ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[レビュー]意地っ張りな孤高の優等生ものBL、最高峰! バーバラ片桐『レンアイ爆弾』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-ガリ勉  受け-美人の優等生  特徴-高校生  ●ハ行-バーバラ片桐  
レンアイ爆弾レンアイ爆弾
(2000/04)
バーバラ片桐

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 いやもうこの本は好きすぎてヤバイです。
 もちろんこのブログでご紹介する本は、みんな好きな本ばかりなのですが、その中でもかなり上位、いやトップに近いあたりに来る小説です。
 あーもー、好きすぎる!
 ちくしょー、この本の魅力をうまく説明できなかったら、自分がふがいなくてしょうがない!

 何が好きって、主人公の優等生・天野潤也(あまのじゅんや)が、“優等生受け”好きの心を鷲掴みにするキャラなのですよ。
 綺麗で頭が良くて口数が少なくて、外見はちょっと澄ました孤高の感じを漂わせていますが、じつは“優等生”である自分を保つために一生懸命。
 しかも性的なことには嫌悪感を持っているのに、ある出来事から同級生・井原和臣(いはらかずおみ)のことを好きになってしまい、「こんな自分なんか好きになってもらえるハズがない…」と思いつつ、井原と日常触れあうなかで、熱い思いがふと顔を覗かせたりする。
 いやもうどーですか!
 完璧じゃないでしょーか、“優等生受け”として!

 キャラのたたずまいとして、以前本ブログでもご紹介した遠野春日先生の傑作『恋する僕たちの距離』の受けキャラ・片岡基紀と似ている感じがあります。
 『恋する僕たちの距離』にハマった人ならば、本作は絶対に“無人島に持って行く一冊”になると思いますよ!

 さて、そんな魅力満載の優等生キャラ・天野が主人公な本作ですが、そこはバーバラ片桐先生、あくまで表面的には明るいBLとしなっているものの、根底にはいつもながらの重く読ませる部分が流れています。
 また、本作はすごくキャラの設定が複雑です。
 じつは主人公・天野潤也は双子という設定。
 顔がそっくりの兄・天野達也(あまのたつや)が登場するのですが、こちらがまたストーリーー中かなり重要な役どころを果たす準主役になってます。
 で、じつはこの天野兄弟、幼いころに実の親が破産。
 一時、親のもとを離れ、里親のもとに預けられますが、そこで殴る蹴るの虐待を受けたという設定になってます。
 その後、借金を返済した実親が迎えにきたものの、幼年期を離れて過ごした実親と兄弟2人はうまく馴染めず、今も冷えた家庭で味気ない毎日を過ごしているということになっているのです。
 そして、うまくいってないのは、親と2人の関係だけではなく、兄弟同士、達也と潤也の間もかつてのような温かい関係ではなくなってしまっています。
 里親から虐待されていた当時、いつも兄・達也はおとなしい弟・潤也のことを庇ってくれました。
 成長して高校生になった今、主人公・天野は、かつて泣いていたばかりだった自分のことを、じつは兄・達也は疎ましく思っていたのではないか、兄ばかりが殴られたことを恨んでいるのではないかと思いこんでいるのです。
 それを裏付けるように、兄・達也は天野とは別の高校に進学し、優等生である弟を嘲笑っているのか、普段は家にも帰ってこない生活を送っています。
 家でたまにすれ違っても、2人は挨拶をするだけの関係。
 親とは馴染めず、かつては助け合っていた兄とも距離ができてしまい、学校では冷たく澄ました優等生として友だちもいない孤高の存在――主人公・天野が現在置かれたそんな境遇を、理解していただけたでしょうか。

 こんなに重い主人公のキャラ設定にもかかわらず、そこはバーバラ片桐先生だけあって、あくまでストーリーは明るくギャグチックに進んでいくのが凄いところ。
 読んでいただければわかりますが、設定は暗いのに、何カ所も思わず笑ってしまうところばかりで、あっという間に読み進んでいけます。
 もちろん、ところどころグッと胸に刺さってくるところがあるわけですが。

