ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[レビュー]シリーズ全作が収録された新装版がついに登場! 全国1千万人の“優等生スキー”の袖を涙で絞る胸キュン傑作 遠野春日『LOVE』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 特徴-高校生  受け-美人の優等生  受け-成績優秀  特徴-年下攻め  ●タ行-遠野春日  
LOVEラブ (幻冬舎ルチル文庫 と 1-1)LOVEラブ (幻冬舎ルチル文庫 と 1-1)
(2008/05/15)
遠野 春日

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 BL界の最近の新装版ラッシュに、「昔の売れた本を復刻してラクに売り上げ稼ぐなんてセコイことしてる労力があったら、もっと他にやることあるだろ!」と思わざるをえないブログ主ですが、う~む、本作の復刻については賛成せざるを得ません…!
 遠野春日先生が書かれた“優等生受け”の歴史的名作『LOVE』が、完全な形で初めて単行本化されました。
 これは快挙と言わねばなりますまい…!

 もともと本作は、本編である『LOVE1』が今は亡きBL小説誌『小説ラキア』(ハイランド)に、03年に掲載されたものです。
 ところが不思議なことに、その直後に発売された単行本『LOVE2』には、その続編である『LOVE2』だけが書き下ろしの形で収録され、本編である『LOVE1』は単行本未収録になっていたのでした。
 もちろん、『LOVE2』では前作のストーリーが作中で紹介される形になっていたため、単行本だけ読めばよい形にはなっていました。
 しかし、『LOVE2』はあくまでも主人公2人がくっついた後の甘いお話しを描いたものです。
 スーパー紆余曲折の果てに2人が気持ちを確かめ合うまでを描いた本編『LOVE1』こそが、やはり『LOVE』シリーズの核心部分でありまして、雑誌掲載時に読み逃していた読者は、そこで描かれていた恐るべき胸キュンの嵐を味わう機会がこれまでなかったわけです。
 それが今回、両作品が一緒に収録される形で新装版として復活したのですよ…!
 う~む、やはりこれは拍手をせねばなりますまい。

 ぶっちゃけ申しますが、はっきり言って今回初めて単行本に収められた名作『LOVE1』を読むと、あまりの胸の苦しさに下手すると急性心不全で死ぬと思います(笑)。
 ブログ主は、最初に読んだときは本当に泣きながら読みましたよ!
 で、胸がぎゅーぎゅーぎゅーぎゅー絞られて、切なくて殺されるかと思いました!

 読者が胸キュンで殺されそうになる原因はわかってるんです。
 受けキャラの佐伯真幸(さえき・まさゆき)が、けなげで可愛すぎるのです…!
 で、主人公(攻)の甲斐幸宏(かい・ゆきひろ)が最初、極悪なまでに1年年上の美人で優しい佐伯先輩のことをイジメまくるのです!
 いやもう『おしん』というか『渡る世間は鬼ばかり』というか『水戸黄門』というか、おいおい、そんな設定でドラマ作られたら結末わかってても夢中になって見ちゃうよ! というズルすぎる設定のお話しなのですが、遠野春日先生の語り口がうますぎるので、読者はあっという間に物語世界に入り込んでしまい、甲斐のヒドい態度に涙を流す美人さん・佐伯に心奪われてしまいます。
 本当にあっという間ですよ!
 冒頭の数ページ読んだだけで、読者はこの本を置くことができなくなってしまうのです。
 可哀想な優等生・佐伯がどうなってしまうのか、幸せになれるのかが気になって…!

 冒頭シーンは印象的です。
 下級生ながらテニス部で活躍し、女の子の黄色い声援を浴びる存在でもある高校2年生の甲斐は、ある日、自宅の郵便受けに真っ白な封筒が届いているのを見つけます。
 「甲斐幸宏様」と美しい字で書かれた封筒の中には、甲斐宛のラブレターが入っていたのでした。

 『好きです』
 『本当は胸にしまっておこうと思っていたのですが、せめて最後くらいささやかな勇気を出そうと決意しました』

 奥ゆかしい差出人は、自分の連絡先を記すことなく、手紙を終わらせていました。
 文末に書かれていたのは、「佐伯」という苗字のみ。
 甲斐には心当たりのない名前です。
 「最後くらいは」というからには、来年卒業する3年生ということか――そんな風に思いをめぐらしながらも、甲斐はその手紙を机にしまいます。
 端正で、最近の高校生らしくない文面と、ラブレターという古風な方法で恋心を告げてきた「佐伯」という差出人に、何か心惹かれるものを感じながら…。

