ポイントッ!
 どうですか、このナイスなコンビネーションは(笑)。
 てゆーか、花とゆめで連載中の『オトメン(乙男)』を、じつはブログ主はほとんど読んだことがないんですが、所詮、主人公は女の子と恋愛するわけですよねぇ?
 ブログ主は声を大にして言いたい…。
 …それって楽しいのっっ??(大声で)
 立派なカラダに優秀な頭脳、でも心の中は可愛いものが大好きな乙女チック少年――。
 そんな男の子たちがカッコイイ攻めキャラに愛されなくて、何の存在価値があるというのですかー!!
 つまらん!!
 じつにつまらん!
 ふつうに女の子と恋愛してもまったくつまらん!!
 王子様に愛されちゃって、「可愛い」と言われまくって、でも「俺なんか可愛くないよ…」なんてヒネくれちゃってこそ、オトメンというものではありませんか…!!

 …と、思うのですが、みなさんはいかが思われますでしょうか(笑)。
 その点、本作はほぼ完璧にブログ主の嗜好を満たしてくれてます。
 自信を持ってオススメする所以ですが、いやちょっと待った。
 “男らしいけど乙女な主人公が王子様に愛されて可愛くなっちゃうお話し”ということであれば、じつは砂原糖子先生の『ミスター・ロマンチストの恋』が、すでに6年前にかなりの部分まで描いてくれていたのでありました。
 例えば、こんな場面。
 あ、申し遅れましたが(?)、こちらの攻めキャラは有坂といいます(笑)。
 オトメン主人公・千野クンの一年後輩で、とっても男らしいカッコイイ少年です。

 肩口に頭を埋めてきた有坂は、首筋に唇を押しつけてくる。
 這い上がってきた手のひらが胸に触れる。
 まるで何かを探しているようなその動きに、千野は切なくなった。
 平べったいだけでなく、硬い胸。
 申し訳ないぐらいなにもついていない。

「…ごめんな」

 有坂を喜ばせるものを持たないのが哀しくて、千野はついポロリと言った。

「なにがです?」

「…む、胸…触っても、なんにもないし」

「なんにも…なくはないでしょ?」

 卑屈な言葉に苦笑した有坂は服をたくし上げる。
 セーターを脱がされ、消え入りたいぐらいに恥ずかしかった。
 筋肉隆々とまではいかないが、部活で無駄に鍛え上げてしまった体だ。
 色白でもないうえ、しっかり腹筋つき。

 興ざめされたらどうしようと怯えに胸を喘がせる千野は、狭いベッドの上で飛び跳ねた。

「な、なに…?」

 有坂は申し訳程度についた小さな胸の尖りに唇を寄せた。

「胸なんか…いらないよ? これで十分」

 十分どころか何の役にも立たない場所だ。
 足の小指の爪以上に、男の体の中ではどうでもいいと思える部分にキスを施され…千野は反論しようとするも、声が出なかった。
 いや、声が出そうになって慌てて堪えた。

 有坂の唇に包まれ吸い上げられた瞬間、電流にも似たシビレがそこから全身に向けて走ったからだ。

 いやー、大変に変態で申し訳ないことに、ブログ主はこーゆー場面が大好きなのですな!(笑)
 受けキャラが「男なのに…」ってコンプレックス丸出しで恥ずかしがるところ。
 しかも、心は乙女な千野クンは、そんな卑屈な心を抱きつつ、本当は有坂の“お姫さま”になりたいわけですよ。
 この落差!
 この萌え萌えな2人には、こんな場面もあります。

「……代わりになる?」

 女のコの温かい場所みたいに、有坂に気持ちよくなってもらえるのか。
 男同士でもちゃんと抱き合って、結ばれる。
 そんな夢みたいなこと、起こりえないと思っていた。

「あのさ、なんで代わりとかそういう言い方すんの? オレは清くもないけど、誰にでも欲情するほど餓えた獣でもないよ。誰の体触ってオレがこんなことになってると思ってんだよ」