 で、先ほど、キャラの関係が複雑と書きましたが、じつは天野兄弟の関係が複雑というだけでなく、それに対応するサブキャラたちの関係がまた複雑なのです(笑)。
 優等生な主人公・天野がある出来事で同級生の井原和臣を好きになってしまうことは、最初にチラッと書きましたが、井原は天野とは正反対の金髪高校生という設定。
 でも、金髪にピアス、派手な格好と外見は不良のようですが、じつはバイク好きで単車を購入するためにバイトに励んでるだけというのが井原というキャラです。
 髪の毛の色も、祖母が外人だったためか生まれたときから金髪なだけで、外見で思われるほど不良でもワルでもないのですが、もちろん天野にくらべれば授業はサボるし、適当に先生にも反抗するしで、真面目な高校生というキャラではもちろんありません。

 この攻めキャラ・井原の幼なじみが工藤竜太(くどうりゅうた)です。
 はい、バーバラ片桐先生お得意のストーカーキャラがこいつです(笑)。
 外見は天使のような可愛さを持った美少年ですが、じつは好きになった相手をとことん追い詰めて自分の手に堕としてしまう悪魔のような邪悪(?)さを持っているのが竜太です。
 いや、悪いキャラというんではなくて、まあオカしいヤツって感じですね(笑)。
 ストーリーは、この竜太が、高校に入った記念(?)に、新たな恋のターゲットを見つけ出し、それを仲のいい井原に話したところから始まります。
 なんとそれが、井原と同じクラスの同級生・天野だったというわけです。

 ――なので、以上長々となってしまいましたが、この4キャラはどうしてもちゃんと説明しておかないといけかったんですよ(笑)。

 ところがですよ!

 竜太が好きになったのは、じつは優等生・天野潤也ではなく、その双子の兄・達也のほうだったのでした。
 変態ストーカー・竜太(笑)の恋の始まりは、夜の街で不良どもをボコボコにしたあげく、ナイフを取り出して恐ろしいくらい綺麗な笑みを浮かべた達也を見かけたこと。

 「ワルだ! すごいワルだ! 僕も高校に入ったからにはあんなワルになるんだ!」

 と、一発でシビれてしまった竜太は、それ以来、達也のことを尾行し、本当のワルであることを確認すると、自分の“恋のターゲット”にしてしまったのでした。
 でも、竜太も、その恋の告白を聞いた井原も、それが真面目な優等生・天野のことだと勘違いしているのです。
 竜太は、「昼間は真面目な優等生、夜にはカッコいいワルに変身――。なんて悪いんだ!」と完全にイッちゃった頭で恋は盲目状態になってますし、それを聞いた井原は、「学校じゃあんなに真面目なのに、夜は別の顔があるのか? ちょっと考えられないが…」と思っていますが、まさか天野に双子の兄がいるとは思わず、どちらも竜太が好きになったのは優等生・天野だと思いこんでしまったのでした。

 その翌日。

 新学期を迎えた学校では、クラス委員長の選挙をやることになったのでした。
 竜太から、「きっと天野さんはクラス委員をやるよね! 僕も同じ委員会に入る~」と聞かされていた井原は、ふと、ストーカー・竜太に付きまとわれることになるであろう天野のことを考えて、可哀想になってしまいます。
 順当にいけば、今年も優等生・天野がクラス委員長に選ばれるのは確実。
 ならば――。

「ハイ、オレ」

「え…?」

 教室がざわめいた。
 井原が立ち上がった。

「オレ、立候補しまーす」

「って、おまえが…っ?」

 親分肌で人望はあるものの、要領よくサボるのが得意な井原のことだ。何の得にもならないクラス委員などに立候補するのが、不審でたまらないらしい。

「そーだよ。何か、文句ある?」

 にっこり微笑んで、井原はクラス内を見渡す。
 振り返ったときに天野の顔が見えた。
 共犯者みたいな顔をして微笑みかけてやろうと思ったのに、天野はこわばった顔をして睨み返してきた。