 この冒頭シーンを読んだ読者の頭の中には、甲斐の家に届いた純白のラブレターが美しく思い描かれることでしょう。
 そんな手紙を出した「佐伯」ってどんなキャラクターなんだろう…。
 期待が高まるところで、2人の出会いのシーンが出てくるのです。

 翌日――。
 テニス部の練習が終わり、帰宅しようとする甲斐を呼び止める声がありました。
 先輩の冬木茂(ふゆき・しげる)でした。
 テニス部で甲斐が尊敬する先輩でもあり、生徒会長を務めてもいた冬木は、校内で知らぬ者のない有名人。
 そんな冬木から親しく声をかけられる自分のを、甲斐はひそかに誇りに思っていました。
 ところが…。
 その日は、横にもう一人立っていたのです。

「真幸」

 冬木はそこでいきなり斜め後ろに立っていた、連れの彼を振り返った。冬木と甲斐はほとんど同じような体型をしているのだが、真幸と呼ばれた彼とは身長差が十センチ近くある。なによりも体つきがずいぶんと華奢な感じで、どことなく弱々しげな雰囲気な人だと甲斐は思った。きっとスポーツなどは不得手で、ほとんどしないのだろう。その代わり学業成績はすこぶる優秀そうで、インテリジェントな印象を受ける。
 冬木は彼の肩に手を掛けて甲斐の目の前に押し出す。ひどく親しげなようすだった。

「こいつが甲斐幸宏だ、真幸。名前くらいは知ってるだろう?」

「知っている…よ。もちろん」

 彼の白い顔に微かな赤みが差す。引っ込み思案なのか、人見知りする性格なのか、甲斐と向き合っていても伏し目がちなままだ。仮にも自分の方が先輩だろうに、甲斐の前で恐縮したように全身を緊張させている。

「甲斐、こいつは俺の親友で全国模試のライバルでもある佐伯真幸」

 えっ?
 甲斐は冬木の言葉に不意を衝かれ、とっさに目の前に立つ彼に鋭い視線を当てた。
 サエキマサユキ…サエキ?

 さあ、みなさんの頭の中では、どんな「佐伯真幸」像が描かれているのでしょーか!
 華奢で成績が良さそうではかなげで…という遠野春日先生が描かれる美人さんの王道といった感じのキャラクターですが、今回の新装版で挿絵を担当されている小椋ムク先生は、この場面での佐伯になんとダッフルコートを着せて描かれています…!
 ああ、ダッフルコート!
 魅惑の一枚!
 着るだけで優等生に見える魔法の衣装!(笑)
 後のほうの文章でも書かれるのですが、この白いダッフルコートは佐伯が愛用しているもので、冒頭の古風な純白のラブレターと相まって、佐伯というキャラクターのピュアぶりを強調してくれます。
 あああ、こんな優等生キャラが儚げに登場したら、世界中のどんな攻めキャラも惚れないわけにはいきますまい…!

 なのに!
 なーのーにーーー!
 頬を赤らめて自分を見つめる佐伯が、昨日のラブレターの主だと気付いた甲斐は、「俺は男から告白されたのか!」と怒りに震え、徹底的に邪険な態度をとり続けるのです。
 この日だけでなく、以後ずーっと!
 じつはこのファースト・コンタクトは、佐伯の秘めた恋心を唯一知る男・冬木が、勝手に気を回して佐伯を甲斐に紹介してやろうとして、どちらにも不意打ちで実現させてしまったものでした。

 で、お節介な仲人であるKY冬木は、甲斐に思わせぶりに言うわけですよ。

「真幸には好きな相手がいるようなんだ」

 でも、言われた甲斐の方は、「なぜ俺が男なんかに…」と怒りに震えてますから、これがとんでもない逆効果になってくるんです。
 佐伯の方も、冬木がいくら自分のためを思ってとはいえ、そんな思わせぶりなことを勝手に甲斐に言うものだから、狼狽えて冬木を黙らせようとしますが、そんな佐伯に対して、甲斐はこんな態度を取るのです。