 もどかしげに項に唇を寄せてきた有坂は、千野の腰に屹立を押し当ててきた。

「…オレでいいの?」

 ベッドに入る前と同じ言葉を千野は返してしまい、有坂は今度は笑わなかった。

「もう一回言ったら、マジ怒りますよ。そりゃあ千野さんは女じゃないけど、じゃあこんな風に男に触りまくってさ、興奮するオレはなんなの?」

 で、この後、男前な後輩・有坂に「可愛い」を連発されて、千野は絶頂を迎えてしまうという(笑)。
 『ミスター・ロマンチストの恋』が、6年前にすでに世に先駆けて見せていたこの先進性を、みなさんにもさぞやご理解いただけたと思うわけですが、そうすると今回の高月まつり先生の新刊『ロマンティックは裏切らない』に、BL小説としての存在価値、歴史的な意味はあるのかしら…という話になってくるわけですよね。

 もちろんあります!!!!

 じつは本作の主人公・理と修生が友達としての一線を越えて、“恋人”として急速に距離を近づけていくその過程で、2人はもう「ぶっ飛んでる!」としか言いようのない“プレイ”(笑)の数々を披露してくれるのですよ…!
 いや、べつに2人がぶっ飛んでるわけじゃないですね。
 ぶっ飛んでるのは、高月まつり先生のほうです(笑)。
 それぐらい、この後のストーリーの展開は、インパクトを読者に与えてくれるのですよ。
 いい意味で。
 しかもそれは単に奇をてらっているわけではなく、先ほどからブログ主が語っているような、外見はカッコイイのに心は乙女な主人公が、王子様のような攻めキャラに「可愛い」を連発されて、恥ずかしくて恥ずかしくていろいろ抵抗するけど、本当は嬉しくてたまらないという“乙女男子受け”の神髄をしっかりと貫いているものなのですよ。
 ここが素晴らしいところ。
 本作が上っ滑りで終わっていない、BLとして秀作の域に達している理由のひとつです。
 正直なところ、実際に本書を買って読んで楽しんでいただきたいので、その紹介は最小限に抑えようと思いますが、『ミスター・ロマンチストの恋』の同種の場面に勝るとも劣らない素晴らしいシーンが、本作でも目白押しになってます。

「どうしたの? 理。これ可愛いだろ? サイズは大丈夫だから着てみて」

「いや…その…、どう見ても…セーラー服…」

「うん。ボックスプリーツが可愛いだろ? お尻にウサギ尻尾が付いてるんだよね。こっちはムッヒーショーツ。可愛いだろ? あ、ハイソックスもあるから」

「俺…男…なんだけど…。どう考えても…似合うわけない…」

 せっかく風呂に入ったというのに、理は額にじっとりと汗が滲んだ。

「似合わないからいいんじゃないか。似合わない服を着せられて、羞恥心と道の間隔に戸惑う、ガッシリ体格の男。最高だ。これは華奢な子じゃだめなんだよね。かといって、女のコに男性用の服を着せても普通に着こなしちゃうから楽しくない。グッと来ない。興奮しない。やっぱり、理ぐらいしっかりした体つきでなくちゃダメなんだ」

 なんとー(笑)。
 理想の王子様のはずが、とんでもない変態さんでもあったわけですが、ここにはしっかりと愛がありますから、まったくノープロブレムですな!(笑)
 で、さらに物語はディープな方向へ…。

「背中に期待の視線をチクチクと感じながら、理はやっとのことで自分の下着を脱いで、ムッヒーショーツに足を入れた。

「あ。意外と穿きやすい」

「それはよかった。理、こっちにおいで」

「あ、ああ」

 生まれて初めてスカートを穿いたので、股間がスースーする。
 しかも心許ない。とても不安になる。
 女子は毎日、こんなにも無防備な服装をして凄いと思う。
 下肢をぴったり包むものが下着だけだと落ち着かない。そんな気持ちのまま、理はレースの天蓋で包まれたベッドの中に異動した。