「――俺も」

 ガタン、と椅子の音をさせて、天野が立ち上がった。

「俺も、立候補します」

 これがストーリー内での、2人のファースト・コンタクト。
 上で引用した部分からもわかるように、井原は天野にいいことしてやった~ぐらいの気持ちで立候補したのですが、何とその天野自身が対抗馬として立候補してきてしまうのです。
 しかも、一対一の決選投票になり、当選したのは井原でした。
 黒板に書かれていく「正」の字を見つめながら、天野は思いにふけります。

 天野だって、特にクラス委員をやりたいわけじゃない。
 ただ、今年も推薦されるんだろうな、っていう半ば諦めの気持ちがあった。指名されたならば、クラス委員をやるのを悪くはない。
 ホームルームの司会をすれば、他人の慣れない司会の進行に焦れったい思いもせずにすむ。生徒会では年間の予定を立てて、それに添ってこなしていく。そういう段取りを汲むのは面倒だけれど楽しくもあった。
 だけど、今年はやりたくなかったのだ。

(中略)

 なのに、わざわざ立候補までしたのは、井原が手を挙げる前にこっちを見た目つきが気に入らなかったからだった。
 余裕を見せた顔で、挑発的に笑ってみせる。パッと視線が吸い寄せられるような派手な顔立ちで、いつだって友だちに囲まれて笑っているような、天野とは正反対のタイプだ。
 頭に血が上った。
 去年も天野はクラス委員だった。一年の後半からは生徒会副会長でもあった。それなりにがんばってこなしてきたと自負してはいたけれども、井原の目つきはそんなものは自分でも簡単にできるとバカにしているように見えた。去年までの自分の仕事を全部否定されているような気分になった。

(中略)

 机の上で手を組む。落ち着かず指先に力がこもった。
 当選したいのと、そのまま落ちたいのと相反する複雑な気分でイライラしながら黒板を眺めた。
 井原のほうの正の字が増えていく。
 無関心な顔をしてすましていたのに、頬がどんどんこわばっていくのがわかった。
 神経質に頬がピクピク痙攣してしまって、ペンを持った手でさりげなくそっちの頬を隠す。

「井原くん23票、天野くん17票で、クラス委員は井原くんにお願いしたいと思います」

 司会の声と同時に、パラパラと散発的な拍手が洩れた。
 天野はまっすぐ前を見たまま動けなかった。井原のほうを見て、『よかったな』と揶揄するように軽く笑ってみせたいのに、そんな器用なことはできそうもない。
 少しばかりの矜持がボロボロにされていく。
 たかがクラス委員だ。
 そんなことはわかっているのに、自分の一部を否定されたような気分だった。こんなにもショックを受けている自分にも驚いたし、たかだかそんなことでイラついている自分の度量の狭さにもさらにイラついた。

 あうー。
 思わず長文を引用してしまいましたが、高潔で、でも中には熱いものを持っている優等生・天野の人となりも理解していただけたと思います~。
 
 ヤバイ、まだ触りしか紹介してないのに、すでにこの長さ…。
 いやでも、この本はもう死んでもいいくらい好きなので、もう遠慮なく書き連ねますよ!!

 さて、井原は天野のためになるかぐらいのふとした気持ちで、そして天野はそんな井原にバカにされたと勘違いして立候補してしまったクラス委員長選。
 結果が出て打ちのめされた優等生・天野は、らしくない行動を起こします。

 ホームルームの授業が終わるのを待って、天野は井原の姿を捜した。
 チャイムが鳴ってするなのに、井原の姿は早くも席から消えてなくなっていた。天野は慌てて廊下まで飛び出した。井原の後ろ姿を見つけて、鋭く声をかける。

「待てよ」

 自分から井原に話しかけるのは、初めてだった。
 ドアから出て五歩ぐらい歩いたあたりの廊下で捕まえて、井原の肩に手をかける。

「おっ」

 井原が振り返った。
 つり上がったアーモンド形の瞳が、天野を認めて悪戯っぽく細められる。

「何か用? 天野くん」

 井原と話をするのは、久しぶりだった。
 前に社会科の課題のときに組んだことがあったものの、何となく話しかけにくかった。だから役割を分担するよりも前に一人でさっさとやってしまったことがある。
 文句言われると思ったけれども、井原は出来上がったレポートを眺めて、『よくできてるじゃん、ありがと』などと気楽に笑ったのだ。
 その笑顔に、ドキッとした。
 だけど、それを知られたくなくて、照れくさくて憎まれ口をたたくことしかできなかった。

