彼と彼氏の秘密 (プラチナ文庫) (2008/04/10) 五百香 ノエル 商品詳細を見る |
いやもう言葉がありません…。
このレビュー記事も、どう書けば本書の素晴らしさがみなさんに伝わるかがわからず、出だしを何度も書いては消し、書いては消しを繰り返している有様。
とんでもない傑作です。
ちーけんはここにみなさんを証人として遺言を残そうと思います。
もし、私がぽっくり逝ってしまいましたら、何とかこの一冊だけは一緒に棺桶に納めてください。
死後の永劫の時でさえ、この本、『彼と彼氏の秘密』があれば耽溺して時を忘れることができるでしょう。
ブログ主は痛切に思います。
十ウン年前。
同じ五百香ノエル先生が書かれたデビュー作『神様はイジワルじゃない』と出会ったことから始まったブログ主の腐男子人生は、決して間違っていなかったと…。
すべては今日、この一冊に出会うために神が仕組まれた崇高な罠だったのです!!
嗚呼!!
地球に生まれて…良かったぁぁぁあああああっっっ!!!(織田裕二ばりに絶叫)
……。
……。
うーむ。
なんで人間は奇跡的な出来事に出会うと、神の存在を語りたがり始めるんでしょうね。
うさんくさいこと、この上ない(笑)。
でも、そのくらいこの本にはヤラれました。
だいたい正直に言いますと、本書は正確な意味では“優等生受け”に当てはまらないかもしれません。
でも、語りたい!
語らざるをえない!
単純な感動というのとも違う、とにかく胸を揺すぶられたこの未知の感覚。
どうにかしてこの感覚を他の人と共有したいんです!
なので、死力を尽くしてレビュー記事を書こうと思います!
ここで遠回りになりますが、少しブログ主の思い出話をさせていただきます…(すいません)。
ブログ主は高校生のころ、少女マンガにハマってました。
親のくれる小遣いは月2千円。
何とかしてマンガを買う金を手に入れようと、毎週日曜日には新聞配達のバイトをやっておりました。
慣れてくると、新聞配達というのは自然に身体が動くものでして、頭の中では別のことを考えながらでもできてしまいます。
そんな時、ブログ主が何を考えて新聞を配っていたかというと、前の晩に読んだ少女マンガを思い返してはホウとため息をつき、そこで描かれていた胸キュンラブストーリーを何度も頭の中で味わっては、主人公2人の“その後”に思いを馳せたりしておりました。
……キモいですね(笑)。
その一方。
ちーけんは健康で平均的な高校生男子だったので、もちろんまだ自分では経験したことのなかったセックスというものについて興味津々というか、興味津々すぎて自分でもちょっと引くぐらいの勢いでありました(笑)。
はっきり言って、道ばたを歩くときはいつも、エロ本が捨てられてないかずーっと探してましたからね!
で、とても現実では可愛い女の子とそんなことをデキそうな見込みもなかったブログ主は、至極自然な流れとして、エロマンガを大量に買い込むという悲しい青春に向かっていったわけです!
左手に『花とゆめ』(←少女マンガ誌)。
右手に『ホットミルク』(←ちょっとロリの入ったエロマンガ雑誌)。
――それがちーけんの青春時代だったのでありました。
……おい俺、不憫だったなぁ(笑)。
で、新聞を配達しながら、ちーけんはいつもこんな風に思っていたのですよ。
「少女マンガとエロマンガ…。この2つが合体したら、すごく素晴らしい“マンガ”が出来るのになぁ」
というのは、当時のちーけんがハマりまくった『星の瞳のシルエット』でも『前略ミルクハウス』でも『ぷりんせすARMY』でも『彼方から』でも『はいからさんが通る』でも、少女マンガは主人公2人がくっつくまでは超ドキドキさせてくれるのに、くっついたと思ったらもうコミックスの最終巻で、全然2人の幸せそうなカップルぶりとか見せてくれないんですよ。
ちーけんに言わせれば、おいおい、今までこんなに苦労して見守ってきたオレ様にいくらなんでも冷たすぎねーかってなもんです(笑)。
お前らがくっつくのだけを楽しみに、コミックス全部買って読んできたのに、くっついた途端終わりかよという。
で、直接的にいえば、ちーけんは少女マンガの主人公2人が、ぶっちゃけセックスするところが見たかったわけですね(笑)。
ウブで一刻も早く童貞を捨てたくてうずうずしていた健全高校生らしく、「男の子と女の子が気持ちを確かめ合ったら、あとはもうセックスするしかない!」という妙な強迫観念に取り付かれていたようなんですね(笑)。
だから、いっつも思ってました。
少女マンガで、主人公2人がくっついた後に、その2人のエッチ場面が描かれないのは不合理だ! と(笑)。
今でこそ、そういう場面が少女マンガに出てくることも少なくなくなりましたけど、当時は本当にありませんでしたからねぇ…。
で、逆にエロマンガはエロマンガで、まったく“ラブ”がなかったわけですよ。
いや、まったくなかったわけではありませんが、少なくともちーけんが求めていたような、少女マンガ的ロマンチックラブストーリーは、エロマンガ雑誌の中では見つけることができなかったわけです。
基本的に、エロマンガというのは恋愛を描くというよりも、セックスそのものを描くのが役目ですからね!
だから、レイプされたクラス委員長が最初は「イヤ」と言いながら、最後には「あひぃーっ!」とか言って絶頂を極めてしまうという、極めて男性読者に都合のいいマンガはあふれていましたが、『りぼん』や『マーガレット』や『少コミ』に出ていそうな、ピュアでロマンティックなお話しはエロマンガ雑誌には載っていなかったわけです。
なのでブログ主は、そっちの方面からも、少女マンガとエロマンガの融合を強く望むようになっていたのでありました。
前置きが長くなりました…。
では、誤解を恐れずに申し上げましょう!
五百香ノエル先生の最新作『彼と彼氏の秘密』こそは、ちーけんが新聞少年だったころから待ちわびていた、少女マンガとエロマンガの完全な結合が果たされた史上初の作品であり、地球が存在するかぎり永遠に人類の記憶に留められるべき究極のBL小説なのです…!