「に、似合って…ないだろ?」

「うん。全然似合ってない」

「だったら…そんな嬉しそうな顔して見るなよ」

 理は耳まで赤くすると、そっぽを向いて正座する。
 しかし太股が半分も見えてしまって、慌ててスカートを引っ張った。
 なんだろう、この奇妙な感覚は。死ぬほど恥ずかしいのに、同じぐらいドキドキする。

(中略)

「やだ…」

 理ははだけたスカートの裾を両手で掴み、慌てて股間を覆った。

「そうやって恥ずかしがる仕草、すっごくいい。本当の女のコみたいだ」

「俺…女じゃない…っ」

「知ってる。でも、男なのにムッヒーちゃんの可愛いパンツを穿いてるだろ?」

 うひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
 ブログ主的には、もう最高の場面ばっかり!!!
 みんなー、ついてきてるー??(笑)
 でも、今の場面を読んでいただければ、本作が、『ミスター・ロマンチストの恋』とまったく同じ“乙女男子受け”を題材としつつ、大きな進化を遂げたとブログ主が言っている意味を理解していただけたのではないでしょうか。
 それほどのインパクトがあるH場面だと思うわけですよ!
 これまでのBLで、ここまであからさまに「俺…女じゃない…っ」という場面を、“似合わない女装”というエピソードまでフルに活用して描いたBLはありませんでした。
 これが新しい…!
 これ、一部の読者には、まったく受け付けない場面だと思うわけですよ。
 先ほどの「BLにおけるリアリティ」という概念からしても、「これはNG!」という人は、まだまだ腐女子界にも多うございましょう――いくらBLとはいえ、こんな受けキャラはありえないよ! という。
 でも、ブログ主のように、「これこそ俺が読みたかったBLだ!」という人間も少しはいるわけですよ(笑)。
 それも心から。
 本当はお姫さまみたいにしてほしいのに、そんな自分の夢がかなえられることは一生ありえないと諦めていた乙女男子が、思いもよらず夢がかなって頬を染めて喜んじゃう。
 この「女のコになりたい…!」的な設定からして、すでにそんなのはBLじゃないというか、拒絶反応を見せる人は、BLファンの中にも多いと思うわけですが、それだけにブログ主はよくぞ描いてくださった…と、高月まつり先生に本当に大きな感謝を捧げたいわけなのです。
 「こんな俺なんか…」という受けキャラのコンプレックスをを解放してあげる物語という意味で、本ブログがつねづね推奨する“優等生受け”や“キモオタ受け”と、“乙女男子受け”はまったく同種のものになってます。
 本作はその意味からいけば、完全にBL界における一つの到達点を見せる名作だとブログ主は思うわけですよ。

 しかも。

 じつは『ミスター・ロマンチストの恋』においては、砂原糖子先生があとがきで、受けキャラである千野のルックスを「一般的に言うところのカッコイイ攻め」にしてほしいとイラスト担当の明森びびか先生にお願いしたということを書かれているのですが、正直に言いますれば、その狙いはほとんど実現していませんでした。
 まだまだ全然受けキャラっぽい感じの外見で、(本当は逞しいはずの)受けキャラ・千野クンは当時描かれていたわけですよ。

 それが今回。
 『ロマンティックは裏切らない』においては、それが完全に実現されてます。
 かなえ杏先生描くところの受けキャラ・理の男らしいこと!
 そして、そんな理が似合わないセーラー服を着せられて、修生に可愛がられる場面のイラストの、画面から滲み出るとんでもない違和感と言ったら…!(笑)

 ガタイのいい短髪の兄ちゃんが、がっちりした体にセーラー服を着せられて、フリフリなフリルだらけのベッドの上でバックから「あんあん」言わされてる場面のこのイラスト、とても従来のBL文法ではありえない絵になってます(笑)。
 とれびあ~ん(笑)。
 本作は、『ミスター・ロマンチストの恋』と同じものを描きながら、完全に新しいものをそこから生み出すことに成功しているわけです。
 高月まつり先生、最高すぎますっ!