「それってまさか俺のことじゃないんですよねぇ、佐伯先輩」

「もしそうなら、光栄だと思うんですけど、俺みたいにがさつな男には、佐伯先輩はもったいなさ過ぎますよ。ねぇ先輩?」

 軽快な口調とは裏腹に、佐伯をきつく睨み付けながら甲斐は言った。 

 ひ、ひどい!
 最低男だ、こいつは!!
 …と、全国1千万“優等生スキー”の袖を涙で絞らせる鬼畜の所業を見せる甲斐ですが(笑)、佐伯はこんな当てつけがましいことを言われても、まるで自分が悪いかのように甲斐に謝るのです。

 綺麗に澄んだ眼が微かに曇る。けれどすぐに佐伯は気を取り直し、口元をゆるめて儚げな笑みを浮かべた。

「冬木はこういう冗談が口癖だから、どうか気を悪くしないでください」

 ぬおおおお!
 佐伯の悲しい心の内を想像すると、胸が張り裂けちゃうよ!!
 しかも…!
 この後も冬木は、何とか佐伯と甲斐を話させようと、いろいろお節介を焼くのですが、それがことごとく甲斐の疳に障るところとなり、どんどん2人の関係は悪化していきます。

「あの…」

 冬木に後押しされる形で、佐伯が遠慮がちに口を開く。

「練習試合は今度の日曜なんですよね?」

「そうですよ」

 なにを今更、とばかりのつっけんどんな口調で甲斐は答えた。

「甲斐さんはシングルスで出場するそうですね」

「ええ」

 甲斐は鬱陶しそうに相づちだけ打つ。
 先輩のくせに後輩の自分に対してまで丁寧な言葉で話す佐伯に苛々した。調子が狂う。こんな男が俺を好き? 冗談はやめてくれ、という心境だ。
 甲斐にはっきりと嫌われている態度を示され、佐伯は薄い唇を微かに震わせたまま再び黙り込んでしまった。

 うおおおお!
 さ、佐伯が可哀想すぎる…(涙)。
 甲斐の態度のひどいこと!
 しかもですよ!
 ここから甲斐はさらに悪魔の所業を繰り広げるのです!

 先ほど2人の会話にちょこっと出てきた“練習試合”当日。
 冬木と佐伯は、甲斐を応援しに会場に来ています。
 テニス部のメンバーから、そのことを聞いた甲斐は、気がつくと佐伯の姿を探してしまっている自分に気付き、苛々するのです。
 おいおい、お前こそもう華奢で綺麗な佐伯先輩のこと好きになりかかってんじゃねーか! と、全国5千万人の“優等生スキー”は大声で叫びたい気分ですが(笑)、もちろん甲斐はそんな自分の気持ちに気付くこともなく、優しくて頭もいい美人の先輩が、自分のために会場まで来ているということになぜか苛つき、冷たい態度を取りまくります。
 そして甲斐は、言いたいこともはっきり言ってこない儚げな先輩をいじめてやろうとばかりに、佐伯へこんなことを持ちかけるのですよ…!
 試合に勝った甲斐を囲んで、生徒たちの輪ができる中、遠くからその光景をそっと見つめる佐伯に気付いた甲斐は、近づいていけば佐伯が驚くとわかっているのに、敢えて彼のもとに足を運ぶのです。

「佐伯先輩、でした…よね?」

 最初の一言から甲斐の態度は傲慢だった。
 佐伯はすぐ目の前に立った甲斐をおずおずと見上げ、半歩後ずさる。甲斐は佐伯を追い詰めるみたいにわざと一歩詰め、困惑した彼に構わず話を続けた。

「俺の試合、見ていてくれました?」

 佐伯の喉がこくりと音をたてて上下する。激しく緊張しているのがわかり、甲斐はますます増長してしまった。自分を好きだとわかっている相手が、しかも年上の男が、自分の一挙手一投足に一喜一憂するのが楽しい。変な優越感でいっぱいになる。