ああ、神よ…!(またかよ)
かつてこんな本は読んだことがありません。
人生は恋愛こそすべて…! という恋愛至上主義こそが日本の少女マンガの根本的な価値観だとちーけんは思っていますが、そんなピュアでロマンティックな少女マンガ的ラブストーリーと、過激かつ美しい絵で今やアジアのみならず欧米のオタク人種さえ席巻する日本発のポルノグラフィとしてのエロマンガ的な性描写。
もちろん本作は五百香ノエル先生の手によるBL小説ですから、文字通りの意味での少女マンガとエロマンガの融合ではありませんが、今まで数々のマンガ、小説が果たし得なかった両者の融合が、本作では完全に果たされていると、ちーけんは思うのです。
もうね、感動!
まず、エロマンガというかポルノとして本作は驚異的な水準に達しているのですよ。
なんとストーリーの冒頭から、ショッピングセンターの身障者用トイレで激しいアナルセックスに溺れる主人公の高校生男子2人の姿が描かれます。
それもえんえん40ページ!
これってほとんどフランス書院文庫とかのノリでしょう(笑)――って、女性のみなさんは読んだことないかもしれませんが。
主人公2人は、どちらも高校一年生。
でも、攻めキャラの小櫃裄彦(おびつ・ゆきひこ)が、街の権力者である大病院の医者の息子にして容姿端麗、成績優秀、近づく者すべてを虜にする魅力を持った“王子様”であるのに対して、受けキャラの里谷成海(さとや・なるみ)は、勉強がちょっと得意なだけで、たまたま高校受験の前に父親が出世したために、本当なら裄彦のようなお坊ちゃんしか入れない私立校に進学することができた平凡な真面目少年です。
ところが、成海はこのお坊ちゃん高校に入学した直後から、原因不明のイジメに遭い、校内で完全に孤立します。
そしてそれは性的な暴力を伴ったもので――成海は目隠しをされたまま体育倉庫で酷い陵辱をされたり、誰ともわからぬ男に通学電車内で痴漢されたり、校内で数人の男に輪姦されたり(ただし挿入はされず)と、信じられない目に遭ってきました。
その時、全校から無視されていた成海に、校内で唯一声をかけ優しくかばってくれたのが、学校の“王子様”である裄彦だったというわけです。
そんな2人が惹かれあい、同性であるという禁忌を乗り越えて恋人同士になるのは時間の問題。
裄彦からの告白で気持ちを確かめ合った2人でしたが、その裏には信じられない事実が隠されていたのです――。
とまあ、ここまで書けば、察した方も多いと思いますが、じつはこのイジメや性的虐待は、すべて裄彦がやらせていたことだったのです。
成海が孤立し、自分のもとに堕ちてくるように。
目隠しをさせて陵辱したのも、電車内で成海を襲ったのも、数人の男に成海の身体を自由にさせたのも、すべて裄彦自身。
でも、その事実を知り、何も信じられなくなった成海でしたが、なぜか心も体も裄彦から離れることができなかったのでした。
冒頭でえんえん描かれる激しいアナルセックスの場面は、正体がバレたあとも成海を自分の性奴隷のごとく陵辱し続ける裄彦と、どうしてもそれに抵抗できない成海、そんな2人の姿を描いたものです。
「はぁ…っ、あんっ、あぁっ」
「ねぇ、挿れたばかりなのに、もう可愛い声が出ちゃってるよ、成海?」
今どきの高校生にしては逞しい腰を揺すり上げた小櫃裄彦は、イヤらしく舌なめずりして、睨む成海のきつい目尻で光る涙を嗤った。あくまでも優雅に、上品に。
「ああ、ほら、ココももう…ヌルヌルのベトベトになってる…すごい深くまで入ってるのがわかる? すごいよ、成海、君のココ、僕の熱いコレ根本まで全部飲み込んでる」
「やっ、いやだぁっ…やめろよっ、触るな…ぁ、あっ、ああっ」
新しくできたショッピングモールの身障者用トイレ、その艶々としたタイル壁に押しつけられた成海の身体の奥深くで、品のいい顔をした裄彦のごついペニスが、生きのいいウナギかドジョウのように踊りくねっている。
どうです、このネバーッとした達意の文章!
五百香節とでも言うべき独自の文体が確立してますよね。
生半可な腐女子のみなさまですと、もうここの部分だけで眉をひそめて本を閉じる人もいるかもしれません。
でも、本書においては、はっきり言って、これが一番おとなしい表現。
それがよくわかる次の場面もご紹介いたしましょう。
「成海、ねぇ…イクって言ってくれたら、もっとヤッてあげる。ココの中、もっと激しく突っこんで、もっともっと奥の方まで掻き混ぜて、ファックしてあげる」
「ダメ……っ、やめてくれよ……っ」
「毎日のように君の前立腺が腫れるくらいこすってあげてるんだもの。どこがイイかなんてわかってるよ…ほら、亀頭のエラのところで、たっぷりこすってあげるから、イイって言いなさい」
「あっ、あっ…ゆきっ、ゆきひこぉ……っ!」
ペニスの根本を握られ、吐き出しそうな奔流を抑えられた成海は、ガクガクと震えながらシャツとベストに包まれた背筋を張り詰めさせた。
「ひぃっ、イイっ…ああ、んっ、イイよぉ」
「わかってる、もっとちゃんと言って、もっとハッキリ、どこがイイの? 成海」
「う、後ろ、後ろぉ…後ろからヤられて…イイ、イイよぉっ」
引きつった泣き声をこぼし、成海は白旗を掲げてなんとか答える。
「イヤらしい単語を使って言って。もっと僕を興奮させる言葉でどんなにイイか言って、お願い、ね? 成海、僕の可愛いアヌスちゃん」
「あうぅ…っ、ゆ、裄彦のアレが…アレがはいってて…お尻の穴が、気持ちイイ、すごくイイ、あぁっ、もうだめ、おねがい…イカせてくれよ、裄彦、お願いだからっ」
「淫乱のメスイヌです、って言ってごらんよ」
「な、なんでそんなこと…っ」
「友達にこんなイヤらしいことされて悦んでるんだから、君は淫乱のメスイヌだろう?」
……いやもう言葉がありません。
イヤらしすぎて(笑)。
またまた言っておきますが、このあたりの表現でも、本書ではまだまだ中くらいの激しさです。
もっと後半、とんでもないポルノが展開されますからね!(念のため言っておきますが、ポルノという言葉は完全に褒め言葉として使ってますのでお間違えなく)
で、本書の凄いところは、このようなポルノグラフィとしての高水準さに、少女マンガ的なロマンティックなストーリーが完全に融合しているところです。
いや、言い換えると、本書はセックス場面を描くことによって、2人の愛が生まれ、深まっていく様子を美しく、そして確実に描いているのです。
これがどんなに凄いことか!