 本作は、他にもご紹介したい場面が山盛りなんですが、申し訳ない! あとは、ご自分で購入のうえ、こっそりとお楽しみくださいませ(笑)。
 ま、とにかく最後まで理は修生に「可愛い」を連発されてうっとりしてるということだけは書いておきます。

 ふう…。
 今回も一人で盛り上がってしまいました…。
 少しでも本作の魅力をお伝えできていればいいのですが…。
 『ミスター・ロマンチストの恋』は、いつか「珠玉の一冊」コーナーでご紹介しようと取ってあった一作なんですが、今回かなり引用してしまいました。
 ぜひこちらもオススメいたします。
 やっぱり02年の時点でこのキャラ設定は先見の明がありすぎと思うわけですよ。
 もちろん、そーゆー少女マンガキャラがそれまでいなかったわけではありませんが、これをBLの単行本で一冊まるまる展開するというのは、素晴らしいことです。

 で、本作での高月まつり先生のぶっ飛び具合も素晴らしいわけで、“乙女男子受け”学園ものの新旧両作は、ともに歴史に残る一作になったと言えるのではないでしょーか!

 ちなみに噂のラブリーキャラ「ムッヒーちゃん」は、本作の表紙の右下に描かれてます(笑)。
 高月まつり先生はあとがきで「グッズ作りたい!」と自賛されていましたが…。
 とくにオトメンではないブログ主には、キモい変なキャラにしか見えませんでした(笑)。
 すいませーん(笑)。

ミスター・ロマンチストの恋 (アイスノベルズ)ミスター・ロマンチストの恋 (アイスノベルズ)
(2002/06)
砂原 糖子

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Comments

 
さ、さいこーです!
ブログが!!
むしろ本編よりこちらの紹介の方が
楽しいのではと思うぐらい。
そして目からウロコのはっとさせられる記述。
たまりません。
どんどん書いていただきたいです!
 
 
ひなたさん、こんちわー!
お褒めの言葉、ありがとうございます。

ブログを拝見していたら、夏コミ新刊はいったいどうなることかとハラハラしていましたが、素晴らしい表紙になってますねぇ!
こんなに一挙に、まだ読んだことのないひなたさんの作品をまとめ読みできるかと思うと、夏コミがちょーちょーちょーちょー楽しみですw
必ず購入に伺いますので、ぜひ1冊キープをお願いします(><)

でも、冬コミのときは会社が休みだったんですが、今回の夏コミは、私、出勤日なんです(暗)。
遅くても夕方には会社に行かないと…。
あんまりいろいろ回れないかなぁ。
ひなたさんから存在を伺った十文字アリノ先生のコミックス番外編同人誌が再版されていることを祈って、こちらを第二目標に有明に行こうと思いますw
 
今日は! 
今日は、玲です!
こちらにコメントをさせて頂きました。

そうですか、やっぱり知っていらっしゃいましたか(´∀`)
結構知られていますよね^^
「あかないとびら」は読んでいないので、ぜひ読んでみます!

私の一番お気に入りのブサイク受けサイトをリンクします!!
あとオタ受けでいいサイトがあるのですが、それは次のコメントにリンクしときます(^O^)
お気に召すかどうか分かりませんが(´・ω・`)
気に入って頂けると幸いです!
 
 
玲さん、こんにちはー!

いま教えていただいたサイトを見に行ったら、なんと8月2日で閉鎖に!
小説は残ってはいるようですが、これは早く読まないと消されてしまいそうです(^^;
何とか時間を見つけて、早めに拝見するようにしますー!

ぜひその「オタ受け」のサイトのほうも教えてくださいーw
すんごい楽しみにしてますw
 
今晩は~! 