「……おめでとう」

 ようやく佐伯は言葉を紡ぎ出すことができるまでに落ち着いたようだ。

「どうせなら中に入って近いところから応援してくれたらよかったのに。残念だな」

 よくもまあ、そんな白々しいことを…! と全国5千万人の“優等生スキー”が怒りの涙にくれるなか、なんと甲斐が口にしたこととは…。

「ねぇ先輩、本当はもっとほかに俺に言いたいことがあるんじゃないんですか? 俺、ちゃんとわかっていますよ」

 途端に佐伯はカーッと首筋まで一気に赤くなった。もともととても色白なので、火がついたみたいになる。

「デート、しましょうか」

 えっ、と佐伯が大きめの目を見開く。まったく期待していなかったことを言われて、にわかに信じられないようだ。
 甲斐はますます調子に乗った。

「試合が終わったらどっかで待っててくださいよ。俺も一度ゆっくり先輩と話がしたいと思ってたんです。いいでしょう? それとも今日は都合が悪いですか?」

「僕は…構わないんですけど…。でも、甲斐さんは大丈夫なんですか? この後打ち上げとか、ミーティングとかあるんじゃないんですか?」

 もちろん、佐伯の言うとおりで、本当は甲斐は佐伯との約束に行くつもりもないのに、こんな約束をして、佐伯を嬉しがらせているんです――あとですっぽかして佐伯をどん底に落とすために。
 もう、もう、もう全国8千万人の“優等生スキー”は、この甲斐の態度が悔しくて悔しくて銃があったらぶっ放してやりたいくらいに苦しめられてしまうのですが、じつはこの日、罪悪感にかられた甲斐は、3時間ほども佐伯を待たせた挙げく、夜遅くになって待ち合わせ場所に駆けつけてしまうのです。
 はふー。
 ようやく全国1億2千万人の“優等生スキー”の怒りもちょこっとだけは鎮められるわけですが、これをきっかけに2人は、“お付き合い”をすることになります。
 でも、この時だけは良心の呵責で待ち合わせに駆けつけたものの、もちろん甲斐は心を入れ替えてなんかいません。
 甲斐は、この優しい先輩をいじめてやるためだけに、“お付き合い”を申し出ているのです。
 なので、甲斐は直前になってデートの約束をキャンセルしたり、女の子を連れてデートに出向いたり、とにかく佐伯に対して悪逆の限りを尽くすのです!
 でも、一切文句を言わずに、儚げに微笑んで、甲斐のやることをすべて受け止める佐伯…。

 いやもうホントにですね、このあたりの描写は読んでると泣けてきます。
 佐伯があんまりにも可哀想で、けなげで。
 そして、ここで再び登場するのが、甲斐の先輩にして佐伯の親友であるKY冬木ですよ。
 受験生でもある佐伯を気ままに振り回す甲斐の悪行を知った冬木は激しく怒り、甲斐に「佐伯をオモチャにするな。佐伯から離れろ」と言い渡すのです。
 そうなって初めて、佐伯という美しい先輩のけなげな心に気付かされる甲斐。
 でも、あれだけ冷酷に振り回しておいて、今さら「好き」と言えるはずもなく――。

 というのが、『LOVE1』の大まかなストーリーになるわけですが、これ、“優等生受け”が好きで本ブログを訪れてくださっているような方なら、読まないわけにはいかないでしょう!
 けなげでピュアで可愛い佐伯が、甲斐に冷酷に虐められ、それでも離れられずにどんな無理でも聞いてしまうここまでの展開は、もう胸がキュンキュンどころか、最初に書いたとおり、苦しすぎて心不全を起こしそうな勢いです(笑)。

 しかもですよ…!

 エンディングでは、こんなにこんがらがった2人が、もちろんですがハッピーエンドを迎えて、佐伯は甲斐に抱きしめられ、甘い言葉で愛を囁かれることになるのです!
 むはー!
 これ、読みたくないですか?(笑)
 あんなにけなげで優しい佐伯先輩が、ついに甲斐と気持ちが通じ合って幸せになるところを読みたくないですか!

 で、さらにですよ…!