エロ場面なんてのは、あくまでエロ場面であって、これまで、そこに至る愛は描かれたことがあっても、そこから生まれる愛が描かれたことは、一度もありませんでした――少なくともBL小説の分野においては。
ちょっと自分でも言いすぎかなという気もしますが(笑)、ちーけんの本当に率直な気持ちでもあります。
でも。
でもですよ。
読者はずんずんページを読み進めていくにつれて、ちょっとした不安を覚えます。
あくまで優しくですが、成海を自分の性奴隷のように扱う裄彦の姿に、「この2人は本当の意味で恋人同士になれるの!?」とドキドキしてしまうわけですよ。
成海を自分の手に入れるために、あのような策謀を廻らせた男ですから、もちろん裄彦は普通の男子高校生ではありません。
歪んでます。
普通の人間の感情を理解していないような男です。
そんな異常な裄彦が、セックスの最中には優しく一心に成海を可愛がり、自分への忠誠を誓わせようとするわけです。
でも、それはどこか空虚。
BL小説なんですから、この2人はもう絶対にくっつくとわかってて、しかも先ほど紹介したエロ場面のように、どう見ても成海なんか裄彦にメロメロにさせられちゃってるにもかかわらず、裄彦の気持ちが見えないことで、最後の最後まで読者は引っ張られてしまうんですなぁ。
絶対に好きあってるはずの2人なのに、どうしても本当の気持ちが見えなくて、お互いの気持ちが確かめられないまま様々な事件が起こっていく――これって典型的な少女マンガ的ストーリーであるわけですよ。
で、この読者を最後までぐいぐい引っ張る力が半端じゃないんです。
だって、もう嫌というほど2人の激しいセックスシーンが繰り返し描かれ、もう匂ってきそうなくらいに2人はドピュドピュ発射しちゃってるわけですよ!(笑)
なのに、裄彦の気持ちだけは確かなものが感じられないという。
成海のほうが裄彦にメロメロになってるのは、もうよくわかるんですけどね!
それがよ~くわかる、ちーけんが好きな場面は、身障者用トイレでのエッチの最後のほう、成海が絶頂を極めそうになって、裄彦にあられもないお願いをするところです。
「抱いて…もっと強く抱いて、ゆき、ギュってして、中に…中に出して」
「ナマでいいの? ナマで中出しするよ?」
「して…出してっ、裄彦のナマの中出し精液欲しい…っ、欲しいよぉっ」
「いい子、成海はいい子だね…いま中で、たくさん欲しいの出してあげるからね」
「ああ…んあっ、おなか…出されちゃって、あつぅ…ぃ」
この「ギュってして」ってのが、ちーけん的には超ツボで…(笑)。
可愛すぎ!
はたまたこんな場面。
「ゆきひこ…オレ、もう、恐い…」
「何が」
「……」
「お尻の穴がオンナノコになっちゃってるのが恐いの?」
「その言い方…よせよ」
「でも本当のことじゃない、×××ちゃん」
「この…っ」
こんな2人のじゃれ合いもよいかなよいかな。
そしてこの場面。
「んんっ、んぅっぷ」
「ああっ、イイ…成海、しっかりくわえて、こぼしたら二度と飲ませてあげないよ」
「…く、んうっ」
そんなのはイヤだと、頭の中で悲しく否定したのは、二度と裄彦の精液が飲めなくなることだった。本当に絶対にヤバイのにと、わかっていても止まらない、どうしようもない。
「んく…っ、んぐっ、く」
唾液と合わせて粘りけを溶き、自然と男の味を口いっぱいに味わいながら、成海は裄彦の精液を音を立ててゴクンと飲み込んだ。
勢いよく流れ込んだ固まりはにおいも味もきつく、喉にからみついて嚥下が困難だったが、濃厚な裄彦の子種を与えられているという悦びは、他では代え難いものとして成海の性癖に馴染んでいた。
「いい子だね…成海、本当に可愛いアヌスちゃんになったね」
いやもう身も蓋もないセックス場面ですよね。
こうして、読者は少女マンガ的ストーリーに引っ張られて最後まであっという間に読み終えてしまいます。
先ほども書きましたとおり、相手(裄彦)は主人公(成海)のことを絶対好きなはずなのに、様々な障害に阻まれて主人公にも読者にもその気持ちがわからない――つまりは少女マンガの典型的ストーリー――という状態を読者はえんえん味わされ、文字通り最後の一行まで読者は引っ張られてしまうのですよ。
そう、文字通りの最後の一行まで!
これ以上書くと種明かしになってしまうので、詳しくは書きませんが、五百香ノエル先生のその手腕はいっそ鮮やかなほど。
とんでもないエロ場面の数々をこれでもかと突きつけられ、頭がわやくちゃになったところで、「ああ、そうだったのか!」とすべてをストーンと腑に落とされるこの快感…!
小説を読む喜び、ここにあり! という感じの感激でありました。
作中でも書かれているのですが、身体こそ小さく女の子に間違えられるほど小柄なものの、顔はとりたてて美少年でも可愛くもなく、ごく普通の少年である成海が、“王子様”な裄彦にメロメロに愛され、しかも最初は騙されてどん底に落とされ、信頼を裏切られた結果として、2人の間に残ったのはセックスだけだったにもかかわらず、そこから新たな愛が育まれていくのが、本作のもっとも個性的な読みどころです。
しかもその大半をポルノ場面で表現し、読者に納得させてしまうこの力業。
少女マンガとエロマンガの幸せな融合と、最初に書きましたわけを、ご自分の目で一度本書を読まれたならば、必ずや納得していただけると確信してます…!