 おっと、まだクラス委員長選後の2人の接触の部分の紹介の途中ですが、いま出てきた「社会科の課題」のときにペアを組まされた2人のお話し、優等生・天野が井原にドキッとしちゃう恋の始まり的な部分でもある重要な箇所ですが、じつはこれより前の部分で、井原が同じ出来事を回想しているシーンがあります。
 竜太に、「天野さんのことを好きになった」と教えられ、同じクラスである天野のことをどんなヤツだったかと思い出すシーンです。
 ちょっと割りこんで、そこをご紹介しましょう。

 天野と接触したことは、一年のときに一回だけある。政治経済の課題で、二人が組んで研究発表とレポートを課せられたときだ。
 誰と組んでもよかったから、適当な友だちを誘おうと周囲を見渡したときだ。背筋をまっすぐに伸ばして、誰とも視線を合わせずに椅子に座っている天野の姿が目に入った。
 いつもはクラス委員だ、生徒会副会長だと祭り上げられているくせに、どことなく敬遠されて組む相手がいないらしい。
 そのときのこわばってどこか泣き出しそうな表情が気になって、井原は席を立ち、『オレと組まねえ?』なんて話しかけていた。
 結局、そのときには井原がろくに手をつけないうちに全部一人でやってきてくれて、井原は天野と組んだことを感謝したのだったが。

『――君に任せてたら、提出期限過ぎるだろ』

 礼を言おうとしていたのに、そんなふうにぶっきらぼうに言い捨てた天野の口調まで思い出してしまった。

 むはー!
 じつは本作の特徴のひとつが、この一つの出来事を優等生・天野と攻めキャラ・井原の両視点で楽しめるということがあります!
 ここなんかそのもっとも象徴的な箇所。
 組む相手がいなくて泣きそうな優等生。
 それに声をかけてペアを組むチョイ不良くん。
 で、組んだら組んだで、優等生らしく一人で全部やっちゃう天野。
 それを感謝して魅力的な笑みをみせる井原と、じつはそれにドキッとしちゃった優等生。
 でも、憎まれ口をきいちゃう天野。
 むはー!
 一粒で二度おいしい!
 この後も、同じエピソードを天野視点と井原視点でダブルに楽しめるところが何カ所も出てきます。
 井原視点だと、優等生天野のツンツンぶりがよく描かれますし、天野視点だと、好きな同級生と触れあって、内心ドキドキしつつ葛藤に苦しむ優等生の心のうちがよくわかります。
 優等生受けが好きな人って、やっぱりこの両面を楽しみたいと思うんですよね。
 優等生がツンツンしちゃってるけど、ホントは内心自分に自信がなくて「僕なんか…」って落ち込んじゃってるという、優等生のこの内も外も楽しみたいのが“優等生スキー”というものだと思うわけですよ!
 その点、本作は完璧です!
 いやもうホントに、読んでると天野が可愛くて可愛くて、読んでるこっちの胸がキュンキュンしちゃって、もう床をのたうち回ることになります!

 ハァハァハァハァ…。
 やばい、いつもながら興奮してしまった…。
 俺、死ぬときはこれで血管破れて死ぬのかも…。

 ――閑話休題。
 クラス委員長選の後の2人の様子に話を戻しましょう。

「さっきのは、何だよ」

 気力が萎えてしまいそうなのを無理に奮い立たせて、天野は吐き捨てた。

「さっきのって?」

「クラス委員。おまえ、そんなのになんてなりたくなんかないだろ。どうせ、サボるくせに」

 動揺を隠して、拗ねたように尋ねてみせる。
 井原は驚いたように眉を上げた。

「なりたかったの、天野?」

「…そういう問題じゃない」

「だったら、どういう問題だよ」

 顔を寄せて、井原はじいっと顔を覗き込んできた。
 ドキリとする。井原の顔は、間近で眺めるとなおさら、日本人離れして整っていた。ガラス玉みたいに透明な光彩が金色に輝き、長めのさらさらの髪も窓からの夕陽で金色に染まっている。
 いくら教師に言われても、ガンとして外さないピアスが、井原の動きに合わせてキラリと輝いた。

