ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

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[新刊レビュー]高岡ミズミ『紅の誓約』


Category: レビュー 小説単行本   Tags: 受け-女装  受け-美人の優等生  特徴-海外もの  ●タ行-高岡ミズミ  
紅の誓約 (SHY NOVELS 186) (SHY NOVELS 186)紅の誓約 (SHY NOVELS 186) (SHY NOVELS 186)
(2007/08/09)
高岡 ミズミ

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 うーん、ついついレビューを書くと、文章が長くなってしまいます。これからは短く書くように務めようと思います。

 クロスノベルスの8月新刊、高岡ミズミ先生の『紅の誓約』です。
 高岡ミズミ先生といえば、不良×優等生の歴史的傑作『不器用な唇』(早く紹介したい!)の作者であられます。
 BL作家としては“何でも書きこなす”タイプとti-kenは勝手に思っていますが、いかがでしょうか。
 今回は上海を舞台にした謎解きサスペンス風味の一作です。
 本作は、決してピンポイントな意味での“優等生受け”ではないのですが、受けの美青年、瑞澄(ルイチェン)が、濃厚に“優等生臭”を醸し出しているので、その点をパパッとご紹介いたしましょう。
“優等生臭”ってどんな匂いなんでしょうね。
 きっといい匂いなんでしょうね。洗いざらしのガクランのような…。

 上海を裏から支配する名門・李家の跡継ぎ候補の1人として、次々と命を狙われるハメになるのが、主人公(攻)の池脇脩一です。脩一の母親は、かつて李家の頭領と結婚し、脩一を産んだ後、離縁して脩一とともに日本に帰っていたのでした。
 李家のことなどほとんど記憶もないままに育ち、すでに米国と日本を股にかけるビジネスマンとして活躍する脩一は、まったく跡継ぎなど興味もないのですが、その争いの中で、謎めいた美青年・瑞澄と出会うのです。

 最初の出会いは李家の親族会議を抜け出した庭先で、次に会ったときは、李家お抱えの京劇役者(花郎=ファラン)として、上海の下町で出会った時には、まったく名前の違う駆け出し役者として、瑞澄は脩一の前に登場します。
 こんな数多くの名前と顔を持つ瑞澄ですが、脩一は何度も彼に命を助けられることになります。その中で、脩一は瑞澄の色香につい手を出してしまうのです。

 本作のオススメポイントはいくつもありますが、まず何よりも言えるのは、この瑞澄が“可愛い”すぎるのです。
 ルックスとしては、京劇の女形役者が本業ですから、もちろん美しいのですが、京劇の役者ならば旦那衆にさぞ可愛がられているのだろうと勝手に思いこみ手を出した脩一の前で、じつは何の経験もない瑞澄は、取り乱し、快感に喘ぎ、涙をこぼすのです。
 その場面のいやらしくも美しいこと!

「おとなしく抱かせろ、瑞澄」

 池脇の両肩を押し返していた手の力が、直後緩む。
 身体は硬いままだが、かまわず池脇は口づけを深くした。
 上顎を辿り、唾液を絡めあう。
 徐々に瑞澄の硬直も解けていく。四肢を弛緩させ、頬を染めた瑞澄の初心(うぶ)な色香を前にして、異様なほどそそられていた。

 この場面を読むまで、はっきりいって、ちーけんを初めとする読者も、脩一と同じ誤解を持たされています。
 きっと瑞澄(ルイチェン)はもう“経験”を済ませていて、性技にも長けているんだろうと。そこでいよいよ脩一に手を出された瑞澄を描写するのが上のシーンなわけですが、それまで何度も脩一の窮地を救い、謎めいた顔を見せていた瑞澄が、じつは「初心な色香」でいっぱいの“可愛い”少年だとわかって、もう読者は一気に引き込まれてしまうわけですよ!
 この「何でも知ってそう」だけど「好きな男の前ではじつは何も知らない」というのが、“優等生臭”の正体です。
 はぁ~、いいにおい(照れ)。