それにしてもねぇ…。
愛し合った2人の激しいエロ場面が読みたい! という新聞少年のささやかな望み(?)が実現する日が来るとは思いもよりませんでしたよ…(笑)。
もちろん今までもH描写が激しいBL作家さんは何人もいましたが――早い時期では桃さくら先生、最近では水戸泉先生――、やっぱり五百香ノエル先生のエロ描写というかポルノ描写は従来のBL作家さんの書かれるそーゆー場面とは、質的にまったく違うものです(誤解していただきたくありませんが、良い悪いの話でなく、方向性の問題ですからね!)。
山藍紫姫子先生の小説は、ポルノ的な描写を早くから実現しているという意味では、五百香ノエル先生の先行者とでも言うべき存在ではありますが、山藍紫姫子先生の素晴らしい作品の数々は、あくまでも少女マンガ的なものに立脚しているのではなく“文学”であるようにちーけんには思われます。
本来は清らかな乙女たち(?)の読み物として、「あなたがいなければ私死んじゃうの!」という、現実の人生ではありえない、恋さえあれば人生ハッピー! 的な価値観に基づく夢の読み物としての“少女マンガ”――それとポルノを完全に融合したのは、五百香ノエル先生が初めてだとやっぱり思う次第です。
本作は、もしかしたらamazonのレビューや他のブログ様の批評では、「ぶっとびすぎ」とか「やってるだけのエロ小説」とか書かれてしまうかも…と、ちーけんは思いますが、絶対にそれは本作の素晴らしさに気付いていないだけだと強く主張したいです。
もし今の世のBLファンたちがこの真価に気付かずとも、後世の史家は必ず五百香ノエル先生と本作のために、史書の一ページを割くに違いありません!
今回はあまり成海の“優等生っぽいところ”をご紹介することができませんでしたが、真面目でイジメにも耐えてけなげに頑張って、大好きになっちゃった裄彦の言いつけをよく守るその姿は、やっぱり“優等生受け”であり、また今回はとくに“平凡受け”な感じでもあります。
本ブログの読者さまで、ちーけんがオススメしてきた“優等生受け”BLに共感を覚えたと言っていただけるような方ならば、必ずや、必ずやお気に召していただけると思っています。
ぜひ一度お読みになってみてください!
で、感想をぜひちーけんと語り合いましょうよ!(必死)
五百香ノエル先生を追いかけてきた俺のこの十ウン年間は、間違っていなかったぁぁああああああ!!!!!!!!
……。
うーむ。
なんで人間は奇跡的な出来事に出会うと、神の存在を語りたがり始めるんでしょうね。
うさんくさいこと、この上ない(笑)。
でも、そのくらいこの本にはヤラれました。
だいたい正直に言いますと、本書は正確な意味では“優等生受け”に当てはまらないかもしれません。
でも、語りたい!
語らざるをえない!
単純な感動というのとも違う、とにかく胸を揺すぶられたこの未知の感覚。
どうにかしてこの感覚を他の人と共有したいんです!
なので、死力を尽くしてレビュー記事を書こうと思います!
ここで遠回りになりますが、少しブログ主の思い出話をさせていただきます…(すいません)。
ブログ主は高校生のころ、少女マンガにハマってました。
親のくれる小遣いは月2千円。
何とかしてマンガを買う金を手に入れようと、毎週日曜日には新聞配達のバイトをやっておりました。
慣れてくると、新聞配達というのは自然に身体が動くものでして、頭の中では別のことを考えながらでもできてしまいます。
そんな時、ブログ主が何を考えて新聞を配っていたかというと、前の晩に読んだ少女マンガを思い返してはホウとため息をつき、そこで描かれていた胸キュンラブストーリーを何度も頭の中で味わっては、主人公2人の“その後”に思いを馳せたりしておりました。
……キモいですね(笑)。
その一方。
ちーけんは健康で平均的な高校生男子だったので、もちろんまだ自分では経験したことのなかったセックスというものについて興味津々というか、興味津々すぎて自分でもちょっと引くぐらいの勢いでありました(笑)。
はっきり言って、道ばたを歩くときはいつも、エロ本が捨てられてないかずーっと探してましたからね!
で、とても現実では可愛い女の子とそんなことをデキそうな見込みもなかったブログ主は、至極自然な流れとして、エロマンガを大量に買い込むという悲しい青春に向かっていったわけです!
左手に『花とゆめ』(←少女マンガ誌)。
右手に『ホットミルク』(←ちょっとロリの入ったエロマンガ雑誌)。
――それがちーけんの青春時代だったのでありました。
……おい俺、不憫だったなぁ(笑)。
で、新聞を配達しながら、ちーけんはいつもこんな風に思っていたのですよ。
「少女マンガとエロマンガ…。この2つが合体したら、すごく素晴らしい“マンガ”が出来るのになぁ」
というのは、当時のちーけんがハマりまくった『星の瞳のシルエット』でも『前略ミルクハウス』でも『ぷりんせすARMY』でも『彼方から』でも『はいからさんが通る』でも、少女マンガは主人公2人がくっつくまでは超ドキドキさせてくれるのに、くっついたと思ったらもうコミックスの最終巻で、全然2人の幸せそうなカップルぶりとか見せてくれないんですよ。
ちーけんに言わせれば、おいおい、今までこんなに苦労して見守ってきたオレ様にいくらなんでも冷たすぎねーかってなもんです(笑)。
お前らがくっつくのだけを楽しみに、コミックス全部買って読んできたのに、くっついた途端終わりかよという。
で、直接的にいえば、ちーけんは少女マンガの主人公2人が、ぶっちゃけセックスするところが見たかったわけですね(笑)。
ウブで一刻も早く童貞を捨てたくてうずうずしていた健全高校生らしく、「男の子と女の子が気持ちを確かめ合ったら、あとはもうセックスするしかない!」という妙な強迫観念に取り付かれていたようなんですね(笑)。
だから、いっつも思ってました。
少女マンガで、主人公2人がくっついた後に、その2人のエッチ場面が描かれないのは不合理だ! と(笑)。
今でこそ、そういう場面が少女マンガに出てくることも少なくなくなりましたけど、当時は本当にありませんでしたからねぇ…。
で、逆にエロマンガはエロマンガで、まったく“ラブ”がなかったわけですよ。
いや、まったくなかったわけではありませんが、少なくともちーけんが求めていたような、少女マンガ的ロマンチックラブストーリーは、エロマンガ雑誌の中では見つけることができなかったわけです。
基本的に、エロマンガというのは恋愛を描くというよりも、セックスそのものを描くのが役目ですからね!