「せっかくさぁ」

 天野が鼻じろんでしまいそうなくらい顔を近づけて、井原が呟いた。

「せっかく、面倒な役目をたまには代わってやろーと思ったのに、オレは邪魔者だと思われてるワケ?」

 さて、なんで天野はこんなにもクラス委員長を奪われたことにこだわるんでしょうね?
 先ほどご紹介した本文を思い出してみてください。

「だけど、今年はやりたくなかったのだ。」

 井原に横ヤリで立候補された天野が内心そう呟く場面がありましたよね?
 じつは、天野は去年のクラス担任だった教師・堀内に脅され、カラダの関係を強要されていたのです。
 堀内の好きなときに呼び出され、好きなようにカラダを扱われているのでした。
 側に来るだけで嫌悪感を覚える男・堀内に、それでも性器を愛撫されていると否応なくカラダは反応し、快感を覚えてしまいます。
 天野はそんな自分が嫌で堪らず、「もうどうにでもなれ」という絶望感のなかで毎日を過ごしていたのでした。
 汚れてしまった自分に、人の上にたつような資格はない――天野はそう思いこみ、クラス委員長も本当はやるつもりがなかったのです。
 井原に横から立候補されたとき、天野は自分の汚い堀内との関係を井原がじつは知っており、だから井原は自分から立候補して天野をクラス委員長にさせないようにしたのではないか――そう思いこんで、選挙後の井原を捕まえて問い詰めることに及んでしまったわけです。

 どうです、この重い設定。
 バーバラ片桐先生らしいといえばそれまでですが、優等生・天野のキャラにますます深みが加わりますね。
 じつは、ちーけんは本ブログでも以前書いたことがありますが、とにかく三角関係ものが嫌いで、まずほとんど読まないのですが、最初は本書を読んだときも、「げーっ!」と思いました。
 でも、そんな自分が嫌で、なんとかそこから抜け出したいのに、絶望に襲われて身動きもできない天野が可哀想で、綺麗で、無理矢理読まされてしまうのですよ~。
 バーバラ片桐先生の筆が、読者を放してくれないのです。
 だって、すぐ横に、救い主になってくれそうな男・井原が登場してきてるわけですからね。
 どうなるの?
 どうなるの?
 この2人はどうなるの?
 天野は救われるの?
 そんな風にドキドキしながらページをめくっていると、あっという間に本を置くなんてことは考えられなくなってしまうのです。

 さて、そんな重いストーリーをガラッと明るくしてくれるキャラが、変態ストーカー(でも美少年)の竜太です(笑)。

 毎朝飽きもせずに天野の下駄箱に「ラブレター」と称する妙な手紙とか、変な花とかを捧げ物として入れる竜太のしつこさに、友だちながら井原は天野が心配になり、暇なときには天野の下駄箱をチェックして、竜太の捧げ物を捨てるようにしていました。
 委員長選で、勘違いした天野に問い詰められたりしてるのに、天野のことを心配してあげるとは、井原って本当に良いヤツ――というか、これが恋の始まりというヤツなのでしょう(笑)。