 同時収録された『LOVE2』では、恋人になった2人のその後が描かれ、こっちに出てくる甲斐は、可愛くて綺麗な佐伯にもうメロメロです。
 おいおい、お前、前編での冷たい態度は何だったんだよ! と全国2億4千万の“優等生スキー”が笑顔で突っこみたくなるくらいの手のひらがえしぶり!(笑)←人口超えてる
 こちらでは、佐伯の意外な過去が明らかになるとともに、甲斐の“ライバル”が登場し、読者をこれまたやきもきさせてくれます。
 もちろん『LOVE1』ではなかったエッチシーンも充実してますし(笑)。

 さて、本作の素晴らしさは以上でよ~くご理解いただけたと思いますが、今後のBL文学史(?)の研究の用に供するためにも、最後にささやかながら心覚えを記しておこうと思います。

 本書の今回の新装版が出るまでの経緯は、最初に書いたとおりですが、じつはまだその先があります。
 じつはこの『LOVE』には、さらに“前身”となる作品が存在するのです。
 96年に発行された同人誌『Kyrie』に掲載された短編小説『冬の恋』が、それです。
 『Kyrie』は、当時人気のあった同人作家さんが集まって作られた合同誌で、「切なさ」をテーマに作家さんたちが作品を持ち寄っていた本でした。
 そこで、遠野春日先生が書かれていたのが、この『冬の恋』だったわけです。
 基本的なストーリーは『LOVE1』とほぼ同じですが、分量はかなり短く、たぶん同じお話しを3分の1以下の文章で描いているのではないでしょうか。
 一番大きな違いは、冒頭の“純白のラブレター”のシーンがないこと。
 突然のラブレターが届くのではなく、甲斐は自分を好いている先輩がいるらしいということを、同級生から噂の形で聞くことになっています。
 あとは、今回発売された新装版での『LOVE1』とまったく同じ文章で書かれた部分も多く、両者を見比べると、遠野春日先生がこの“第一作”のどこを活かし、どこを変えたかがわかって非常に興味深いですが、印象的な冒頭のラブレターのシーンがないことも含め、小説としての完成度は、当たり前ではありますがまだまだ高くありません。
 ちなみに、『Kyrie』掲載時の挿絵は、吉野柊二先生でした。

 で、この『冬の恋』が遠野春日先生の個人誌『Honey and Milk and Sugar』に再録として収められたのが99年のこと。
 この時は、挿絵はなしです。
 遠野先生ご自身の前書きを読むと、再録にあたりかなり加筆修正を施されたとのことですが、この段階でもまだ冒頭は最初のままで、“純白のラブレター”のエピソードは登場しません。
 ただ、途中のエピソードはかなり書き足され、分量はかなり増えてきています。

 じつは、ブログ主が初めて『LOVE』シリーズ(もちろん当時は『冬の恋』という題名でしたが)を読んだのが、この同人誌ででした。
 遠野春日先生の商業デビューは、98年の年末に発売されたリーフノベルズ『夏のカノン』ですが、当時のブログ主は、まだ商業作家としての遠野春日先生をほとんど知らず、もっぱら手当たり次第に買っていた中古同人誌の中で見つけた“とっても胸キュンなBLを描いてくれる同人作家さん”というレベルで遠野春日先生のことを認識していました。
 で、ある日『K-BOOKS』池袋店で購入した中古のオリジナルBL同人誌の中に、この『Honey and Milk and Sugar』が入っていたわけですよ!
 もう一読してシビれましたね!
 今回長々書いた感想と同じで(笑)、あんまりにも佐伯が可哀想で、でも甲斐のことを好きでたまらない様子が胸にキュンキュン来すぎて。
 たぶんこれが99年~00年くらいのことだったと思うんですが、これをきっかけに本格的に遠野春日先生の同人誌を集め始め、さらに気付いたら自分のBL本の本棚の中に、何冊もこの方の小説があることに気付き、「あっ! これは同じ人が書いていたのか!」と驚き、当たり前ですが商業誌でも遠野春日先生の本の追っかけを始めたわけです(笑)。
 それぐらい、同人誌で『冬の恋』を初めて読んだときの衝撃は大きなものでした。
 それ以来、『Honey and Milk and Sugar』は大切に大切に本棚の中で保管されていたわけです。

 ところが!