だから、レイプされたクラス委員長が最初は「イヤ」と言いながら、最後には「あひぃーっ!」とか言って絶頂を極めてしまうという、極めて男性読者に都合のいいマンガはあふれていましたが、『りぼん』や『マーガレット』や『少コミ』に出ていそうな、ピュアでロマンティックなお話しはエロマンガ雑誌には載っていなかったわけです。
なのでブログ主は、そっちの方面からも、少女マンガとエロマンガの融合を強く望むようになっていたのでありました。
前置きが長くなりました…。
では、誤解を恐れずに申し上げましょう!
五百香ノエル先生の最新作『彼と彼氏の秘密』こそは、ちーけんが新聞少年だったころから待ちわびていた、少女マンガとエロマンガの完全な結合が果たされた史上初の作品であり、地球が存在するかぎり永遠に人類の記憶に留められるべき究極のBL小説なのです…!
ああ、神よ…!(またかよ)
かつてこんな本は読んだことがありません。
人生は恋愛こそすべて…! という恋愛至上主義こそが日本の少女マンガの根本的な価値観だとちーけんは思っていますが、そんなピュアでロマンティックな少女マンガ的ラブストーリーと、過激かつ美しい絵で今やアジアのみならず欧米のオタク人種さえ席巻する日本発のポルノグラフィとしてのエロマンガ的な性描写。
もちろん本作は五百香ノエル先生の手によるBL小説ですから、文字通りの意味での少女マンガとエロマンガの融合ではありませんが、今まで数々のマンガ、小説が果たし得なかった両者の融合が、本作では完全に果たされていると、ちーけんは思うのです。
もうね、感動!
まず、エロマンガというかポルノとして本作は驚異的な水準に達しているのですよ。
なんとストーリーの冒頭から、ショッピングセンターの身障者用トイレで激しいアナルセックスに溺れる主人公の高校生男子2人の姿が描かれます。
それもえんえん40ページ!
これってほとんどフランス書院文庫とかのノリでしょう(笑)――って、女性のみなさんは読んだことないかもしれませんが。
主人公2人は、どちらも高校一年生。
でも、攻めキャラの小櫃裄彦(おびつ・ゆきひこ)が、街の権力者である大病院の医者の息子にして容姿端麗、成績優秀、近づく者すべてを虜にする魅力を持った“王子様”であるのに対して、受けキャラの里谷成海(さとや・なるみ)は、勉強がちょっと得意なだけで、たまたま高校受験の前に父親が出世したために、本当なら裄彦のようなお坊ちゃんしか入れない私立校に進学することができた平凡な真面目少年です。
ところが、成海はこのお坊ちゃん高校に入学した直後から、原因不明のイジメに遭い、校内で完全に孤立します。
そしてそれは性的な暴力を伴ったもので――成海は目隠しをされたまま体育倉庫で酷い陵辱をされたり、誰ともわからぬ男に通学電車内で痴漢されたり、校内で数人の男に輪姦されたり(ただし挿入はされず)と、信じられない目に遭ってきました。
その時、全校から無視されていた成海に、校内で唯一声をかけ優しくかばってくれたのが、学校の“王子様”である裄彦だったというわけです。
そんな2人が惹かれあい、同性であるという禁忌を乗り越えて恋人同士になるのは時間の問題。
裄彦からの告白で気持ちを確かめ合った2人でしたが、その裏には信じられない事実が隠されていたのです――。
とまあ、ここまで書けば、察した方も多いと思いますが、じつはこのイジメや性的虐待は、すべて裄彦がやらせていたことだったのです。
成海が孤立し、自分のもとに堕ちてくるように。
目隠しをさせて陵辱したのも、電車内で成海を襲ったのも、数人の男に成海の身体を自由にさせたのも、すべて裄彦自身。
でも、その事実を知り、何も信じられなくなった成海でしたが、なぜか心も体も裄彦から離れることができなかったのでした。
冒頭でえんえん描かれる激しいアナルセックスの場面は、正体がバレたあとも成海を自分の性奴隷のごとく陵辱し続ける裄彦と、どうしてもそれに抵抗できない成海、そんな2人の姿を描いたものです。
「はぁ…っ、あんっ、あぁっ」
「ねぇ、挿れたばかりなのに、もう可愛い声が出ちゃってるよ、成海?」
今どきの高校生にしては逞しい腰を揺すり上げた小櫃裄彦は、イヤらしく舌なめずりして、睨む成海のきつい目尻で光る涙を嗤った。あくまでも優雅に、上品に。
「ああ、ほら、ココももう…ヌルヌルのベトベトになってる…すごい深くまで入ってるのがわかる? すごいよ、成海、君のココ、僕の熱いコレ根本まで全部飲み込んでる」
「やっ、いやだぁっ…やめろよっ、触るな…ぁ、あっ、ああっ」
新しくできたショッピングモールの身障者用トイレ、その艶々としたタイル壁に押しつけられた成海の身体の奥深くで、品のいい顔をした裄彦のごついペニスが、生きのいいウナギかドジョウのように踊りくねっている。
どうです、このネバーッとした達意の文章!