「そこで何してんの?」

 背後から声をかけられて、井原はビクッとして振り返った。
 天野だ。

「俺の靴箱、そこなんだけど」

 今、登校したところらしい。朝日が射し込んでいて、天野の周りの空中の埃をキラキラ輝かせていた。

「そーなんだ」

 にこにこと作り笑いを浮かべながら、井原はカニ歩きで横へ逃げようとする。

「何持ってんだよ。見せろよ」

 しかし、少し前から見られていたらしい。

「ダメ。ダメダメダメ」

 井原はポケットに入れた手を出さなかった。

「今まで、嫌がらせしてたのはおまえだろ」

「嫌がらせ?」

 竜太のラブレターは、今日だけじゃなくて前にも入っていたのだろうか。
 発動し始めたのは最近だと思っていたが、やはり竜太はあなどれない。

「変な呪文の手紙とか、干からびた押し花とか」

「押し花は干からびてるもんじゃん」

「でも…」

 天野は不満そうに唇を尖らせた。そんな表情はいつもツンとすましている優等生にしては可愛くて、いつもそんなふうにしてればいいのに、と井原は思う。
 ――竜太の目は確かだよな…。
 天野は肌が綺麗で、俯きがちの睫毛がビックリするほど長い。まっすぐに伸びた鼻筋の下の唇も柔らかそうなピンク色で、その唇に触れてみたいような気分にさせた。
 ――見れば見るほど悩殺的……ってな。オレもけっこーヤバイかも。
 女性とみまごうまでの綺麗さなんだけど、女性の綺麗な顔とは少し違う。凛とした近寄りがたさと生硬なラインの目鼻立ちが、やけに不思議な色っぽさを感じさせた。
 井原は天野の肩に手をかけて、友好的に引き寄せた。

「ねっ、天野くん。そう言えば、一時間目の数学の宿題やってきた?」

「…きたけど」

 一瞬、天野の身体がビクッと震えた気がした。
 身体がこわばっている。スキンシップに慣れていない態度が面白くて、井原はさらに顔を近づけた。

「オレ、何だか今日は当たりそうな気がしてたまんねーんだ。お願い、ノート見せて」

 優等生は『自分でやれ』と断るだろう。
 そう思って言ったのに、天野は一瞬眉をひそめただけだった。

「いいよ」

「マジ? 見してくれるの?」

「別に不要ならばいいけど。井原がみんなの前で恥かこうが勝手だし」

 照れくさいのか、セリフが可愛くないうえに、早口でつっけんどんになっている。首筋から頬にかけてかすかに赤くなっているのを見て、井原は嬉しくなってしまった。
 親切慣れしてないのだろうか。

「天野くんって、思ってたよりいいヤツじゃん」

「俺のこと、どう思っていたわけ? 石頭のバカ?」

 天野は並んで階段を上がりながらクスリと笑った。

「失言でした。悪ィ」

「失言だって認めるんだ?」

「そりゃあ、ノート見せてもらえるのなら、何でも認めちゃう」

「…ふーん」

 呆れたように井原を見た天野の足が、階段を踏み外した。

「――わっ!」

 反射的に伸ばした腕に、天野が飛び込んでくる。なんとか足を踏んじばって、二人分の身体を支えた。腰にギクッと衝撃が走ったけれども、ここで格好つけなくては男じゃない。

「危ねーなぁ。ちゃんと前見てろよ。いくらオレがハンサムだからって、見とれてんじゃねーぞ」

 とっておきの笑みを見せながら、天野の身体をぎゅっと抱きすくめた。
 その途端、また天野の身体がこわばる。前に触れたときもそうだった。

――なんだよ、これ…。

 嫌われているわけではないだろう。
 同世代の男にしては、何だか不自然なほどの硬さだった。

――まるで虐待でも受けたような…?

 不意に心の中に浮かび上がったその疑惑を、井原は笑って打ち消した。
 思ったことを天野に悟られないように、井原はわざとはしゃぎながら抱きついてみる。

――まさかな…。

 ガリ勉の一人っ子で、ろくに遊ばずに育っちゃったんだろう。
 もっと遊びをおしえてやらなきゃいけねーな、なんて思いながら、井原はもっと抱きしめていたい身体を放したのだった。

 いやもうこの部分、言いたいことはいっぱいありますが…。
 天野可愛すぎ。
 井原カッコ良すぎ。
 で、ついに井原が気付き始めた天野の“秘密”。
 もうドキドキしますね!
 てか正直たまらん!
 最初に、天野が“優等生受け”好きの心を鷲掴みにするキャラだと書きましたが、ご理解いただけますでしょうか!
 でも、ようやく近づき始めたこの2人の心。
 次にいよいよ最高にたまらないシーンが出てくるのです~。

 でも!