今晩は~、玲です!
そうなんですよ…8/2に閉めちゃったんですよね…。
ショックです(>_<)


では、オタ受けサイトをリンクしときますね^^
ここもオススメですが、
気に入って頂けたらいいな、と…(*^∀^*)

お仕事頑張って下さい(・∀・)/~~
では乱文失礼しました。
 
 
玲さん、こんにちは!

いま拝見したのですが…。
携帯でしか見れない!!!!!(><)

うぐぐぐぐ。
じつは普段、携帯でネットってほぼまったくやらないので、呆然としています(笑)。
でも、PCで見られるところに出ていたタイトルとかが超そそるので、何とか見てみます…!

うーん、くやしーよー。
教えていただいたのに、すぐに見られなくてスイマセン…。
本当に感謝してます!(^^)
 
 
ちーけんさん、こんばんは。

ちーけんさんが富士山で高山病に苦しんでいる頃、私は件の統計のために取り寄せた資料がまったく読みこなせず、癒しのためにこちらのブログで紹介されている優等生受け本数冊+この『ロマンティックは裏切らない』を読んでおりました。

高月まつりさんの小説を読むのは初めてだったのですが、主人公のほとばしるモノローグに当てられっぱなしの、強烈な一作でした…。
ストーリーが面白いのかどうかは、私にはもはや判断不能なのですが、精悍で男らしい風貌と内に秘めた乙女らしさのギャップに関しては、文章でも挿絵でも暑苦しいほど十分に表現されていて(とくに挿絵がちゃんと可愛くないところがいい、かなえ杏さんはいい仕事っぷりです)、ちーけんさんの『BL界における一つの到達点』という言葉がふさわしい、エポックメイキングな作品なのは確かだと思いました。

今回私がこの作品を読んだのは、実はここ数年来私が好きな漫画(非BL)と、設定上かぶる部分があると思ったからなんです。
西炯子さんの『STAYリバース 双子座の女』という漫画なんですが、ちーけんさんはご存知ですか?
ご存知だとしたら蛇足になってしまいますが、高校で生徒会長を務め剣道もなかなかの腕前の青年(当然体格もいい)が実は性同一性障害で、双子の弟の間には何やら確執があるのですが、とある同級生の女子とのまさに『女同士の友情』により後押しを受け前進する、というようなお話です。
少女マンガゆえこの乙女な優等生の精神を解放するのは攻めではなく女子(というか、弟もいろいろとくすぶっているので他人を解放する余裕はない)なのですが、BL要素あり、女装あり(本人は満足げだがあまり似合っていない)、ちーけんさんの好みには合いそうな気がしますので、もしお読みでなければお勧めしたいなあと思います。

長文失礼いたしました。
なお統計については、やる気を失ったわけではありませんので、どうか気長にお待ちください。
 
 
ぎがさん、こんにちは!

統計のほうはお暇なときにゆっくりでもちろんもちろん構いませんので、どうぞお気にせず!
西炯子先生のそのマンガ、むか~し読んだ記憶があるのですが、なぜかコミックスが本棚に見あたらず…。
誰かに貸しっぱなしのようです。
ストーリーもおぼろげですが、ぎがさんの文章を見て頭の中に浮かぶのですが、だいぶ記憶が…。
ぎがさんに言われて、猛烈に読み返したくなってきました!
…って、うーん、コミックスはどこいったんじゃい…。
心当たりに「俺の本持って行ってないか」と聞いてみて、それでも見つからなかったら、amazonで買ってでも読み直します…!

ぎがさんの本作を読まれての感想、「強烈な一作」というのはまさにそのとおりですよねw
本作が「面白い」かどうかは別にして、とにかく読み手の心というか常識というか感情を揺さぶる一作なのは間違いないと思います。
BLで大切なのは、どんなことにせよ、読み手の心をどれだけ動かすかだと思いますが、その点では、本作がとにもかくにも大きなマグニチュードというか、ベクトルでいえば向きはなんだかよくわからないけど、矢印(?)の大きさがとにかく巨大であることは間違いないなーと思いましたw

さーて、「双子座の女」を本腰入れて探してみます!
 

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