五百香節とでも言うべき独自の文体が確立してますよね。
生半可な腐女子のみなさまですと、もうここの部分だけで眉をひそめて本を閉じる人もいるかもしれません。
でも、本書においては、はっきり言って、これが一番おとなしい表現。
それがよくわかる次の場面もご紹介いたしましょう。
「成海、ねぇ…イクって言ってくれたら、もっとヤッてあげる。ココの中、もっと激しく突っこんで、もっともっと奥の方まで掻き混ぜて、ファックしてあげる」
「ダメ……っ、やめてくれよ……っ」
「毎日のように君の前立腺が腫れるくらいこすってあげてるんだもの。どこがイイかなんてわかってるよ…ほら、亀頭のエラのところで、たっぷりこすってあげるから、イイって言いなさい」
「あっ、あっ…ゆきっ、ゆきひこぉ……っ!」
ペニスの根本を握られ、吐き出しそうな奔流を抑えられた成海は、ガクガクと震えながらシャツとベストに包まれた背筋を張り詰めさせた。
「ひぃっ、イイっ…ああ、んっ、イイよぉ」
「わかってる、もっとちゃんと言って、もっとハッキリ、どこがイイの? 成海」
「う、後ろ、後ろぉ…後ろからヤられて…イイ、イイよぉっ」
引きつった泣き声をこぼし、成海は白旗を掲げてなんとか答える。
「イヤらしい単語を使って言って。もっと僕を興奮させる言葉でどんなにイイか言って、お願い、ね? 成海、僕の可愛いアヌスちゃん」
「あうぅ…っ、ゆ、裄彦のアレが…アレがはいってて…お尻の穴が、気持ちイイ、すごくイイ、あぁっ、もうだめ、おねがい…イカせてくれよ、裄彦、お願いだからっ」
「淫乱のメスイヌです、って言ってごらんよ」
「な、なんでそんなこと…っ」
「友達にこんなイヤらしいことされて悦んでるんだから、君は淫乱のメスイヌだろう?」
……いやもう言葉がありません。
イヤらしすぎて(笑)。
またまた言っておきますが、このあたりの表現でも、本書ではまだまだ中くらいの激しさです。
もっと後半、とんでもないポルノが展開されますからね!(念のため言っておきますが、ポルノという言葉は完全に褒め言葉として使ってますのでお間違えなく)
で、本書の凄いところは、このようなポルノグラフィとしての高水準さに、少女マンガ的なロマンティックなストーリーが完全に融合しているところです。
いや、言い換えると、本書はセックス場面を描くことによって、2人の愛が生まれ、深まっていく様子を美しく、そして確実に描いているのです。
これがどんなに凄いことか!
エロ場面なんてのは、あくまでエロ場面であって、これまで、そこに至る愛は描かれたことがあっても、そこから生まれる愛が描かれたことは、一度もありませんでした――少なくともBL小説の分野においては。
ちょっと自分でも言いすぎかなという気もしますが(笑)、ちーけんの本当に率直な気持ちでもあります。
でも。
でもですよ。
読者はずんずんページを読み進めていくにつれて、ちょっとした不安を覚えます。
あくまで優しくですが、成海を自分の性奴隷のように扱う裄彦の姿に、「この2人は本当の意味で恋人同士になれるの!?」とドキドキしてしまうわけですよ。
成海を自分の手に入れるために、あのような策謀を廻らせた男ですから、もちろん裄彦は普通の男子高校生ではありません。
歪んでます。
普通の人間の感情を理解していないような男です。
そんな異常な裄彦が、セックスの最中には優しく一心に成海を可愛がり、自分への忠誠を誓わせようとするわけです。
でも、それはどこか空虚。
BL小説なんですから、この2人はもう絶対にくっつくとわかってて、しかも先ほど紹介したエロ場面のように、どう見ても成海なんか裄彦にメロメロにさせられちゃってるにもかかわらず、裄彦の気持ちが見えないことで、最後の最後まで読者は引っ張られてしまうんですなぁ。
絶対に好きあってるはずの2人なのに、どうしても本当の気持ちが見えなくて、お互いの気持ちが確かめられないまま様々な事件が起こっていく――これって典型的な少女マンガ的ストーリーであるわけですよ。
で、この読者を最後までぐいぐい引っ張る力が半端じゃないんです。
だって、もう嫌というほど2人の激しいセックスシーンが繰り返し描かれ、もう匂ってきそうなくらいに2人はドピュドピュ発射しちゃってるわけですよ!(笑)
なのに、裄彦の気持ちだけは確かなものが感じられないという。
成海のほうが裄彦にメロメロになってるのは、もうよくわかるんですけどね!
それがよ~くわかる、ちーけんが好きな場面は、身障者用トイレでのエッチの最後のほう、成海が絶頂を極めそうになって、裄彦にあられもないお願いをするところです。
「抱いて…もっと強く抱いて、ゆき、ギュってして、中に…中に出して」
「ナマでいいの? ナマで中出しするよ?」
「して…出してっ、裄彦のナマの中出し精液欲しい…っ、欲しいよぉっ」
「いい子、成海はいい子だね…いま中で、たくさん欲しいの出してあげるからね」
「ああ…んあっ、おなか…出されちゃって、あつぅ…ぃ」
この「ギュってして」ってのが、ちーけん的には超ツボで…(笑)。
可愛すぎ!
はたまたこんな場面。
「ゆきひこ…オレ、もう、恐い…」
「何が」
「……」
「お尻の穴がオンナノコになっちゃってるのが恐いの?」
「その言い方…よせよ」
「でも本当のことじゃない、×××ちゃん」
「この…っ」
こんな2人のじゃれ合いもよいかなよいかな。
そしてこの場面。
「んんっ、んぅっぷ」
「ああっ、イイ…成海、しっかりくわえて、こぼしたら二度と飲ませてあげないよ」
「…く、んうっ」
そんなのはイヤだと、頭の中で悲しく否定したのは、二度と裄彦の精液が飲めなくなることだった。本当に絶対にヤバイのにと、わかっていても止まらない、どうしようもない。
「んく…っ、んぐっ、く」
唾液と合わせて粘りけを溶き、自然と男の味を口いっぱいに味わいながら、成海は裄彦の精液を音を立ててゴクンと飲み込んだ。
勢いよく流れ込んだ固まりはにおいも味もきつく、喉にからみついて嚥下が困難だったが、濃厚な裄彦の子種を与えられているという悦びは、他では代え難いものとして成海の性癖に馴染んでいた。
「いい子だね…成海、本当に可愛いアヌスちゃんになったね」
いやもう身も蓋もないセックス場面ですよね。
こうして、読者は少女マンガ的ストーリーに引っ張られて最後まであっという間に読み終えてしまいます。
先ほども書きましたとおり、相手(裄彦)は主人公(成海)のことを絶対好きなはずなのに、様々な障害に阻まれて主人公にも読者にもその気持ちがわからない――つまりは少女マンガの典型的ストーリー――という状態を読者はえんえん味わされ、文字通り最後の一行まで読者は引っ張られてしまうのですよ。
そう、文字通りの最後の一行まで!
これ以上書くと種明かしになってしまうので、詳しくは書きませんが、五百香ノエル先生のその手腕はいっそ鮮やかなほど。
とんでもないエロ場面の数々をこれでもかと突きつけられ、頭がわやくちゃになったところで、「ああ、そうだったのか!」とすべてをストーンと腑に落とされるこの快感…!