 これ全部紹介しちゃったら、かえって読者のみなさんに悪い気がする!
 絶対、本を買って自分でドキドキしながら見てもらったほうがいい!
 なので、ごく一部のみ、超絶ドキドキする箇所をご紹介します。
 昼休みの屋上で2人が出会うこのシーン、8ページくらいの長い場面で、その最初から最後まで胸がキュンキュンして心筋梗塞になったかと思いますが、ほんの一部だけ…。

 天野は、井原よりももっと驚いた顔をしていた。
 呆然と井原の顔を眺めたあとに、だんだんとその顔が真っ赤に染まっていく。

「あ――の…」

「悪ィ」

 反射的に、そんなことを口走っていた。

「ごめん。じょうだ――」

 自分自身でも混乱していて、冗談にまぎらわせようとしてしまう。そもそも、男にときめいたのは天野が初めてだ。
 爪の先で傷つけてみたいと思わせるような白い皮膚や、色っぽい眼差しや、何よりもピンク色した唇がいけない。

 『冗談』という井原のセリフに、天野が傷ついて瞳を伏せたように見えたのは自惚れだろうか。

 むははははははははは!
 さあ、これ何やっちゃった後のシーンでしょうね!
 って、答え簡単すぎますが!!
 この後、2人の間でお互いを探るようなやりとりが続くんですよ!
 そこでの天野がまた超絶色っぽい!
 てか、他のBLでは見たことがないような“優等生の色っぽさ”を出しているんです。
 説明するのはとても難しいのですが…。
 BL数多しといえども、この“感じ”は本書だけですね!

 さーて、教師に脅されてる優等生・天野と、そんな彼にハマって恋を自覚し始めた井原、この2人はどうなっていくんでしょう。
 じつは、お笑い担当としか思えない竜太クンは竜太クンで、ここでご紹介する余裕はありませんが、天野の兄・達也のことを天野と思いこんだまま、達也のほうと奇妙な恋愛関係を作り上げたりしていきます。
 つまり本書ではメインカップルのほかに、兄・達也×竜太というサブカップルも登場するわけです。
 で、悪徳教師・堀内を退治するのに、このサブカップルが重要な役割を果たしていくというわけなのですよ。
 とくに兄・達也が、その頭脳とワルっぷりを発揮して、大活躍します。
 詳しくは書きませんが、この部分、単純に小説として面白いのですよ。
 しかも読後感の良いこと!
 冒頭で登場した数数の重いテーマに、見事に決着が付けられます。
 無駄なキャラなんか1人もいませんしね。
 ものすごい読み応えなのです。

 さて、ここではご紹介しませんでしたが、もちろん本書にはエッチ場面も山盛りです(笑)。
 ちょっと気に食わないですが、堀内が天野を犯すシーンもありますし、達也×竜太のサブカップルのエッチも山盛り、そしてもちろん井原×天野のラブラブシーンもちゃんとあります。
 いやー、最高ですから。
 恥ずかしがり屋で、からかわれると首筋を赤くしちゃってたようなあの天野が、井原と結ばれるときにどんな表情を見せるのか、本ブログの読者のみなさまならば、想像するだけでたまらないものがあると思いますが(笑)、絶対にその期待を裏切りませんよ!
 そして、そのエッチシーンに入る直前、井原が、天野の兄・達也の存在に気付き驚く場面があるのですが、そこで天野がちょっと拗ねるシーンがあるのです。
 なんで拗ねるかといえば、もちろん井原がしっかり者の兄のほうを好きになるんじゃと思って、ちょっと拗ねてみせるのですが、その場面、つい自分を卑下しちゃう優等生・天野がもう富士山噴火級の可愛さパワー炸裂!
 ああ、ここでそのセリフ紹介したい!
 でも、しない!
 で、泣きそうになっちゃう天野に、井原がかける言葉がまた最高!
 あーうー。
 だめだ、我慢!
 続きは実際に読んでみてください!
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