 03年の春、毎号買っていた『小説ラキア』を読んだブログ主は驚きました。
 何と、『冬の恋』と同じとしか思えないストーリーの遠野春日先生の作品が、『LOVE』と改題されたうえで載っているではありませんか!
 この段階で、冒頭には“純白のラブレター”のエピソードが登場し、『Honey and Milk and Sugar』掲載時の『冬の恋』に比べると、さらに分量も増え、個々のエピソードが肉厚なものになっていました。
 当時の遠野春日先生の充実ぶりを示していたのでしょうが、はっきり言って、同人誌での掲載時より格段に面白くなっていたわけです。

 もちろん生まれ変わった『LOVE』の内容には、心底から感動しました。
 それから、かなり得意な気持ちもありました(笑)。
 超ひとりよがりというか、オタク的感性ですが、なんか、ほら、自分の眼は間違っていなかった的な嬉しさがあったので(笑)。
 ところが、本当の狂喜乱舞はその後に待っていたんです。
 なんと、この『LOVE』の続編がノベルスになって発売されるというお知らせが、『小説ラキア』の誌面に出ていたのですよ!
 いやもう本当にこの時は、文字通り、狂って喜び乱れるほど舞いました(笑)。
 出会えただけでも幸せだと思っていた、超素晴らしい“優等生受け”な同人小説の続編が、なんと商業の単行本として発売されるというんですから!

 今でも覚えてますよ(笑)。
 ワクワクドキドキしながら発売日を待っていた当時のことを。
 本っ当~に待ち遠しかった!
 あんなにBLの単行本が出るのを待ちわびたことは、後にも先にもこれっきりというくらいに楽しみに待ってました(笑)。
 で、発売予定日の数日前から、早売り書店に日参し、ついに手に入れた単行本『LOVE2』の嬉しさと言ったら!
 甲斐と佐伯がラブラブになった後のストーリーでしたから、内容にも超満足でしたし、『小説ラキア』での本編掲載時と同じ、佐々成美先生のイラストもブログ主のイメージ通りの佐伯と甲斐を描いていてください、思わず「ホゥ…」とため息をついてしまいました(笑)。
 嗚呼、あれは我がBL人生でも本当に印象に残る出来事でした――。

 とまあ、ブログ主の本作に懸ける思い入れの深さをご理解いただけたかと思いますが(笑)、今回ついに完全な新装版として発売された『LOVE』の後ろに、斯様にも深く長い背景事情があったことを、ネットに記録しておいてもいいかなと思い、以上長々と書いてきました。
 まあ、半分自慢話なんですけど!――遠野春日先生の古い同人誌をたくさん持ってるぞという(笑)
 今では初期の遠野春日先生の同人誌はなかなか入手困難ですからね~。
 ブログ主もまだ揃えてないものがたくさんあり、とっても探しているのですが、たまにヤフオクに出てもかなり高かったりしますからねぇ…。
 でも、遠野春日先生がこんなに人気作家になる前に、自分だけの眼力(?)で大好きになって本を集めていたというのは、ブログ主のプチ自慢なのです(笑)。
 …って、ホントにオタクくさいな、俺!

 今回の新装版では、小椋ムク先生がイラストを描かれているわけですが、以上まとめますと、本作には都合3人のイラストレーターがついていることになりますね。
 なかなかこういう作品も少ないのではないのでしょうか。
 しかもどれも味がありましてねぇ…。
 今回の小椋ムク先生のイラストは、とくに佐伯の華奢な感じがよく出ていて、大変な好評を博すると思うのですが、ブログ主としては、『小説ラキア』に載ったときの感動が大きすぎて、佐々成美先生の絵のままで今でも頭の中で佐伯と甲斐が動いているところがあります。
 三つ子の魂、百までも…ってやつですかね!(全然違う)

 ああもう、最後はなんだかわけがわからなくなりましたが、一つの作品がこうして何回も手を入れられ、だんだんと完成型に近づいていく過程を、すべて読者が見ることができるというのも、これはかなり特異なことだと思うわけですよ。
 たぶんふつうの小説ではありえないでしょうし、マンガでもなかなかないことでしょう(マンガの場合はほとんどオール書き直しになることが多いから)。
 その意味で、商業と同人という2つの大きな柱を持つBL小説という分野だからこそ、こんなことが許されているわけで、それはBLというもののあり方を考える際には、なかなか興味深い示唆を与えてくれるような気がするわけです。
 今回の『LOVE』でいえば、重要な冒頭のシーンすら、最初期と現在とではまったく違うものになっているわけで、こんなことが許されるのも、BL小説が決して“文学”ではなく、あくまで読者の胸をどれだけキュンキュンさせられるかというところにこそ重きを置く、非常に特異なエンタテインメントだと思う所以です。

 はっ!
 なんだか小難しい話になってしまった…。
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