小説を読む喜び、ここにあり! という感じの感激でありました。
作中でも書かれているのですが、身体こそ小さく女の子に間違えられるほど小柄なものの、顔はとりたてて美少年でも可愛くもなく、ごく普通の少年である成海が、“王子様”な裄彦にメロメロに愛され、しかも最初は騙されてどん底に落とされ、信頼を裏切られた結果として、2人の間に残ったのはセックスだけだったにもかかわらず、そこから新たな愛が育まれていくのが、本作のもっとも個性的な読みどころです。
しかもその大半をポルノ場面で表現し、読者に納得させてしまうこの力業。
少女マンガとエロマンガの幸せな融合と、最初に書きましたわけを、ご自分の目で一度本書を読まれたならば、必ずや納得していただけると確信してます…!
それにしてもねぇ…。
愛し合った2人の激しいエロ場面が読みたい! という新聞少年のささやかな望み(?)が実現する日が来るとは思いもよりませんでしたよ…(笑)。
もちろん今までもH描写が激しいBL作家さんは何人もいましたが――早い時期では桃さくら先生、最近では水戸泉先生――、やっぱり五百香ノエル先生のエロ描写というかポルノ描写は従来のBL作家さんの書かれるそーゆー場面とは、質的にまったく違うものです(誤解していただきたくありませんが、良い悪いの話でなく、方向性の問題ですからね!)。
山藍紫姫子先生の小説は、ポルノ的な描写を早くから実現しているという意味では、五百香ノエル先生の先行者とでも言うべき存在ではありますが、山藍紫姫子先生の素晴らしい作品の数々は、あくまでも少女マンガ的なものに立脚しているのではなく“文学”であるようにちーけんには思われます。
本来は清らかな乙女たち(?)の読み物として、「あなたがいなければ私死んじゃうの!」という、現実の人生ではありえない、恋さえあれば人生ハッピー! 的な価値観に基づく夢の読み物としての“少女マンガ”――それとポルノを完全に融合したのは、五百香ノエル先生が初めてだとやっぱり思う次第です。
本作は、もしかしたらamazonのレビューや他のブログ様の批評では、「ぶっとびすぎ」とか「やってるだけのエロ小説」とか書かれてしまうかも…と、ちーけんは思いますが、絶対にそれは本作の素晴らしさに気付いていないだけだと強く主張したいです。
もし今の世のBLファンたちがこの真価に気付かずとも、後世の史家は必ず五百香ノエル先生と本作のために、史書の一ページを割くに違いありません!
今回はあまり成海の“優等生っぽいところ”をご紹介することができませんでしたが、真面目でイジメにも耐えてけなげに頑張って、大好きになっちゃった裄彦の言いつけをよく守るその姿は、やっぱり“優等生受け”であり、また今回はとくに“平凡受け”な感じでもあります。
本ブログの読者さまで、ちーけんがオススメしてきた“優等生受け”BLに共感を覚えたと言っていただけるような方ならば、必ずや、必ずやお気に召していただけると思っています。
ぜひ一度お読みになってみてください!
で、感想をぜひちーけんと語り合いましょうよ!(必死)
五百香ノエル先生を追いかけてきた俺のこの十ウン年間は、間違っていなかったぁぁああああああ!!!!!!!!
- 関連記事
-
- [新刊レビュー]超名作が新装版で登場! 高潔で美貌な生徒会副会長が“秘密”をネタに陵辱され… 遠野春日『無器用なのは愛のせい』
- [新刊レビュー]必ずや人類史上に残る不滅の傑作! ポルノにして純愛小説…五百香ノエル『彼と彼氏の秘密』
- [新刊レビュー]寄宿舎制音楽学校を舞台に、お堅い潔癖性の黒髪美少年が初めての恋を知り… 南原兼『誘って シャノワール』
Comments
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
初めてコメントさせて頂きます。
ブログを拝見して『彼と彼氏の秘密』即買いに走りました!
怒涛のエロシーンに感銘を受けつつ読了…本当、身も蓋もない怒涛の濡れ場だけで愛を表現する筆力には感動です。
正直こちらのブログで紹介されていなければ、私が理解するには高度過ぎるかも…と諦めていたと思うのでこの出会いに感謝しています。名作との出会いをみすみす逃すところでした。ありがとうございます!!
乱文失礼いたしました。
怒涛のエロシーンに感銘を受けつつ読了…本当、身も蓋もない怒涛の濡れ場だけで愛を表現する筆力には感動です。
正直こちらのブログで紹介されていなければ、私が理解するには高度過ぎるかも…と諦めていたと思うのでこの出会いに感謝しています。名作との出会いをみすみす逃すところでした。ありがとうございます!!
乱文失礼いたしました。
千尋さん、コメントありがとうございます!
お返事が遅くなりましてすいません…。
当ブログの拙いレビューを読んで、思わず本を買っていただいたとのこと、それがじつは一番嬉しいコメントだったりします(^^)
しかもそれが、自分としても思い入れの深い『彼と彼氏の秘密』だった日にゃ…!
やれ嬉しや~(笑)。
あの名作の魅力を理解してくださる方がいて、とても嬉しいです。
amazonのレビューとかでも評価が低いので、それが悔しくて…。
五百香ノエル先生の本はこれからもバシバシご紹介していくつもりですので、どうぞよろしくお願いします!
毎度毎度同じようなレビューばかり書いてる当ブログですが、もしよろしければ、今後ともお立ち寄りください。
それでたま~に読んだ本の感想など教えていただけたら、とても嬉しかったり。
今後ともよろしくお願いいたします(^^)
お返事が遅くなりましてすいません…。
当ブログの拙いレビューを読んで、思わず本を買っていただいたとのこと、それがじつは一番嬉しいコメントだったりします(^^)
しかもそれが、自分としても思い入れの深い『彼と彼氏の秘密』だった日にゃ…!
やれ嬉しや~(笑)。
あの名作の魅力を理解してくださる方がいて、とても嬉しいです。
amazonのレビューとかでも評価が低いので、それが悔しくて…。
五百香ノエル先生の本はこれからもバシバシご紹介していくつもりですので、どうぞよろしくお願いします!