 で、懲りもせずまた油断して命を狙われる脩一なのですが、そこをまた救ってくれたのが瑞澄です。
 脩一は、その場面で、瑞澄の耳元に囁きます。

「今夜も部屋に来て、抱かせてくれ。そうしたら、この街を好きになれるかもしれない」

 なんと傲慢な台詞なのか。
 瑞澄もそう思ったのだろう。
 頬がぴくりと動く。
 人形のように整った面差しが嫌悪で強張ったのがわかる。
 おかげで昨夜のあれが夢でも妄想でもなく、瑞澄と共有した時間だと池脇は実感した。

「来てくれるな」

 念を押した池脇を見つめる黒い瞳が、不穏に光る。

「低俗な。あのようなことを引き合いに出すなど、理解できません」

 低く威嚇されて、ぞくぞくした。
 気高いまでに冷淡な双眸で池脇を拒絶する瑞澄を前にして、池脇の下で喘ぐ姿が鮮明に思い出される。
 快楽に溺れる瑞澄を、たまらなく見たくなる。

「低俗で悪いか。来るのか来ないのか、答えろよ」

 答えを迫りながら、瑞澄の首筋に指先で触れた。
 瑞澄は弾かれたように肩を震わせ、池脇の手を振り払った。

「あ…」

 失態を犯したかのごとく、瑞澄が池脇に背を向ける。
 瑞澄の白いうなじが粟立っていくのがわかり、往来にも拘わらず口づけたい気持ちになる。(本文133-134ページより)

 どうでしょうか。この高岡先生の達意の文章。
 もちろん瑞澄だって脩一のことを好きなわけですよ。快楽に溺れた自分を認めたくなくて、意地を張ってしまうんです。
 でも、脩一に迫られるにつれ、心は次第に弱くなり…という瑞澄の心の揺れが、もう見事に活写されています。
 こんな優等生気質の少年の「白いうなじが粟立つ」って、もう見てみたい! と思ったら、なんと本文の真横に実相寺紫子先生のまさにドンピシャなイラストが載っていますよ!
 そこに描かれた瑞澄の可愛いこと!
 この名文にして名画あり。
 もう、やおいの神様に土下座して感謝するしかちーけんにはしようがありません。

 いくつもの名前を持つ美しい男、瑞澄。
 最後、瑞澄は“本当の名前”を脩一に教えることで、物語の謎に決着をつけることになります。 
 そのシーンを読んでいて、ちーけんはジブリの『千と千尋の神隠し』のラストシーンを思い出してしまいました。
 ハクが自分の名前を思い出し、本当の姿を取り戻すあのシーンです。
 映画館で見て、ちーけんは思わず涙ぐんでしまいましたが、それは名前こそアイデンティティそのものであり、それを取り戻すことが自分というものを他の誰でもない自分の手に取り戻すことだという宮崎駿監督のメッセージが胸にグッと来たからです。

 だから、瑞澄が脩一に自分の本当の名前を教えるシーンも、同じくグッと来てしまいました。それは自分のすべてを脩一に“渡す”という意思表示なわけですから…。
“男”2人の間のこういう全人格的な信頼、それこそがボーイズラブというかやおいの醍醐味であり、腐女子腐男子がキュンとくるところだと思いますが、この場面こそ、それですよ!
 しかもそれを何者にも屈しない精神を持った気高い少年、瑞澄がやるところがさらにグググッと来るところです。
 名場面だと思います。

 李家の跡継ぎ問題や、脩一の命を狙うのは誰なのか、謎だらけの物語ですが、高岡先生自身があとがきで書かれているように、「もちろんラブも!」しっかり詰まっているのが、さすがといいますか本書のたまらないところです。
“優等生受け”好きな方ならば、必ずや気に入っていただける一作です。
 ぜひお読みください!
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