毎度毎度同じようなレビューばかり書いてる当ブログですが、もしよろしければ、今後ともお立ち寄りください。
それでたま~に読んだ本の感想など教えていただけたら、とても嬉しかったり。
今後ともよろしくお願いいたします(^^)
もう元には。。
こんにちは。
FX、大変でしたね!
遅ればせながら、「彼と彼氏の秘密」読みました~
すごい!
エロい!!!
た、たまらんす。。
まさかBLでこんな怒涛のエロスが読めるとは・・・
たしかに好みによっては「やってるだけ」と思われてしまうかもしれませんが、そこは声高らかに言いたいですね。
「やってるだけで何が悪い!」と!
「やってるだけ」描写だって、誰が書いてもここまでエロくなるわけじゃないですからね~
五百香さんは本当に稀有な才能をお持ちの作家さんだと思います。
私も普通のBLにときめくのは「気持ちのすれ違い」とか「愛ゆえのせつなさ」とかであったりするんですけど、この本を読んで、「これだけエロけりゃあとはなんでもいいや!」と思えました 笑
しかし困ったことに、「彼と彼氏の秘密」以上に(もしくは同等に)ハイクオリティなエロ度の本になかなか出会えないんですよね・・・
ワタシ、もう普通のBLじゃ満たされません。。ww
ちーけんさんご推薦の高水準エロ作品をぜひ教えてください!!
長文、失礼いたしました。
FX、大変でしたね!
遅ればせながら、「彼と彼氏の秘密」読みました~
すごい!
エロい!!!
た、たまらんす。。
まさかBLでこんな怒涛のエロスが読めるとは・・・
たしかに好みによっては「やってるだけ」と思われてしまうかもしれませんが、そこは声高らかに言いたいですね。
「やってるだけで何が悪い!」と!
「やってるだけ」描写だって、誰が書いてもここまでエロくなるわけじゃないですからね~
五百香さんは本当に稀有な才能をお持ちの作家さんだと思います。
私も普通のBLにときめくのは「気持ちのすれ違い」とか「愛ゆえのせつなさ」とかであったりするんですけど、この本を読んで、「これだけエロけりゃあとはなんでもいいや!」と思えました 笑
しかし困ったことに、「彼と彼氏の秘密」以上に(もしくは同等に)ハイクオリティなエロ度の本になかなか出会えないんですよね・・・
ワタシ、もう普通のBLじゃ満たされません。。ww
ちーけんさんご推薦の高水準エロ作品をぜひ教えてください!!
長文、失礼いたしました。
電波ポルノ^^
うわ~、コレ絶賛しちゃうんだ!?と、正直どん引きしました。><
アタイもイオカさんはかなり好きです。
エロも大好物です。^^
でもこれは・・・
・・・・だって犯罪じゃん!
レイプとか薬物とか出ると萎え萎えなんですよね~。(ショボ~ン)
あとこれ、他の男にやらしてるじゃないですか?
超絶NG!!!!><
線引きとしては「見せびらかす」までがアチキのボーダー。
「セクハラ」を考察すると
それがOKかNGかの境目として
相手に好意を持ってるか否かだけだと思うんだけど、
こんな王子様の皮をかむったストーカー、100年の恋も醒めると思うんじゃが><。
てゆうか一方的すぎね?
基本的にSEXとか恋愛とかはコール&レスポンスというか
一方的に快楽をむさぼるだけじゃあつまらないと思います。
その意味で攻めがやたら余裕があって受けを翻弄するパターンのBLはつまらなく感じます。
・・・・とまあ、厳しいこともいいますが、この作品はポルノとしては極上☆というのはとても同意します。^^(趣味に合うかは別として)
実際読んでてとても脳内スクランブル!というか
「こんなんアリかよ!」と揺さぶられてしまいました。
特に、攻めに懐柔されたお母さんが
「男同士でもおかしくないのよ」とか受けを説得?はじめるとことか。^^
・・・おかしいだろ!お母さん主腐ですか!?
よその子ならいいけど自分の子だけはどうしてもやだわ、てのがフツーと思う。
つうか、自分の家族の性生活だけはアンタッチャブルにしておきたいもんじゃね?本能的に。
むはー。BLの楽しさって「無理を通して道理を引っ込ませる」部分にもあると思うので^^
その意味ではかなり高得点でした。
でもなんか、ここまでやっちゃうと「この先はどうなるのかな?」という楽しみがなくなっちゃうので余韻的なものが不足してくるような・・。
飽きてぽい捨てされないことを祈るだけどす。
アタイもイオカさんはかなり好きです。
エロも大好物です。^^
でもこれは・・・
・・・・だって犯罪じゃん!
レイプとか薬物とか出ると萎え萎えなんですよね~。(ショボ~ン)
あとこれ、他の男にやらしてるじゃないですか?
超絶NG!!!!><
線引きとしては「見せびらかす」までがアチキのボーダー。
「セクハラ」を考察すると
それがOKかNGかの境目として
相手に好意を持ってるか否かだけだと思うんだけど、
こんな王子様の皮をかむったストーカー、100年の恋も醒めると思うんじゃが><。
てゆうか一方的すぎね?
基本的にSEXとか恋愛とかはコール&レスポンスというか
一方的に快楽をむさぼるだけじゃあつまらないと思います。
その意味で攻めがやたら余裕があって受けを翻弄するパターンのBLはつまらなく感じます。
・・・・とまあ、厳しいこともいいますが、この作品はポルノとしては極上☆というのはとても同意します。^^(趣味に合うかは別として)
実際読んでてとても脳内スクランブル!というか
「こんなんアリかよ!」と揺さぶられてしまいました。
特に、攻めに懐柔されたお母さんが
「男同士でもおかしくないのよ」とか受けを説得?はじめるとことか。^^
・・・おかしいだろ!お母さん主腐ですか!?
よその子ならいいけど自分の子だけはどうしてもやだわ、てのがフツーと思う。
つうか、自分の家族の性生活だけはアンタッチャブルにしておきたいもんじゃね?本能的に。
むはー。BLの楽しさって「無理を通して道理を引っ込ませる」部分にもあると思うので^^
その意味ではかなり高得点でした。
でもなんか、ここまでやっちゃうと「この先はどうなるのかな?」という楽しみがなくなっちゃうので余韻的なものが不足してくるような・・。
飽きてぽい捨てされないことを祈るだけどす。